田山花袋のレビュー一覧

  • 少女病

    まさかのラスト

    37歳の文学者・杉田の楽しみは、電車で乗り合わせた女学生を観察し、妄想を繰り広げること。
    そんな主人公は美しい令嬢と思しき女学生に気を取られますが、そこで衝撃的な結末になります。
    淡々と物語が進む中で悲劇的な終わりだったので驚きました。
  • 一兵卒

    過酷な末路

    日露戦争時の、とある一兵卒の話。
    病気に罹った主人公は軍医の言うことを聞かず、病院を抜け出して生きる道を模索していた。
    その描写が生々しく胸を突く。
  • 蒲団・重右衛門の最後
    36歳とすでに男としての魅力は失われていて生活に華がない中、先生、先生と自分をしたってくれて可愛い一回り下の女性が寄ってきたらどうするのか。そんな枯れた男が男としての自分を取り戻せないまま、それでもその子のことが気になって彼氏っぽい男ができたら執拗に嫉妬して(特に肉体関係面での嫉妬はすさまじかった)...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    田山花袋を初めて読みましたが、プロフィールのところに自然文学とあり、読んでいて爽やかな描写が特に「重右衛門の最後」では感じました。
    漢文を習っていたこともあり、当て字といいますか、所々にルビがあり放題で、この手の本が好きな私としては大変楽しめました。
    なんとなく手に取った本ですが、読み始めるとぐいぐ...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    中島さんの作品の後に読むとなんとまあ、時雄の行動の幼稚なこと。全くもって私は「妻」の視点からでしか鑑賞できなくなっている。これはちょっと失敗。これから中島さんの『FUTON』を読まれる方花袋のを先に読む方がいいでしょう。いろいろ抜きにして純粋な感想。この小説「中年男が失恋後恋人の蒲団で泣く」という一...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    ずっと読みたくて、でも大筋で話が分かるから情けなさすぎで読むのを躊躇っていたこの本。
    読んでみると、まず主人公が思っていたよりずっと若く、今の自分と大して変わらない歳であることに驚く。
    そして、女性の方からも何らかの思わせぶりな誘惑があったのかと思っていたのに、他に恋人を作って全く主人公を意識もして...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    青空文庫で蒲団のみ。
    時雄の懊悩ひとつひとつが我が身を捻じるかの様で非常にのめり込んだ。
    節操を汚した芳子の父親のなんと真っ当な物言い。さすが人の親。
    細君がうまいこと緩衝材になって物語的にも読む側にとってもテンポを保ってくれた。
    時雄がずっとあの調子で懊悩しまくってたらとてもじゃないけど息が詰まっ...続きを読む
  • 重右衛門の最後

    「重右衛門」とは

    タイトルの「重右衛門」は、とある田舎の住人で、連続放火の嫌疑者。
    逮捕したくても証拠がなく、村の人々はますます彼を嫌う。
    そんな対立の中、彼は最後を迎えた。
    そんな感じの物語でした。
    祖父母から甘やかされ育ち好き放題に生きる「重右衛門」は、現代にもたくさんいるのでは。
    執筆されてから時間が経つ作品な...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    田山花袋は自然主義派として有名で、その代表作品ということで「蒲団」がある。
    自然主義というのは、そもそも日本と発祥の地のフランスでは異なっており、日本の場合には、「私小説」ということで良いのだろう。
    ただ、現在、読む側からは、自然主義云々はあまり意味のないことで、作品自体をどう感じるか、ということに...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    蒲団言わずもがな…ああ、変態好き…。(笑)

    重右衛門の最後が、結構ずっしりきた。

    蒲団や少女病みたいな作品もあればずっしりくるものも書く…田山花袋って掴めなくてなんかいい。
  • 東京震災記
    大正に起こった関東大震災の実際のリアルな風景を描いた随筆。
    やっぱ地震は、二次災害が一番怖いなって。
  • 蒲団・重右衛門の最後
    蒲団
    複雑な心境がよく描写されており、読みやすい。結末の主人公の様子は気持ち悪いと言われることが多く、実際に読んで「ああこれか(笑)」と思ったが、その人間らしさがまた作品として味わい深い。

    重右衛門の最後
    不遇な重右衛門に深く同情した。八つ墓村と重ねてしまうところがあったのは私だけ?

    同じ自然主...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    「蒲団」
    弟子にしてくれと押しかけてきた若い娘に
    スケベ心を抱きながらも、手を出す前から他の男のところに
    逃げられてしまう
    それは理不尽なことには違いない
    俺はおまえのパパじゃねえ、ぐらいのことは言いたくもなるだろう
    けれども旧来からつづく封建的・儒教的な価値観と
    西洋文化に由来する、いわゆる近代的...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    表題『布団』が気になり手に取りました。
    絶対に結ばれることのない、親子ほども年の離れた相手に対しての執着・自分勝手な所有欲は、他人から見ればみっともないの一言。とても人には知られたくないような男の欲を堂々と描いた作品は他になく、当時としては画期的なことだったようです。

    蒲団に残るあの人の匂いが恋し...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    もう、あのシーンはよ!はよ!という気持ちで読んでました。

    それにしても主人公は嫌な男だ。停車場で綺麗なお姉さんを見て「妻の出産がうまくいかなくなって死んだらああいう綺麗な人と住めるかなー」とか考えたり、若い書生に惚れてうまくいかなくて細君に八つ当たりしたり。

    頗る読みやすい文体だった。
  • 蒲団・重右衛門の最後
    蒲団は悶々とした中年の悩みがユーモラスに描かれていて、割と親しみ深く読めた。その分重衛門の最後の方が人間存在の悲哀が重くのしかかるようで言葉にし難い気持ちになった。
  • 蒲団・重右衛門の最後
    自然主義文学のさきがけといわれる『蒲団』に、中編作『重右衛門の最後』を併録。明治の雰囲気が伝わってくる文体と精神背景が味わえて、なかなか楽しむことができました。
    『蒲団』は、生活に倦怠感をおぼえている主人公の小説家に、田舎から美少女が小説家になりたいと弟子入りしてきたことから起きる恋のさや当ての物語...続きを読む
  • 蒲団・重右衛門の最後
    重右衛門がおもしろかった!

    布団は、変態小説みたいなイメージが先行してしまってたけど、読むと思ってたより綺麗。ぬるりとした感じは嫌いじゃない
  • 蒲団・重右衛門の最後
    作品紹介:『蒲団に残るあのひとの匂いが恋しい―赤裸々な内面生活を大胆に告白して、自然主義文学のさきがけとなった記念碑的作品『蒲団』と、歪曲した人間性をもった藤田重右衛門を公然と殺害し、不起訴のうちに葬り去ってしまった信州の閉鎖性の強い村落を描いた『重右衛門の最後』とを収録。その新しい作風と旺盛な好奇...続きを読む
  • 東京震災記
    関東大震災の未曾有の被害状況を一人の作家として
    その肝の座ったルポジュター魂に田山花袋の知らない面を見た気がいたしました。
    江戸の風情がどこかしらに残っていた東京がすっかりなくなってしまった瞬間。新しい東京を予感したい思いも感じられ
    今私たちが直面しているさまざまな自然被害(場合によっては人災)とど...続きを読む