たまに読み返すが、一回目に読んだときより数倍面白い読書体験ができる。スルメ本や。
著者の言っている「哲学」が本当の哲学ならば、勘違いしている人が多い気がする。
私は哲学も好きだが、それ以上に思想が好きだったのかな
著者の言う「哲学」というのは、問いに対して正しく考えていく作業のことだと解釈した。
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実在論 懐疑論 可能世界 余人
p37二重スリット問題
「彼女がほんとうは怒りっぽいとか、この部屋は見られてないときには存在しないとか、ぼくたちが培養脳の中の脳だとか、そういうことが主張できるためには、ぼくたちが実際に手に入れられるような根拠がなくちゃいけないってことなんだね!」悪魔の証明、無知に訴える論証
p41「ふつうのひとは誰でも実在論的真理観を持っているね。つまり、人はこっち側に主観的な『考え』があって向こう側に客観的な『事実』がある。その二つが一致すれば、その考えは真理だった、ていうわけだ。」
p88「……最後に生じる味ってものが生じなくても、物理化学的には何の問題もないところだな。味蕾から脳までインパルスが伝達されて、脳に何か物理的な変化が起こるってことは、『味がする』ってこととは別のことだね?」
物理化学的な反応の後に精神主観的な「味」というものがなぜでてくるのかの理由は説明できない。
超越論的観念論……カントが考えたもの。心の外から出て、因果性が心の外の外界で客観的に成り立っていることを証明しようとした。そこでカテゴリーという概念を導入した。
さまざまな感覚的経験にカテゴリーが適用されることによって、はじめて、それが客観的な現実として認められることになる。統覚というはたらきを利用してカテゴリーに従って自分が知覚したり経験したりするさまざまなことを秩序付ける。
五覚では視覚が優先される「幻触」はあまり聞かない。
「ぼく」という存在を起点として「ぼく」の存在証明ができる。「ぼく」という存在に因果は通用しない。
仮に私と全く同じ遺伝子を持ち、全く同じ環境で育った人がいたとして、それは私になり得るか?否。私はここにいる私のみ。こういうことかな。自我で操れないものは自分ではない。
「ぼくらはぼくらの言語とぼくらの理解力の外に出ることはできないんだ。可能性というのはその中でしか考えられない」
p78「色盲っていうのはね、ある色が別の色に見えることじゃないんだよ。ふつうの人が識別できる複数の色が識別できないことなんだよ。」
「意味をちゃんと習得したと認められた後になってはじめて、事実に関して常軌を逸した主張をすることが可能になるんだよ。」
p94「人間の表情や動作や発言は、痛みの本質そのものと直接につながっているんだ。意味そのものを定めているんだから、必然的な関係って言ったっていい。それに対して、中枢神経や脳の状態は、そもそも痛みとは何であるかってことを決めているんじゃなくて、痛みの概念が確定した後で、それがどういう状況と関連しているかってことを言っているにすぎないんだよ」
微笑みうつ病はどうなるのか?
「嘘とはなんであるか、という嘘の意味を考えるときに、嘘発見器を使おうとするようなもの」
夢の本質は眠っている時に見る、ということにある。
恋はその人の持つ性質に向けられたものだが、愛はその人そのものに向けられるもの。p105
存在を定義づけているもの、存在の本質は何であるか?
時空的に連続していること。時空的に連続して生きた人間でありさえすれば、ほかの何が変わってもその人はその人。(自己に限る?)
補足 時空間をテレポートしたとしても、そういうことが現実に起こっていない、ということがぼくらの同一性の概念に影響を与えており、テレポートが起こったように見えても信用しないという前提で人の同一性は考えられている。
勝ったという事実すら消える。現実においては当然のものとなった。人権概念は勝利した。それが「勝てば官軍」の本当の意味
「自分の側からは決して到達できない、相手の固有の価値みたいなものがあることを、どうしても信じたい」……相対主義p183
正義原理は過去思考的、功利原理は未来志向的p146
オウムやナチスに、倫理的な間違いを証明することはできるか?私達が今いる世界が倫理的に正しいと言えるか?
利便性のために交通事故での死や森林破壊や大気汚染を肯定する私達の世界は正しいと言えるか?
分からない。なぜなら人間の倫理性がたまたまその程度にできているというコト以外考えられないから。
「特に倫理的な問題はね、現に生きている大人の多くが、なぜかそれに納得を感じるっていうことによってしか、究極的には根拠づけることができないんだ」p156
「事実判断から価値判断が導き出せないって主張なんだけど……(略)」p164「ほんとうはよくないんじゃないかって、問題にしていけるってことが、事実から価値が導き出せないってことのポイントなんだよ」p165「価値から価値が導き出せないってことが、問題のすべてなんだよ。」
虚偽意識p163
自覚障害と実践障害p187 「意味が分かる」とは 言葉は理解するものではない。使うもの。実際に使えているかどうかでしか「意味が分かっているか」は分からない。
p199三段論法
意思と欲望は同じ
死は体験ではない。受け容れるべき現実。
理性と理由と根拠はもともとみんな同じ言葉p158
ウィトゲンシュタインのパラドクス
ニヒリズム……全てに意味がない = 全てに意味がある
「道徳の存在を前提としたうえで自分を特別扱いする仕方を考え出す」
利他的な行為は無い。すべての行動は利己的に為されている。