マルキ・ド・サドの長編は、現代の感覚から言うときちんとした小説じゃないよな、とか思ってしまうのですが、短編作品はすごく好きです。「恋の罪」所収の「エミリー・ド・トゥールヴィル あるいは兄の残酷」は中でも一番で、エロスと残酷さがあいまってたまらない。
恋人との逢瀬を重ねていた令嬢エミリーは、さる男には
...続きを読むめられてあわや貞操の危機に。そこを救い出したのは彼女の二人の兄なのだけれど、兄たちは彼女を古城に閉じこめて殺そうとする……という話で、最後はハッピーエンドですが、この兄たちが鬼畜でいいんだな。