傳田光洋のレビュー一覧

  • 皮膚は考える

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    皮膚はセンサーであり、脳でもある。別の言い方をすると、皮膚は「外臓」であり、「第3の脳」(第2は消化器)である。この考えが書名に集約されている。
    なぜ皮膚科学の道に進むようになったのか。自分語りの部分がある。その進路選択は必ずしもポジティブではなかった。迷いに迷いながら、行き着いた先が皮膚科学の研究、新たな鉱脈。
    「むすび」では、2001年に参加した学会のことが書いてある。マイナーに見えるテーマだったからか、ポスター発表会場では、だれひとり自分のところには立ち寄ってはくれなかった。終了間際、ひとりの研究者が立ち寄り、熱心にメモをとって、話を聞いてくれた。ネームプレートは「松本元」。そのことが1

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    2025年05月23日
  • 驚きの皮膚

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    皮膚を、体内と外界を分ける境界線として小説を書いている点が印象的だった。
    人間は生まれてから、まず世界を皮膚で知り、脳を活性化し、言葉が生まれ、美術となった。

    人間が意識していない無意識を感知する皮膚が人間の心や体に与える影響は大きいはずであるということがよく伝わった。

    また、西洋的な感性では、
    世界に対して距離をとり、明晰判明な像を結ぼうとする。
    つまり、肌感覚を大事にしていない側面がある
    その一方で、言語は生まれた。

    そこにヒントがあるのでは?

    認知科学における触覚がブレイクスルーするか期待したい

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    2024年06月06日
  • 驚きの皮膚

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    皮膚っていったい何者?
    私たちの身体を覆っている皮膚。
    実は人体で最大の臓器であり、私たちと外界をつなぐ大事な境界の役割を担っている陰の立役者。
    普段私たちの意識には表れていないけれど、音や色を感じるなど知能を持っている!?
    そんな皮膚の驚くべき存在について、知る事が出来ます。この本を読んだ後には、様々なモノに触れたくなるかもしれません。

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    2023年10月09日
  • 皮膚は考える

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    傳田 光洋
    京都大学工業化学科、工学研究科分子工学専攻を経て京都大学工学博士。カリフォルニア大学サンフランシスコ校皮膚科学教室博士研究員、国立研究開発法人科学技術振興機構CREST研究者、広島大学客員教授などを経て、明治大学先端数理科学インスティテュート客員研究員


    皮膚は考える (岩波科学ライブラリー)
    by 傳田 光洋
    私がそんな友人たちに「皮膚ってのは実は大事な臓器なんだ」と酔った勢いで自分の研究を吹聴したときのことです。コピーライター氏が「心臓や胃や肝臓は「 内臓」 だよね。だったら皮膚は「 外臓」 か」とビールグラスの向こうから言いました。もちろん彼の造語ですが、うまい表

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    2023年07月28日
  • 驚きの皮膚

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    人間の皮膚の持つ様々な機能とその素晴らしさを詳細な事例と共に縷々述べている第4部までも読み応えがあったが,その後の第5-6部の内容が秀逸だ.遠くに第7部の「芸術を科学について」で絵画や音楽の豊富な知識がちりばめられた記述は素晴らしい.それにしても,ケラチノサイトの多様性は凄い.資生堂の奥の深さを実感した.

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    2016年02月02日
  • 第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界

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    感想をどう表現すればよいのかよくわからない不思議な本。脳中心主義に疑問を覚えている人には、よき導きになるやもしれないと感じた。

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    2014年11月12日
  • 第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界

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    ネタバレ

    皮膚は第三の脳!?     -2008.02.08記

    皮膚には第三の脳ともいうべき未知の思考回路があり、生物にとって最も重要な器官とさえ云いうると、資生堂ライフサイエンス研究センターの主任研究員を務める傳田光洋氏が自説を開陳する「第三の脳」-朝日出版社刊-は、たんに外界から分かつだけにすぎぬとみられる皮膚から捉えなおした人間観.生命観がずいぶんと刺戟的で興味深く読める。

    著者の説くところを本書の終章にあたる「第6章-皮膚から見る世界」-p176~-から以下適宜引用すれば、
    進化の過程において、ヒトの皮膚と同種の基本構造が現れるのは、両生類から爬虫類にかけてであること。ヒトの皮膚の原型はカエ

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    2013年08月14日
  • 第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界

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    第一の脳が大脳。
    第二の脳が内臓器、そして第三の脳が皮膚という資生堂の研究者である筆者の仮説。

    知的刺激がびんびんで超絶に面白い。

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    2012年08月06日
  • 賢い皮膚 ――思考する最大の〈臓器〉

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    面白い。「表皮には中枢神経と同じ情報処理のための分子機械がある。外部電場や温度、圧力といった物理的因子を表皮が受け取り、身体全体に伝達できることも分かってきた」表皮への施術が全身の健康につながるという観点と筆者自身の経験から、東洋医学、鍼灸医療をものすごく押している。確かにわずかな皮膚への刺激が身体に与える影響なら、鍼灸の得意分野だな。

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    2012年07月26日
  • 皮膚は考える

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    浅く刺した鍼がなぜ効くのか?本当にちくっとしか刺さない日本の古典的な鍼灸治療に私も治療者でありながら、半信半疑な所がありました。
    しかしこの本を読んで、経験医学としてのカテゴリーだけでは納得できないない部分も多少あったので、「皮膚科学」という専門分野から鍼灸を見直すきっかけができて、本当に素晴らしいと思います。
    これからも研究を進めて欲しいし、鍼灸界とコラボしてほしいですね。

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    2011年02月18日
  • サバイバルする皮膚 思考する臓器の7億年史

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    皮膚の持つ役割を生物の歴史や心理、哲学など様々な視点から述べている。また肌の病からも論じられており実生活でも役立つことが分かりやすく解説されていた。

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    2025年02月02日
  • 驚きの皮膚

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    皮膚について色々な観点からみて記載されている。
    ただ皮膚だけの勉強ではなく皮膚の能力やつながりについても学べる本。

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    2022年01月14日
  • サバイバルする皮膚 思考する臓器の7億年史

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    人間にしかできない創造を可能にしたのは、120万年前に体毛が無くなったことが大きく関係しているらしい。これまであまり注目されてこなかった皮膚には、バリア機能だけでなく、五感に加え紫外線、超音波、磁場等を感知できる能力を備えているということが明らかになってきている。脳と同じ情報処理能力を持った臓器であるという新しい認識を持つと、日常生活の見え方や感じ方も変わってくる。

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    2021年09月13日
  • 賢い皮膚 ――思考する最大の〈臓器〉

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    美白や美容には全く興味なく、思春期・成人をやり過ごし、中年になった。自身の火傷をきっかけに、今やっと皮膚に興味を持ち、その機能を知りたいと切実に思うようになった。身体はいずれ手放すものであるが、中年になったからこそ、怪我をしたからこそ、病気を経たからこそ、知りたいと思うことがたくさんある。

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    2021年04月26日
  • 皮膚感覚と人間のこころ

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    特に1番印象的だったことは、視覚障害者が舌になんらかの圧を加え、学習させると、ボールをバットで撃てるようになること。
    舌はご飯を食べる時にも使うし、キスをする時にも使うけど、確かに感じると言うことに全てが集約されてるのかも。
    視覚・聴覚は記号化できるけど、触覚と嗅覚だけは確かに人によって感じ方が違う。おもしろい。


    以下記憶したい部分を抜粋。

    顔面フィードバック・・・自分の顔の表情が、その感情を誘導する
    口が笑っている形になるだけで、人間はより楽しい気分になる
    拒食症患者は健常者に比べて、触覚による図形の把握が下手

    不幸な幼少期を送って脳構造にその影響が残ったとしても、あるいはうつ病に

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    2021年01月05日
  • 皮膚はすごい 生き物たちの驚くべき進化

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    杉や松の表皮の模様が、なぜあのようになるのか。
    なるほど、と面白かった。

    子供の頃に清潔にし過ぎると、アトピーなどのアレルギーになりやすい、ということも、他でも聞いたことがあるし、確かにそうだろうと思う。
    人類は菌やウイルスなどと共に生きてきたのに、清潔にし過ぎると免疫システムのバランスが崩れるのだ。

    ホモ・サピエンスの話も面白かった。
    ホモ・サピエンスは挑戦者であり、スペシャリストを志向する能力や性格を持っていた。
    だから、生き残れた。
    ネアンデルタール人やデニソワ人は、そうではなかった。
    少数者を多数の力で排除せず、受け入れ、認めることで、ホモサピエンスは生き残り、発展してきた。
    多様

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    2021年03月18日
  • 驚きの皮膚

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    8年前初期研修医時の形成外科指導医に課題図書として出された「皮膚は考える」以来に傳田さんの本を読みました。皮膚の持つ能力は凄い。触覚だけではなく光も音も感じている。ただの境界ではないのですよね。本でも話されていたように、今は視覚と聴覚での情報が過多な状態。そんな時代だからこそ、皮膚で感じることを大事にしないといけないなと感じました。

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    2018年11月04日
  • 皮膚感覚と人間のこころ

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     検査機器では検知できない差異を人間の皮膚は判断できる。
     しかしながら、現在の科学ではそこまで検知できるとはおもえない……ということで、これからの科学の進歩が楽しみである。皮膚は第2の脳み たいですよ!

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    2014年11月29日
  • 賢い皮膚 ――思考する最大の〈臓器〉

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     皮膚って凄い。肌断食を始めてから、皮膚科学の本が面白くてたまらない。皮膚は、最先端科学でもまだまだ解明出来ていないにもかかわらず、私たちが直に触れることのできる、もっとも巨大な「臓器」なのだ。筆者は資生堂の研究員。肌につけるものを研究している人が書く、皮膚の話。ちょっと専門的過ぎて付いて行けない話もあったけど、逆に、私のように文系の頭でも分かりやすく説明されているところもある。
     皮膚の特性を西洋医学や科学者が解明するよりずっと前から、東洋医学や作家たちはとっくに真理を見抜いていた。『芸術は往々にして歩みののろい科学を先取りすることがある』(p77)という素敵なコメントも要所要所にあって、単

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    2013年08月14日
  • 皮膚感覚と人間のこころ

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    <皮膚。内と外の境界となるもの>

    皮膚は、個体と外部環境との接点となる場所である。いわば、体の最前線だ。
    物理化学を学び、後に資生堂の研究員として皮膚について研究してきた著者が、最新の細胞生物学的研究を中心に皮膚のあれこれを解説する。話題は多岐に渡り、化粧が精神に与える影響や、皮膚への数理学の適用まで。
    目を見張るほどおもしろい、皮膚のあれこれ。

    俗にスキンシップという。肌に触られたときに、それが心理的に影響を及ぼすのは珍しいことではない。
    皮膚は外からの刺激をどのように感知しているのか。その機構が徐々に明らかになってきている。

    皮膚は、一本の髪の細さも感知する。従来は、神経や指紋が触覚

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    2013年06月07日