清水健一のレビュー一覧
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高校レベルの数学を学んだことのある人なら誰でも素数について理解できる素晴らしい一冊。かつ深く学びたい人のことも置き去りにしていない。前半では,金子みすゞの詩とともに簡単な数式と文章で易しく解説し,後半では詳細な計算式や証明,参考文献の紹介をする形式。数学に少しでも関心がある人には一度手に取ってほしいと思う。
数の美しさと詩に現れる美しさには類似しているところがあるというのは意外性があるが,それこそが美しさであるのだと思う。
また,研究者にはこの著者のような力が必要なのではないかと考える。「有識者の間で」優秀な研究者は勿論大切な存在だけれど,その学問を学んだことのない人にも理解してもらえるような単純明快な説明をしたり,人々に自らの研究への興味を持たせたりできるのもこれからの研究者に求められることなのかもしれない。 -
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先日「日本酒の科学」を読んだときに、「どうして日本では(酒が)弥生時代以降に入った米で作られて、しかも製造法もかなり難しい日本酒が発達したのか? (ワインが発達しなかったのか?)」と書いたら、kuwatakaさんから「(本書に)日本でワインが大量に出来ない理由が解説されていたように思います」とコメントを頂いた。それで紐解いた。よって、そのことのみに絞ってレビューします。清水健一さんの本来の主張については「科学者が書いたワインの秘密」を2016年にレビューしたので、そちらを参考に。
結論から言えば、「縄文時代に誕生していたと考えられる我が国のワインですが、欧州の場合と異なり、その後は穀物酒に圧倒されて独自のワインが形成されず、明治時代の文明開花と共に、海外から新たにワインが入ってきたのが実情のようです」となる。と、書けば身も蓋もないので、もう少し詳しく展開する。
・世界初のワイン造りは、1万〜8000年前の新石器時代、シリアのダマスカス近郊で発見された、果汁絞り器とブドウの種で類推される。イランでは保存液の添加も行われていた。
・BC17-16世紀、ギリシャに伝播。濾過技術の発達で、透明な液になる。水割りとか果汁やハチミツを加えてカクテルとして飲用されていた。
・ローマ時代は搾汁機の発明、高品質ワインの製法、加熱殺菌、濃縮方法、低温発酵法、樫樽を使用する発酵、熟成法などの現代ワイン製造技術の基礎が出来上がった。
←当たり前なのだが、「果汁をほっておけばワインができる」だけでは、ワイン飲酒文化は定着しない。供給できるだけの技術とそれに見合う需要がいったのである。
・日本の最初のワインの証拠は、縄文中期(BC30)の長野県井戸尻遺跡、山梨県釈迦堂遺跡の有孔鍔付土器。蓋に穴があり、中にヤマブドウの種が残っていた。発酵させてワインを作っていたことは明らか。
・液体発酵文化を培った欧州に対して中国は固体発酵、日本の清酒は半個体発酵と、歴史的な違いがあり、液体発酵は育ちにくかった。
・明治時代になって、政府の支援のもとに、欧米から葡萄品種が導入されて、試験栽培されたが、乾燥地を原産とする欧州系のワイン品種は、我が国の高温多湿な気候や排水性の悪い土壌のためにことごとく失敗した。
・以後我が国のワイン醸造には、800〜1300年前に山梨に導入された欧州系東洋種(欧州の品種とは1万年前から違ってきている)の甲州が使われた。また、キャンベル、デラウエア、コンコードなどの米国系品種や我が国で交配されたマスカットベリーAなどが、長い間原料として用いられてきた。
←そうか!それで甲州やベリーAが有名なんだ。
日本の気候と土壌では、そもそも葡萄はなりにくかったのか!それだけで、ワインが発達しなかった理由にガッテンがいく。
以上、ワインが発達しなかった理由にかなりガッテンがいきました。私は、日本酒の発達は独自の宗教的な理由があるのでは?と疑っていたが、基本は安定的に供給できる材料は米だけだった、というのが真実のようだ。
序でに、ワインの健康効果について。
日本酒が百薬の長というのは前回よくわかったが、日本酒になかった効果が2点ワインにあった。
①人間の血液はややアルカリ性に偏っている。ところが偏食すると血液が酸性に傾く。それを直そうと身体が働くといろいろストレスが溜まり、病気の引き金になる。ワインは、そもそもは酸性なのだが、ミネラル分であるカリウム含有が高いので体内で塩基性(アルカリ性)になる。世界の主要な酒の中で、アルカリ食品に属するのはワインだけ。
②有名になったが、赤ワインのポリフェノールは抗酸化作用が高く、心臓病、癌の発病率が低くなる。
←いずれにせよ、適量を飲むことが大切ですね。 -
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ネタバレこらオモロイです。何故にワインは美味しいのか?という事を、ホワッと思うのではなく、トコトンまで科学的に追及しまくった一冊ですね。ワインを詳しく知りたい、しかもマジメにちゃんと知りたい、という人には、大変に面白い内容だと思われます。めちゃんこガチなので、すんごい意味不明の化学式とか、バンバン出てきますので、全然理解できない箇所も沢山たくさん、でした。
1999年に発行されて、2016年で11刷、きっと、ずっと読み続けられている名著、ということのできる一冊なのでしょうね。文中のところどころに、1999年以降の話題も書かれている箇所がありますので、追記や改定などもされているのでしょう。ちゃんとしてますなあ、素敵ですね。
お酒と言いましたら、やっぱりビールが一番好きなのですが、こういう本を読みますとね、ワインでも焼酎でも日本酒でもウイスキーでも、それぞれのお酒にそれぞれのロマンがあり、自然の恩恵という不思議なものがあり、アルコールってすげえぜ、って思うのですよね。「酔う」ということの神秘を感じますね。人間は不思議です。お酒って、謎ですなあ。
今後も、どれだけ世の中が進んでも、お酒と酔っ払いは、
人類の歴史から消えることは無いのだろう、とかね、そんな壮大なことまで考えるのでした。はあ、もっとワインを飲みたいものだなあ。うむうむ、良い本でした。 -
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ここ2年ほどワインに凝っている。鼻が悪いので、なかなか修行の成果が現れない。けれども時々見事なマリアージュ(料理との相性)を感じられることがあって、日に200ml、週一本、月3ー4本を続けている。
この前文系の人が書いたワインの味わい方の本を読んでたいへん為になったが、そもそもわたしが文系なので、知識は増えるけど、感覚的なものしかわからず、あまり進歩しなかった。今回、理系のワイン本を読んで、そもそもの疑問や健康面への確信、科学的な味わい方を知って、前の時よりも為になったと思う。手許に置いて、時々参照しようと思っているが、特に目から鱗の部分をメモしたい。
◯高級ワイン以外は、残りものも冷蔵庫で5ー6日は品質が保てる。ポリフェノール含量が多い赤ワインは白ワインよりも長持ちする。
◯ワインセラーが必要なのは、ヴィンテージもの、白ワイン、赤ワインでピノノワール原料、その他の赤ワインは不要(高温避ける)。カベルネソービニョン、シラーは常温保存の方が熟成が早く進む。
◯フレッシュな白ワインは、少しグリーンがかかったものを選べば当たり。
◯さらに熟成して欲しいワインはコルク、フレッシュフルーティーワインは、スクリューキャップがお勧め。
◯小売価格2500円以下の輸入ワインは、(既に熟成ピーク過ぎているので)買って直ぐに飲むのがお勧め。
◯亜硫酸は、ボトリング後数ヶ月から数年後に飲まれるので、飲む時にはほとんどない状態になっている。
◯ビタミンCの添加は不要どころか、有害。活性酸素が起きることがある。
◯ソルビン酸は、甘口ワインに添加される。酵母の再増殖を防ぐため。
◯「ミネラル感がある」はミネラルがあるわけではない。
◯テイスティングは、ワインにコルク臭があるかどうかを見るため。その場合は交換できる。それはカビ臭さに近く、コルクガシを乾燥させる段階でカビが生えた場合と、漂白の時に水洗いが不十分で塩素とアニソールが反応してトリクロロアニソールが生成した場合。(数百ー数千本に一本の割合)
◯三内丸山遺跡で山葡萄が集積したあとが見つかっているので、ワインを飲んだ可能性が高い。
◯赤ワインは老化を防止できるかも。活性酸素を消去する機能があるので、DNAのテロメアの短縮をふせげる。しかし長寿遺伝子活性化には、レスベラトロールの量が少な過ぎるので期待出来ない。
◯白ワインは食中毒の二大原因菌(サルモネラ菌、ビブリオ)をも殺す。ピロリ菌も殺す。ペニシリンに優るとも劣らない。
◯有機ワインは農薬を使用しないために、ブドウが完熟する前にカビの病気による害を避けるため、完熟前に収穫している場合が多い。これでは良いものは出来ない。 -
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数論の魅力がわかりやすくコンパクトにまとまっている良い本だった。代数的整数論だけでなく解析数論にも触れられている点がおもしろい。
数論の本でよく紹介されている平方剰余の相互法則。具体例での説明がわかりやすい。
特に、平方和定理が連分数と関連するというのがおもしろかった(定理の証明はないが)。つくづく、連分数っておもしろいと思います。
本書のテーマは、”2つの等差数列で語る数論の世界”、である。2つの等差数列とは、4で割って1余る素数(4n+1型)と4で割って3余る素数(4n+3型)。素数といっても2つのタイプに分かれ、個性がある、ということである。おもしろい。少し素数とお友達になれた気がしました。