田山花袋のレビュー一覧

  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    碌に映像のなかったこの時代に生まれた恋愛純文学は、心理描写の密度がやはり違うなあと思い知らされる...

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    2025年09月11日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    ネタバレ

    おもしろかった。
    「蒲団」の女弟子への恋を抱えながら、女弟子の他の男への恋をも保護することになってしまった主人公の身勝手さと寂寥がとてもよい。
    「重右衛門の最後」は、村の迷惑者、アウトローたる重右衛門に向ける目が冷静ながらも優しくて、重右衛門のようにあまり社会に馴染めない自覚のある私としては、彼を「自然児」と見た視点がありがたく沁みた。こちらの方が、個人的に蒲団よりも好きだ。
    重右衛門の「私なんざア、駄目でごす…」と涙をこぼしながら言う姿、どうしても共感せずにはいられなかった。唯一重右衛門を支援しようと言った貞七が「駄目なことがあるものか。私などもお前さんの様に、その時は駄目だと思った。けれど

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    2025年08月01日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    えええ、なんだこれは、面白いんだけど笑・笑・笑
    私にとって「自分を振り返りましょう小説」で『地下室の手記』と並んでトップツーだわ。これだけ赤裸々で、しかし小っ恥ずかしくならずに笑ってしまえる小説は作者の力量でしょうか。
    漢字も今と違って興味深いです。渠で「かれ」とか。遭遇すで「でくわす」とか。

    36歳の文筆家の竹中時雄は中年の憂鬱の時期に差し掛かっていた。妻はもはや自分の妻というより「3人子供の母」になって心が動かない。(←あなたの子供ですよ!)
    通勤中にすれ違う美人とのあんなことやこんなことを妄想する日々。
    そんな時雄のもとに熱烈なファンレターが届く。差出人は岡山県から神戸の女学院に寄宿し

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    2025年01月19日
  • 少女病

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    まさかのラスト

    37歳の文学者・杉田の楽しみは、電車で乗り合わせた女学生を観察し、妄想を繰り広げること。
    そんな主人公は美しい令嬢と思しき女学生に気を取られますが、そこで衝撃的な結末になります。
    淡々と物語が進む中で悲劇的な終わりだったので驚きました。

    #深い

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    2024年03月24日
  • 一兵卒

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    過酷な末路

    日露戦争時の、とある一兵卒の話。
    病気に罹った主人公は軍医の言うことを聞かず、病院を抜け出して生きる道を模索していた。
    その描写が生々しく胸を突く。

    #切ない #泣ける

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    2024年03月24日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    ネタバレ

    36歳とすでに男としての魅力は失われていて生活に華がない中、先生、先生と自分をしたってくれて可愛い一回り下の女性が寄ってきたらどうするのか。そんな枯れた男が男としての自分を取り戻せないまま、それでもその子のことが気になって彼氏っぽい男ができたら執拗に嫉妬して(特に肉体関係面での嫉妬はすさまじかった)引き離さんとする物語。

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    2022年11月06日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    田山花袋を初めて読みましたが、プロフィールのところに自然文学とあり、読んでいて爽やかな描写が特に「重右衛門の最後」では感じました。
    漢文を習っていたこともあり、当て字といいますか、所々にルビがあり放題で、この手の本が好きな私としては大変楽しめました。
    なんとなく手に取った本ですが、読み始めるとぐいぐい惹き込まれて一気読みでした。
    「蒲団」というタイトルが気になりましたが、そこは読んでみてのお楽しみといったところでしょうか。
    蒲団が好きな方は蒲団の中で読むのも、また醍醐味だと思います。

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    2018年11月15日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    中島さんの作品の後に読むとなんとまあ、時雄の行動の幼稚なこと。全くもって私は「妻」の視点からでしか鑑賞できなくなっている。これはちょっと失敗。これから中島さんの『FUTON』を読まれる方花袋のを先に読む方がいいでしょう。いろいろ抜きにして純粋な感想。この小説「中年男が失恋後恋人の蒲団で泣く」という一文で表され、それでまかり通っているけれど、そんなことはない!なんてことはない。その通り。結果失恋して泣くんです。発表当時は女々しいとのお声もあったでしょうが、現代では無問題。時代が追いつきましたよ、花袋先生。

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    2017年05月24日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    ずっと読みたくて、でも大筋で話が分かるから情けなさすぎで読むのを躊躇っていたこの本。
    読んでみると、まず主人公が思っていたよりずっと若く、今の自分と大して変わらない歳であることに驚く。
    そして、女性の方からも何らかの思わせぶりな誘惑があったのかと思っていたのに、他に恋人を作って全く主人公を意識もしていないという。
    ほんとに、全て主人公の妄想で、ただ結婚生活に飽きた男が若い娘にときめきたかっただけの話。
    現在絶賛育児中のわたしからすれば、ふざけんなと言いたくなるけど、こういうのって男性も同じなんだとわかった。

    そして、合わせて収録されてる話。
    『蒲団』にしか興味なかったので、読まずに返そうかと

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    2015年11月09日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    青空文庫で蒲団のみ。
    時雄の懊悩ひとつひとつが我が身を捻じるかの様で非常にのめり込んだ。
    節操を汚した芳子の父親のなんと真っ当な物言い。さすが人の親。
    細君がうまいこと緩衝材になって物語的にも読む側にとってもテンポを保ってくれた。
    時雄がずっとあの調子で懊悩しまくってたらとてもじゃないけど息が詰まって読破不可能であった。
    細君よ、ありがとう。

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    2013年06月15日
  • 明治深刻悲惨小説集

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     お前の罪じゃ無い、世の中の罪だ
               (田山花袋「断流」より)

    人生の不条理・社会の闇と真正面に向き合い描かれた「悲惨小説(深刻小説)」または「観念小説」と呼ばれる作品のアンソロジー。あまり聞き慣れぬ作家の、大手出版社の文庫本レーベルにもなかなかラインアップされない作品をたくさん味わえる貴重な一冊だと思う。

     川上眉山「大さかずき」
     泉 鏡花「夜行巡査」
     前田曙山「蝗売り」
     田山花袋「断流」
     北田薄氷「乳母」
     広津柳浪「亀さん」
     徳田秋声「藪こうじ」
     小栗風葉「寝白粉」
     江見水蔭「女房殺し」
     樋口一葉「にごりえ」

    性別、生まれ、家庭の経済状況……。収録

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    2025年10月17日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「蒲団」
    昔の話なのに読みやすくて、おもしろかった。
    主人公の男の自分勝手なこと!
    この時代では普通なのかもしれないけど。
    「夫の苦悶には我関せずで、子供さえ満足に育てばいいという細君に対して、どうしても孤独を叫ばざるを得なかった。…家妻というものの無意味を感ぜずにはいられなかった。」
    「妻と子ー家庭の快楽だと人は言うが、それに何の意味がある。子供のために生存している妻は生存の意味があろうが、妻を子に奪われ、子を妻に奪われた夫はどうして寂寞たらざるを得るか」
    芳子が大学生に体を許したと分かった後は、
    「どうせ 、男に身を任せて汚れているのだ。このままこうして、男を京都に帰して、その弱点を利用し

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    2025年09月15日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    自然主義というが、確かに蒲団の主人公の情けなさには一片の美化もなく、今も昔も自分も含めた壮年の男性なら想っておかしくはない、取っておかしくはない行動に、共感出来る気持ちと共感したくはない気持ちがせめぎ合う作品でした。

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    2025年04月30日
  • 明治深刻悲惨小説集

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    古い小説が多いのですけれども、割かし読みにくさも感じずに読めたかと思います…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、少々解釈が難しい部分もあったのですが…また機会があれば再読したい作品群でしたね!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    亀さん…とかいう作品が一番印象に残りましたかねぇ…女性なら誰でも構わずについていく、抱き着いて行こうとする男性の話…(;´∀`)

    実際に居たら困惑する人物ですけれどもまあ、印象には残りましたねぇ…。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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    2024年12月08日
  • 重右衛門の最後

    ネタバレ 購入済み

    「重右衛門」とは

    タイトルの「重右衛門」は、とある田舎の住人で、連続放火の嫌疑者。
    逮捕したくても証拠がなく、村の人々はますます彼を嫌う。
    そんな対立の中、彼は最後を迎えた。
    そんな感じの物語でした。
    祖父母から甘やかされ育ち好き放題に生きる「重右衛門」は、現代にもたくさんいるのでは。
    執筆されてから時間が経つ作品なので、慣れない漢字など少し読みにくかったです。

    #深い

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    2024年03月25日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    田山花袋は自然主義派として有名で、その代表作品ということで「蒲団」がある。
    自然主義というのは、そもそも日本と発祥の地のフランスでは異なっており、日本の場合には、「私小説」ということで良いのだろう。
    ただ、現在、読む側からは、自然主義云々はあまり意味のないことで、作品自体をどう感じるか、ということに尽きる。
    本著を読むモチベーションが、自然主義派を代表する作品だから、という消極的なものだったので、一抹の不安があったのだが、結果としては、とても面白い作品だった。

    何が良かったか。
    この作品が、近代日本における女性の立ち位置をうまく表現している、ということ。
    当時は、特に若い女性は、女性の自立、

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    2023年12月24日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    ネタバレ

    蒲団言わずもがな…ああ、変態好き…。(笑)

    重右衛門の最後が、結構ずっしりきた。

    蒲団や少女病みたいな作品もあればずっしりくるものも書く…田山花袋って掴めなくてなんかいい。

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    2020年06月04日
  • 東京震災記

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    大正に起こった関東大震災の実際のリアルな風景を描いた随筆。
    やっぱ地震は、二次災害が一番怖いなって。

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    2020年04月12日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    蒲団
    複雑な心境がよく描写されており、読みやすい。結末の主人公の様子は気持ち悪いと言われることが多く、実際に読んで「ああこれか(笑)」と思ったが、その人間らしさがまた作品として味わい深い。

    重右衛門の最後
    不遇な重右衛門に深く同情した。八つ墓村と重ねてしまうところがあったのは私だけ?

    同じ自然主義の関連として島崎藤村、ゾラも読みたい。

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    2016年12月05日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    「蒲団」
    弟子にしてくれと押しかけてきた若い娘に
    スケベ心を抱きながらも、手を出す前から他の男のところに
    逃げられてしまう
    それは理不尽なことには違いない
    俺はおまえのパパじゃねえ、ぐらいのことは言いたくもなるだろう
    けれども旧来からつづく封建的・儒教的な価値観と
    西洋文化に由来する、いわゆる近代的自我との板ばさみにあって
    この時期の文化人は
    自由をとなえながらも、みずからは自由にふるまえない
    つまりエゴイストになりたくてもなれないという
    そんな苦しい立場、ダブル・バインド状態にあったのかもしれない
    森鴎外とエリスの関係など見るに
    けして花袋ひとりの問題ではなかったはずだ
    しかしそういう、ある

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    2015年03月02日