塩見鮮一郎のレビュー一覧
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乞食、売春婦、ハンセン病患者、辻芸人、サンカ、アイヌ、俘囚、障害者。江戸よりはるか昔から存在し、社会システムの下層を支えていた人々は、維新後の西欧化社会の中で「近代の目」により「異形の人」として再発見された。じゃあ彼らの歴史や社会はどういうものであったのか、彼らはどの様な存在だったのかを紐解き考察する秀作。
「近代の目」の例えとして出てくる徳冨蘆花、夏目漱石のエピソードは面白かった。漱石に至っては今感覚では差別主義者全開だろうが、それが明治期一流の知識人である事も感慨深い。
三角寛は置いといて、鷹野弥三郎、石角春之助、菊池山哉と行った在野の研究者を知れたのは良い経験だった。 -
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小説「浅草弾左衛門」の副読本として。
教科書ではほぼ触れられない日本史の裏側。士農工商から漏れた被差別民である穢多・非人という存在と彼らを統率した浅草弾左衛門の歴史を詳細かつ丁寧に記録している貴重な一作。
江戸時代の被差別民の制度や仕事内容、権力者との結びつき、「解放令」後の彼らの消息… 差別故に特権を享受できた江戸期、権利だけ奪われ差別心だけ残された明治期。近代日本の差別の遍歴を垣間見る一作としても良かった。
作者も強調していた一文をひとつ。
“清めが汚れに反転する”このパラドックスが日本の差別意識の最深部にある。
幕末の混乱期、行き倒れの死体や浮浪者の世話をし、荒れた市内を清掃した -
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現代の社会にも残る差別問題のルーツを学ぶ。
弾左衛門達は明治維新によって、ある意味では最も影響を受けた人々かもしれない。
封建社会は身分と職業が紐付いていた社会だが、必ずしも人々の幸福度を損なってはいないところに、現代社会の我々の理解が及ばないところがある。
「解放令」は土地の商品化のためだとする説(大久保利通の頭に描かれたプログラム)がある。
①無税の土地をなくす。賤民の名の下に無税の土地を与えられているのをなくすためには、まず「解放令」を発布し、被差別の身分をなくす。彼らが特典を持てなくする。
②土地永代売買禁止令を廃止する。
③地券を交付し、地価の3%の税をかける。
以下引用~
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