坂野潤治のレビュー一覧
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明治維新前後の「改革期」から、太平洋戦争開戦直前の「危機」の時代まで、日本の近代史を凝縮して解説した一冊。
ところどころで、基礎的事項が省略されているところもあるので、一通り、教科書レベルの前提知識があった方が読みやすいとは思うが、戦前の政治社会に関わった様々なアクターが、裏付け資料とともに、イキイキと描写されており、関心を引き付けてくれる。
個人的には、政党が政治の主役になって以降、「崩壊」に至るまでの過程に、現代でも身につまされるところが、多々あるように思えた。
二大政党の両者、特に原敬と、民政党側の論客であった美濃部達吉への著者の微妙な評価が興味深いところである。 -
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ネタバレ日本において、実は明治以降の自由主義、リベラルの流れが脈々と流れており、それが伝統として認識されていないが故の、自由主義の弱さを指摘しています。福沢諭吉、徳富蘇峰、吉野作造、そして民政党、社会大衆党・・・。15年戦争さなかの1936,7年頃においても民政党、社会大衆党が躍進をしていることが何を意味しているのか?民政党が政友会と異なり非常にリベラルな政党であったとは今まで考えてもみませんでしたが、軍縮に力を入れた濱口雄幸、叛軍演説で有名な斎藤隆夫などが出てきた背景を考えると確かにそうですね。そしてファシズムの一翼を担ったかのように考えられてきた社会大衆党が実は社会民主主義の党として経済の民主改革に熱心であった!共産党の野坂参三でさえもが民政党に期待をし、人民戦線を考えていた?この2つの勢力がうまく結びついていくことによって、実は戦前も民主化の余地があった!?昨年の民主党への政権交代、そして今、英国でも2大政党の斜陽が言われる時に、自由主義政党の大切さを感じます。民政党の精神を継ぐリベラルな党が確立してほしいものです。
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近代日本(幕末~太平洋戦争直前まで)を政治・経済の両面から描いた本。
とくに日中戦争へ突入するまでの、政治・経済・軍部のながれがダイナミックで引き込まれる。
なぜ日本は海外に戦争をしかけていったのか?
日中戦争~太平洋戦争にいたるまで、民意や議会・政府が反ファシズムだったのに、軍部の独走を止められなかったのは、どういう流れだったのか?
これまでは、歴史は点でのおきまりの知識と解釈でしか知らなかったが、この本で歴史を流れでよむことで、新たな視点で歴史を理解するようになったものが多々あった。
個人的には、参政権をもつ人々の懐具合の変化で、いかに政治がかわるのか、この本でえがかれていて(この本では農民富裕層)、参政権のありがたさと、参政権をもつ我々は実はものすごく国に影響をあたえることができるのだということを感じた。
メモ:歴史を教科書だけでのお決まりの解釈ではなく、流れでとらえて新たな視点を得ることができる。 -
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近代日本の政治史(明治維新から太平洋戦争直前までの80年間)
著者なりのスタイルで新書の形にまとめあげていますが、それでも約450ページという大容量。勉強のつもりで読んでください。
日本がなぜに戦争に走っていったのか、小中学校の教科書では知ることのできなかった「そういうことだったのか」を解き明かすには、これくらいには分量が要るのだと、それほどまでには激動の時代だたのだと思わせられます。読んでいるときは気づかなかったのですが、江戸時代末期から昭和初期まで、たった80年間しか経ってないのに、こんなに世の中が変わったことに、読み返しながら驚いています。
この時代に何があったかは、知っておくべきことです。この本でなくてもたくさんありますが、著者の偏見などが比較的少ない本書はおすすめです。 -
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幕末から第二次世界大戦直前までの政治史についての本。
高校で世界史を選択した上に、もともと日本史をよく知らないので、本書の理解がほとんどできていない。基礎的な知識がある前提で書かれているので、ある程度の予習が必要だと思う。当時の日記などもかなり引用されているけれど、文体が今と違うので、余計にハードルが高い。
それでも、幕末から第二次世界大戦までの国内事情の大きな流れは把握できる。
江戸の身分制度から脱却と、立憲主義・議会制民主主義の建設と運用、崩壊が、1つの流れとして理解できる(ただし崩壊は入口までしか描かれていない)。
選挙投票率の低下が話題だけれど、今の仕組みを作るまでにどんな試行錯誤があったのか、ということが分かる。また、農家が政治に強い影響力を持つようになった経緯も幕末からの流れで理解できる。
この政治史の流れ、特に1900年代からの流れが、今の日本にあまりにも似ているというのが話題だ。
アメリカ発の金融恐慌(現代はリーマンショック)、関東大震災(現代は東日本大震災)、財政問題、不況、外交問題(当時は三国干渉と日露戦争、現代は東アジア外交)などにより、国内の意見は割れ、政党政治が成立しなくなった。戦前は、この「動かない政治」を軍部が動かして太平洋戦争へと突入した。
フリーズしたシステムはきちんと再起動しなければ、思ってもみなかった方向に突き進むことがあり得るということが分かっただけでも、読んだ価値は十分にあった。
国内政治の歴史は詳しく書かれているけれど、対外的な状況はほとんど描かれないので、別に補う必要はある。
また、著者のバイアスがかかった記述と思われる部分もあるので、別の観点からも確認したほうが良いと思う。 -
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薩長同盟、大政奉還などから、日中戦争までの近代史80年間を通して読むことができる。政体の変遷がダイナミックに感じられる。
議会制民主主義がどのように、この国で育っていったのか。日本の民主主義は、戦後米国という外力によって与えられたものだから、日本人は有権者の意識が低い、という議論を耳にしたことがある。この著作を読む限り、戦前の日本にも、民主主義の獲得、浸透の課程には、それなりのいきさつがあったのだ。
政権交代に沸いた前回の衆議院議員選挙から一転、今回は投票率が下がり、地域、地元を固めた自民党が、小選挙区で軒並み勝利し、結果として圧勝するという結果であった。確かに民主党に失望したものの、投票先の見つけにくい、言わば”人気の無い”選挙であったかもしれない。それでも、最善解を模索し、選択、決断をするという政治の本質を考慮すると、やはり何らかの意思は表示すべきだろう。参政権があるということのありがたさについて、この著作は再認識させてくれる。 -
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明治維新から第二次世界大戦直前までを六つの時代構成に分けて論じている。様々な登場人物とイデオロギーが浮かんでは消え、近代化から崩壊への80年間の怒涛のような様相をよく表している。日本史の授業中も寝てたから、ようやく歴史を歴史として認識できるようになった。十分、理解できたわけではないが。あとがきには、震災後の現代を戦後直後や明治維新前夜と同じように論じる風潮に対し、筆者は「日中戦争が勃発したころ」に類似していると反論する。その理由は本書をずっと読んでいればわかる。政治が四分五裂している状況は、まさに日中戦争時代の政友会、民政党、社会大衆党、軍部と様々な指導者がいた状況と酷似しているという主張は深く納得できた。維新、維新と言う現在は、逆に大きな危機の途上にあるのかも。
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日本近代史の1850年から1940年の90年を、6期(改革期、革命期、建設期、運用期、再編期、危機期、崩壊期)にわけて、通史として述べた本。
日本史の特に近代史を知っている人にとっては、きっといろいろな史実が関係し、1つの歴史の流れを作っていることに興味がわくとは思うが、自分があまり日本近代史に詳しくなく、新しく知った史実が多すぎて消化不良だった。
ただし、最後の最近の日本の大地震を1945年の終戦に次ぐ復興と考える人も多いようだが、著者は政治家が小物化した危機期の方が近いのではないかと考えている。「智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」の言葉のように、歴史をもう少し勉強するべきなのではと感じる本だった。 -
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ネタバレ1857年から1937年までの日本の歴史分析であるが、実は私はこの時代の歴史を本格的に勉強したことがない。中学では駆け足で通過。高校の日本史の授業はこの時代まで至らなかったのだ。
とはいえ、登場人物に対するイメージは何となく持っているのだが、本書の分析ではそれらのイメージがことごとく覆されてしまった。特にひどかったのは板垣退助と原敬だ。どちらも偉人に近いイメージを持っていたが、本書によれば、政局で動く今日の「政治屋さん」に近い。まあ、原敬については、日本の鉄道(特に国鉄)の歴史に深く関係する人物であり、イメージの違いは何となく感じてはいたのだが。
いずれにせよ、政治家とはどのように発想し、どのような論理構成を行うのかということを歴史分析から学ぶのは非常にためになると思う。 -
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ネタバレ【書評】
筆者は、「平和」「民主主義」「社会民主主義」は戦後60年の日本の浅い「伝統」ではなく、明治維新以来140年日本の「伝統」であることを主張する。本書は、1930年代日本が戦争へ向かう暗黒の時代と描かれる時代を、言わば「敗け組」史観にたって新たに説明する。
30年代の選挙と社会民主主義勢力の躍進を通して分かるのは、日本の民主主義が発展し、政党政治を通して軍部に抵抗していた事実である。従来の近代日本史では注目されなかった、2.26事件から日中戦争に至る1年半に見られた「不幸な忘却」を解き明かし、日本の「民主主義の伝統化」を目指した書。 -
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本著は日露戦争後の桂園時代から大正の政変を経て第二次大隈内閣までの政治の動きを著したもの。
いわゆる、大正デモクラシー、本格的政党内閣である原内閣までの明治から大正の狭間の時期。藩閥vs政党、薩閥(海軍)vs長閥(陸軍)、対官僚、予算を巡っての権力闘争、駆け引きが詳細に描かれており、興味深い。
ある意味で幕末時の勢力図をそのまま引きずっているともいえ、本著のタイトルである「明治国家の終焉」へ繋がってくる。
大正デモクラシー、昭和へ向かう時代の狭間で、なかなか理解し難い時期ではあるが、本著を読むことで、その時代の閉塞感、大正維新への期待感が、新たな時代を切り開くことへの起爆剤になっていたことがよく分かる。
因みに本著は丸の内丸善の松丸本舗で購入。
以下引用~
・そのような体制の構築が官僚閥の桂太郎と政友会の原敬の手によって行われたのは、日露戦争後に予想された様々な階層の自己主張を事前に抑え込むためであった。
・(第二次西園寺内閣)西園寺首相は、桂太郎らの山県閥の閣外からの交渉の防波堤とするために、薩派政治家で海軍最大の実力者であった山本権兵衛に接近した。海軍の方も、桂内閣の下では一部実現したに過ぎない大建艦計画を陸軍を抑えて実現するために、西園寺を支持した。
・前年の予算作成の過程で山本権兵衛や西園寺首相により疎外された山県閥が、新帝(大正天皇)の即位を機に宮中と枢密院とを掌握し、その政治的発言力を回復するのに成功したからである。(桂太郎が内大臣と侍従長の両方に就任)
・山本内閣を打倒した時の行動は、貴族院の歴史の中でも、おそらく例外的なものであろう。
・大正維新期待が、永年における政治的・思想的、社会的不満の累積の噴出であることをもっとも理解していた政党指導者は、おそらく犬養毅であった。
・(第二次大隈内閣)現実政策の面で、総選挙までの一年余にわたって多くな破綻を見せずに済んだ最大の原因が、成立後数ヶ月で第一次大戦が勃発したことにあることは、これまでもしばしば指摘されてきたところである。