山口瞳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ最近のエッセイは自分語りが多いけど、これは身辺雑記。
自分の日常を書いているけれど、自分語りではない。
この辺りの兼ね合いが、上手いなーと思う。
絵画、俳句、将棋、相撲観戦など趣味が多才。
国立市を愛している。
酒のみで、偏屈で、愛すべきじーさん山口瞳。
不器用で頭が悪いから、ガスの点火ができないなんて書いていて、「あはは…」と笑って読んでいたら、戦時中、軍隊にいた彼の体験が書いてあった。
子どもがいじっていた不発弾が爆発して、家族全員が血まみれになって軍医に治療してもらいにきた。
その光景がずっと忘れられず、爆発物を異常に恐れるあまりガスの点火ができない。これは戦争ん後遺症だろうと言う。
“戦争となると、不思議なことに、死ぬことは怖くなくなってくる。しかし、私が死んだら母が歎き悲しむだろうと思うと辛くなってくる。それは本当に辛い。「君死に給うことなかれ」と母親や愛人に言わせることが辛いのである。”
実際に軍隊経験をした戦中派としての心からのことば。
死ぬことよりも、母を悲しませたくない。
殺すことにより、彼らの母を悲しませるのも嫌だ。
それは理想主義かもしれないけれど、理想がなくてよりよい現実が起こり得るだろうか。
“人は、私のような無抵抗主義は理想論だと言うだろう。その通り。私は女々しくて卑怯未練の理想主義者である。
私は、日本という国は滅びてしまってもいいと思っている。皆殺しにされてもいいと思っている。かつて、歴史上に、人を傷つけたり殺したりすることが嫌で、そのために亡びてしまった国家があったといったことで充分ではないか。”
ただし私は、これとはちょっと違うように考えている。
この先戦争へ向かって行こうとする日本であるのなら、日本という国は亡びてしまってもいい。
でも、皆殺しにはされたくない。
どこの国の国民になったっていいじゃないか。人は生きろ。と思っている。
これも理想主義なんですけどね。
国民を大事にしない国家なら亡べばいい、と結構本気で思っている。 -
Posted by ブクログ
「礼儀作法入門」という書名から連想されるような、礼儀作法に関する実用書、ではない。そういう部分もなくはないのだけれども、結局、酒の飲み方・ギャンブル・見舞・来客・背広の選び方・鞄等々に関しての、山口瞳のこだわりというか、好みというか、を紹介した本であり、山口瞳がどういう人かを理解する助けになる本、と言ったほうが良いと思う。GOROという雑誌に連載されていたということである。GOROは若者向けの男性誌であり、ヌード写真などが載っていた雑誌である。若い頃、僕もこの雑誌はよく買っていたが、山口瞳の連載については全く記憶がない。山口瞳よりはヌード写真の方が好きだったのだろう。
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Posted by ブクログ
「重松清」が「山口瞳」の傑作コラム50篇を選んだコラム集『山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇』を読みました。
「向田邦子」の随筆や短編小説に惚れ込み、第83回直木賞では「向田邦子」を強く推薦して受賞に至らしめた「山口瞳」(最近読んだ『向田邦子全対談』と『向田邦子ふたたび』の両作品に登場しています)… その「山口瞳」の作品を読んでみたくなったんですよね。
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昭和38年に直木賞を受賞した著者は同年末から『週刊新潮』で連載を始めた。
『男性自身』という奇妙な題名のコラムは、会社員兼作家である自身の哀歓、家族・友人のエピソード、行きつけの店での出来事などが綴られた身辺雑記だった。
それは独断と偏見が醸す力強さと、淋しさ・優しさが滲み出た独特の文体で、読者の心を掴んだ。
40代に書かれた作品を中心に、大ファンの「重松」氏が50編を選ぶ。
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昭和40年代に綴られたコラムが中心なので、、、
当時と現代とでは、生活環境や社会環境が大きく異なり、物質面で豊かになって、生活水準の格段に向上していることは当時と大きく違う部分なのですが… サラリーマンとしての価値観については、現在に通じるところあって、意外と時代の違いを感じずに愉しく読めました。
「重松清」が厳選した50篇が収録されていますが、
■酒飲みの夜と朝
■冬の公園
■焚火
■女の知恵
■人生は楽しいか
■白鳥の湖
■貧乏
■金魚
■ネフリュードフの心配
■バンザイ屋 他全50篇
特に印象に残ったのは、以下の3篇。
『リカ王』で語られる次の言葉、、、
「勝負事や、その支払いの仕方において慎重であり綿密であるような男は、そっちのほうに神経が片寄ってしまって、勝負にも負けるし、カンジンな仕事も駄目になるように思われてならない。」
確かにねぇ… 慎重であり綿密であることも、度を過ぎるとマイナスなんでしょうね。
リアルに身のまわりにありそうなことです。
『やれやれ二十年』での夫婦の間柄を示す言葉、、、
「支えてもらった恩人」というのは、的を得ているひと言でしたね。
『少年達よ、未来は』での人生を表す言葉、、、
「人生は短い。
あっという間に過ぎてゆく。
しかし、目の前にいる電車にどうしても乗らなければならないというほどには短くない。」
そうなんですよねぇ… 焦りすぎは禁物ですよね。
目の前のことも大切ですが、それだけでなく、中長期的なスパンで広い視野で物事を捉えることって大切です。
『男性自身』って、『週刊新潮』に1963年から31年間、延べ1614回、死去まで一度も穴を開けることなく連載を続けたコラムなんだそうです… 凄いなぁ。