タイトルに「紫禁城」が入っているので、北京にある正面に天安門が聳える「紫禁城」について詳細が記されているものと期待して購入したら、だいぶ趣が違った。
サブタイトルにもあるように、「明・清全史」であり、しかもかなり詳細に各王朝の成立過程から性格、滅亡まで書かれているのだ。筆者は明・清の歴史を「シ
...続きを読むナから中国へ」の歴史であると言っている。
他民族国家である中国を、概念的な区分として、
チベット・新疆・モンゴル・満洲・北シナ・南シナ
に分け、明朝は北シナ、南シナの国、清朝はこれらの地域すべてを包括的に取り込んで、現在の中国とほぼ同じような領域に勢力を拡大した王朝であるとしている。
多くの地図や図表、また各王朝の系図をふんだんに駆使しながら、王朝内部の権力闘争を臨場感豊かに描写している。
年表が少々見づらかったのが残念だが、文庫版の付録としたらこんなものだろうか。
初めて知ることがたくさんあり、勉強させられた。さすが「学術文庫」である。