松本卓也のレビュー一覧

  • 斜め論 ――空間の病理学

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    現在ケア論が隆盛している中、水平性(横並び)が善のようにいわれ垂直性(権力)が否定される時代にあり、どちらかというわけではなく、ガタリの「斜め横断性」よりヒントを得て、斜めの重要性を、ビンスワンガー、中井久夫、上野千鶴子、信田さよ子、当事者研究より紐解いている。理論的にはガタリ、ウリ、ラカンを参照しているので、その部分は難解だが、依存症分野での説明は理解しやすかった。水平性の問題点も別の意味(新自由主義的管理)での視点で見ることも重要と考える。

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    2025年09月12日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    今の社会を変えたいと思うなら選挙で政権を変えることに一生懸命になるのではなく、自分たちの手の届く範囲で当事者意識をもって運動することが重要だと感じた。そのためにコモンを見直し、それを自治していくことが大切だとわかった。身近なところから社会を変えていけると希望がもてた。

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    2024年08月31日
  • 症例でわかる精神病理学

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    現代の分類に基づく精神疾患について記述式精神医学・現象学的精神医学・力動的精神医学の3つから読み解く教科書。

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    2024年08月01日
  • 創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで

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    古代から現代に至るまでに「狂気」はどう扱われてきたかを解説,統合失調症やうつ病,ASDなどの比較。思想史を知る上でとっつきやすい見方だと思う。

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    2024年06月11日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    人新世の「資本論」の斎藤幸平、「永続敗戦論」の白井聡、岸本聡子杉並区長ら
    そうそうたるメンバーが自治を語る、コモンを語る、自律を語る。

    正直難易度が高く、頭に入らないものもあった。
    一番理解しやすかったのは藤原辰史さんの農業の自治。

    古来人間は集って狩猟、農業を営んでいた。そこに自治があった。
    種の保管、水の確保、料理。
    最小単位の集団で、自分たちで取り決めをし、少しでも全体の収穫を大きくしようとした。
    ここに国が絡むと、年貢を納めることになるが、これを金銭で納めるようにすれば
    商売の考えが生まれ、余剰金で新しいものが買える。そこにも自治ができる。
    などなど、人類の歴史に根付いた自治の話は

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    2024年05月23日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    人新世の資本論で説かれていたことを、さらに具体的にどうやって実現していくか。それを斎藤幸平氏だけでなくさまざまなジャンルの人も語っている。

    杉並区長の岸本聡子さんの章がとてもおもしろかった。
    「共生」や「協力」「包括」「共有」といった、女性的価値で政治や選挙のやり方、組織のあり方をかえていくフェミナイゼーション、地域社会や草の根から発する市民の集合的な行動を大切にして「水平的で多様でフェミニン」なら関係を気づくことを志向することの大切さ(97ページ)とケアの視点、特にフェミナイゼーションが今年の私のキーワードになりそう。

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    2024年01月09日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    資本主義による大量生産、大量消費の時代は終わりつつある。この危機を乗り越えるためのキーワードは「コモン」である。私たちも生き方を見直さなくてはならない。

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    2023年12月05日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    「はじめに」から続く7章と「おわりに」まで、著者それぞれの立場や専門ならではの視点から、「コモンとは?」「自治とは?」を終始問われ考えさせられるのだが、事例が分かり易いし文章も読みやすく、押し付けがましくもないのでずんずん読める。これまでモヤモヤしていたことにやっぱりおかしいものはおかしいと言おうと思えたり、具体的なヒントも満載の一冊。

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    2023年10月23日
  • 創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで

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    創造と狂気は紙一重と言われる。すなわち、ある真理と引き換えに狂気は憑依するのだと。

    本書では、古代ギリシャから現代にかけて、「創造と狂気」が転倒を繰り返し変遷する系譜について、病跡学と哲学のコラージュで辿られてゆく。
    西洋思想の注釈と言われて久しいプラトンによる対話篇『パイドロス』では、狂気は啓示と病、すなわち神的狂気と人間的狂気に分割され、神霊が吹き込まれた狂気を歌う存在こそが詩人であり、尊ばれる「詩人狂人説」が提唱された。一方で、プラトンの弟子であるアリストテレスは、鬱やメランコリーにおいて暗雲に溢れる人間的な思索にこそ、創造性が担保されているとして、天界から地上界へ我々を導いた。いずれ

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    2023年07月08日
  • 心の病気ってなんだろう?

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    表現が適切かどうか分かりませんが、とても面白く、ためになりました。心の病気とはどういうものか?どうやって''治す''のか?心の病気でも暮らしやすい社会とは?一つ一つ丁寧に解説してくれます。統合失調症、うつ病、PTSD、発達障害、認知症など、それぞれ心の中で何が起きているのかや、それに対してどう接するべきかなども説明されており、非常に「実践的」な内容でした。

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    2023年04月02日
  • 症例でわかる精神病理学

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    木村敏さん・中井久夫さんとかのお弟子さん(?)の松本卓也さんが著者の本当に分かりやすい精神病理入門書。
    僕は、国試レベルの記述精神病理の知識と高校の倫理の知識しかなかったけどスラスラ読めました。全部面白い!特に統合失調症と自閉症の章が本当に面白い…(幻聴が「対象なき知覚」ではなく、「聴覚における受動的体験」という捉え方とか、エポケーから抜け出せないのが統合失調という考え方とか、自閉症のタイムスリップ現象とか、カントでいう「悟性」が働かない状態だとか)。力動精神病理についても基本的なことを知れてよかった!
    鑑別という観点よりも、病自体を深く理解するっていうとこに重きを置いてますね(当たり前か)。

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    2023年03月19日
  • 症例でわかる精神病理学

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    題名の通り、簡単な症例を介して精神病理の解説がなされている。初学者で十分読みやすい。精神・心理症状ハンドブック等と同系統の本と行っていいと思われるが、説明はより平易で、症例がある分こちらの方が理解はしやすいように感じる。精神病理の知識の会得を通して診断面接の精度や目前の事象に対する考察は向上すると思われる。

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    2021年06月17日
  • 創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで

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    否定神学的な思考によって生まれる直接アクセスできないモノに特権的な意味を持たせる考え方ついてドゥルーズがどのような側面から批判しているかがわかり、参考になった。

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    2021年05月17日
  • 創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで

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    理性を持つ人間とは、どういう存在か?

    理性があるからこそ、反対の狂気が存在するとカントは言う。狂気を常に内包しているのが人間であると。だからこそ、世の哲人たちは狂気に魅せられ、その解読を試みる。

    狂気とは何か?

    内に住む自分以外の誰かか?
    はたまた神の吹き込みか?
    狂気こそが常人にはない創造を生み、歴史を動かしてきたのかもしれない。
    狂気なくして人類の進化はなかったのかもしれない。

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    2021年04月20日
  • 心の病気ってなんだろう?

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    いろいろな心の病気の中身をわかりやすく知ることができるます。
    でも「わかりやすく」とはいっても、
    それなりの硬度のある内容だから、
    読み応えがあって大人でも知的満足感が得られると思います。

    心の病気っていうのは、
    親とそして親以外をも含む過去の対人関係の影響、
    そして現在の対人関係での相互作用での影響でなるものであって、
    当人だけの問題では決してないことがわかります
    (外的な強い心的衝撃によるPTSDという種類の心の病気もありますが)。

    僕の身近に心の病気の人がいることもあって、
    この場などに書評や感想を書いていなくても、何冊かそういった本を読んできました。
    それらは勉強になるよい本でした

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    2020年07月24日
  • 創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで

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    狂気を通して、西洋哲学のこれまでと今とこれからを描く。人間観を確立するにあたって、理性がある種、近代哲学のテーマだったのだから、裏返せば、狂気がそれよりも深い射程を持っているのは当然なのかもしれないが、この切り口は新鮮だった。

    分裂病から自閉症へというパラダイムの移行は分かるが、ある病や障害に特権的な地位を与える傾向は、思弁的なレベルでのみ許されるだろう。

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    2020年07月08日
  • 創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで

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    創造と狂気の関係がどのように考えられてきたのか、各年代の考察をまとめた本だと言えます。クリエイティブとは常軌を逸した行為の成果なのか、それともそうでないのか、考えたいときに読んでみると参考になると思います。

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    2019年08月23日
  • 斜め論 ――空間の病理学

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    会社の同僚による面白かったとの感想で読んだが、確かにこれは興味深い。
    主要なテーマとして、時間軸と空間軸の話がなされている。また、こういう本だから中井久夫や斎藤環が登場するのは当然だが、上野千鶴子やハイデガー、國分功一郎が並列に参照されるのはとても新鮮であったが、そこが本書の真骨頂かもしれない。
    さらに全く無知だった当事者研究とは何かについて、1ミリくらいは理解が進んだように思う。

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    2025年11月29日
  • 心の病気ってなんだろう?

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    平易な言葉で、広く深く考え抜かれた事を説明している。 
    専門家に見られがちな上から目線もなく、臨床にも参考になる

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    2025年08月16日
  • コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン)

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    岸本さんが実践されている「ミュニシパリズム」ボトムアップ型の地域主権主義がとても参考になった。
    排他主義的極右でもなく、左派的エリート主義でもない、トップダウン型の国家社会主義でもなく、全体主義的共産主義でもない。

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    2025年06月02日