岡田英弘のレビュー一覧
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★過去を現在の視点から見てはいけない★歴史のストーリーを描くのではなく、歴史とは誰がどんな狙いで書かれたのかを記す。歴史は政治権力の中心で書かれるもので、権力の正当化が歴史の使命。著者の主張の是非を判断する材料はまったく持ち合わせないが、シンプルに面白い。
・歴史を成立させるには直進する時間の観念が必要で、輪廻転生するインド文明や一瞬一瞬がアッラーの創造にかかるイスラム文明では成立しない。
・自前の歴史があるのは中国文明(正統という観念を記すためで、そのため現実をゆがめて変化のない世界を記す)と、地中海文明(争いがあって最後は正義が勝つ)だけ。それぞれ歴史の書き方が決まっていて、それに対抗 -
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古本で購入。
副題に「明・清全史」とあるとおり、元の分解後の明による統一から清に衰退の兆しが現れる19世紀初頭までを概説する。
本書の特徴は、まえがきにもあるが、黄河・長江流域を中心とした「シナ」と満洲・モンゴル・チベット・新彊をも包含する「中国」を明確に分けていること。
その前提に立って、明清時代の歴史を「シナから中国へ」の歴史とする。
シナにおける南北の関係、つまりほとんど常に北シナが南シナに対して政治的優位を保ち支配してきたことについての考察がおもしろい。
北シナではモンゴル高原の遊牧民族と平野部の農耕民族との間に貿易があり、市が開かれていた。
定期的だった市が常設の市場になり、その -
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おもしろい、いろいろ目からうろこ
歴史は、常に”誰か”の目的に沿って記述される。
そのため、都合のよいことが書かれる。
そこから、事実を抜き出そうとすると、落とし穴にはまる。
日本書紀は、天智天皇、天武天皇の時代に作られた。それ以前の、歴史は創作の可能性が高い。
古事記も、同じ、日本書紀後の内容。
中国に対抗するために作られたと考えるのが妥当。
中国の歴史書も含めて、東洋の歴史は正当性を主張することが目的。
韓国の歴史も同様(700年ごろに出来た?)
西洋の歴史は変化を書き留めることが目的
世界史といえるものは、モンゴル帝国以後。
国民国家が近代の重要なテーマ。国民国家は、軍事的なメリ -
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岡田英弘氏の著書を読んだのはこの「世界史の誕生」が初めてでしたが、非常に独特な歴史論を展開される方だと思いました。おそらく歴史学者の中では異端とされるのではないかと思います。岡田史学という言葉もあるそうで、普通の歴史学者とはひと味違うようです。この本を読んで、他の作品も読んでみたくなりましたし、講義を受けたくなりました。
この著書で「世界史の誕生」は1206年だと主張します。
1206年はチンギスハンが即位した年です。
この年を世界史の誕生とする理由は、モンゴル帝国出現以前は、文字として残す歴史は地中海と中国にしかなかったが、モンゴル帝国がこれらを結びつけることで初めて世界史が誕生したから -
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ネタバレ[世界史の誕生]。岡田英弘歴史学
●岡田歴史学の本を紹介します。
岡田英弘先生の本を読むと
今まで疑問に思ってきたことが
すきっとわかる部分が、かなりあります。
まず[世界史の誕生]
では基本前提です。
●世界史は、モンゴル帝国とともに始まった。
●民族という概念は、19世紀に発生した新しいもの。
国家の概念も、フランス、革命、アメリカ革命から起こったもので
、それまでは、国家イコール君主の待ちものであった。
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●モンゴル帝国が作った諸国民は、インド、イラン、中国、
ロシア、トルコ人である、すべて、モンゴル帝国の産物、遺産である、
●モンゴルはウルスという単位で