山口瞳のレビュー一覧
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購入済み
貴重な実録
'80年代半ば(ミスターシービーが日本ダービーを制した頃)に存在した地方競馬全場の様子が“ありありと“分かる貴重な書籍です
なので(地方を含む)競馬好事家ならば“一度は読むべき“と言われているものの、故に書籍の古本価格が異様に高いため入手困難な本書が電子版で安価に読めるのは非常にありがたいこと
この時の“競馬不況“は直後のバブル景気で(紀三井寺以外は)持ち直しましたが、平成期の“競馬不況“で多数の地方競馬場が無くなりました
しかし本書に記録が残り、まだ良かったかと思います
また…
引退後、体型が丸くなった安藤勝己元騎手の『昔は“美少年“』は本書がネタ元
園田・姫路のレジェンド -
Posted by ブクログ
「山口瞳は,大人の男としての教科書だ」
そういう風に思う.
どうも,こういった人を好むのは,「おじんくさい」とか「年をごまかしているのでは」なんて言われるきっかけになってしまいそうだけれども,良いものは良い.
丁度,山口瞳が亡くなった1995年は,日本がとても大変な年だった.年明け早々,神戸で大きな地震があり,そして東京では3月に地下鉄サリン事件が起こった.そんな中,山口瞳は亡くなった.
大好きなアンクルトリスと江分利満氏が重なって,そしてなおかつそこに山口瞳がかぶって,何か一つ時代が終わってしまったような気がした.20歳そこそこの若造でさえ何か感じる物があった.
それから,山口瞳の著作を一通 -
Posted by ブクログ
山口氏の作品と言えば、サラリーマンの明るい哀愁ものと思っており、このような自伝的作品とは思いもしなかった、失礼してたよ。
佐藤愛子『血脈』つながりでおしえていただいて読んだのだが、鮮烈さに瞠目した。だいたい履歴なんていうのは興味ある人物でも、面白くもないのが多い。日経の「私の履歴書」シリーズも大概そう。もちろん、その波乱万丈なゆくたてにもよるのだけれども。
『血脈』の方はその一族の突拍子のない人物像が縦横無尽に異な行動をするのだし、小説仕立て、愛子ワールドだからおもしろかったのだけど。
山口氏のは謎解き風、一章ごとのまとまりの文脈でたたみかけるようでいて、冷静沈着な文章がうまい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ元々は直木賞を受賞した小説のシリーズだったはずなのだけど、いつの間にか主人公たちだけが仮名で他は実名のエッセイになっている。
いつだ?
いつ小説からエッセイになったのだ?
戦中派である山口瞳はもちろん、彼の息子ですら私より年上ではあるけれど、それでもここに書かれている昭和が、私の知っている昭和よりもかなり世相が古びているのに驚く。
御年始に何か手土産を持っているのはわかるけれど、それ以外にハガキを持参って、意味が分からない。
堅苦しくする必要がない相手には、ハガキだけでもいいだろうって、それほどまでにハガキを持って行くことは常識だったのか?
職場の慰安旅行も最近はあまり聞かないけれど、 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本はタイトルで損していると思う。
堅苦しい本でもなければ、HOW TO本でもないですよ。
“礼儀作法とかマナーとかいうものは、知っていてそれを行わないところに妙諦がある。知らなければいけない。しかし、それを常に実行する必要はない。”
普段の言葉づかいがあまりよくない人の子どもたちが、なぜかとても礼儀正しい言葉を使う。
どうしてか?と聞くと
“「電話をかけるときの言葉を聞いているからです。電話では、ちゃんとした言葉をつかいますから」”
親の背中を見て、子どもは育つんですね。どきどき。
しかし今どきの親はスマホを片手に席を外して話すから、子どもが正しい言葉遣いを覚える機会は大きく減ったと -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近のエッセイは自分語りが多いけど、これは身辺雑記。
自分の日常を書いているけれど、自分語りではない。
この辺りの兼ね合いが、上手いなーと思う。
絵画、俳句、将棋、相撲観戦など趣味が多才。
国立市を愛している。
酒のみで、偏屈で、愛すべきじーさん山口瞳。
不器用で頭が悪いから、ガスの点火ができないなんて書いていて、「あはは…」と笑って読んでいたら、戦時中、軍隊にいた彼の体験が書いてあった。
子どもがいじっていた不発弾が爆発して、家族全員が血まみれになって軍医に治療してもらいにきた。
その光景がずっと忘れられず、爆発物を異常に恐れるあまりガスの点火ができない。これは戦争ん後遺症だろうと言う。