坂野潤治のレビュー一覧

  • 〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等

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    日本における階級の解消の歴史について書いたもの。
    序文において、戦後野党勢力は自由・平和の追求には熱心だったが平等を求めることに不熱心だったことを指摘しており、本書は昭和初期までを対象にしている。

    本書の眼目はあとがきで書かれた以下の文。これが言いたくてこの本を書いたのだろうな。
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    明治維新に46年間、上層農民の政界支配(筆者の言う「明治デモクラシー」)に26年間、いわゆる「大正デモクラシー」の実現(普通選挙制の成立)に20年間がかかっているのである。こうして1925年に成立した「政治的平等」が「社会的平等」(そこまでは言わないとしても「格差の是正」)に発展、転化しかけたのは、1937年4月30日の第20回総選挙においてであった。この間わずか12年しか経っていない。
    社会的な変化が政治的変化となって現れるのには、時間がかかる。この「時間差」を忘れたことが、社会経済的「土台」が政治や法律などの「上部構造」を規定するという「史的唯物論」の信頼を失わせた原因ではなかろうか。この「時間差」を考慮に容れれば、「戦後民主主義」の成立に、何も占領軍は要らなかったし、「総力戦体制」も要らなかったはずである。もちろん、世界と日本の国民に多大な犠牲をもたらした「総力戦」そのものも、「格差の是正」には不要なものであった。
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    2025年01月02日
  • 日本近代史

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    おもしろい。
    1857年から1937年の日本近現代史について論じる。
    著者は上記の時代を以下の6章にわける。
    1.改革 1857~1863年
    2.革命 1863~1871年
    3.建設 1871~1880年
    4.運用 1880~1893年
    5.再編 1894~1924年
    6.危機 1925~1937年

    1.改革 1857~1863年
    明治維新への紆余曲折について論じる。
    西郷隆盛はこの時期、敵対していた薩長をつなぐ役割を担っていたが、二度流刑に処されていた。その都度パイプ役がいなくなることで、敵対関係が悪化するなどしていた。

    2.革命 1863~1871年
    薩長同盟と幕府軍の戦い。やがて勝海舟と西郷隆盛の会談による江戸城無血開城。
    戊辰戦争。その後藩が解体された。
    幕府が倒れ、藩が解体して、下級武士を指導者とする幕末・維新革命は完了した。

    3.建設 1871~1880年
    岩倉具視や大久保利通らが活躍した時代。
    「殖産興業」を目指した。また憲法の制定もする必要があった。
    大久保利通は台湾出兵をおこなった。
    やがて西南戦争がおこる。
    西郷隆盛率いる薩摩軍がやぶれ、大久保利通を中心とする政府が勝った。

    4.運用 1880~1893年
    農民民権の台頭。
    大日本帝国憲法の発布。

    5.再編 1894~1924年
    政府主導の確立と農村の小作農にも選挙権を与えることが課題となる。
    日清戦争の開戦。
    農村地主を地盤とする保守政党、立憲政友会の時代が到来する。

    6.危機 1925~1937年
    ロンドン軍縮問題。満州事変や五・一五事件など、日本が危機に見舞われる。

    日本近現代史の80年間を詳細に論じている。近現代史をあるていどおさえている人ならばより深く学ぶことができるだろう。

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    2020年03月23日
  • 帝国と立憲 ──日中戦争はなぜ防げなかったのか

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    副題にあります”日中戦争はなぜ防げなかったか”の問いには、中国側にとっての日中戦争は「民族解放戦争」であり、侵略者日本軍を国土から駆逐することが目的であったので、日本軍の無条件全面撤兵を前提としない講和はまやかしでそれに応ずることは敗北を意味したのである。よって、日本は中国軍民の「殲滅」を選択したが、開戦2年で長期持久戦に方針転換した。筆者は和平への責務は為政者であるといい、リベラルな政党内閣か準政党内閣の下でしか、戦争は抑え込めないと主張しています。

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    2017年11月05日
  • 〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等

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    東京大学を定年退官になってからの坂野先生はホント沢山お書きになっている。書きたいことが山ほどあるのだろうと推察するが、恐らくこの本もそうした是非書いておきたい1冊だったのだろうと思う。

    テーマは明快である。明治維新の士族、明治デモクラシーの上層農民、大正デモクラシーの資本家の時代を経て都市民衆にまで拡大してきた政治的平等は社会的平等を実現し得る可能性があったのか。「総力戦体制」抜きでもそれは可能であったと坂野先生は述べる。

    1937年の総選挙で躍進した社会大衆党に社会的平等の自生的実現の可能性を見た戸坂潤や河合栄治郎の言説をそのまま鵜呑みにして良いかどうか疑問には思うが、平和の下で自由を、そして自由の下で平等を実現すべきという「べき」論はよくわかるし、賛同したい。

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    2016年05月09日
  • 日本政治「失敗」の研究

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    かなり冗長で読みにくいけど好きな人には刺さると思う。全然、毎回新しいものとして取り上げられる自由主義政党の伝統化を図る本。確かになあ、というのとなぜ他国では上手く根付いたところがあるのだろうか… どの自由主義政党も詰めが甘く残念なのだなあ なんなんだ、と思わされる…

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    2016年02月09日
  • 明治維新 1858-1881

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    日本近代政治史の専門家と開発経済学の専門家が、明治維新という世界史上稀な革命を可能とした、幕末維新期の構造的特徴ついて考察している。
    明治維新は、個々の人物や事件を追っていくと極めて分りにくい時代である。登場人物が多く、彼らの間に政策論争や政治闘争が延々と展開されるし、国家目標なるものが複数個あり、それらが合体したり変容したり逆転したり、更には、各グループの目標がどんどん変わっていくように見えるからである。しかし、著者達はこのわかりにくさを「柔構造」と名付け、これこそが明治維新を可能にした、世界に類を見ない長所だったと言う。
    「柔構造」の第一の側面は国家目標で、幕末期には、「公議輿論」が政治的な、「富国強兵」が経済軍事的な改革指針であったが、その後維新を経て、「公議輿論」は木戸孝允の掲げる「憲法制定」と板垣退助の掲げる「議会設立」に、「富国強兵」は大久保利通の掲げる「殖産興業」と西郷隆盛の掲げる「外征」に変容・発展していったということである。
    第二の側面は、上記の4派が単独では政策実施能力を欠いていたものの、各派は、幕末期から醸成されてきた基本的な相互信頼や、ナショナリズム・尊王思想の共有により、極端な政治闘争となることはなく、柔軟な合従連衡が継続したということである。
    第三の側面は、指導者自身が複数の目標の重要性を基本的には分かち合っており、ときに相互乗り入れや乗り換えが行われることすらあったということである。よって、カリスマ的リーダーは生まれず、指導者の不慮の死や失脚でも、スムーズに指導者の交替が行われ、その派が途絶えることはなかった。
    そして、こうした幕末維新期の独特の政治構造に加えて、それまでに日本が近代化のための諸条件を備えていたことが、植民地主義が吹き荒れていた時代に、日本だけが列強に屈することなく、欧米に並ぶ「一等国」に駆け上がることを可能にしたという。諸条件とは、1.政治的統一と安定、2.耕作面積と生産性両面における農業の発展、3.物流システムの発展と全国統一市場の形成、4.商業・金融の発展及びそれに伴う富裕な商人層の台頭、5.手工業の発展、6.地方政府(藩)による産業振興、7.教育の普及である。
    そして、ペリー来航以来の、対外的な軍事的無力、通商条約手続きの不備、開港がもたらした急激なインフレと産業の盛衰などにより、徳川政権に対する政治的遠心力が増す一方で、主要階層で広く共有された民間ナショナリズムにより社会的求心力は維持され、藩益や特定階級の利益が国家利益よりも優先されて日本が長期の内乱に突入したり、その隙に乗じて外国勢力の介入や支配を招く事態は生じなかったのだという。
    明治維新に関しては、活躍したそれぞれの志士や藩・勢力を取り上げた伝記、歴史小説、歴史ドラマは多数あるが、その全体を俯瞰し、かつ構造的に捉えたものとして、本書は意義あるものとなっている。
    (2010年12月了)

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    2016年01月11日
  • 日本近代史

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    同じ出来事も歴史家の眼差しによって全く違う位相が現れる。
    政友会と改進党の二大政党制、内にリベラル外にタカ派(とその逆)という補完関係は興味深い。

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    2015年09月12日
  • 日本近代史

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    幕末から日中戦争直前までの政治を中心とした近代史を、改革から危機まで6つの段階に分けて大きな流れを描いている。内容は盛りだくさんで、基礎知識があることを前提にしている感もあり、途中から図説を傍らに見ながらでないと付いていくことができなかった。

    「富国=大久保」「強兵=西郷」「公議=木戸」「輿論=板垣」

    明治22(1889)年に発布された明治憲法の第11条「統帥権の独立」は、昭和6年の満州事変以降の現地軍の暴走の原因となり、第55条「国務大臣単独責任制」は昭和16年の対英米開戦や終戦に際しての首相以下各大臣の無責任体制の原因となった。

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    2018年10月31日
  • 〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等

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    明治維新から日中戦争勃発までの近代史は歴史として学校で詳しく習った記憶が無い部分であり、知らないことが沢山あった.1884年の華族令で509人の爵位が与えられ、そのうちの244人が貴族院議員になった由.今以上の格差社会だ.選挙制度も金持ちだけに投票権を与えており、所謂普通選挙は1928年になって実現している.ここで有権者が300万人から1200万人と4倍増だ.当時の政党は格差社会の解消を全く考慮していないのにも驚いた.皮肉なことに日中戦争に伴って取られた「総力戦体制」の基で「格差の是正」が進んだことも意外な事実だ.

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    2015年07月13日
  • 日本近代史

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    明治維新前後の「改革期」から、太平洋戦争開戦直前の「危機」の時代まで、日本の近代史を凝縮して解説した一冊。

    ところどころで、基礎的事項が省略されているところもあるので、一通り、教科書レベルの前提知識があった方が読みやすいとは思うが、戦前の政治社会に関わった様々なアクターが、裏付け資料とともに、イキイキと描写されており、関心を引き付けてくれる。

    個人的には、政党が政治の主役になって以降、「崩壊」に至るまでの過程に、現代でも身につまされるところが、多々あるように思えた。

    二大政党の両者、特に原敬と、民政党側の論客であった美濃部達吉への著者の微妙な評価が興味深いところである。

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    2015年01月01日
  • 明治維新 1858-1881

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    明治維新は公議世論と富国強兵の名の下に実現され、外征、憲法制定、議会設立、殖産興業の4つの方向性のどれを優先するかで対立したものの、大きなところでの目標は共有していたため、組織が崩れずにいられたというもの。

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    2014年05月23日
  • 明治維新 1858-1881

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    意外と面白かった。新しい捉え方で、都合よく当てはめてるだけでは、とか抽象的な表現に逃げているのではと思わなくもなかったが、それを差し引いても新鮮。推奨。

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    2013年09月01日
  • 日本政治「失敗」の研究

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    ネタバレ

    日本において、実は明治以降の自由主義、リベラルの流れが脈々と流れており、それが伝統として認識されていないが故の、自由主義の弱さを指摘しています。福沢諭吉、徳富蘇峰、吉野作造、そして民政党、社会大衆党・・・。15年戦争さなかの1936,7年頃においても民政党、社会大衆党が躍進をしていることが何を意味しているのか?民政党が政友会と異なり非常にリベラルな政党であったとは今まで考えてもみませんでしたが、軍縮に力を入れた濱口雄幸、叛軍演説で有名な斎藤隆夫などが出てきた背景を考えると確かにそうですね。そしてファシズムの一翼を担ったかのように考えられてきた社会大衆党が実は社会民主主義の党として経済の民主改革に熱心であった!共産党の野坂参三でさえもが民政党に期待をし、人民戦線を考えていた?この2つの勢力がうまく結びついていくことによって、実は戦前も民主化の余地があった!?昨年の民主党への政権交代、そして今、英国でも2大政党の斜陽が言われる時に、自由主義政党の大切さを感じます。民政党の精神を継ぐリベラルな党が確立してほしいものです。

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    2013年08月17日
  • 西郷隆盛と明治維新

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     本書を読んで、かつて司馬遼太郎は「翔ぶが如く」という小説のあとがきで、西郷隆盛という人物について「日本にはこの様な人物の類型がなくわかりにくい」という趣旨のことをつづっていたことを思い起こす。
     本書は、そのような「幕末から明治維新」という混迷と動乱のわかりにくい時期を、現代の政治の知識から考察している興味深い本であると思った。
     「尊王攘夷」という当時の政治スローガンを、「尊王」「攘夷」「開国」という思想内容にまで踏み込んで、当時の各藩におけるそれぞれの政治勢力の動向と変転を詳細に考察する本書の内容は、実にわかりやすい。
     混迷の時代には、常に「保守派」「革新派」と分かれて争うのは歴史の常であるが、当時は「幕府」や「各藩」がそれぞれ内部で多くの「派閥」が、くんずほぐれつの争闘を繰り広げていた。
     この混迷の時代の「西郷隆盛」を「攘夷なき尊王論者」と捉える本書は、説得力があるとともに時代状況も詳細に知ることができる。
     「安政の大獄」についても「開国派による開国派の弾圧」との視点は興味深い。
     なるほどこのようにみると理解しやすいが、この時代に現代の視点からのこのような分析が通用するのかとの思いも抱く。
     また本書は「西郷隆盛は征韓論者などではではなかった」とし、西南戦争についても「一時的な自力優勝の可能性は十分あった」と考察しているが、この内容は一般的な知見とは落差がある。
     以前「勝海舟」の詳細な本で「勝海舟は晩年になってから西郷隆盛は征韓論者ではないと語りだした」とあったが、当時の関係者の残した文書記録をより深く読み込めばまだまだ新しい知見が得られるのかもしれない。
     事実のみをつづる歴史書は、「教科書」のようで読んでもつまらないが、本書はいろいろ読者の思考を刺激する良書であると思った。

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    2013年07月23日
  • 明治維新 1858-1881

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     本書を読んで明治維新の時代が立体的に見えた思いがした。この時代を取り扱った書として、高く評価できる本と思う。
     本書によると「明治維新は、欧米列強が支配する19世紀の国際秩序に後発国日本が組み込まれるという国際統合過程であった」とし、その政治過程は戦後の「開発独裁」と違って「富国(大久保)」「強兵(西郷)」「憲法(木戸)」「議会(板垣)」のグループが柔軟に連携を組み替えながら、それぞれの局面でリーダーシップをとっていたというのだ。
     本書では「国論の分裂である」という見方を否定し「政治的柔構造」と高く評価している。この見解はこの時代を俯瞰して新鮮であり、納得できる主張であると思った。
     本書では、1881年(明治14年)を変革の終了とする。その年までに上記の4つの政治目標が基本的に達成されたとする。
     現在も多くの発展途上国が上記の国家目標を目指しながらも、現実に到達している国は数少ない。歴史的にみても実に困難な国家目標の達成に明治日本が到達した理由が上記の「政治的柔構造」だという主張は実に興味深い。
     本書では、この政治的柔構造が成立した理由として当時の指導者の柔軟性を指摘する。「国家目標を富国強兵一本に絞らず複数の目標を視野に収めていた」「自分達のグループだけで権力を握ろうとはせずにいつも競争相手との合従連携に努めた」「どこにホンネがあるのか疑わしくなるほどの柔軟性」。この指導者の柔構造こそ、変革の時代を乗り越えた原動力となったとの見解は、現在の日本を見ていて、ちょっとうらやましい。現在の日本にはこのような指導者はいないものかと。
     しかし、本書では、その変革期の連携の組み換えが成立した理由についても考察している。「指導者達は相互に抜き差しならない対立に追い込まれた時でも、衝突の寸前まで相手の善意を信じ込んでいた」「旧藩を基盤とする交流経験」「江戸期を通じて醸成された求心的な社会条件」。やはり、優れた指導者は突然に登場するものではなく、その前の時代の諸条件が準備するものなのだろうと納得した。
     本書では近代化の前提条件として、江戸時代の特徴も考察している。本書が指摘する江戸日本が到達していたレベルの高さは、読んでいても心地よい。
     本書あとがきでの指摘に、「21世紀の初頭に生きる私たちも、この4目標のうちの三つは依然として目指している。すなわち「富国=成長」「公議=憲法」「輿論=議会・選挙」は、私たち日本人の共通目標であり続けている」との主張は、まさにそのとおりである。はたして私たちの世代は、明治期の先人のように国家目標を達成できるのだろうか。疑問とともに、かつての指導者の視線を感じるのは私だけではないと思う。

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    2013年06月30日
  • 西郷隆盛と明治維新

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    勝てば官軍。

    権力を握った側は、自身の出自を正当化しなければ、統治できない。

    所謂、征韓論なるものに敗れた西郷は、賊軍として処遇せざるを得ない。

    しかしながら、史実は史実として厳粛に残存する。

    西郷にまつわる史実を丁寧に読み解けば、新たな仮説を立てることができる。

    日本近代史の第一人者が近代国家に導いた人物の実像を解き明かしてくれた。

    若い時から慣れ親しんだ司馬史観を離れるてみるのも楽しいものである(笑)。

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    2013年06月28日
  • 日本近代史

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    近代日本(幕末~太平洋戦争直前まで)を政治・経済の両面から描いた本。

    とくに日中戦争へ突入するまでの、政治・経済・軍部のながれがダイナミックで引き込まれる。
    なぜ日本は海外に戦争をしかけていったのか?
    日中戦争~太平洋戦争にいたるまで、民意や議会・政府が反ファシズムだったのに、軍部の独走を止められなかったのは、どういう流れだったのか?

    これまでは、歴史は点でのおきまりの知識と解釈でしか知らなかったが、この本で歴史を流れでよむことで、新たな視点で歴史を理解するようになったものが多々あった。

    個人的には、参政権をもつ人々の懐具合の変化で、いかに政治がかわるのか、この本でえがかれていて(この本では農民富裕層)、参政権のありがたさと、参政権をもつ我々は実はものすごく国に影響をあたえることができるのだということを感じた。

    メモ:歴史を教科書だけでのお決まりの解釈ではなく、流れでとらえて新たな視点を得ることができる。

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    2013年04月08日
  • 日本近代史

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    幕末から日中戦争勃発までの通史。
    この本によって、自分の近代史の知識がいかに不足していたかを知った。
    特に明治後半から昭和にかけての政治史。
    政友会と憲政党という二大政党が争っていた事など
    すごく基本的な事柄のはずなのによく知らなかった。
    今後、近代史を学ぶ上での基礎になりそうな一冊。

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    2013年04月02日
  • 日本近代史

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    近代日本の政治史(明治維新から太平洋戦争直前までの80年間)
    著者なりのスタイルで新書の形にまとめあげていますが、それでも約450ページという大容量。勉強のつもりで読んでください。

    日本がなぜに戦争に走っていったのか、小中学校の教科書では知ることのできなかった「そういうことだったのか」を解き明かすには、これくらいには分量が要るのだと、それほどまでには激動の時代だたのだと思わせられます。読んでいるときは気づかなかったのですが、江戸時代末期から昭和初期まで、たった80年間しか経ってないのに、こんなに世の中が変わったことに、読み返しながら驚いています。

    この時代に何があったかは、知っておくべきことです。この本でなくてもたくさんありますが、著者の偏見などが比較的少ない本書はおすすめです。

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    2013年02月21日
  • 日本近代史

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    それは過ぎ去った近代史ながら、まるで今日の現代史さながら。とはいえ、その差異を見出していくこと無しに、未来はけして拓かれない。

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    2013年01月18日