佐藤洋一郎のレビュー一覧

  • 稲の日本史

    購入済み

    既存概念からの脱出

    ラオスの焼畑農業の場面がとても印象に残った。よく「日本古来の伝統 風習 慣習」と言われるが、家族制度などでもたかだか200年程度明治の頃の仕組みを「日本古来の」と言っているケースが多い。米づくりについても水田栽培が一般化するのはコメの生産高が「富」の基準となった江戸時代以降であり、それ以前はずいぶんと粗放なものであっただろう、という主張が説得力を持って展開されている。

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    2024年05月03日
  • 和食の文化史

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    『たべものラジオ』で聞いた話もちらほらありつつもやはり食文化の話は面白いなと再認識。東西の違いや後半の8章9章は個人的にも特に興味深いところ。

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    2024年02月21日
  • 知ろう 食べよう 世界の米

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    お米って日本とインドの2種類と思っていたから、もっとたくさんのバリエーションがあると知ることができた。
    学術的なことだけではなく、食べ方、利用され方を軸につづられているところが面白い。

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    2024年02月18日
  • 京都の食文化 歴史と風土がはぐくんだ「美味しい街」

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    たまに京都に行く大阪人の私が、へえーと初見のことばかりでした。京都観光をより楽しくさせてもらえる食の文化史。
    地理的要因や歴史的背景をふれながら、京都地産の食材から伝統的な懐石・会席まで幅広く紹介してくれる。伝統的な美味い店の紹介も。
    歴史好きで京都の食に興味がある人は絶対に買うべき一冊。京都の食を一層深堀するための参考図書を紹介してくれるのも心憎い。著者のさりげないこころ配り、好きです。

    本作に記載されていない京都の美味い食品や料理があればコメントやレビューをお待ちしています。

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    2023年02月21日
  • 稲の日本史

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    水路跡など栽培の痕跡が発見できない=稲の栽培していなかったではない、という考え方は目から鱗でした。
    移植栽培ではなく、乾田直播などは現在の稲作で見られますが、陸稲……しかも焼き畑で、ということは考えたこともありませんでした。
    確かに、現代のように重機どころか、鉄の鍬すらない時代に稲作を行う場合、そのような方法で稲をつくった可能性がありますよね。
    そうすると、稲作の跡は発見されない。
    弥生時代になって一気に水稲が普及したイメージがありましたが、縄文時代から焼き畑の陸稲稲作があり、そして弥生時代も水稲が広まったわけではなく、縄文時代の延長の時代が長かった。
    と、骨の炭素分析等からの解説はたいへん興

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    2021年05月31日
  • 米の日本史 稲作伝来、軍事物資から和食文化まで

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    日本人にとって特別な食・コメ。稲はどこから日本列島に伝来し、どのように日本に普及したのかなど、稲作の起源を解説します。各時代の中でどのように米が作られ、そして水路建設するほど水利に力を入れ、お酒や和菓子づくりなど米食文化が花開いた近世時代を紹介します。さらに、戦国時代、明治の富国強兵、そして、先のアジア・太平洋戦争を支えた米と兵站・ロジスティックの相関も考察します。農学や文化の視点を交えながら「米食悲願民族」日本人の歴史を解き明かします。最後に、日本の少子高齢化と低成長、あるいは社会の縮小を前提としたときに、「地球環境」の視点で、持続可能な社会のために「米と魚(淡水魚)」のシステムこそが日本の

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    2020年12月07日
  • 食の人類史 ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧

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    アジアやヨーロッパで展開してきた狩猟採集や農耕の歴史を、自然環境や植生などとからめて描く。地理学、考古学、人類学、etc.多岐にわたる内容で、ものすごく濃厚。農耕、狩猟、採集とはなんぞ、ということを勉強できる一冊。

    完全に農耕だけに頼る文化はいまだかつてこの世に存在していない、というのは普段あまり考えたことなかったから、目から鱗だった。

    あと、終章で和食がユネスコの無形文化遺産になったことに触れつつ「和食の再認識は、じつは日本の風土の再認識でなければならない」と指摘している。まさにその通りだと思う。

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    2018年05月28日
  • 米の日本史 稲作伝来、軍事物資から和食文化まで

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    農学者による米の歴史の本です。
    本書では日本史を大まかに6つの時代に分け、それらの時代の、米に関係する農業、土木、食文化などを取り上げています。
    「歴史をひもとき、物語を構築するのは歴史学者の仕事で、わたしの仕事ではないからだ。わたしがやりたかったことは、その歴史を通史として描き出すことではなく、むしろ時代を重ねそれを重層的にながめることによっていまの米食や稲作が何であったかを描き出すことである」(p.282)
    この引用のとおり、歴史を軸にしてはいるものの、歴史そのものを語ろうという本ではありません。

    農学者だけあって、理科の話が豊富なのが良いところです。例えば次の箇所。
    「イネの品種は栽培

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    2025年09月20日
  • 和食の文化史

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    ひとくちに“和食”と言えども、その世界は多彩で多様。
    日本各地や歴史の中での食を解説し、その継承をも考察する。
    ・はしがき
    第1章 人類の食、日本人の食 第2章 こんなにもある和食材
    第3章 東と西の和食文化   第4章 都会と田舎の食
    第5章 江戸と上方―都市部の食
    第6章 二つの海―日本海と太平洋
    第7章 海と里と山―里海・里地・里山
    第8章 武家・貴族・商人の食 第9章 はしっこの和食
    終章 いくつのも「和食」を未来へ
    ・あとがき
    参考文献有り。

    日本って狭いようで広いなぁと実感する“和食”の数々。
    その地に合った食材で生み出された“和食”の数々。
    南北に亘る島国に内在する山や川、盆地

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    2024年02月26日
  • 京都の食文化 歴史と風土がはぐくんだ「美味しい街」

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    著者は農学博士であるので、米(+水で酒)や京野菜について書かれているのは勿論、魚やお茶(茶菓子)、パンやコーヒー、ラーメンまでバランスよく目配せしている好著だと思う。こういう下地を身に付けていると、京都の食をより楽しめる。

    個人的には観光地でも繁華街でもない学生街でいい洋食屋を見つけたいと思っている。旅行客に頼らない、学生と地元の人相手に成り立っている店は堅実な味を提供してくれると思う。学生の街でもある京都のこれも一種の京料理。

    大垣書店イオンモール京都五条店にて購入。

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    2022年12月24日
  • 食の人類史 ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧

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    森川海の連環、狩猟・農耕・牧畜3つの生業の関わり。食を巡って自然がどう手懐けられ、その自然と人の関わりが人の歴史をどう動かしてきたか、大きな視点で整理されている。

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    2021年12月06日
  • 米の日本史 稲作伝来、軍事物資から和食文化まで

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    米の歴史は非常にスリリングでミステリアス。
    一読して、そんな感想を持ちました。
    本書はタイトル通り、米の歴史をひも解いています。
    まず、その歴史区分がユニーク。
    章立てが、そのまま歴史区分となっているのでご紹介します(カッコ内は分かりやすいよう評者が加筆)。
    ①稲作がやってきた―気配と情念の時代(おおむね弥生時代の前半まで)
    ②水田、国家経営される―自然改造はじまりの時代(弥生時代後半から古墳時代、飛鳥時代まで)
    ③米づくり民間経営される―停滞と技術開発が併存した時代(奈良時代から室町時代ころまで)
    ④米、貨幣になる―米食文化開花の時代(戦国時代の後半からほぼ江戸時代いっぱい)
    ⑤米、みたび軍

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    2020年12月13日
  • 米の日本史 稲作伝来、軍事物資から和食文化まで

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    タイトルは『米の日本史』ですが、著者は農学者で、米と日本人の出会いと歩みを農業、植物、遺伝、歴史、民俗、地理、食文化など、さまざまな学問分野から重層的に描き出そうと試みています。それゆえ、歴史学的な記述は非常に大雑把なものですが、米(稲作)を通して自分の視野が日本史以外の他分野へと大きく広がった思いがします。ジャポニカ米とインディカ米の名称の由来とか、二毛作を支えた肥料とか、興味深く読みました。
    ただ、時代区分とその呼称が非常に独特で、「気配と情念の時代」(弥生時代前半まで)や「停滞と技術開発が併存した時代」(奈良時代から室町時代まで)など、ぱっと見ていつのことかわからないことが多くありました

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    2020年05月11日
  • 米の日本史 稲作伝来、軍事物資から和食文化まで

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    日本人の食性のみならず生活文化の根幹をなす「米」の来歴についての本書は実に興味深い。日本人がどこから来たかとの起源にも思いを馳せたくなる知識にはロマンを感じた。
    本書を読むと田作りの膨大な作業量に気がつく。人の営みとは実に偉大であると思った。我が祖先は勤勉だった。
    「米」というものはいつの時代でも政治史・民衆史と繋がる。歴史を読み解く時の背景史として本書の知識があると、より深く想像と理解の翼が拡がるとも思えた。本書を高く評価したい。

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    2020年04月10日
  • 食の人類史 ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧

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    「教養」とはこういうものかを実感できる書である。
    サル学や現代政治における民族問題もそれぞれ興味深いが、本書を読むとそれら一見別個の研究の繋がりが見えてくる様な考えを持つ。
    ヒトは何処から来て何処へ行くのかは、誰しもが一度は考えたことのあるテーマだが、本書を読むとその想いが一段と高揚するように思えた。

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    2019年02月15日
  • 稲と米の民族誌 アジアの稲作景観を歩く

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    農学博士による、東アジアにおける稲と米の研究結果をまとめたもの。純粋な研究結果というよりも、研究旅行記といった方が的確かもしれない。書かれているのは、インド、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、中国の6カ国。研究結果も興味深いが、旅行記部分も楽しく読めた。
    「世界には、世界三大穀類と呼ばれる種類がある。米、小麦、トウモロコシの三種で、額面上の生産高はトウモロコシが一位である。しかし、トウモロコシは家畜の餌として消費されたり、アルコールに加工されたりする分が多く、直接人の口に入る分でいうと、じつは米が世界一多く食べられている穀物なのである」p12
    「(米栽培には大量の水が必要)1キロの米を作る

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    2018年10月23日
  • 知ろう 食べよう 世界の米

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    パスタに蕎麦、うどんにそうめん、ラーメン、冷麦。麺類も大好き
    だけれど、1日1回は口にしないと落ち着かないのがご飯である。

    炊きたてご飯の香りは幸せである。最後の晩餐なら、最高の
    日本米で作ったおにぎりを食べたいっ!あ…涎が。

    でも、日本で食べられているお米だけが米ではない。世界には
    いろんなお米があって、いろんな食べ方をされている。それを
    ジュニア向けに書いたのが本書。

    ジャポニカ米とインディカ米の名付け親って日本人だったのね。
    そんなことも知らずに毎日、モリモリとご飯を食べてました。
    すいません。

    冷夏でお米が不作だった時、外国産の米がまずいやらなんやら
    と話題になったが、そもそも

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    2017年08月18日
  • コシヒカリより美味い米

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    タイトルからすると「そうだよね、最近は九州のお米も人気があるから、コシヒカリだけの時代ではないよね」という内容かと思いきや…さにあらず。
    改めて今のお米の品種を取り巻く環境がいびつで、不自然であることがよく分かりました。
    色々な意味で多様性という考えは大事ですね!

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    2013年06月29日
  • 稲と米の民族誌 アジアの稲作景観を歩く

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    稲の起源を追い求め、30年にわたって海外調査を続ける筆者が書いた紀行文。
    地理学や遺伝子学などを通して様々な考察が上がるが未だ結論は出ていないらしい。
    結論は出てないにしろ好きなことを追い求める姿勢が羨ましく感じました。
    日本の稲はなるべく低く、多収量な品種が好まれ、それが当たり前です。
    しかし世界の棚田では敢えて稲の脱粒性が高い品種でそれが持続している場所もあり、肥料や機械、場所の問題と戦っていることを知りました。
    いろんな品種を蒔き、成長がまばらで収穫時期が違うことが1日の労働を抑えたりなど、モノは考えようでいかにその環境で暮らすかという思想は今の消費社会より健全だと感じます。
    稲も人もモ

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    2025年10月16日
  • 京都の食文化 歴史と風土がはぐくんだ「美味しい街」

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    京都の食文化について、色々の視点から見ることができた。食文化を大切にしていきたいと改めて思わせてくれる本。

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    2024年07月27日