吉屋信子のレビュー一覧
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愛萌さんが紹介していたからただ読みたくて買ったので事前情報を何も入れずに読みました。
文体が古風で、そういうコンセプトの本なのか、面白いなと思ったらなんとなんと1933年に書かれたものでびっくりしました!!
昭和初期に色濃く残る男尊女卑の価値観と、それに抗おうとする牧子やそれをものもとしない陽子など個性豊かな3人の少女が織りなす物語。
ものすごく面白かった…!!!
私が男性で、これは古い価値観のものだと冷静に受け止めた上で読んだため、フェミニズム的な文脈にそこまで嫌悪感や当事者感がなく読めてしまった部分もあるのかもしれないが、3人の少女たちの爽やかでお茶目なストーリーにしっぽりとハマりまし -
Posted by ブクログ
最高の百合小説。「女性はかくあるべし」という強い価値観があった時代背景を思うと、この物語に登場する女性たちの強い生き方に励まされた方達は相当多かっただろうなと思いました。
上巻では女性同士の友愛を、下巻では恋愛に近い感情を描いていましたが、こちらは悲しい結末の作品が多かったこともあり、どちらかというと上巻の方が好みかも知れません。中でもお気に入りは下記の短編。どれも読んだ後に本を一旦閉じ、ほうっと嘆息してしまうような素晴らしい作品でした。
<上巻>
・福寿草
兄の妻に思いを寄せる主人公。一度は別れながらも、大切な福寿草をきっかけに再開する展開が非常に美しい。
・ダーリヤ
突如訪れた輝かし -
Posted by ブクログ
好きなイラストレーターさんが表紙を担当していて、作者さんも内容もよく知らないまま購入
そうしたらなんと少女小説!
いやでもこれがまた面白い事
まずセリフが素敵
「お母様、今日はおよろしいの」だの「ね、今夜から仲よしのお友達になって下さる?」だの、適当に開いたページからの引用でもこんなに美しい
そしてキャラクター
その中でもなんと言っても陽子でしょう
自分の好きなタイプのキャラクターではないのに、読んでいるとその魔力にあらがえない牧子の気持ちがよくわかるという
悪女・小悪魔・魔性の女
あと、キャラクターの深みというのかな、陽子も一枝も読者に想像の(妄想の?)余地を残してくれているんですよ -
Posted by ブクログ
「ええ、日陰の花なのね・・・・・・けれどいいわ、わたし達、日の光には咲かずとも、月の青白い光に濡れて、咲けばねえ・・・・・・」(日陰の花)
上巻よりもずっと慎重に読みました。と言うのも、「ああ、もう少しで読み終わってしまう・・・」という名残惜しい気持ちと、胸がぎゅっと潰されちゃいそうな、得も言われぬ気持ち(『花物語』は完結に向かって悲愴な女の子のお話が多くなるんですよね)が膨らんで膨らんで・・・・・・。『日陰の花』、『沈丁花』はずっと好きですし、『曼珠沙華』の終わり方も、やっぱりすごく儚くて素敵です。
ああ、あわれ、『花物語』の前ではだらだらと感想を書くのも無粋というもの。そうだ、今日は -
Posted by ブクログ
言わずと知れた名作を。
中原淳一の挿絵が有名だけれど、こちら河出書房新社さんの新装版で。
矢絣のお召の着物に、海老茶の袴。女学校などを舞台に繰り広げられる、女の子たちのときめきに溢れる日常が、花の名を冠した作品で綴られる短編集。
憧れの上級生、可愛い下級生、聡明な級友。街で見かけた美しい奥様、地元の海辺で出会った可憐な人。
でも彼女たちは決してふわふわした夢の時間を送っているわけではなく、しかと地に足をつけて生活している。彼女たちは理想を求め、常に世界と抗う。学び学び、追い求める。時に父母なき妹弟の姉として。病に伏した人の友として、姉として、子として、そして本人として。
「女子は結婚し家庭 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻同様、表紙がかなり素敵です。
下巻でも感想を一編ずつ徐々に書いていきたいなと思います。
<アカシヤ>
棚島さんの気持ちが切ない・・・。
何て言うか、魅力溢れすぎているが故に、目を逸らしてしまう相手っていますよね。
そんな哀しい話は無い方が良いのだけども、現実にあるんですよね・・・。
<桜草>
桜草に込められた罪の意識。
違う形で会っていたかった、違う形であれば同じ学び舎で友情を育んでいられたかもしれないのに・・・。
<日陰の花>
エス、と言うよりは百合ですね・・・。
しかし、環と言う名前は常に私にとって魅力ある人物として目の前に現れるなあ・・・。
二人のその後がとても気になる話でした。