清水健一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
高校レベルの数学を学んだことのある人なら誰でも素数について理解できる素晴らしい一冊。かつ深く学びたい人のことも置き去りにしていない。前半では,金子みすゞの詩とともに簡単な数式と文章で易しく解説し,後半では詳細な計算式や証明,参考文献の紹介をする形式。数学に少しでも関心がある人には一度手に取ってほしいと思う。
数の美しさと詩に現れる美しさには類似しているところがあるというのは意外性があるが,それこそが美しさであるのだと思う。
また,研究者にはこの著者のような力が必要なのではないかと考える。「有識者の間で」優秀な研究者は勿論大切な存在だけれど,その学問を学んだことのない人にも理解してもらえるよ -
Posted by ブクログ
※献本レビュー
数学についての前提知識がまったくなくても、数論のふしぎで美しい世界を、金子みすゞの詩を味いながら楽しめる良書。
(第7章は数学慣れしてないと辛いけど、あとがきは読むべし)
本書の数学に関する内容は、数論、特に素数の重要な性質についてのまとめ。素数の基礎知識と周辺定理、中でも重要な「ガウスの素数定理」「ルジャンドルの相互法則」とその意味について、比較的読みやすくまとめられている。
数学の内容はともかく、「数学」と「金子みすゞ」になんの関係があるのか、というのが第一感だろう。
しかし本書を読み進めるとそれが分かる。
生活の中のごくありふれた情景に美しさを見出す「金子みす -
Posted by ブクログ
先日「日本酒の科学」を読んだときに、「どうして日本では(酒が)弥生時代以降に入った米で作られて、しかも製造法もかなり難しい日本酒が発達したのか? (ワインが発達しなかったのか?)」と書いたら、kuwatakaさんから「(本書に)日本でワインが大量に出来ない理由が解説されていたように思います」とコメントを頂いた。それで紐解いた。よって、そのことのみに絞ってレビューします。清水健一さんの本来の主張については「科学者が書いたワインの秘密」を2016年にレビューしたので、そちらを参考に。
結論から言えば、「縄文時代に誕生していたと考えられる我が国のワインですが、欧州の場合と異なり、その後は穀物酒に圧 -
Posted by ブクログ
ネタバレこらオモロイです。何故にワインは美味しいのか?という事を、ホワッと思うのではなく、トコトンまで科学的に追及しまくった一冊ですね。ワインを詳しく知りたい、しかもマジメにちゃんと知りたい、という人には、大変に面白い内容だと思われます。めちゃんこガチなので、すんごい意味不明の化学式とか、バンバン出てきますので、全然理解できない箇所も沢山たくさん、でした。
1999年に発行されて、2016年で11刷、きっと、ずっと読み続けられている名著、ということのできる一冊なのでしょうね。文中のところどころに、1999年以降の話題も書かれている箇所がありますので、追記や改定などもされているのでしょう。ちゃんとして -
Posted by ブクログ
ここ2年ほどワインに凝っている。鼻が悪いので、なかなか修行の成果が現れない。けれども時々見事なマリアージュ(料理との相性)を感じられることがあって、日に200ml、週一本、月3ー4本を続けている。
この前文系の人が書いたワインの味わい方の本を読んでたいへん為になったが、そもそもわたしが文系なので、知識は増えるけど、感覚的なものしかわからず、あまり進歩しなかった。今回、理系のワイン本を読んで、そもそもの疑問や健康面への確信、科学的な味わい方を知って、前の時よりも為になったと思う。手許に置いて、時々参照しようと思っているが、特に目から鱗の部分をメモしたい。
◯高級ワイン以外は、残りものも冷蔵庫 -
Posted by ブクログ
数論の魅力がわかりやすくコンパクトにまとまっている良い本だった。代数的整数論だけでなく解析数論にも触れられている点がおもしろい。
数論の本でよく紹介されている平方剰余の相互法則。具体例での説明がわかりやすい。
特に、平方和定理が連分数と関連するというのがおもしろかった(定理の証明はないが)。つくづく、連分数っておもしろいと思います。
本書のテーマは、”2つの等差数列で語る数論の世界”、である。2つの等差数列とは、4で割って1余る素数(4n+1型)と4で割って3余る素数(4n+3型)。素数といっても2つのタイプに分かれ、個性がある、ということである。おもしろい。少し素数とお友達になれた気が