ARUKUのレビュー一覧
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虹色村は地球から遠い星にある開拓地。優しいチロリと、彼に心を寄せる幼なじみ・アキラの話。
星の古い住人や不思議な生物たちが出てくる、宝石箱みたいなファンタジー。子供の頃のようにわくわくしました。
あらすじとレビューをもとにイメージしていた、牧歌的でほのぼのした話ではなく、もっととてもドラマチックな展開でした。そして主人公はシータでありナウシカだった(笑)。
ARUKUさんの作品はショックな現実から希望が垣間見える話という印象でしたが、本作はとにかく明るいほうへ向かう、救いのある読後感。めでたしめでたし!と言いたくなる。BLとしてはまだラブにもなってないけども、アキラはきっと報われると信じてま -
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ARUKUさんも繰り返し同じテーマで作品を描かれている人だ。持つ者と持たざる者の対比。どちらが幸福かを天秤にかけない。不幸を競わせたりもしない。
北条と柾、秘密の友達的に始まる物語。こういう秘密の友達って読むと未だに気持ちが十代に戻る。1対1だったらうまくいくのに、他の人間がいる前ではうまく喋れない感覚とか。だからか、未だに1対1以外の会話を信用しない癖があるしなぁ。秘密の友達的なBLは結構読んだが、個人的にハマるジャンル。
「思い出にできない」って凄い言葉だな…思い出に出来ないよ人は前へ進めないんだなぁ…自我を自覚したかのような柾の思春期到来の瞬間描写が素晴らしい。『ビター×スイート』のつっ -
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コミックスになるのを待っていました。
全寮制男子校が舞台の学園モノです。神父萌えもできて嬉しい1冊。
切なく痛みも伴いますが、でもキラキラと胸キュンもしっかりありました。
学園ヒエラルキーが招く苦しい恋物語。金持ちの子と貧乏な子の間にある深い溝が、純粋な気持ちを阻んでしまいます。
だからと言って恵まれた環境に生きる北条が満たされているかというとそうではないし、仲間はずれにされ独りぼっちのの柾が弱々しい可哀相な子かというとそうではなく、意外に強気。
このあたりの描き方がほんとにうまい。
一見ふつうの俺様×ツンですが、その中に愛とやさしさがちゃんと内包されていて胸にぐっとくるものがあります。
猫 -
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ネタバレアルクさんのお話の中では、一番可愛いお話だと思ってます。
一応、SFですが、のどかな雰囲気です。
のどかなのですが、何処か物悲しい。
「雨ニモマケズ」な心優しいチロリとチロリが好きでたまらない幼馴染みのアキラのお話。
想いは全くもって成就しないし、BL要素はないですが(あ、いや話の核になる開発計画の元は、アキラパパのチロリパパへの恋慕が元なんで、一応BLでないと成り立たない?)とても素敵な作品です。
萌えと云われると萌えかなあ?と思いますが、読み終わった後にじんわりきます。大好き。
アルクさん読んだ事ない人には、チロリと猿喰山、どっちを勧めようか悩みます。もしくは「ビター×スイート」か。 -
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ネタバレいま出ているARUKUさんの商業コミックスがこれで最後なので、勿体なくてとっておいたのですが結局読んでしまいました。
ああ、矢張り素敵。
何処だか分からない、彼岸と此岸の境の街の骨董屋さんのお話。
どれも素敵ですが、硯の話と軍人さんの話が好きです。
主人公が巻き込まれたであろう事故。天宮とキッカ。謎は深まりつつ、二巻へ。
巻末に大好きな俳句のシリーズの続きもありました。
ハッピーエンド(?)ですが、これで終わってしまうのは淋しいなあ。
ページ開いて思ったのですが、人の顔が以前よりもこなれてきたような気がします。まだまだ体が異常に小さかったりバランスが気になるコマもありますが、味が消え -
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ネタバレよくよく考えたら、この一冊は皆ハッピーエンドじゃないですか?
状況や雰囲気の悲壮感はいつも通りですが、これは素晴らしい。
表題作、いいですねえ。
毎回読みながら、ARUKUさんの漫画には露西亜似合うかもと思っていたので、嬉しいです。
どの話も大人の童話という感じで、漫画というよりも小説の短編集を読んだ気分にさせられます。
最初絵が苦手だったのですが、この話にはこの絵じゃないと駄目でしょう。雑誌のインタビューで、漫画の原作もやってみたいと仰っていらしたと聞きますが、ARUKUさんの話はご本人の絵じゃないと味が出ない気がします。
本当、麻薬のよう。 -
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ネタバレこの方は、如何してこんなに残酷なんだろう。
それがどうしてこんなに染みるんだろう。
表題作、何故だかあの後に画家が幸せになれた気がしないのです。音楽家も、如何してあれだけで手放してしまったのか。そこらが分かり辛いので、更にもやもやします。
ARUKUさんの受って如何して孤立無援なんだろう。貧乏よりもそこがつらいです。
誰にも気付かれず、ひっそり消えてしまうイメージ。
この不安感も染みるんですが、もう少し幸せでもいいかも。
この中では、名もなき人の話と遠足が好きかなあ。
最後の馬の話は、この子は耳が聞こえないんですよね。
その割に話が通じているのは、唇を読んでるって事でしょうか。
受くんよ -
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全部読み終えて、感動してしまったのでもう一度読み直してしまいました。何度読んでも泣ける…
家族を全部亡くして、生きる気力を失っていた秋緒は、それでもキッカに助けられながら古道具屋の「明日屋」を切り盛りする毎日です。相変わらず持ち込まれるものはいわくありげ。
BL臭はきわめて低いんですが、それを補って余りある面白さです。今回も泣けました。人の情とか想いの強さが、どの話からも強烈に伝わってくるんですよね…
「扇」「火鉢」「鞄」にはぐっときてしまいました。せつない…そして、どんな相手に対しても真摯に力になろうとする秋緒の姿に心打たれます。自分だって辛くて悲しいだろうにと思うんですが。
そこには、 -
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絵柄で食わず嫌いだった作家さん。深く反省しています。
やっぱり絵柄は苦手だし、魑魅魍魎とした話は好物だけどあんまりBLぽくないし…と、気乗りせずに読み始めたんですが。
涙腺決壊でした。
両親と姉を交通事故で亡くし独りきりになった秋緒は、遠縁の親戚から譲ってもらった古道具屋を切り盛りすることに。
何の知識も無いまま始めた商売に、友人の天宮はだまされるのがオチと冷ややかな反応。さらに、面妖な客が持ち込む道具はどれもいわくありげで、その度に秋緒は生死の因縁が巻き起こす不思議な騒動に巻き込まれてしまいます。
1話完結のエピソードがどれも切なくて、心の琴線に触れるものばかりでした。絵柄も読んでるうち -
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首をかくんと傾げ、俯いて、自分の足元ばかりを見て、人と目が合わないように前髪の下に目を隠すように生きている男の子が幸せになる物語を描き続けているARUKU作品。こう言う人間には、強引で、そしてゆるぎない愛を保証してくれる言動が取れる、誰よりもお前が大事で他の人間はないがしろにしてもいい、と言うくらいの、誰よりもえこひいきしてくれる特別な愛情を向けるくらいの偏りがある相手が現れないと、目線を上へ向ける事が出来ない。ちょっと上向くだけでも、蓮根の様な人間には、一生分の勇気を消費するくらいのことなのだ。そして、一度上を向けば、戸惑いながらも相手を大切に想い、相手の想いに応えたいと自分を高めなきゃ駄目
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いつもとひと味違うARUKUさん作品。 でもARUKUさんのこういう、ただひたすらに甘いBLを楽しむ作品が一度読んで見たかったので大満足(*´Д`)!!
モテない人生まっしぐらの蓮根(過去のあだ名はレンコン)に、勝ち組人生驀進中の同級生・藤原がアタックしまくる話。 人魚も妖怪も出てこない現代日本が舞台(笑)
自分が男として嫉妬を感じてしまう「非のうちどころのない藤原」に言い寄られて逃げ惑う蓮根。だけど羨望の的である人間から好かれる優越感…。 この葛藤してる姿からもぅ蓮根は内面が「恋する乙女」だし、イケメン藤原は「恋は盲目」を地でいってるし。 端からみるとただのカップルのプレイなんですけどー( -
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号泣必死の『地上で最も美しい生き物』。寓話か、もしくは昔話を聞いたような気分になる。助けられた動物が、その身を削って恩返しをしにやってくる、そんな昔話を読んでいる気分になる。美しいと形容する時、それはどんな意味を持つんだろうか。ビジュアル的に見た目の美しさを表す言葉として一番使われる言葉だと思うが、それと同じくらい、心を表す言葉でもある。でも、存在そのものを「美しい」と表現するのは難しい。寓話のような、昔話のような、とは思うが、それは私の ボキャブラリーのなさから生まれたもので、このお話は決して寓話でも昔話でもない。寓話や昔話は後世の人に読み聞かせる時に、教訓や戒めをほのめかす要素が含まれるが
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ARUKU作品が私の中で他のBL作家さんとは一線を引いている部分が あるのは、この世界でたった一人と思っている人間を正面から描いているのに自虐的でなく、淡々と見えるところだ。こう言う孤独な人間がこの世にいるのだ、と声高に叫ぶことは決してない。だけど、孤独な人間はいて、そんな人間が居るのを知らない人も世の中にはいるのだ、と言うことも、声高に叫ぶことなく・・・勝手な思い込みだが、思春期真っ只中に、仲の良い友人に次の日から完全無視された経験や、クラスで仲間外れにされ
いじめを受けた経験のある人間には、昨日のことのように思い出される
孤独が描いてあるからだ。 -
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一冊まるごと、どれも「作家性」に溢れた一品。
●持つ者と持たざる者
⇒社会的地位の高低、知識を持つ者と無知な者
●無償の愛
●無垢なるもの存在
⇒時に無垢ゆえに踏みつけられて片隅追いやられる
そんな存在に気付く者がいる
●肉体的痛覚の麻痺
⇒刃物による肉体損傷の描写が見られるが、その時の感情の
高ぶりに因る痛みの鈍摩を思い知らされる
アルク作品を読んでいると、途方もない悲しみの果てに一条の希望の光が射している、そんな感じがする。悲しみを自虐的に描くのではなく、淡々と描いているからこそ、その絶望の深さが迫ってくる。そして、時にユーモラスな台詞や表情で、のちに光が