安藤祐介のレビュー一覧
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ヒエラルキーの一番下の存在を作ることによって組織の業績を上げようと試みる社長の思惑に乗っかった、これまでの人生ダメ人間のお話し
「ひとりいじめられっこ政策」という発想はいじめっこの発想だなぁとは思うけど、でも作中で取り上げられているイジメのフォローのアプローチはいじめられっこの発想かな
面白いは面白いんだけど、なんだかどこか納得しがたいところがある
まぁ、ストーリーとしては予定調和的な結末だけど、それもまたあざとさを感じてしまう
何なんだろ、この主人公の中途半端に卑屈だけど、それでいて図太さがあるんだよな
こんな話し、奥田英朗あたりが書いたらもっと面白くなりそうな気もする -
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友人から借りた一冊。
「面白いよ!」という御触れ付きで借りたものの,プロローグ読んだ時点で,「設定は面白いけど……この文体は好きになれないなぁ」と思いつつ読み進める。でも,その文体も「こういうストーリーには合った文体なんだろうな」と思えるように。
それが本当に「面白い」と思えるようになったのは,この本が『本当の』サクセスストーリーになっていったあたり。ダメ人間がたまたま採用されただけでも成功かもしれないけど,そうじゃないからね,現実問題は。
そして最後の一文がかっこいい。
どんなことがあっても,それが自分の人生。
それを受け入れられるようになっていきたい。 -
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所謂模範的な社員に「なってはいけない」というのが役目である
「被取締役(とりしまられやく)」として中途採用された主人公。
培われたものか天性のものかは知らないけれど
主人公のその図太さがなければ
全うできない役職のように思えた。
(厳密には全うできなかったのだが。)
あと、他人から怒られ、蔑まれること自体を
仕事として割り切れる冷静さと、ある種の卑屈さが
主人公にはあった。
たとえ高額の報酬をもらえる
「被取締役」のような職業が実在しても
プライドやら何やらが邪魔して
長続きしない人がほとんどだろう。
実際はこの話のようにサクセスストーリーに
なることは難しいと感じる。
良い意味でも悪い意味でもよくできたお話。
ただ、リアリティよりは予定調和的な安心感を求める
自分にとって、一気読みしたくなるぐらい
好みな内容でございました。 -
Posted by ブクログ
常陸国小田城城主小田氏治。
名家であるが、居城小田城を9回落とされ、戦国最弱、常陸の不死鳥の名をほしいままにする。
しかも落城の理由が、正月宴会で盛り上がってたら攻められたとか、配下から籠城をきつく進言されたのに出てってボコられたとか、一番好きなエピソードは、自ら川を背に背水の陣を敷いて、やっぱりボコられた。
それも、上杉謙信相手に。
謙信相手に正面切って野戦を挑んだのは、武田信玄と小田氏治だけらしい。氏治はボコボコにされたけど。
それでも死ななかった。
9回落とされたということは、8回取り返している。
部下と領民の信任がやたら厚い。
よくわからん、魅力一杯な武将。
じゃないほうのオダとは、無論、織田信長に比してのことである。
いやー、常陸フェニックス、とうとう小説になりますか。
氏治の魅力を紹介した本かと思っていたら、まさかの小説だった。
乱世を逃げ切る。
なるほど、それを軸に不死鳥を描くのかと感心したのだけど、やっぱり史実に合わせるとそれだけでは説明出来ない無理さが出てきて、エンタメもいいけどもうちょっと説得力のある描き方をしてほしかった気がする。
面白かったが、少々物足りなかった。
かの故隆慶一郎氏が、常陸の不死鳥をもし取り上げていたらどんな小説になったかとも考えた。 -
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書誌
•安藤祐介『退職クロスロード』実業之日本社、2026年2月、256ページ
•年度末の3月31日、総合メーカー万屋カンザキ本社の一日を時間軸にした連作
•著者は井原西鶴『世間胸算用』の大晦日に触発され、勤め人の総決算を一日に閉じたと語る
•Audible版(浅木俊之朗読)は評価が高く、お仕事小説の決定版として流通している
あらすじ(真相の手前まで)
早朝五時半、最初に現れるのはビル清掃の契約社員・守田守。就職氷河期で正規の席を得られず、派遣先で黙々と掃いてきた男である。今日定年の労働安全衛生管理部長・佐和山義男が、突然朝食に誘う。五年前、守田はそれと知らずに佐和山を引き止めていた、という。以後は佐和山本人ではなく、周囲の視線で進む。大阪へ転勤する社員、女性初の取締役・本橋、その夫で営業サポート部長の石野、営業の田代、取締役の野宮。バブル入社の親分肌と、氷河期の清掃員。立場も世代も違う勤め人の胸算用が、一日のうちに重なる。
読みながら思ったこと
自分自身の退職は、コロナの真っ只中だった。静かに去った。だからこの3月31日は、ある意味でサラリーマンのおとぎ話に見える。段ボール、異動の張り紙、朝食の誘い、同期と部下とライバルが同じ日に交差する賑やかさ。退職の日を、これほど飾れる職場がまだあるのか、と読みながら距離ができる。
距離のもう一つは、人物にある。熱血の上司が、閑職の五年を経て仏になる、という筋そのものに、リアリティは感じなかった。親分肌が策略で落ち、命を拾い、退職当日に名誉を戻し、清掃の仕事まで始める。勝敗の回収がきれいすぎる。会社の理不尽は描かれるが、その残りかすは結末にほとんど残らない。
ただ、それが悪い作品だとは思わない。リアリティの薄さは欠点であると同時に、聴き手を傷つけない設計でもあるからだ。ハッピーエンドのエンタメが読みたい層には、確実に刺さる。Audibleで人気なのもわかる。気分を害さない。通勤や家事のながら聴きで、誰も傷つけず、誰かの背中を押した気になれる。内田剛の推薦文「人生を何色に染めるかは自分自身だ」が、そのまま商品説明になっている。
私自身バブル入社という点では、佐和山の側に立つ。白紙の領収書も、接待の空気も、知らない話ではない。それなのに、読んでいて自分のサラリーマン時代がすでにロング・タイム・アゴーなのだと気づき、めげた。作者は1977年生まれで、バブルの社内を父の世代として想像している。こちらは、その想像の対象の側にいる。物語の中の「昔の営業」が、自分の現役と重なる。重なった瞬間に、現役が過去形になる。
それでも残るもの
リアリティの薄さは認めたうえで、構成の効きは別である。一日に閉じることで、挨拶と段ボールが回想の扉になる。語り手が代わるたびに、同じ佐和山の輪郭がずれる。窓際の本人が語ると弁明になり、部外者が拾うと人間になる。
そして、本人に語らせないこの構成は、五年間の理不尽の残りかすを描かずに済ませる仕掛けにもなっている。結末がきれいに回収されるのは、そのせいかもしれない。人間として立ち上がる代わりに、傷は見えないままになる。構成の巧さと勝敗の回収の甘さは、おそらく同じ根から出ている。 -
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ネタバレ登場人物を手寧に書いていてよかった
窓際部長と呼ばれる人は実は剛腕営業部長、いったんは自殺しようと思っていたところ清掃員に声を掛けられ思いとどまる、その後総務安全部長から人が替わり清掃会社の社長へ。
剛腕部長を中心に、大阪に異動するかつての部下、そしてその部下、同期の女性、給湯室で声をかけられてやる気を出した営業サポート部の女性、かつての部下で対抗派閥の役員に抱き込まれた部下、対抗派閥の役員などそれぞれの視点からクロスする退職日を書いた小説。
(書評より)
人生の転機を迎える二人の男性の物語が描かれており、退職を控えた窓際部長と入社試験に落ちた清掃員が交差することで、日常の中に潜む深いテーマが浮かび上がります。淡々とした進行の中に、悔しさや生きる勇気が込められ、特に窓際部長の「失ったものを数え始めれば、思い出すのは恨みばかり」という言葉が印象的です。組織の闇や人間関係の複雑さを描きつつも、読みやすく爽やかな仕上がりで、各章ごとに異なる視点が提供されるため、様々な疑似体験を楽しむことができます。全体として、心温まる要素と考えさせられる要素がバランスよく組み合わさった作品です。 -
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クロスロード=交差点
年度末の3月31日、万屋カンザキ本社ビルを舞台に、この日で退職する佐和山に関する物語。
5年前に命を救ったという清掃員の守田、かつての部下の柳田やその部下の田代、同期の国橋とその夫でもあり部下でもあった石野、それぞれの視点から佐和山とのエピソードがつづられる。
佐和山はかつて営業部でバリバリ働き取締役になると豪語し出世コースにいたが、野宮からのパワハラ告発、それもweb会議での内密裁判というかたちで部下なし部長として降格し、パトロール部長と呼ばれる5年間を過ごしていた。
ただ実際は佐和山を陥れたい岩淵が野宮をおどし仕組んだことであった。営業サポート部の源さんも退職するタイミングにて最後の置き土産としてその真相に迫る事実を明かしたことで、最終日に真実を明らかにしたのであった。
佐和山がいかに同僚から慕われていたかが伝わり、厳しくもあったが本当に親分肌の方だったと伝わった。
パトロール部長の視点から、
他の人は見ていないということも意外とみられているし(実際には見てると思ったら見てないことも大いにあるが)表にでてこなくても日々の接し方でそ!ぞれ思うことがあるんだということを痛感した。
私も誰にみられても恥ずかしくない行動と最後に人徳のある人だったと思われるようなこうどうをしたい。
また、佐和山のクリーニング屋社長としての前向きな姿勢を応援したくなった。