塩見鮮一郎のレビュー一覧

  • 江戸の貧民

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    紹介文にこう書いてあります。
    <「世界のどこにもない社会」の日常を、寸描してみたい>。都市機能が充実し、独自の文化を醸成した江戸に暮らした数々の「貧民」たち。
    差別にあいながらも、直向きに生きた弾左衛門や車善七、香具師たちの生態を克明に描き出す!
    読んでみて、「貧民」に対する著者の温かいまなざしを感じます。
    また、江戸幕藩体制において、町奉行、寺社奉行などの公権力も真摯な対応をしていたように感じました。
    今、アメリカを毒している「ポリティカル・コレクト」とは違って、日本特有の「ホンネとタテマエ」がうまく機能していた時代だとも感じました。
    それに比して、明治維新政府のとった、非常な措置、西欧発の

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    2017年05月29日
  • 弾左衛門とその時代

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    関東にも差別があり、弾左衛門を中心とした制度として成り立っていたということを知ったのは五木寛之の著書だったが、貧民研究では第一人者である著者による本書は、弾左衛門による支配制度の成り立ちについて大変深い掘り下げを行っている。制度によって差別されていた人々にも生きるすべ、あるいは拠り所が存在していたのかと思っていたが、飛んでもない誤解であったことを理解し、愕然とした。

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    2016年09月26日
  • 戦後の貧民

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    貧民の帝都と同様に力の入った作品ではないかと感じた。とくに、筆者自身の体験もあるだけに迫力がある。占領下の日本の貧困層の悲惨さは余りクローズアップされていないだけに、貴重な内容であると思う。

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    2016年07月02日
  • 弾左衛門の謎

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    うーん、なんで今まで交差しなかったのかな、というぐらい、自分の文化・風俗・歴史系アンテナにどストライクのテーマ。 鎌倉も探訪したくなったなあ。

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    2012年04月17日
  • 解放令の明治維新 賤称廃止をめぐって

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    明治維新にともなう解放令により、大きな影響を受けた被差別部落の現状についての克明な解説。歴史の教科書では教えられない貧民層の話が分かる。

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    2011年10月30日
  • 賤民の場所 江戸の城と川

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    何気なく新刊文庫本の棚から目を移すと、横の本棚に塩見鮮一郎という名前を見つけて、驚くと同時に懐かしさがこみ上げて来ました。

    またずいぶんと遠くまで来たものですね。
    でも、あいかわらず、少し堅すぎませんか?

    彼が、1980年代に部落解放同盟と伴走し、部落差別を激しく糾弾する活動家として活動しただけでなく、『表現の装置 来るべき言葉のために』や『都市社会と差別』などで、権力者がこの世界をいかに差別構造によって造形してきたかを暴き出すという、つまり単に差別意識や表現だけが問題なのではなく、この社会の成り立ちそのものの根底からの問題性を鋭く指摘した類まれなる思索者として存在したことを知る者としては

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    2012年08月12日
  • 弾左衛門とその時代

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    なんで浅草には革製品を扱う業者が多いのか、って話から弾左衛門の事を知って気になって読んでみた。内容としては革製品に関する部分は後半の製革工場の行くらいしかなくてなぜ浅草に革製品がの直接的な答えは書いてなかったんだけど、まあ浅草新町(シンチョウ)の囲内(カコイウチ)が穢多頭である弾左衛門に支配されてたことに繋がるんだろう。そもそも穢多と非人の違いもわかっていなかった(穢多は皮革加工や死体処理などの職業に従事し、非人は物乞いや遊芸などに従事していたという違いがある。また非人には元の身分に復帰できる可能性があったのに対し、穢多はその身分が固定されていた)。穢多(長吏)は被差別民だけど穢多頭の弾左衛門

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    2025年02月11日
  • 異形にされた人たち

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    日本に暮らしていながら
    知らないことが あまりにも多い
    一つ知れば 知らないことがいくつも
    生じてくる

    歴史的な変遷の中で
    文字を持つことを許されなかった
    文字を持つことがなかった
    被差別の立場に置かれた
    人たちの存在を考える時、
    「知らなかった」ことが
    山ほどでてくる

    塩見鮮一郎 さんの著作に
    触れるたびに
    「あぁ 知らなかった」
    「へぇ そんなことも」
    が増えていくことが
    なににもまして刺激的である

    何度も 読み返してしまう一冊です。

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    2020年12月11日
  • 探偵イザベラ・バード 明治開化殺人事件

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    ネタバレ

    事件の概要とかオチとかは良かったんだけどな。ヨーロッパ人から見た明治初期の日本っていう視点も、面白かった。文章も軽快で読みやすく、猟奇的な冒頭部分にも引き込まれた。
    モモちゃんだけ地の文でも“ちゃん”づけなのは、賛否両論あるかもだけれど、私は好き。
    何が悪かったのかなあ…。
    構成かしらね。
    オロチはほんとに不要だったし、巡査やおっかあの行く末はちゃんと説明しなきゃ、「やめよう」じゃないよ。虐待のくだりも落とし前をつけてほしい。
    このテーマであの作家さんとかあの作家さんが書いたら、絶対もっと面白くなったと思うんだ。残念。(2019-11-12L)

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    2019年11月27日
  • 弾左衛門の謎

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    著者は基本的には小説家なので、この種の歴史書も学術的厳密さを求めるのは筋違いなのだろう。そう思って読めば、大変面白く、歴史理解の参考になる本だ。

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    2019年05月31日
  • 差別語とはなにか

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    備忘メモ。

    ・「隔世の感」。とたびたび語られる。そうなんだろうな、私にはわからないけど。

    ・差別の「原因」は差別する側の意識にある。差別に関する用語の規制は、政治的検閲があるわけではなくて、大衆の好みに合わせたマスメディアの自己規制があるだけ。つまり差別は「差別をしている悪い人たち」と「差別をされるかわいそうな人たち」の問題なのではなく、「大衆」を形成している者全員の問題である。

    ・差別は作りだされる。誰かが「おかしいのでは」と言挙げし、「なるほど確かにそうだ」と複数(多数)の人が賛同すると、それは差別となる。同じようなプロセスを経て、差別が消滅していくこともある(かつて差別的だとされた

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    2017年06月27日
  • 四谷怪談地誌

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    「四谷怪談」の原体験は小学生の頃に行ったひらパーのお化け屋敷。その時流されていた映画が物凄く怖かったのだが…どれだろうか。

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    2017年03月12日
  • 部落史入門

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    標題と内容が少し異なる。正しくは「部落研究史入門」とすべき内容であり、部落や差別が歴史的にどのように発生してきたのかについて論じられている訳ではなく、それらの研究の歴史を紹介するものである。しかし、第二次大戦前後の共産主義者によって、(被差別者にとっての)差別者が農民や労働者から国家へと巧妙に理論するかえが行われたというところは大変興味深く感じた。

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    2016年06月07日
  • 江戸の貧民

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    何故貧困が生まれるのかということに興味がある。何故なら、およそ世界の争いの原因は貧困と差別によるものとおもわれるからだ。
    日本における貧困の発生は江戸以前からあったと思われるが、江戸時代は統治の必要性から貧困層として差別される階層が生まれたと本書では延べられている。のちにフーコーが語っている「暴力によらぬ支配」の台頭と同じ現象っではないだろうか。

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    2016年06月05日
  • 解放令の明治維新 賤称廃止をめぐって

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    歴史の授業で明治になって穢多非人身分が解放されました、と教わる一行の中に含まれる大きな渦とうねりを詳しく知ることができる。穢多が百姓と一緒になるということは、百姓が穢多になることだと起こる反対運動、建前上身分は一緒になったものの実質の差別がなくならない上生業を奪われることになった穢多身分などなど、多面的に明治期の解放令を解きほぐす好著。

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    2014年06月20日
  • 江戸の非人頭 車善七

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    古本で購入。

    江戸に4人存在した非人頭の中で、最大の勢力を誇った浅草の車善七。
    「車善七」という世襲制の役目が何であったのか。
    以前読んだ同じ著者の『弾左衛門とその時代』が関八州の賎民を支配した「弾左衛門」というシステムの実態に迫っていたように、本書では江戸の非人を支配した「車善七」というシステムについて明らかにしようとする。

    とは言うものの、車善七には謎が非常に多い。

    まず江戸初期の居住地が定かではない。
    寛文7年(1667)に新吉原に接する役宅に移り、そこで江戸時代の終わりを迎えるが、それ以前の十数年間のことがよくわかっていない。
    浅草の鳥越にいた車善七が山谷堀のどこかに移り、そこか

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    2013年08月16日
  • 弾左衛門とその時代

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    古本で購入。

    江戸時代、穢多頭として関八州の非差別民を支配した弾左衛門。
    職名であり人名として代々受け継がれた「弾左衛門」というシステムとは何であったかを解説するのが本書。

    弾左衛門は役所を持ち、町奉行の下部組織としてお仕置御用やお尋ね者の探索など、警察の下級機関のような職掌を務めていた。
    筆者はそれら警察・司法の下級の仕事こそが「弾左衛門」の本来の任務であり、そこに皮革を取り扱う穢多がくっ付いた、と仮定している。

    つまり、「弾左衛門」という職掌があり、それは武士階級と強く結びついている。
    そこへ武具・馬具の材料(皮革)の生産者として武士階級に必要とされた穢多身分の人々が呼ばれ、いつの間

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    2013年08月16日
  • 弾左衛門とその時代

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    恩師がオススメしていた一冊です。
    中世から明治時代に掛けて世の潮流に翻弄されていく被差別部落の流れが理解できたような気がします。
    特にこれから教師となる人にはぜひ読んでいただきたいです。

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    2012年06月14日
  • 乞胸 江戸の辻芸人

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    歴史の暗部に
    埋もれてしまいそうな
    「文字を持たされなかった人々」の記録

    江戸の悪処や悪人、いかがわしい土地の貧しい芸人の姿の中にこそ
    語られるべき本当の歴史が宿っているような気がする

    沖浦和光さん、網野善彦さん、宮本常一さん
    佐野真一さん、小沢昭一さん
    この人たちの著作が面白いと感じている人には
    たまらなく 興味深い 一冊でしょうね

    私たちの国の
    歴史の中に
    確かに 存在した
    この人たちのことを
    私たちは
    忘れてはならない

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    2012年05月10日
  • 解放令の明治維新 賤称廃止をめぐって

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    明治維新にともなって、士農工商の更に下の人たちに出された解放令について。史料を読んでいく風なつくり。

    上の人が「開明しましょう」「人道でしょう」と勝手にやったことではなく、弾直樹の当事者運動的な部分もちゃんと見なければという指摘がある。
    その一方で、新政府が税金を「平等に」取り立てるために上から押付けた「解放」であるという指摘もある。

    新政府への不満を募らせた農民たちによる一揆で、仮想敵とみなされた「新平民」の村が襲われる部分は現在を連想させて恐ろしくて、愚昧な農民どもへの怒りが募る。
    が、愚かな反革命にしか見えない暴動の裏にある農民たちの苦しみや、権力に抗ってでも守りたいものについても思

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    2014年06月21日