山口瞳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この作者は怒っている。
「平和そのものが、重く重く伸し掛かり、悪い感じて私の周辺をとりかこんでいる」ことに。
常識を知らない若者に。
粋でないものに。
その怒り方、お話が、読んでいて、なるほど・・・と
思わせられるのが、山口瞳さんのすごいところだなぁ。
と、思わせられる。
茶目っ気もある。ユーモアもある。
読んでいて、文章の妙味に酔いしれる。
向田邦子さんとのエピソードも、いきいきとしてすばらしい。
「山口さん、わたし、もう駄目なの。遊んでばっかりいるの」
そう、そっと体を寄せて、耳許で囁いたという邦子さんは、
読者の知らない向田邦子さんの姿でもあり、
そんな弱音ともとれる一言を言わせる山口