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たたみ一畳分の大きさ、重さ約三キロ――皮膚は人間の最大の「臓器」だ。 色を識別し、電波を発信し、情報処理を行う表皮細胞。 感じるだけが皮膚の仕事ではない。 皮膚は脳にも匹敵する、いまだ知られざる思考回路である。 脳のない生物はたくさん存在するが、皮膚をもたない多細胞生物はいない。 最も重要な器官である皮膚の、潜在的可能性を論じるサイエンス・エッセイ。
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Posted by ブクログ
感想をどう表現すればよいのかよくわからない不思議な本。脳中心主義に疑問を覚えている人には、よき導きになるやもしれないと感じた。
第一の脳が大脳。 第二の脳が内臓器、そして第三の脳が皮膚という資生堂の研究者である筆者の仮説。 知的刺激がびんびんで超絶に面白い。
皮膚の役割を体性感覚としてとらえ、その働きに着目した一冊。 アトピー患者である自分にとって、大変興味深い内容でした。 皮膚の痛みによって疲労感を感じる理由が理解できました。 「自我の形成には体性感覚が重要な役割を果たしているらしい」とのこと。 肌で感じるものの存在を、もっと大切にしていこうと思いまし...続きを読むた。
皮膚を科学している。健康な人間にとって皮膚とは空気のようなものだろう。しかし、その皮膚をひとつの臓器として考察し、皮膚のもつさまざまな機能を紹介している。 脳も感覚器も皮膚も外胚葉由来の臓器である。脳を持つ一部の高等生命体以外は、皮膚で考えているのではないだろうか?このクエスチョンは、斬新だ。我々...続きを読むを新しい思考の渦へと誘ってくれる。 某有名化粧品メーカーの研究者であり、アトピー患者でもある著者の語り口は、非常に軽快でユーモアに富んでいます。著者自身、鍼灸治療でアトピーの症状が改善された経験があり、東洋医学や鍼灸治療についての考察もあるので、おもしろいですよ。
皮膚は外側にある「臓器」です−。既に知られている皮膚の構造、機能、そして新進気鋭の研究者たちが、現在明らかにしつつある最先端の研究成果を基礎に、これまで科学の範疇にさえ収められてこなかった問題を考える。
発生の段階で、脳や脊髄、目、鼻、口、耳は外肺葉がくぼんで形成され、残った部分が皮膚の表皮になるため、神経系、感覚器、皮膚は出自が同じ。 表皮細胞のケラチノサイトは様々なホルモンを合成し、その受容体も存在する。神経細胞と同じ電位のオン・オフの状態もある。表皮が興奮状態だとバリア機能の回復が遅れ、抑制...続きを読むされると回復が促進され、肌荒れも治る。 アトピー性皮膚炎には海水浴療法があり、美容には、にがり療法がある(海水からナトリウムを除いたもので、主成分はマグネシウム塩とカルシウム塩)。 グルーミングによって、快楽ホルモンであるβエンドルフィンが放出される。
内容は面白いが、幾つか注意が必要。 インパクトのある書き方をしているためか、 少し誤解を与えそうな記述が見られる。 そのため常に警戒しながら読むことになる。 あと、この本は帯も含めて一冊の本。
皮膚が感覚で受信をして考え選択して反応する 脳も神経もないゾウリムシのような原生動物にも生きよとする意志がある 認識や判断があってものの味がわかるらしい 細胞膜という皮膚が環境を感じ取り 自己の生存のために「快適」さを選択する 人間の皮膚には脳と似た組織と細胞があるという 情報を受け取...続きを読むって考え作戦を練って防御したり反応する 体毛を捨てた人間は鋭敏な感覚を物にした 特に顔の皮膚は裸で常に晒されているにも関わらず もっとも角質が薄く敏感なのだそうだ 顔は脳のそばにあって五感のすべてを一手に引き受けている 皮膚の三分の一を失えば死に至る 外と内をつなぎ、すべての臓器の働きを左右する 最後の第六章「皮膚から見た世界」は面白い 中でも最後の最後「非因果律的世界」でいわく 内部と外部・体内環境と外部環境の対立 原因があって結果がある 作用があって反作用がある 過去が未来を決定する 少なくとも過去が今に影響するということは現代の常識 しかしシュレディンガーによれば 生体は外部環境から負のエントロピーを取り込み 性のエントロピーを放出して「内部環境」の秩序を維持するシステムだという ここでは未来が過去を決定しているとも言える 「覆水盆に返らず」を外部から見ることに慣れ親しんでてしまった人間は 時間の一方通行を真理だと錯覚してしまった しかしそれは時間という閉鎖系だけの答えにすぎない 生命は閉鎖系ではなく開放系 エネルギーや情報が出入りできるシステムでは「自己組織化」が生じる 無秩序から秩序が出現する 生体の中では閉鎖系つまり有限界の常識が通用しない 人間同士のスキンシップなしで赤子は人間になれない 少なくとも心の成長が後れ生命自体にすら影響を及ぼす 大都会の高密度高ストレス社会がもたらす歪は反スキンシップ(自閉症)と 性の異常を起こす 男は同性愛とサディズムをへてマゾヒズム 女は子育てへの執着と無関心 そして癌の高発生率とパニック(社会性の破壊と我欲の増殖) いずれも仮想空間がもたらした心の不安によるもので 無視されがちな皮膚や体で直接感じ取る誠実な暖かさを必要としているようだ 人間は多くの細胞で組織をつくりその組織がまとめられて身体をなしている 感覚を担う目・耳・鼻・舌・肌そして神経 人間が多用している目と耳(視聴覚)は分析的にONとOFFで物をとらえる 動物が多用している鼻と耳も同じように物をとらえている 物理的刺激を電気信号に変えて脳に送る それに引き換、肌は環境の変化を総括的にとらえて判断する 組織をなした情報処理システムをつくる 皮膚で感じるケラチノサイトは圧力・温度・湿度・光そして分子をまとめて感じ取り 様々な伝達物質を放出する 感受性も表現も多様である 皮膚はその「内部環境=無限」と「外部=有限環境」をつなぎ 効率よく情報交換して納得し合える状況を作り出す役目を担っている つまり脳はこの世を取り仕切り 皮膚はあの世との橋渡しをする中で脳と同じ仕事をこなしていると、この本は言いたいのだと思う 自己顕示欲が目立って少々眠気を催す文だけれども 最後のほうでは特に面白い研究を紹介してくれている
おもしれー。 表皮であるケラチノサイトはひとつの情報処理システム。 光、熱、圧力などのインプットも、ホルモン伝達などのアウトプットもする。 よって精神と皮膚は互いに密接に繋がっている。 肌を掻いたり傷つけたら心も傷つけてしまうんだなー。と、しみじみ。 赤いライトをあてると修復が早まる。 にが...続きを読むりのようなミネラルバランスで覆うと修復が早まる。 蕁麻疹とアトピーのかゆみは性質が違う。 って、なるほど。
改めて、情報を処理する仕組みと言うのが「脳」という一部の仕事でない事を実感させられる。そのような内容になっている。より工学的な視点から生物の環境との関わり合いを知る一つのきっかけとして本書はすばらしい価値を持っていると思われる。また同時に、改めて「脳」という中央処理システムがヒトという集合体の中でど...続きを読むのような役割を担っているかを再確認するために大きな役割を担ってくれるように思える。 全身を顔するために人には手がない、それは全身をセンサーにする、全身が脳のようになる、という事を指すのだ、という指摘は非常に想像力を膨らませる。より外界と敏感な関係を構築するために人は体毛を捨て、さらにそれを突き詰めて肌は常に更新されるシステムを組む。 センサーは神経、血管、リンパ管のネットワークとも関連して来る。そして、それらのセンサーの集合体がつぼ、と呼ばれる部分。カラダ全体を覆う部分処理システムのネットワークがボトムアップ式にカラダと環境とのやりとりを制御して行く。そのとき、脳と皮膚はどのような関係にあるのか、本書は皮膚を知る一つの機会であり、脳を考える一つの機会を提供してくれる
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