メリッサ・ダ・コスタのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ初のフランス文学。
2026年の本屋大賞翻訳小説本部門1位ということで読んでみた。
表紙の絵がなんて美しいんだろう。
景色や心情の描写が細かくて、時系列も丁寧に描かれているので、まるで二人の旅を追体験しているような気分になれた。
―真の発見の旅は新しい景色を求めることではなく、新しい目をもつことだ(プルースト)
―もっとも偉大な旅人とは、自分自身を見つめ直すことができた旅人だ(孔子)
ジョアンヌの、人生が謎めいているところとか、生き方とか、もの静かなところとか、なぜか惹かれてしまう。
エミルのブラックアウトしんどいな。
きっと、下巻に比べたら、まだ症状は落ち着いている方なんだろうけど、これ以上エミルの症状が酷くならないでほしい。
どうかエミルとジョアンヌの幸せな日々が続きように。
子猫のポックが旅の仲間に加わって嬉しい。
このまま下巻を読むのも楽しみだ。
ボリュームのある本だからたっぷり味わっていきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ絶望と希望の塩梅が絶妙すぎて、大興奮。
ただ暗い話なわけでも、無理に希望を抱かせようとする話でもなく、とても現実的な暗さがありつつ、再生していく光に満ちた作品。
もう立ち上がれないんじゃないかと思うほど深く沈んでいってしまう2人に、自分を重ねる。私はフランソワの元に残るだろうか、彼の暴言やひどい態度に私は何を思うだろうか、相手の怒りの後ろに隠れている恐怖や不安を理解してあげることができるのだろうか。少なくとも読者としては、だいぶフランソワの感情に振り回された。
まだ言語化が追いつかないけど、出産後のエレオノールも強烈だったな。
2人は必ずしも本音を打ち明けるわけではないことが読んでいてわかるけど、思っていることをそのまま伝えたら、拗らせずに済むのになと思った。と同時に、これが他者とのコミュニケーションにおいてよく起きていることなのだろうなと思った。すれ違わないために、本音を言葉にすることの大切さを感じた。
不慮の事故によって、自分のメンタルだけでなく、恋人の人生も巻き込んで、片方が落ちていくこともあれば、2人で絶望感を感じる時もある。それでも2人の人生が見事に再生していったのは、お互いへの愛があったからこそなのかなと思った。それともちろん、ライアン、エルザ、イザベル、エレオノールの家族。
タイトルの意味が「立ち上がり続ける」という意味なのも、しびれた。いやー、二人ともよく頑張った!
メリッサ・ダ・コスタの次作がすでに楽しみ! -
Posted by ブクログ
本書『立ち上がる時』は、2026年本屋大賞の翻訳小説部門で第1位を受賞しました『空、はてしない青』の著者メリッサ・ダ・コスタの作品です
『空、はてしない青』は、若年性アルツハイマーと診断され余命2年を宣告された青年が最後の旅に出る感動作です
死に向かっていくなかで描かれている感情や描写、その美しい静けさが印象的でした
一方、『立ち上がる時』は荒々しい感情が感じられる一冊です
パリ代表する舞台俳優としてキャリアの絶頂にいたフランソワ
美術系の学生で、劇団を愛し、劇場の案内係をしているエレオノール
激しい恋に落ちたふたりは肉欲に溺れ、周囲の心配をよそに、フランソワは妻と離婚してエレオノールと暮らすことになる
その矢先、フランソワはバスにはねられ下半身不随になってしまう──
そこからはふたりが再生していくまでの出来事が描かれています
それは美化された物語ではありせん
下半身が麻痺している感覚、仰向けに寝たままの病院生活、過酷なリハビリ、一変する性生活、車椅子に適合していない環境、他者への依存、連絡が途絶えていく友人たち…
その中で、苦しさに耐えられず現れてくる暴力的な感情、激しい怒りの数々、相手のことを思えば思うほど生まれる気持ちのすれ違い
この辛さに私自身、何度本を閉じようかと思ったことでしょうか
しかし、読む手が止められませんでした
ふたりの再生に向かって、「よっこらしょ」と立ち上がる時もないままに上巻364ページ、下巻357ページを一気読みです
きっとメリッサ・ダ・コスタは伝えたかったのだろうと思います
立ち上がる時は「よっこらしょ」のかけ声も大事だが、誇り高く、美しく、凛として立ち上がりなさい
病気や障がい、さまざまな困難にぶつかっても信じた相手とともに立ち上がりつづけなさい
と -
Posted by ブクログ
ネタバレフランソワが舞台上でセリフを語るシーンで、自然と涙がこぼれてきました。このシーンにたどり着くまでが本当に長かった…衝突を繰り返してゆく2人の行く末が気が気じゃなくて…。『旅行中に流産してしまうのでは』とか、『レオが出て行ってしまうんじゃないか』とか、物語が悪い方向に進むかもと思うと怖くなって、本を閉じて離れる時間が必要でした。
それもこれも、作者が言う通り、文章中に最大限のディテールを盛り込んでくれたから。頭の中で映像化され、しっかりのめり込むことができました。
フランソワのために赤ちゃんをつくると決めたレオに、『え!?妊娠したらもう戻れないよ!?』と、イザベルと同じように、私もレオをたしなめてました。
赤ちゃんができると浮き足立つフランソワにたいして『そんな呑気にして!レオの気持ちも考えてよ!』と腹が立つこともありました。
上巻では激情的なフランソワが下巻では穏やかになったのに、今度はレオが激情的な態度を取ったりして…このカップルに振り回されて少し疲れたこともありました笑
そんな2人を見守ってきたからでしょうか。
最終章の舞台シーンではレオとイザベルの隣に座り、椅子に座るフランソワを私も観ていました。観客が息をのむ音や、暗転する照明を感じて、涙があふれてきました。
『再生(レジリエンス)』文学の作者メリッサ・ダ・コスタ。「空、はてしない青」に次ぐ感動作品でした!
訳者あとがきによると、フランスではもっと作品を出していて本作が8作目だそう。日本で訳されていないだけで他にも出されていたんですね…要チェック!
人生で一番好きな作家さんです。
あともしかして本作この表紙にしたのって、『読者であるあなたたちも数ある窓のひとつで、孤独を感じるなら窓開け放して語り合おう』ってことなんでしょうか…!考えられているなぁ〜!!
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Posted by ブクログ
いつまでも後悔しないよう一気に読みました。自分の命が短いからといって、病気を治すためだけに病院や医療にかかるのが当たり前だと思っていたけれど、それが全てじゃないんだなと思いました。自分の延命と、自分がやりたかったこと、そして家族や友人、それぞれを天秤にかけてみて、どれをどう生きるのかというのがまた自分の考えなんだということがわかりました。その中で、人生は一度きりなんだから、自分がやりたいことを大切にするのが重要なのかなということも改めて思いました。そして、今自分がやりたいことは何なのかということも、改めて感じさせてくれる本でした。
下巻にまとめて感想書きます! -
Posted by ブクログ
イザベルと結婚しているフランソワがエレオノールと浮気をしている。ある日、フランソワが事故に遭い下半身不随になる。フランソワとエレオノールがこの悲惨な境遇を2人で乗り越えていくという話。
上巻はパリからアジサイ苑に引っ越したあたりまで。
最初はフランソワが事故で下半身不随になったことよりも浮気の話で不愉快な気分になった。だが、エレオノールとフランソワの視点が交互になって物語が進んでいくことで、事故後の2人の辛さや苦しさに共感し、気持ちのすれ違いによるもどかしさに身悶え、2人が良い方向に進むことを願うようになった。下巻ではどうなるのか。
イザベルがかっこいい。主役の2人よりも推しだ。 -
Posted by ブクログ
訳者あとがきにもあったけれど、この物語はレジリエンス(心理学では精神的回復力)の話だった。
ストーリーはシンプルで、タイトルどおり「立ち上がる」話だけれど、とにかくその過程が丁寧に描かれた大作。
結末はタイトルから想像できてしまうのに、その過程に心を揺さぶられる。
読後に振り返ってみると、レジリエンスの要素が散りばめられていて、例えば、
・近くで支えてくれるパートナーがいること
・自身のやるべきことや役割があること
・未来の目標があること
・同じ苦しみの中で少し先を行くモデルがいること…
この本で読書会をするなら、「なぜフランソワは立ち上がれたのか」をテーマにやってみたい!
「なぜエレオノールは立ち上がれたのか」もありかも。 -
Posted by ブクログ
この物語を手にとったのも何かの合図、前兆だなと思う
エミルのトラベラーズノートでもあり自然療法または現代のアルケミスト。毎日少しでも自分の周りを意識的に眺めるように…この問いかけが伝えたいことの1つだと感じた
若年性アルツハイマーなのだが時々みせる彼の意地悪で強がりで普通の青年なところが可愛く見える
ジョアンヌの最初のあの絵を見てみたくなった。そしてあの世界最高のセラピーだ のところ声出して笑った
ジョゼフが自閉症トムへの並行している世界にいるから私たちの現実に入ってくるのが難しいという解釈になかなか自分だったら咄嗟に言ってあげれないと思った
目の前の世界とどう調和するか、そうすることで自分がどうクリアなるかケアフルできるか瞑想疑似体験できた
ジョアンヌの献身的な最期があまり苦しくならないよいに書かれていたと思うがなかなか大変だったに違いない。そして多くの詩が登場し、言葉の強さ支えが感じれた
エミルとトムが重なり合うところはなかなか喉が熱くなる場面でお別れを言えなかった彼女の悔やみ苦しみ、過去に触れることができたことがこれからの自分の生き方が変わる気がした
好きなフレーズ引用
別れた原因をライバルが出現したせいにするのって楽よね。自分が何をしそこなったのかを直視するよりずっと簡単
真の発見の旅は新しい景色を求めることではなく 新しいめをもつことだ プルーストの一節
景色は私の塊に歌いかける弓のようだった スタンダール
この子は地球上でセカンドネームをもってる初めての猫になるね!
将来への不安や過去への後悔から解き放たれて ほかのどこでもなく ここにいることを学ぶ
今このときがほかのどんなときより優れている点がある。それは今私たちのものであるということだ ーチャールズ•ケイレブ•コルトン
人間はステンドグラスのようなもの。日が出ているあいだは輝くが 暗くなると内側から照らされて 初めてその美しさが現れる。ーエリザベス•キューブラー•ロス
風向きを変えることはできないのだから 帆を操縦できるようにならなければいけないージェームズ•ディーン
人生が粉々に砕け散り 全ての指標がなくなってしまったと思った時には 木になってみなさい
美し里とは見たもののなかにあるのではなく それを見る目のなかにあるージャン•ルネ•ユグナン
毎日毎日がそのなかに永遠を宿しているーパウロ•コエーリョ
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Posted by ブクログ
記憶障害系の病気が登場する作品では博士の愛した数式を読んだことがあるが、あの小説は家政婦視点で描かれているのでイマイチ博士や、登場人物に感情移入出来なかったが、この小説は主人公のエミル自信が記憶を無くす瞬間、その時の感情が描かれているので、生きているうちに記憶をなくしていくことの残酷さと恐ろしさを再認識した。
舞台であるフランス、ピレネー山脈は名前は聞いたことがあるくらいだったので、小説に出てくる地名を調べてみるとこんなに美しい場所があるのかと驚かされる場所ばかりで、いつか行ってみたいと思った。旅の中で料理が度々登場するが、ジョアンヌがベジタリアンということも相まってなかなか馴染みがない食材や料理が出てきて楽しい。
ヒロインのジョアンヌは本当に魅力的で、優しく純粋で芯があり可愛らしくもかっこよくもある。
上巻ですっかりこの世界に浸っているので、2人が抱える問題がどうなるのか、エミルの病気が進行して全てを忘れてしまうのか、どんな結末になるのか恐ろしくもあり楽しみでもある。 -
Posted by ブクログ
ロードノベルかと思わせて、自分の過去と向き合う内面を描いた小説。
若年性アルツハイマーを患い、臨床試験から逃れるために旅に出る。旅に出るのは全く見ず知らずの女性。彼女も何か思い詰めている様子…。徐々に打ち解けていく2人。恋愛ではないけれど、違う点に目を向けて互いを尊重しようとする姿勢が素敵だと思う。
まだまだ半分だが、過去に愛していた女性との思い出を振り返り、過去の意味付けをおこなったり、いなくなった人への思いに気づいたりと、内奥する場面が非常に多い。正直わたしにはローラの魅力がさっぱりわからないのだが、振り回されることが好きな男性もいるのかな…という感じで共感することはできなかった。でも、自分もふと、過去に出会った人のことを思い出して、その時の状況にそのときどき、これはこういうことだったんだ、私はこう思ってたんだ、実はこうなのかも…と意味付けすることはよくある。
ローラの存在が、旅の友であるジョアンヌのキャラクター性も引き立てていて、恋愛ではない親愛といってよい気持ちを芽生えさせていくところがよかった。
エミルは症状も出てきていて、ジョアンヌの過去もおそらく明かされそうで…このまま旅を続け、どうなっていくのか。下巻も楽しみだ。