吉屋信子のレビュー一覧

  • 小さき花々

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    身分の差や社会的背景から救いの無い話が多い。そうでないものは教訓めいている。但し決して不快なのではなく、むしろ自分の倫理観やそれを形成したこれまでを振り返りたくなるような郷愁を感じさせる。河出書房新社版で文庫本がいくつか出版されているが、装丁がどれも残念。中原淳一の情緒が恋しい。

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    2012年07月23日
  • 花物語 上

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    ネタバレ

     花の名になぞらえた少女たちを描いた短編集。
     1話、1話をゆっくり読みたい本。おそらく、1話と1話の間に時間をおいたほうが楽しめる。一気に読み終えるにはもったいない。

     ダーリヤと燃える花が印象的。
     タイトルの通り、女は花であった。

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    2011年02月26日
  • 花物語 下

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    上巻から徐々に妖しさを増した乙女の世界。ただ続けて読んでいるとまったく自然な感情と行動に思えるから不思議。人死にが多すぎる様な気もするけれど、時代的には普通なのか。

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    2010年12月19日
  • 花物語 上

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    りある大正ロマンの実力を見よ!


    朝露に濡れたアサガオのように、美しく、清らかで、はかない。
    少女たちの揺れる心を流麗な筆致で描き、「女学生のバイブル」として読み継がれてきた元祖少女小説。

    とにかく文章がよい。
    美しいが、華美という程ではなく、一語一語が丁寧に綴られている。

    最初に書かれたのが1916(大正5)年ということで、やや全体に古臭さも感じられるが、違和感なく読むことができる。

    表紙画はイラストレーターのさやかさんの絵。きれいです。

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    2010年06月23日
  • わすれなぐさ

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    ネタバレ

    1932年発表の百合小説!女学校の女王様陽子、硬派な「ロボット」一枝、無口な個人主義の牧子の3人の女の子たちの関係の変化を書いた作品。
    「断然よかったことよ」「あのね、私のお誕生日に来て戴けて?」みたいな古風で雰囲気たっぷりの言葉遣い、「軟派」「硬派」が対立する女学校の人間模様、陽子の誕生会や横浜を遊び歩く時の優雅な様子などの素敵さもさることながら、三人それぞれのキャラがはっきり立っていて、特に軟派の女王様の陽子の奔放で妖艶な圧倒的魅力はすごい。花束を車から投げ捨てるシーンの残酷さと美しさよ!
    そしてさらに、男尊女卑的な家庭の問題も現代の私たちにまでリアルに感じられるような生々しさがあり、それ

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    2025年07月08日
  • 花物語 下

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     上巻よりも、同性愛を扱った作品が多め。ほぼ全て悲恋に終わり、どちらかが夭折する終わり方をしたりもする。ほんの刹那の女性同士の恋愛。だがそれぞれの触れ合いを花に見立てて愛おしみ慈しみ書かれた作品が、多くの女学生の胸を打ち続けてきたのは、当時は悲恋に終わるしかなかった同性愛を胸の奥に秘めながら涙と共に振り切った少女たちが数多いたのだろう、ということだと気付かされ慄然とする。刹那の愛に終わったのは彼女たちのせいではなく社会のせいだ。これからの世にそんな悲恋が繰り返されないよう、我々にはすべきことがたくさんある。

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    2023年11月19日
  • 花物語 上

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     1916年から1925年にかけて書かれた少女小説集。はしがきに「日支事変勝いくさの第二年目」とあるのが時代を感じます。上巻は三十三篇を収録。友情を拒まれるその理由がつらい『白菊』、慈善病院でいやいやながら働いている看護婦が自らの仕事の尊さに気づいていく『ダーリヤ』、ミッションスクールの寄宿舎に逃げ込んできた富豪の妻とルームメイトの儚くも激しい友情『燃ゆる花』の三篇が心に残りました。

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    2023年11月19日
  • 自伝的女流文壇史

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    語り口が好きだというのもあるけど、やっぱり、彼女の文章は読みやすくわかりやすい上に、当時の文壇の様子がよくわかっていいなと思った。
    山田順子の章に出てくる「年長の女作家のOさん」とは、秋声の弟子・秋香女史のことなのかな……?

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    2018年10月22日
  • 徳川の夫人たち 上 新装版

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    母親の息子を思う気持ちは見苦しい

    漫画の大奥の最後で参考文献が掲載されており、
    理解を深めるため、また吉屋信子さんの本を読みたい、
    ということで読みました。

    漫画の大奥の2巻から始まる家光時代のみならず
    ドラマで放送されていた大奥第一章も含めて、
    この小説が与えた影響は大きいですね。
    そのせいか脳内は春日局は松下由樹さんの
    ビジュアルイメージで進んで行きました。


    大きな感想は、「母親の息子を思う気持ちは見苦しい」
    なのですよね。
    春日局の息子を思う狂信的な気持ちが
    日本を動かしていく様は、
    見苦しいとしか言いようがありません。

    お万の方に接して思うのは、過度な美しさは
    決して幸せでは

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    2014年06月17日
  • 花物語 上

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    短編集。
    大正の女学生達のバイブルだったそうで。

    ひとつひとつの言葉が綺麗で乙女でした。
    お話もなんだか童話のような雰囲気でとても落ち着いた気分になります。
    僕は乙女でも、というかもともと女性ではないんですが、
    この本が人気だった理由がわかった気がしました。

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    2010年04月11日