岡田英弘のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
世界には「歴史のある文明」と「歴史のない文明」がある。
日本文明は「反中国」をアイデンティティとして生まれた。
世界は一定の方向に発展しているのではない。
筋道のない世界に筋道のある物語を与えるのが歴史だ。
「国家」「国民」「国語」といった概念は、わずかこの一、二世紀の間に生まれたものにすぎない…などなど、一見突飛なようでいて、実は本質を鋭くついた歴史の見方・捉え方。
目からウロコの落ちるような、雄大かつ刺激的な論考である。
[ 目次 ]
第1部 歴史のある文明、歴史のない文明(歴史の定義 歴史のない文明の例 中国文明とはなにか 地中海文明とはなにか 日本文明の成立事情)
第2 -
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[ 内容 ]
序章 民族の成立と中国の歴史
第1章 中国以前の時代―諸種族の接触と商業都市文明の成立
第2章 中国人の誕生
第3章 中国世界の拡大と文化変容
第4章 新しい漢族の時代―中国史の第二期
第5章 華夷統合の時代
第6章 世界帝国―中国史の第三期前期
第7章 大清帝国―中国史の第三期後期
第8章 中国以後の時代―日本の影響
[ 目次 ]
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った -
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文明の観点からの中国史。ユニークで面白い部分もあるが、なぜなのか不明だったり、うなづけない話も多い。
-夏は東夷の建てた王朝であり、漢字は東南方で発明された。それが夏人によって落葉盆地に持ち込まれ、次の殷で甲骨文字に発展した。根拠不明。
-三国時代の始めに中国の人口は450万人以下となった、はそうなのだろうが、それでなぜ漢族の絶滅なのか。
-南朝は正統だが、隋から正統は北に移る。全国統一したのだから北へ、という意味が不明。
ー「江蘇省の南京」は単なる誤植か。
初めて知るが、うなづける話もある。
-遼河地方が山東軍の配下だったことから清の成立とともに、山東方言が北京方言となっっていった。
-清 -
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檄文としては面白い。
ヘーロドトスを始祖とする西洋史も、司馬遷を始祖とする東洋史も、どちらもローカルな個別事情に影響を受けて形作られたものであって、それらを世界史に統合・昇華させるのは無理がある。
モンゴル帝国こそが西ヨーロッパにも極東にも影響を与え、両者を連結する史上初めての存在であったのだから、モンゴル帝国を軸にして世界史を構築すべきだ。
したがって、テムジンが中央アジア遊牧民たちの指導者に選ばれ、彼がチンギス・ハーンと名乗り始めた1206年が世界史のスタートである(それ以前の歴史はローカル史に任せる)。
…という檄を飛ばしている一冊。すごく面白い構想について書いた本で刺激的だ。
刺 -
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中原に始まった中国が、北狄の侵入を受け同化していったという大きな歴史観を展開している。中国の文明史を3期に区分し、それぞれを前期・後期に分けているのはわかりやすい。
中国以前
・東夷は低地人、南蛮は焼畑農耕民、西戎は草原の遊牧民、北狄は狩猟民を指した。北は森林におおわれていたが、元代までにほとんど消滅した。
・龍はもともと東南アジアのモンスーン地帯の水神。越人は水難を避けるために龍の文様の入れ墨をした。
・王宮を囲む塀は本来、市場の囲いで、入る際に手数料を取り税の起源となった。王宮の塀が発達して都市を囲む城壁となった。中国の本質は、皇帝を頂点とする一大商業組織。
・漢字の原型が発生したのは華 -
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岡田英弘氏独自の史観による世界史素描の試み。
世界史に複数の歴史を無理矢理つぎはぎしたような違和感を覚えるのは、異なる史観によって編集された西洋の歴史と東洋の歴史を同じ軸でまとめようとしているからだと指摘し、モンゴル帝国を中心とする史観によって初めて西洋史と東洋史の完全な統合が可能となると言うのが基本的な考えになります。
歴史が成立するための前提条件や、中国の得意な史観など、岡田氏ならではの斬新な指摘も多く、読みごたえがあります。
ただ、密度が濃い分、地名や人名を列挙した文章を長々と読むことになり、この部分は正直なところ歴史に詳しくない私には少しばかり苦痛でした。