田山花袋のレビュー一覧

  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    表題『布団』が気になり手に取りました。
    絶対に結ばれることのない、親子ほども年の離れた相手に対しての執着・自分勝手な所有欲は、他人から見ればみっともないの一言。とても人には知られたくないような男の欲を堂々と描いた作品は他になく、当時としては画期的なことだったようです。

    蒲団に残るあの人の匂いが恋しーー女々しいような情けないような滑稽な描写は妙に人間臭くて、不思議と嫌いになれない。

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    2017年02月17日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    もう、あのシーンはよ!はよ!という気持ちで読んでました。

    それにしても主人公は嫌な男だ。停車場で綺麗なお姉さんを見て「妻の出産がうまくいかなくなって死んだらああいう綺麗な人と住めるかなー」とか考えたり、若い書生に惚れてうまくいかなくて細君に八つ当たりしたり。

    頗る読みやすい文体だった。

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    2013年11月09日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    自然主義文学のさきがけといわれる『蒲団』に、中編作『重右衛門の最後』を併録。明治の雰囲気が伝わってくる文体と精神背景が味わえて、なかなか楽しむことができました。
    『蒲団』は、生活に倦怠感をおぼえている主人公の小説家に、田舎から美少女が小説家になりたいと弟子入りしてきたことから起きる恋のさや当ての物語です。(笑)「妻に子供を奪われ、子供に妻を奪われて」生活に倦んでいた主人公は、弟子入りしてきたハイカラで発展的な精神を持つ美少女に恋心を抱くが、師として監督する立場でもあることからその苦悩が始まる。弟子の美少女の誘惑にも自制してきたのだったが、ある時、ろくでもない男が恋人になったと知ったことから、主

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    2013年07月30日
  • 東京震災記

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    関東大震災の未曾有の被害状況を一人の作家として
    その肝の座ったルポジュター魂に田山花袋の知らない面を見た気がいたしました。
    江戸の風情がどこかしらに残っていた東京がすっかりなくなってしまった瞬間。新しい東京を予感したい思いも感じられ
    今私たちが直面しているさまざまな自然被害(場合によっては人災)とどう向き合っていたらよいのか。
    それは、まず現場にたったかどうか。
    そして、どう感じたか。
    先人の思いを、経験を、無にしてはいけませんね。

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    2011年09月13日
  • 東京震災記

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    代々木付近に住んでいた田山花袋が、関東大震災後、山の手から下町までを歩き回って記録したルポである。花袋は、過去の教訓が生かされていないことに嘆く。新しい東京に生まれ変わることへの期待を示す。

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    2011年08月27日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    田山花袋文学忌、花袋忌
    …蒲団忌で良いのではと私は思う。

    1907年の作品
    私生活を告白して私小説的傾向に傾く
    自然主義文学の一作
    私小説なんかーい!
    日本文学初の私小説と言われており、
    その赤裸々な告白に当時の文壇に衝撃を与えたとか

    あらすじは
    36歳作家妻子あり
    地方から美しい女学生が弟子入りを希望してくる
    文学をやる女は美しくないだろうと思っていたけど、美しかったのだ
    最初は、健気な女子だったけど、恋人ができる
    引き離そうとするが、上手くいかず
    怒った作家は、父親の居る郷里に帰らせる
    女弟子が去った後、彼女が使っていた夜着物と蒲団に顔を埋めて泣く

    弟子とその恋人にもモデルがあり、個

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    2024年05月13日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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     結末はあまりにも有名なので読む前から分かっていた。しかしながらいざ読んでみると矢張り名作の誉も宜なる哉。中年男性の悲哀と絶望、そして始末に負えない性慾と云う名のエゴイズム。それを最も巧妙に言語で表現したのが「蒲団」なのだろう。

     一方で「重右衛門の最後」の方がシナリオの起伏と問題意識に富んでおり読んでいて面白かった。日本自然主義文学の嚆矢と言えば上述の「蒲団」、それに藤村の「破戒」が有名だが、本作にもゾライズムの片鱗が窺える。本書を手に取るまで寡聞にして知らなかった作品なので何となくお得感があった。

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    2024年03月08日
  • 明治深刻悲惨小説集

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    現代語訳みたいなラジオ聞いて原話読んでみたくてがんばったけど
    なんで・・・?ってゆうくらい最後に救いのないの小説集?なのかな。

    『なんだったんだろう』と思うものが多くて一回読んだだけじゃ、どういう心情とか話の深さがあまり理解できてないかも。。
    ラストに趣を置くものじゃないのかもしれない..。
    時代の文章からかなかなか読みづらい。

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    2023年11月15日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    日本文学における私小説の走りと言われる田山花袋の代表作。

    そこそこ売れた作家である主人公(竹中時雄)の元に美しくて若い女学生(横山芳子)が弟子としてやってくるところからストーリーが始まる。
    時雄には妻子もあるが、やがて芳子に恋心を抱くようになる。芳子の恋仲である男子学生も後を追うように上京し、時雄は嫉妬を感じながらもやり場のない自分の恋心に悶えながら日々を送ることになる。

    この主人公は田山花袋自身がモデルであり、彼が自分の若い女弟子に下心を抱いていたというのも事実に近いものであるらしい。
    この作風というか設定が当時の日本の文壇に衝撃を与えた、と聞いて読んでみた。

    100年以上前に書かれた

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    2022年10月15日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    ネタバレ

    36歳の作家・竹中時雄が、女弟子の横山芳子に恋人ができたことに嫉妬する話。大人らしく分別ぶってみたり、親に知らせて二人の仲を裂いてしまおうかと悩んだり、イライラしてはやけ酒をあおって癇癪を起こす。

    自然主義の代表作とされているのでもっと淡々とした内容かと思っていたが、案外面白かった。

    「時雄は悶えた、思い乱れた。妬みと惜しみと悔恨(くやみ)との念が一緒になって旋風のように頭脳(あたま)の中を回転した。師としての道義の念もこれに交って、益々炎を熾(さか)んにした。わが愛する女の幸福の為めという犠牲の念も加わった。で、夕暮の膳の上の酒は夥しく量を加えて、泥鴨(あひる)の如く酔って寝た。」(p.

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    2022年09月01日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    ネタバレ

    この私小説は、田山花袋自身の身に起こった出来事を告白した自伝の様なものだったので、花袋がどういう人物だったのかや、花袋自身の当時の感情などが非常に近く感じられるものだったと感じた。
    この小説の思想性に関して、最後のクライマックス場面で(「女のなつかしい油の匂いと汗のにおいとが言いも知らず時雄の胸をときめかした。〜心のゆくばかりなつかしい女の匂いを嗅いだ。」一一〇頁引用)とあるが、女(芳子)の油と汗、そして匂いと、においについて文字の使い方や表現の仕方が違うことに気づきその作者の思想性は何なのかを考えた。
    油と汗は本質的には同じで体内から排出されるものであるが、油といえば体臭の匂いなどが想像出来

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    2020年11月28日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    生々しい内面的告白の性格を持つ"蒲団"と、傍観者的立場で物語が進行する"重右衛門の最後"2編を収録。

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    2018年07月25日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    女弟子に密かな劣情を抱く時雄。文明開化のうねりのなかで若き学生との恋に惑溺する女弟子。善良で不埒な時雄の懊悩を赤裸々につづった「蒲団」。
    閉鎖的な田舎村で起こった私刑を第三者的に見つめる「重右衛門の最後」。
    前者は、いまいち踏ん切りのつかない時雄にいらいらしつつ、いつ堰を切るのかとドキドキしていたけど、結局、中途半端に終わってしまった時雄が終始身悶えする姿に、なんだか善良さを脱しきれない人間にありがちな苦悩を感じ取れました。
    一方、後者は、ここ最近少し話題になっているインターネットによる私刑に通じるところがありまして、しみじみと思いを馳せながら読んでいました。

    それはそうと、褒めているんだか

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    2015年06月14日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    申し訳ないけど主人公がめっちゃ気持ち悪い!

    気持ちはわからなくもないけど、布団は嗅ぐんじゃないよ…

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    2014年01月14日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    やたらと外国文学、特にロシアの作家、作品をとりあげるが、今となっては不自然。当時はそういうのが風潮だったのでしょうか。当時受け入れられた小説がこういうものだったと感じるところに価値を見出す作品。13.11.21

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    2013年11月21日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    時雄は芳子だから恋をしたわけではないと思う。惨めな自分の晩年に華を添えてくれる「女」という生き物なら、誰でもよかったのだろう。男の身勝手さを惜しげもなく晒した作品。建前などかなぐり捨てて書いてるから、真に迫っていてとても面白い。時を重ねても雄の性を捨てられない「時雄」と、匂いたつような若さと美しさを備えた「芳子」という名前設定が、最後のシーンを象徴しているようである。

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    2013年08月15日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    嫉妬というと、"女の"嫉妬なんてわざわざ"女"を強調したりすることが多いが、なぜだか"男の"嫉妬、という言い方はあんまりしない。でも別に、嫉妬という感情に男女の別があるわけではない。ただ、男は嫉妬を「権力闘争」や「大人の対応」なんて言葉で都合よく包み隠しているだけだ。
    文学者である竹中時雄の元へ、文学を志す女学生からの熱心な手紙が届くようになる。彼女が後に正式な弟子として受け入れることになる芳子。かつて情を燃やしたはずの妻にも飽き飽きしていた時雄は、芳子にいつしか好意を抱くようになる。芳子の恋人である田中との仲を芳子の"師"として諭し心配するフリをして、内心は嫉妬心を強くするひとりの中年男性の

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    2013年07月09日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    【禁断の恋に落ちる男の壮絶な感情劇!】
    妻と子ども3人と暮らすある文芸家の話。ある日、田舎から文芸家に憧れる女学生が家にやってくる。それまでの生活に飽きを感じていた主人公にとって、そのことが大きく生活を変える。

    女学生の美しい姿、素晴らしい才能に恋心を抱くようになる。しかし、それは許されることのない恋である。しかし、そうこうしているうちに女学生には恋人が出来てしまう。

    恋人と結婚したいと懇願する女学生は、結局父親に連れられて田舎に帰ることに・・・。

    女学生が去った部屋で、一人彼女が使っていた蒲団に顔をうずめて泣き崩れるところで話は終わる。

    男の女に対する心情が、非常にリアルに描かれてお

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    2012年09月03日
  • 蒲団・重右衛門の最後(新潮文庫)

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    中島京子版の予習として。今読むと、変態どころか、かなりストイックです。ちっさ!とは思います。クンカクンカするところで終わりですが、読者にはそのあとを想像する楽しみが与えられます。蒲団クンカクンカ後は、油染みのリボンをアソコに結びシコシコしているところを奥さんにみつかる、とか。

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    2012年08月13日
  • 東京震災記

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     田山花袋は『蒲団』で有名だが、読んだこともない。

     たまたま、題名で購入。

     当時は、小説家がノンフィクション作家も兼ねていたので、関東大震災の雰囲気がよくわかる。

    (1)関東大震災の避難先として福島など東北に多数の避難民が殺到した。(p154)

     当時は、東北の出身者が実家に避難したということだが、時代の巡り合わせを感じる。今度は東京が東北を支えないといけないと思う。

    (2)大杉事件について「私はつとめてそれに対して意見がましいことを言うのを避けた。」(p217)

     当時のなんとなく、うしろめたい雰囲気が伝わってくる。

    (3)「不逞鮮人」の表現は、p150,p193,p224

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    2012年01月14日