岡田英弘のレビュー一覧
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ちくま文庫 岡田英弘
世界史の誕生
東洋史と西洋史といった別々の歴史が1206年のモンゴル帝国をきっかけに ユーラシア大陸をおおう一つの世界史となる展開
日本やヨーロッパから世界の歴史を見ることはあっても、モンゴルなど中央ユーラシアから世界の歴史を見たのは初めて。とても面白かった
ヘロドトス「歴史」やヨハネの黙示録の影響を受けたヨーロッパの歴史観が アジアとの対立構造やヨーロッパ=善、アジア=悪の二元構造を持っているとのこと。アジア差別というのは ヨーロッパの歴史観からきているように感じた
秦・漢時代の中国を正統と捉え、中国の正統の歴史は、中央ユーラシア草原から移動してきた鮮卑 -
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ネタバレ後半は歴史的事実を事細かに書き並べるだけで味気ないが、前半(古代~南宋・五代十国時代)は面白い。
古代から洛陽盆地は、黄河の性質とあいまって、水陸両方において交通の要衝として栄えていた。それより上流になると流れが急すぎ、下流だと氾濫に悩まされる。
夏は東夷の王朝で、龍(水神)を祀るのは東南アジアとの繋がりもある(続く殷、周ではこの風習は見られない)
殷は東北の狩猟民の王朝。
周、秦は西方の遊牧民の王朝。
また、漢字はもともと商人が使っていたする点も興味深い。
各民族それぞれの読みで読んでいたのを次第に一つの漢字に一つの読みへと整理された人工的な言語だった。
孔子などの各教団のそれぞれ独自のテキ -
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高校の世界史で挫折(どうしても頭に入らない)して以来、リベンジを繰り返してきましたが、この本のお蔭で、ようやく頭に入るようになりました。
そもそも「ゲルマン民族の大移動」って、どこから、何で移動してくるの? の疑問がようやく氷解した幸せ……。
ただ、中央アジアの地理関係を理解しながら読むために、世界地図を広げて指で地名を辿りつつ読まねばなりませんでしたが、それでやっとユーラシア大陸って一つじゃない、という当たり前すぎるのに受験世界史から抜けてた視点が補完されたように思います。
ついでに……アラル海が半分以上消えてるってこと、今ようやく気付きましたよ!
本編に比べればオマケのようなボリュームです -
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東アジアで誕生日の観念が発生したのは記録にある限りでは唐の玄宗皇帝が729年、自分誕生日祝って千秋節と呼んだのが初めて。748年には天長節とかいしょうした。それ以前には誕生日を意識することは全くなかったらしい。
ムハンマドは最初はカーバではなくエルサレムの神殿 い向かって礼拝していた
アメリカ本屋で、歴史コーナーにあるのは西洋やローマギリシャ。アジアやアフリカは地域研究コーナー。
アメリカに歴史はないので、交渉とかではアメリカは過去を済んだこととみなしがち。でも日本とかが過去の歴史でhsといってもらちがあかない。
劉備は蜀の皇帝と称したのではなき、漢の皇帝と称したが、漢は魏が継いだのでそ -
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東アジア史の泰斗による「誤った歴史の捉え方」を切る一冊。
その根底には、多くの歴史学者すら陥っている様々な誤りに対する、著者のやるかたない憤懣があるようだ。
例えば、中国文明の歴史は「現王朝の正統性」を証立てるために書かれたものであるという大前提を見落としているがゆえに、説明不能の事態をこじつけで解釈するような羽目になっている。
その対抗文明である日本文明も、歴史書は天皇家の「正統性」を証立てるために書かれたものだった。古事記もそのように多分に政治色の強い「神話」だった。これを見落として歴史の事実と捉えてしまう愚を指摘する。
あるいは唯物史観にどっぷり浸ってしまったものの見方だったり、「国民 -
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古本で購入。
中国史復習企画第1弾。
結論から言うと、あとがきを読めばほぼ事足りる。
それプラス全8章の内の序章・第1章前半・第2章を読めば充分かと。
下に引用したテーマのせいか著者の専門のせいか、通史としては偏りまくってます。
元~清にかなりの紙幅が費やされてる割に、唐なんて5ページかそこらで滅亡しちゃうし。
ということで、中国史の入門書としてはオススメしない。
中身はと言うと、
「近代的な中華民族とか漢族とかいう観念の形成される以前の時代を中心に、現在の中国に相当する地域に生きたいろいろな種族と、彼らの生きた環境について論じる」
というのが大きなテーマ。
著者は秦 -
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中国で最初に書かれた歴史は司馬遷が紀元前2世紀末から紀元前1世紀初めに書いた「史記」で、天命を受けた天子が天下を統治する権利を証明するためにつくられた。その後、その天命を引き継ぐ形で書かれる「正史」の枠組みが固定された。
地中海世界で歴史をつくったのは紀元前5世紀のヘロドトスで、その題名ヒストリアイは研究調査という意味だった。内容はギリシアとペルシアの戦いで、2つの勢力が対立して、最後に一方が勝って対立が解決し、歴史が完結するという歴史観が生まれた。
ローマ時代に、光明が暗黒に勝って、救世主が降誕して最後の審判が行われるというゾロアスター教が入ってきた。ユダヤ人はその救世主をマーシーアハ( -
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タイトルに「紫禁城」が入っているので、北京にある正面に天安門が聳える「紫禁城」について詳細が記されているものと期待して購入したら、だいぶ趣が違った。
サブタイトルにもあるように、「明・清全史」であり、しかもかなり詳細に各王朝の成立過程から性格、滅亡まで書かれているのだ。筆者は明・清の歴史を「シナから中国へ」の歴史であると言っている。
他民族国家である中国を、概念的な区分として、
チベット・新疆・モンゴル・満洲・北シナ・南シナ
に分け、明朝は北シナ、南シナの国、清朝はこれらの地域すべてを包括的に取り込んで、現在の中国とほぼ同じような領域に勢力を拡大した王朝であるとしている。
多くの