傳田光洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
皮膚が感覚で受信をして考え選択して反応する
脳も神経もないゾウリムシのような原生動物にも生きよとする意志がある
認識や判断があってものの味がわかるらしい
細胞膜という皮膚が環境を感じ取り
自己の生存のために「快適」さを選択する
人間の皮膚には脳と似た組織と細胞があるという
情報を受け取って考え作戦を練って防御したり反応する
体毛を捨てた人間は鋭敏な感覚を物にした
特に顔の皮膚は裸で常に晒されているにも関わらず
もっとも角質が薄く敏感なのだそうだ
顔は脳のそばにあって五感のすべてを一手に引き受けている
皮膚の三分の一を失えば死に至る
外と内をつなぎ、すべての臓器の働きを左右する
最後の第六章「皮膚から見た世界」は面白い
中でも最後の最後「非因果律的世界」でいわく
内部と外部・体内環境と外部環境の対立
原因があって結果がある
作用があって反作用がある
過去が未来を決定する
少なくとも過去が今に影響するということは現代の常識
しかしシュレディンガーによれば
生体は外部環境から負のエントロピーを取り込み
性のエントロピーを放出して「内部環境」の秩序を維持するシステムだという
ここでは未来が過去を決定しているとも言える
「覆水盆に返らず」を外部から見ることに慣れ親しんでてしまった人間は
時間の一方通行を真理だと錯覚してしまった
しかしそれは時間という閉鎖系だけの答えにすぎない
生命は閉鎖系ではなく開放系
エネルギーや情報が出入りできるシステムでは「自己組織化」が生じる
無秩序から秩序が出現する
生体の中では閉鎖系つまり有限界の常識が通用しない
人間同士のスキンシップなしで赤子は人間になれない
少なくとも心の成長が後れ生命自体にすら影響を及ぼす
大都会の高密度高ストレス社会がもたらす歪は反スキンシップ(自閉症)と
性の異常を起こす
男は同性愛とサディズムをへてマゾヒズム
女は子育てへの執着と無関心
そして癌の高発生率とパニック(社会性の破壊と我欲の増殖)
いずれも仮想空間がもたらした心の不安によるもので
無視されがちな皮膚や体で直接感じ取る誠実な暖かさを必要としているようだ
人間は多くの細胞で組織をつくりその組織がまとめられて身体をなしている
感覚を担う目・耳・鼻・舌・肌そして神経
人間が多用している目と耳(視聴覚)は分析的にONとOFFで物をとらえる
動物が多用している鼻と耳も同じように物をとらえている
物理的刺激を電気信号に変えて脳に送る
それに引き換、肌は環境の変化を総括的にとらえて判断する
組織をなした情報処理システムをつくる
皮膚で感じるケラチノサイトは圧力・温度・湿度・光そして分子をまとめて感じ取り
様々な伝達物質を放出する
感受性も表現も多様である
皮膚はその「内部環境=無限」と「外部=有限環境」をつなぎ
効率よく情報交換して納得し合える状況を作り出す役目を担っている
つまり脳はこの世を取り仕切り
皮膚はあの世との橋渡しをする中で脳と同じ仕事をこなしていると、この本は言いたいのだと思う
自己顕示欲が目立って少々眠気を催す文だけれども
最後のほうでは特に面白い研究を紹介してくれている -
Posted by ブクログ
改めて、情報を処理する仕組みと言うのが「脳」という一部の仕事でない事を実感させられる。そのような内容になっている。より工学的な視点から生物の環境との関わり合いを知る一つのきっかけとして本書はすばらしい価値を持っていると思われる。また同時に、改めて「脳」という中央処理システムがヒトという集合体の中でどのような役割を担っているかを再確認するために大きな役割を担ってくれるように思える。
全身を顔するために人には手がない、それは全身をセンサーにする、全身が脳のようになる、という事を指すのだ、という指摘は非常に想像力を膨らませる。より外界と敏感な関係を構築するために人は体毛を捨て、さらにそれを突き詰めて肌は常に更新されるシステムを組む。
センサーは神経、血管、リンパ管のネットワークとも関連して来る。そして、それらのセンサーの集合体がつぼ、と呼ばれる部分。カラダ全体を覆う部分処理システムのネットワークがボトムアップ式にカラダと環境とのやりとりを制御して行く。そのとき、脳と皮膚はどのような関係にあるのか、本書は皮膚を知る一つの機会であり、脳を考える一つの機会を提供してくれる -
Posted by ブクログ
わあ、びっくり。皮膚っていろいろなものを感知するタンパク質が存在しているんだって。時間も感じているんだって。皮膚というビニール袋に水分とか内臓とか入ってて、それを骨がちょっと支えてるって考えると、人間てヘンテコだよね。皮膚というのは、見える化されすぎているのか、あまり研究している人がいなくて、ほんとうはどうなっているのか、よくわかっていないそうだ。皮膚科のお医者さんは病気には詳しいが、普通の皮膚がどうなっているのか研究しないらしい。もっとも興味深く考えているのは、この本の著者のように、化粧品会社の研究員の人かも。いや、お肌の曲がり角を昔に過ぎたワタシみたいな妙齢の女性かも!
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Posted by ブクログ
膚にまつわるエトセトラ。前作「皮膚は考える」よりも軽く、東洋医学、超能力から進化まで、視野が広くなっている。
・J.C.リリーのアイソレーションタンク。確かに皮膚感覚の問題としても見れるのか。→境界理論の一助となりそう。
・皮膚電位のテレパシーその他の解明されていない現象への示唆は科学を超えて面白い。
・ヒトの皮脂腺からはスクアレンという物質を分泌するが、この物質は疎水性が大きい。→手の平や足の裏には皮脂腺がないので、「ふやけやすい」。
・ヒトは皮膚感覚を高めるために裸になった?→霊長類では性的ディスプレイとして顔だけ毛がない→ヒトは全身顔になった?