【感想・ネタバレ】皮膚感覚と人間のこころのレビュー

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Posted by ブクログ

特に1番印象的だったことは、視覚障害者が舌になんらかの圧を加え、学習させると、ボールをバットで撃てるようになること。
舌はご飯を食べる時にも使うし、キスをする時にも使うけど、確かに感じると言うことに全てが集約されてるのかも。
視覚・聴覚は記号化できるけど、触覚と嗅覚だけは確かに人によって感じ方が違う。おもしろい。


以下記憶したい部分を抜粋。

顔面フィードバック・・・自分の顔の表情が、その感情を誘導する
口が笑っている形になるだけで、人間はより楽しい気分になる
拒食症患者は健常者に比べて、触覚による図形の把握が下手

不幸な幼少期を送って脳構造にその影響が残ったとしても、あるいはうつ病になりやすい遺伝子を持っていても、その後の生き方の選択によって、幸福な人生を得ることができる。

毛づくろいがサルに快感をもたらす

毛繕いをしながら学習すると学習効率が高くなる

男性より女性の方が、肌や髪の荒れに対して不快に感じる

言葉を駆使できるようになるまで、人間は触れ合うことによって相手の気分や意識を察していたのかも。

マッサージはエイズを治す細胞を増やすことができる、メカニズムは明らかになってないが、実証例がある。

皮膚のケアが心のケアにもつながる
肌が乾燥してると、心も不安症やうつになったりする

糖をなめるだけで、自己意識が変わる。排卵期の女性はより肌を露出させる

相手がなければ自分というものもなく、自分がなければさまざまな心も現れようがない。これこそが真実に近いのだ。「荘子」

右脳に言語能力はない。言語による説明は左脳でしかできない。
左脳が、さまざまな情報から辻褄の合う関連性を構築する役割を担う(情報処理能力)

自分で自分に触れた時より、他人に触られた時の方が心地よく感じる、という報告がある。
誰が触ったかが大きな影響を及ぼす。

意識は脳という臓器だけでは生まれない。身体のあちこちから、もたらされる情報と脳との相互作用の中で生まれている。
つまり皮膚感覚は意識を作り出す重要な因子。

五感がもたらすさまざまな刺激のうち、皮膚感覚ほど個々の快・不快を惹起(じゃっき)するものはない。例えば性的な接触は強烈な快感をもたらし、逆に皮膚の痛みや痒みは、堪え難い不快をもたらす。

システムの中で生きてる人間を(視覚や聴覚は電気信号に変化しやすい)皮膚感覚は突然、個人に戻してしまう。皮膚感覚が個人の意識に結びついていて、自己と他者を区別するという重大な役割を担っている。

視覚障害者に舌への圧刺激で入力された情報は本来、視覚情報を受け持つ領域で処理される。ボールをバットで打つことができるようになる。

脳の感覚は五感それぞれで部位は異なっていゆが、それらは固定されたものではなく、状況によって使い方が変わる。

皮膚感覚は個々の意識の影響を受けやすいものだが、視覚の代わりを担える。

外部の世界を最初に認識するのは皮膚感覚。

化粧行為の中には、身体運動を引き出す効果、皮膚へのマッサージ効果、香料が嗅覚を通じてもたらすストレス緩和効果をもたらす。
メイクアップとスキンケアをすることは、コミュニケーション能力の有意な向上がある。

認知症の女性も失われつつあった身体意識を取り戻し、認知能力、コミュニケーション能力、運動機能の回復。食事、着替え、ベッドや椅子への移乗の能力も改善。手の握力も向上。

身体と世界との境界である皮膚を彩るという行為。古い時代には、体を彫るイレズミが行われていた。その記憶が身体の奥深くに残っているのではないか。

人間にとって美しくありたいという欲求は、食欲にも劣らない欲求。

数学を駆使できる人間は、創造主に近づくことを許された存在なのかもしれない。

単なる観察では人間が予想できなき事柄について、ある程度までなら予見することも可能。

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2021年01月05日

Posted by ブクログ

 検査機器では検知できない差異を人間の皮膚は判断できる。
 しかしながら、現在の科学ではそこまで検知できるとはおもえない……ということで、これからの科学の進歩が楽しみである。皮膚は第2の脳み たいですよ!

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2014年11月29日

Posted by ブクログ

<皮膚。内と外の境界となるもの>

皮膚は、個体と外部環境との接点となる場所である。いわば、体の最前線だ。
物理化学を学び、後に資生堂の研究員として皮膚について研究してきた著者が、最新の細胞生物学的研究を中心に皮膚のあれこれを解説する。話題は多岐に渡り、化粧が精神に与える影響や、皮膚への数理学の適用まで。
目を見張るほどおもしろい、皮膚のあれこれ。

俗にスキンシップという。肌に触られたときに、それが心理的に影響を及ぼすのは珍しいことではない。
皮膚は外からの刺激をどのように感知しているのか。その機構が徐々に明らかになってきている。

皮膚は、一本の髪の細さも感知する。従来は、神経や指紋が触覚を担っていると考えられてきたが、このように細かいものが感知可能であることの説明は付かなかった。
近年、皮膚の細胞(ケラチノサイト)自体に、圧や温度、さらには光を感じる能力がある可能性が見出されてきた。具体的には、それぞれの刺激を感知して活性化されるタンパク質が特定されてきたのである。活性化されたタンパク質はスイッチとして機能し、何らかの方式でそれが神経に伝えられると考えられる。

皮膚はまた、バリアとしても機能する。
人間の皮膚にはサルのような体毛はない。さらに体毛のある動物との違いは、皮脂の成分である。ヒトではスクアレンであるのに対して、サルやイヌなど、大部分の哺乳類ではコレステロールである。スクアレンの方が水をはじく性質があり、おもしろいことに、水中で生活するビーバーや土中にいるモグラもスクアレンを使用しているという。

ヒトは進化の途上で、体毛をなくしたわけだが、これに関して、シラミに注目した研究がある。ヒトにはアタマジラミとコロモジラミがつくが、サルには1種類のシラミしかつかない。アタマジラミとコロモジラミが分かれた時点がわかれば、ヒトが衣服をまとうようになった時期が推測可能になるのではないかというものである。この研究によれば、シラミが分化したのは10万7000年前。仮説が正しければ、ヒトが衣服を着るようになったのはそれより以前ということになる。

数理的な検証としては、バリア機能の維持に大切なカルシウムイオンの分布が、コンピュータシミュレーションで予測可能であることがわかってきた。
初期条件が与えられると、どのような信号が伝わるかを解析し、痒みや老化の研究にもつなげていきたいとのことである。

文学作品も引用した著者の考察はなかなか味わい深い。
皮膚研究の今後の進展を楽しみにしたい。

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2013年06月07日

Posted by ブクログ

 皮膚感覚が人間に及ぼす影響がある。著書によると、客にお釣りなどを渡す際に、手に触れると店員に対する好感度がアップし、客がたくさん買い物をするとある。ただし、「王子様」、「きれいなお姉さん」かどうかは関係ないとある。どうせ触れられるならイケメンや萌えーとなるような人の方がいいと思うのが人情だと思う。ひねくれ者のでもない限り。

 人間だけでなく、ネズミでも子ネズミに毛づくろいをして大切にした場合とそうでない場合とでは、その後の人生ならぬチュー生が変わるとある。大切にされた子ネズミが大人になって子供を育てる際、自分がやってもらったように自分の子供を大切にするとある。

 体の洗いすぎは、皮膚が乾燥して、ひどい場合アトピーになるので注意が必要とある。洗うと言って浮かんでくるのが、男性化粧品と女性化粧品の違いだ。前者の場合、「さっぱり」、「すっきり」、「洗い落とす」が商品のキーワードに登場する。その一方、女性化粧品の場合、「もちもち」、「保湿」、「潤い」といったようにただ洗うだけでなく、その後のケアのことまで考えている。男性化粧品は男性と同様、単細胞のようだ。

 この本を読んでいくと皮膚を巡る様々なテーマが浮き彫りになってくる。いろいろな分野から皮膚を語ることができるのだなと思った。皮膚に対する注目度の高さがこの本につながったと言って過言ではない。

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2013年05月11日

Posted by ブクログ

皮膚には視覚や聴覚もあるらしい。意識のあり方も成長も左右するとか。この世にスキンシップほど大切なものはないのだなー。

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2013年04月02日

Posted by ブクログ

タイトルから、もっと抽象的な内容を想像していたのだが、具体的な論文や実験データが多く引かれ、非常に科学的。かなり専門性の高い記述も多く正直手こずったのだが、興味深い内容で引き込まれた。

「皮膚の最も重要な役割は、生体を環境変化から護る、防御システムとしての機能」このあたりは、誰でも想像がつくだろう
では、表皮は脳に似ている、と言われればどうか。一体何を言い出すのかと、面食らうに違いない。

第1章から6章までは、様々な論文や、具体的な働きを研究した結果を数多く引きながら、人間の生育過程や進化の面から見た表皮、また、触覚だけでなく聴覚や視覚といった感覚まで有する皮膚について解説、脳の働きによく似た皮膚の情報処理システムのしくみを説く。
それを踏まえて、7章では皮膚が生み出す「自己意識」について考察されているのだが、ここがとにかく面白い!

自己意識とは何かに始まって、単細胞生物の集合から出現した「自己意識」的なもの(イグノーベル賞を受賞した中垣教授の粘菌研究が例として挙がっている!)、また脳科学的に考察した自己について、さらには皮膚がなぜ自己意識を生んでいると言えるのか、実験を引きながら解説。
視覚、聴覚と比較した社会システムにおける皮膚感覚についても言及され、非常に興味深く読んだ。

ただ一つ、ここまで徹底的に科学的に論拠が進められ、神秘主義的な事柄には興味ないと明言したにもかかわらず、最終章で突然、宇宙の創造者としての神云々とか、創造主の神が与えたもうたナントカ、とか言い出したのには、ちょっと違和感を覚えた。
なぜいきなりここで「なんと神秘的だろうか」とくるかなぁ…。ちぐはぐな印象が否めず。

余談。
皮膚の話なので当然、しわがどうとか、老化現象でどうとか、バリア機能を回復させるタンパク質の働きについてもいろいろ解説がある。
そして著者は、分子生物学の学術的研究や解明よりむしろ、非線形科学の考え方で、表皮の問題に対処する方法を解決していきたいと言っているのだ!
しかも著者は資生堂の研究員じゃあないか。しめしめ…。

実は、読みながらずっと、これをすると機能が回復、とかいう記述を見るたびに、え、じゃあ今それをやるにはどうすればいいのかしらん?とそればかり気になっちゃって…。
ぜひとも少しでも早く、その皮膚の老化現象を解決する画期的な方法を見つけて、世に出してほしいなぁ~。
期待しちゃおう。

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2013年03月31日

Posted by ブクログ

皮膚について様々な観点から分析を試みた本。
皮膚感覚と人間の心との関係から始まり、皮膚の防御機能、表皮の機能、皮膚感覚が体に発信するメッセージと進んでいく。
温かい飲み物を渡すと、その人の心も温められるっていうのは凄い面白いと思った。
また、皮膚がブルーレイに記録されている高周波の音を聞き取ってるかもしれないという意見も非常に興味深かった。

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2019年01月13日

Posted by ブクログ

半分ぐらい斜め読みでした。機会があれば再読したい。
頭に残っているのは,皮膚は音も光も感じるということ。ガムランの生演奏ではトランス状態になる場合もあるが,CD演奏ではならないとのこと。これは,耳には聞こえない周波数の音が,皮膚を通して人間に作用しているのではないかと考えられるそうだ。塾の講義もネット受講とライブ受講とでは,何か決定的に違うなと感じていたのは,この皮膚で感じることだったのかもしれない。

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2018年11月25日

Posted by ブクログ

自己意識の捉え方がとても印象的だった。知覚の積み重ねから効率的な行動を起こすために感覚を統合、コントロールするものが自己意識の始まり、それがさらに複雑になって今言われる意識、感情のようなモノが生まれた。
皮膚は自分と他のものを分ける境界であり、触覚である。
視覚聴覚などに頼りがちだが皮膚感覚というものも意識していきたい。

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2013年11月26日

Posted by ブクログ

人間のこころ、とあるが、内容はかなり科学的な印象。実験に基づく考察の連続という感じだけど、それなりの納得のいく内容だと思う。とりあえず、まだまだ未知の領域の皮膚とそれに伴う感覚、ケアや愛着にも興味があるので、ぜひ解明して欲しいところ。

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2013年02月28日

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