岡田英弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★過去を現在の視点から見てはいけない★歴史のストーリーを描くのではなく、歴史とは誰がどんな狙いで書いたのかを記す。歴史は政治権力の中心で書かれるもので、権力の正当化が歴史の使命。著者の主張の是非を判断する材料はまったく持ち合わせないが、シンプルに面白い。
・歴史を成立させるには直進する時間の観念が必要で、輪廻転生するインド文明や一瞬一瞬がアッラーの創造にかかるイスラム文明では成立しない。
・自前の歴史があるのは中国文明(正統という観念を記すためで、そのため現実をゆがめて変化のない世界を記す)と、地中海文明(争いがあって最後は正義が勝つ)だけ。それぞれ歴史の書き方が決まっていて、それに対抗してほかの文明が生まれる。
・日本人が好きな3世紀の魏志倭人伝は、中国の歴史の外伝の隅に書かれた内容で、あくまで彼らの都合によるもの。邪馬台国の距離の表記もそもそも適当という。
・8世紀の日本書紀も、当時の皇室の祖先がどういう系譜を持っていたかを語っているだけなのに、後世の人が日本民族の由来を語るものと曲解する。
・18世紀末までは君主の位・権利・財産であり、国家はない。いま振り返るから君主の財産が国家だったかのように見えるだけ。国家という枠組みや国語は後からつくった。
・国民国家ができたのは、君主の傭兵より国民軍が強いから。スタートはナポレオン。君主制を残したまま国民国家に衣替えしたのが立憲君主制という政治形態。
・王家が長く続くのは、権力ではなく人格が世襲される(天皇も一例)。共和制の大統領は一貫した個性を持てない。
・自明のように感じる国家や国民はたかだか200年の歴史しかなく、18世紀以前の歴史をその視点から叙述するのはナンセンス。
・現代の中国の歴史は19世紀に入って皇帝の歴史を国民国家にすり替えたもの。清帝国は満州人の皇帝が満州人、モンゴル人、中国人、チベット人、イスラム教徒と均衡を保っていただけだが、国民国家としての中国の視点からは国境の内側の住民はすべて漢人であるべきとなり、少数民族の弾圧に。 -
Posted by ブクログ
古本で購入。
副題に「明・清全史」とあるとおり、元の分解後の明による統一から清に衰退の兆しが現れる19世紀初頭までを概説する。
本書の特徴は、まえがきにもあるが、黄河・長江流域を中心とした「シナ」と満洲・モンゴル・チベット・新彊をも包含する「中国」を明確に分けていること。
その前提に立って、明清時代の歴史を「シナから中国へ」の歴史とする。
シナにおける南北の関係、つまりほとんど常に北シナが南シナに対して政治的優位を保ち支配してきたことについての考察がおもしろい。
北シナではモンゴル高原の遊牧民族と平野部の農耕民族との間に貿易があり、市が開かれていた。
定期的だった市が常設の市場になり、その周囲に集落が発達し始めることで、高原と平野部の境に古代都市が発生する。
ここに遊牧民によって持ち込まれた物資のうち、政治上最も重要な意義があったのが馬である。
馬を得た辺境の古代都市は都市国家へと成長し、その中から殷・周・秦などの王朝が出て、周辺の農耕地帯を支配下に入れる。
こうして北シナには南シナより早く統一国家が現れた。
南シナには辺境がなく、都市が育たず、馬が手に入らないために、北シナの軍事力に対抗する術がなかったのだという。
交易ルートなど北にアドバンテージがあったのは確かだと思うが、馬の持つ歴史的意義には驚かされる。
人類の歴史にこれほど影響を与えた動物も、なかなかいないだろう。
この他、モンゴル・チベットに多くのページを割いているのも特徴。
特にチベットについてはなかなか知る機会がないので興味深い。
原書が40年も前に刊行されたとはとても思えない良書。
予備知識は要るが、読み物としてもおもしろい。オススメ。 -
Posted by ブクログ
おもしろい、いろいろ目からうろこ
歴史は、常に”誰か”の目的に沿って記述される。
そのため、都合のよいことが書かれる。
そこから、事実を抜き出そうとすると、落とし穴にはまる。
日本書紀は、天智天皇、天武天皇の時代に作られた。それ以前の、歴史は創作の可能性が高い。
古事記も、同じ、日本書紀後の内容。
中国に対抗するために作られたと考えるのが妥当。
中国の歴史書も含めて、東洋の歴史は正当性を主張することが目的。
韓国の歴史も同様(700年ごろに出来た?)
西洋の歴史は変化を書き留めることが目的
世界史といえるものは、モンゴル帝国以後。
国民国家が近代の重要なテーマ。国民国家は、軍事的なメリットがあり広まった。
せいぜい、200年前の話。それ以前は、国民も国も明確ではなかった。国王ではなく君主がいた
現代の概念で過去を考えるのはナンセンス。
国民国家自体も、賞味期限が切れかけている? -
Posted by ブクログ
岡田英弘氏の著書を読んだのはこの「世界史の誕生」が初めてでしたが、非常に独特な歴史論を展開される方だと思いました。おそらく歴史学者の中では異端とされるのではないかと思います。岡田史学という言葉もあるそうで、普通の歴史学者とはひと味違うようです。この本を読んで、他の作品も読んでみたくなりましたし、講義を受けたくなりました。
この著書で「世界史の誕生」は1206年だと主張します。
1206年はチンギスハンが即位した年です。
この年を世界史の誕生とする理由は、モンゴル帝国出現以前は、文字として残す歴史は地中海と中国にしかなかったが、モンゴル帝国がこれらを結びつけることで初めて世界史が誕生したからだという論旨です。
モンゴルは現代ではマイナーな国家になっていますが、かつては膨大な版図を有した国です。私の印象ではモンゴルは中世に登場して世界を駆け巡り、パッと消えてしまったという感じなのですが、モンゴル帝国はその後の国々に大きな影響を与えているそうです。例えばインドには19世紀半ばまでムガール帝国が栄えましたが、ムガール帝国とは「モンゴル人の国」の意味で、王はチンギス・ハンの血統だそうです。
この本を読んでて、日本という国が世界史に登場したのは19世紀後半からなんだなと思いました。明治維新後世界史にデビューしてメキメキと頭角を表し、第2次大戦では世界中を相手にして派手に戦い、ボコボコにやられて(児島襄 「太平洋戦争」によると第2次大戦時の日本の作戦版図はモンゴル帝国最盛期の領土より広大であったといいます)、もう駄目かと思ったら経済大国として見事に復活。。 人間に例えたら相当波乱万丈な人生を歩んでる国だなと思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ[世界史の誕生]。岡田英弘歴史学
●岡田歴史学の本を紹介します。
岡田英弘先生の本を読むと
今まで疑問に思ってきたことが
すきっとわかる部分が、かなりあります。
まず[世界史の誕生]
では基本前提です。
●世界史は、モンゴル帝国とともに始まった。
●民族という概念は、19世紀に発生した新しいもの。
国家の概念も、フランス、革命、アメリカ革命から起こったもので
、それまでは、国家イコール君主の待ちものであった。
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●モンゴル帝国が作った諸国民は、インド、イラン、中国、
ロシア、トルコ人である、すべて、モンゴル帝国の産物、遺産である、
●モンゴルはウルスという単位で構成され、
それぞれのウルスは、遊牧君主の所領であり、
大ハーンも、自分のウルスしか直営できず、他のウルス内政には干渉できない。
●モンゴル帝国によって、中央ユーラシアの遊牧民は、すべてモンゴル人の社会構成へと
入った。
モンゴルの東半分は清帝国となり、
西半分は、ロシア帝国となる。インドムガール帝国、
オスマン帝国(トルコ、西アジア、北アフリカ)もモンゴル帝国の
継承者である。
●中国という概念も考え直さればならない。
皇帝を中心とする世界で、出身の種族には関係なく
中国人という概念が、できた。
●中国の歴史は、ほとんど中央ユーラシアの遊牧民による
征服王朝である。
●清は、正式なるモンゴルの継承者であり、
中華人民共和国も、このモンゴル帝国の領土の継承者である。
●中央ユーラシアの遊牧民が、それまでの世界史に
も影響を与えた、西欧を襲ったのフン族は、中国の匈奴であり、
ゲルマン民族の移動を引き起こし、西欧の原型を作った。
一方、東洋では、中国と遊牧民帝国の戦いであり、
現在までの中国の歴史は、ほとんど中央ユーラシアの遊牧民により
支配王朝である。
(これに関しては、別途、岡田先生の詳しい本があります。)
●日本の国家成立は、668年を持ってする。
白村江の敗戦によって、世界の孤児に
なってしまった倭人が、当時の日本列島にきていた
華僑といっしょになって、唐、新羅と対抗するために
作った国家である、天智天皇を持って初めての天皇の号を使い
、日本という国号をもち、近江令を持って初めての成文法となる。
(日本史に関しても、別途、岡田先生の本があります。)
●資本主義もモンゴルから始まる。
遊牧民の政治プラス定住型の経済の結合システム
により、治安と交通の便がよくなった。
経済活動が活発化する。信用取引の原理が稼動氏始まる。
世界最初の紙幣も、モンゴルが作った。
以上、モンゴルおよび、その継承国家は
すべて、大陸国家である。つまり、陸上運輸コストが
かかる。それに対して海洋国家は、港を抑え、小さい海軍力でも
制海権を握れる。大量の物資を低コストで
稼動できる。貿易により、大きな利益をうける。
●21世紀の覇権国家は、海洋国家であり、アメリカ、ヨーロッパ、
日本である。軍事力を持つアメリカと、歴史で武装した、
日本と西欧との対立構図である。
●西欧の大航海時代も、モンゴルにユーラシアを押さえら得たために
ポルトガル、スペインが、直接交易を求めてインド洋、東洋にやってきた結果である、
しかし、東シナ海は、それより先に、大航海時代に入っていた。
日本人倭寇である。後期倭寇は、中国人がほとんどで
その王が王直である。(鉄砲伝来は彼の仕掛けであると前に書きましたが)
●歴史観としては、ヘロドトスに始まる地中海ー西欧型歴史観と
司馬遷の『史記』、司馬光による「資治通鑑」に始まる中国方の歴史の
枠組みがある。地中海ー西欧型歴史観は、
ヘロドトス、旧約聖書、ヨハネ黙示録が中心的な歴史認識として
あり、アジアを敵として認識している。それが
キリスト教とあいまって、異教徒に対する思想となる。
要約です。この本を、是非お読み下さい