森健のレビュー一覧
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ネタバレ小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの 単行本 – 2016/1/25
人間というものは私生活も含めあらゆる角度から見ないと本来の姿は見えてこない
2017年8月26日記述
森健氏による著作。
2016年1月30日初版第1刷発行。
森 健(もり・けん)
1968年1月29日、東京都生まれ。ジャーナリスト。
神奈川県相模原市で育つ。1992年早稲田大学法学部卒業。
在学中の1990年からライター活動をはじめ、
科学雑誌、 経済誌、総合誌で専属記者を経て、1996年フリーランスに。
2012年、『「つなみ」の子どもたち』(文藝春秋)と
『つなみ 被災地の子ども80人の作文集』(企画編集、文藝春秋)で第43回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。
2015年、『小倉昌男 祈りと経営』で第22回小学館ノンフィクション大賞の「大賞」を受賞。
ヤマト運輸2代目社長であった小倉昌男氏についての本。
2005年6月30日に亡くなった。
しかし亡くなった場所がアメリカのLA。
その点に疑問があったこと。
もうひとつは小倉氏が経営者引退後にはじめた福祉事業はどのような背景、思いがあってのことなのか不明確であった点に関心を持ち調査しだしたことだ。
実際にヤマト運輸の経営者時代に障害者福祉の活動をしていた形跡はなかった。
またそこから分かったことは小倉氏の率直さ、信仰、愛といったものを感じずにはいられなかった。
また人間というものは私生活も含めあらゆる角度から
見ないと本来の姿は見えてこないのだということを痛感した。
小倉氏本人の著作からヤマトに関する書籍などは多い。
ただ小倉の私生活面にスポットをあてた本はなかった。
小倉氏をよく知る人物たちへのインタビュー。
岡本和宏氏(1966年入社)
高田三省氏
伊野武幸氏(ヤマト福祉財団常務理事)
藤井克徳氏(社会福祉法人きょうされんの常務理事)
小林敬三氏(元カトリック麻生教会司祭)
娘の真理氏、息子の康嗣氏へのインタビュー。
大変興味深い。当時の小倉氏の悩みは相当のものだったろう。
小倉氏は1980年代各地方を訪ねているが、特に北海道は頻繁に訪れていた。しばしば妻の玲子氏を帯同。
妻の旅費は必ず自費を用意し会社にもたせることがなかったという。
(本書内では何気ない一節ではある。しかし極めて重要な点だ。この部分だけでも小倉氏がまともな人間であることを痛感する)
娘の真理氏の精神的な病。
そして妻の玲子氏も周囲、親族からの責めによって
精神的に病んでいた。
小倉の父・康臣から嫌われていたうえ、康臣の3人目の妻からもしばしばいじめられていた。
玲子は当時では珍しく高学歴の女性で、(聖心女子大学卒)
人に媚びない淡々とした性格だった。
そうした所が養父の康臣やその妻には不評だったのである。
当時の真理氏の破天荒な振る舞いが周囲で取り沙汰される。
それに伴い娘を教育できていないと苦言をしばしば受ける。
真理氏は1990年1月元米海軍のダウニイ氏と結婚。
まもなく子供も生まれた。
(1996年までに4人の子供が生まれた)
小倉氏は死期を悟り無理を押してアメリカの真理氏の元へ
そこには真理氏の面倒をみようとする親の愛であった。
福祉財団を立ち上げた背景には妻、娘の精神の病と
向き合うことになったことがある。
その娘の真理氏も身体に合う薬もあって病を克服し
本来の自分を取り戻せたことは何よりの結果である。 -
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ネタバレデジタル革命による資本主義の常識の変化について描いた一冊。デジタルを技術面ではなく、経済社会歴史の側面から分析し、将来について論じている。
シンクタンクの本だけあり、データ豊富で示唆も豊富である。
構造的な分析もありおもしろい。
メモ
・シェアエコ は投資抑制、雇用抑制的な部分がある。
・日本、直近は人口減だが一人当たりGDPは増えている。
・海外と比較し、日本のみ労働生産性上昇に対して賃金が上昇していない。非正規雇用などの雇用シフトや自動化投資への偏重などが原因か。
・デジタルによって引き起こされた経済のピンボケ。
・資本主義とは差異の発見活用創出を通じて利潤を獲得し、資本の永続的な蓄積を追求するシステム。
・デジタルにおいても、時間、こだわり、信頼のようなものはコピーできず希少性を持ち続けるはず。
・生産者余剰はGDPに換算されるが、消費者余剰は換算されないのがGDPが伸びない大きな理由。
・従来のイノベーションは需要が伸びることで限界費用が小さくなっていたが、デジタルディスラプションでは限界費用のみが劇的に下がり、消費者余剰のみが増大する構造になっている。
・シェアエコ と相性がいいのは資産の価値が高い✖️使用頻度低いもの。
・シェアエコ の価値算定にあたっては、プラットフォーマーの生産者余剰と利用企業の生産者余剰とユーザーの消費者余剰の三要素から構成される。
・デジタル時代にコピーできないもの人々がお金を払うもの
即時性、パーソナライズ、解釈、信頼性、アクセス可能性、実体化(ライブコンサート)、支援者(投げ銭、お布施)、発見可能性(Netflix)
突き詰めると時間、こだわり、信頼となる。
・信頼を構築する基盤が変わる。多対応多の個人間の関係性から信頼構築されるのでは。
・一律ではない価格設定により生産者余剰を拡大する。
・デジタル資本主義ではネットワーク効果、数が多いことが重要になる。大企業による規模の経済とは異なるエコノミクスが働く。かずも多様性も価値となる。 -
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森健『「つなみ」の子どもたち 作文に書かれなかった物語』文春文庫。
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。東日本大震災であの大津波の惨事を経験した子供たちが書いた7つの作文の背景を丁寧に取材したノンフィクション。
何よりも子供たちの書いた作文から伝わるストレートな思いに驚いた。簡潔かつ的確な表現は当時の恐怖を伝えてくれると共に失ったものへの悲しみ、前を向こうという強い決意が読み取れる。
2011年3月11日14時46分に発生した地震は6分間に及ぶ長い時間激しく揺れ、子供たちの作文にも描かれているようにまさに日本の終わりかと思うような恐怖を感じた。外に避難し、雪が舞い落ちる中、ワンセグ放送を見ると宮古市の港を大津波が襲う映像が写し出されていた。この光景を間近で目撃した子供たちの動揺は計り知れない。1週間後に被災地に暮らす安否不明の両親の元に向かったが、途中で目にした完膚なきまでに破壊し尽くされた沿岸の街の光景は今でも忘れられない。こうした悲惨な出来事に遭遇しながらも互いを思いやり、再び立ち上がり前を向こうとする逞しい思いが、子供たちの作文と後の取材から伝わってくる。
あの日のことを決して忘れてはいけない! -
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センター試験にの評論問題に採用されるような,非常に読みやすい文章。
現代において,人は「モノ」に執着するのではなく,「コト」に価値を置き始めている。
本書でも取り上げているが,例えば音楽業界では,CDなどの媒体からiTunesから直接ダウンロードする形にニーズがシフトしていった。これは単純に物理的な領域排除と,特定の曲のみを購入したい場合に重宝する事が考えられる。そして今,iTunesから,スポティファイなどのサブスクリプション型で視聴する割合が増えてきた。これは正に「コト」体験のニーズを明らかに示しているが,実は曲のデータを「仮想的物理領域」と人々が捉え始め,最早デジタルデータに関しても仮想的に,物理的な「モノ」として扱い始めてしまっているのではないかと考えてしまった。
確かに今,iPhoneのデータ容量を常に気にしている。
デジタル革新が飽和した後次は一体何が来るのか非常に興味深い。
学ぶことは怠らないようにしたい。
本書も繰り返し読み,書評についても随時更新していく。 -
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シンクタンクであるNRIの整理・分析・考察だからか、とてもスムーズに論旨が沁み込みました。先ずは、商業資本主義→産業資本主義→デジタル資本主義という超大雑把な時代区分がめちゃくちゃわかりやすいこと、「消費者余剰」を生み出す各種サービスのデジタルトランスフォーメーションが「生産者余剰」の指標であるGDPじゃ捉えきれなくなってきていること(お恥ずかしながら「消費者余剰」という言葉、本書で初めて知りました…)、ハンナ・アレント「人間の条件」の「労働」「仕事」「活動」という概念から援用した「労働社会から活動社会へ」という移行が行われること、その時「労働生産性から知識生産性へ」というキーワードによって情報の付加価値転換率がビッグデータ時代の競争優位性になるということ、そして、その「知識生産性」とは消費者と生産者の恊働活動なのであるということ…「フムフム、なんかわかる気がする…」の連続でした。あまりに「わかる気になる」感じが凄すぎて一日で読んじゃったので、もう一度落ち着いてページ捲り直します。ハンナ・アレントのみならずジャン=ジャック・ルソーの一般意志も登場し、我が同胞からも岩井克人、柄谷公人も大活躍の論なので繋がり読書もがんばらねば…
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ネタバレ消費者余剰=支払い意思額ー価格 =お買い得感 ⇒増加
生産者余剰=コストー価格 =企業利益 ⇒減少
第一次デジタル革命
「活動」「仕事」の領域が増え、「労働」が減っている。
評価 利用 消費
サービス業比率 世界就業者の約半数、日本の7割
SDL サービス ドミナント ロジック
効用+aaS
API 連携
POU point of use サービス改変のスピードアップ
CX カスタマー エクスペリエンス エコシステム
プラットフォームの自律的連携
消費者とつながる →様々な効用が提供可能に
発想転換の壁
店舗は売るより展示料で儲ける
エバゴギクス社 機械学習により脚本から興行収入予測
オープン化の壁
効用を計測、対価分配
アジャイル開発、利用者との共創
Well being =持続的幸福
生活満足度上昇 世界的傾向
GDPは国力や軍事力の指標、それでは質は測れない。
GDP-B B=Beyond、Benefit MIT
デジタルが生み出す消費者余剰を金銭換算
FBの受け入れ意思額42ドル/月*ユーザー数
米国のGDP成長率は0.1%程度上がる
DESI Digital Economy and Society Index EU
生活満足度との相関係数0.82
接続性、人的資本、ネットサービス、公共サービス
GDP+i RSM+NRI 日本
全デジタルサービスの消費者余剰
日本161兆円 2016年
デジタルサービス6~10万円/人・月 相当のお得感
GDP0.7%→3.8%成長になる。
DCI Digital Capability Index NRI 日本
デジタル技術 「機会の均等化」
GDP+i +DESIを参考に生活満足度
Digital Government 国連
日本10位と高いが、労働生産性や幸福度高くない
→活用されていない
エストニア 1991年ソ連から独立 Skypeの開発
市場刺激型
実験的なサービス展開で得られた成果を海外展開
人口減少が2016年から増加に
銀行商取引の99.6%がオンライン
納税の97%
医療書類の98%
起業申請の98%
国会議員投票の24%
確定申告の94%
eIDカード15歳以上に義務付け X-Roadシステム
旧ソ連の軍事宇宙開発IT技術者多数
ロシアからのデータ避難の必要性
人口わずか132万人
紙削減でGDP2%相当経費削減
日本の半数(タリン市307人/職員)で行政サービス -
Posted by ブクログ
世の中を豊かにしているデジタル技術が今の資本主義や民主主義にどんな影響を与えうるのかをまとめている。
GDP推計の限界と他の経済指標の模索。
消費者余剰(お買い得感)の向上と生産者余剰の減衰に関してシェアリングエコノミーを起点として語られている。
今デジタル技術によってどんな変化が起きているのか、また、これから起きようとしているのかがわかりやすく書かれている。
デジタル技術に対する各国の考え方は文化や宗教などにより多様であり、資本主義の奴隷として活用するか、ユートピアチックな共有財の経済を作り上げるか、間を取るかはこれからの私達次第である、