鈴木結生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
芥川賞作家 鈴木結生氏の受賞後第一作。
英国に傾倒しているファンタジー作家・舟倉按が自叙傳を依頼される。この仕事に取り組む中で自身の記憶に向き合う。
ストーリー自体は分かりやすく、起伏も少ないので、固有名詞や表現が独特なところはあるが読みやすい部類。主人公自身の考えが科白として言う(考える)ので読めばわかる。過去の創作者(今作はディケンズ、前作はゲーテ)を題材に展開するものであり、前作と似ているなと感じる。
鈴木結生氏のBookishな面が非常に色濃くでており、読むだけで賢くなったような気分になれる。
作中で取り上げられている作品には、著者が創作した実在ではないものも多い。
今作は、少年漫画 -
Posted by ブクログ
たくさんの文学や思想家を日常の会話に盛り込む贅沢さは一度では消化できず、読み返す度に発見がありそう
【フレーズメモ帳】
「いや、確かに。また、考え直してきます」と言った。絶えざる自己批判―専門への知ったかぶりと専門外への知らん振りがマナーのような学問の世界にあって、これもまた彼の数多い美点の一つだった。
これらの本にであってからというもの、私は私の脳内に詰まっていた色と音を文字に変換するという作業を無意識的に行っていった。とどのつまり、それが文学ということであった。
『言語システムそのものが引用なんだ』って私が言ったわけ。『ボルヘスだってそう言ってる』と。そしたら、綴喜が、『議論において -
購入済み
意外と読みやすく面白い
2025年初めの芥川賞受賞作で、2作のどちらにしようかと迷って初めは登場人物の名前も難しそうでどうかと思ったが、読み始めるとすらすら読めた。1年に1000冊も読む読書家の作ということだし、いろいろな方面のことがよくわかって書かれているし、日常のことを描写するところも面白い。この本だけでなくURLに飛んでゲーテの言葉についての証言を読者自ら調べてみるというのも面白かった。色彩論は前から興味を持っていたし、多様と統合とは気になるテーマだった。最近は読書離れも感じられて自分もいままで大した読書もしなかったが、今後いろいろと関連するものからものへ、興味から興味へと読んでいきたいと思った。この若い新人に
-
Posted by ブクログ
ネタバレ芥川賞受賞作品。
ゲーテはまったく読んだことがないので、大丈夫かなと思いつつ、
結果、なかなかおもしろかった。
難しいことはさておき、博把一家の雰囲気のよさがよかった。
統一さんはちょっとご不満ありのようだけれど、最後、いい感じになってほっこり。
みんなでTVを見ながら、統一の件の場面で「あー、言った!」とはしゃぐ徳歌がおもろかった。
『愛はすべてを混淆せず、渾然となす』
せっかくなので、『ファウスト』に挑戦してみようかなと思った。
でも、鈴木結生さんによると、『ファウスト』は『聖書』の知識がないと理解できない箇所が多く、
そうでないならお薦めしないと。ゲーテを最初に読むなら『ゲーテ格言集 -
Posted by ブクログ
芥川賞を受賞した鈴木結生氏の受賞後の最初の作品。次作を楽しみにしていたので、期待して読んだ。
イギリスとC・ディケンズが好きなファンダージ作家の舟倉按が、自伝小説を書き進める中で、父や母のこと、自分を
振り返る、自分の記録を探す物語。
独特の表現、イギリスのgenntleman、loue、英語の振り仮名だったり、「携帯財産+X」などなど。さーっと読んだだけでは、ん・・・?と思ったりするし、作者の圧倒的な知識に、これはどういう意味なんだろうと考えながらページをめくった。作者の意図することは、理解できているとは思えないが、主人公の按の頑張る姿はつい応援したくなるし、独特の世界観はちょっと -
Posted by ブクログ
第172回芥川賞受賞作品。私はゲーテに関しては「ゲーテとの対話」「若きウェルテルの悩み」「ファウスト」が積読状態であるが、この作品は「ファウスト」と深く関わっている。ゲーテの残した言葉、名言がテーマである。「ファウスト」を読んでみたくなった。ゲーテだけではなく、ゲーテ以外の人物の名言にもスポットライトが当たっているので、とてもアカデミックな印象を受ける。
高名なゲーテ学者・博把統一(ひろばとういち)は「Love does not confuse everything,but mixies.―Goethe愛はすべてを混乱させることなく、混ぜ合わせる。―ゲーテ」
という一家団欒のディナーで、彼 -
Posted by ブクログ
ネタバレ友人から貰ってよんだ。
いちばんの感想としてはとにかく理解するのに頭を使う。私は娯楽として読書をしてるからなんかいな言い回しや議論だとかはあまり好まないのだけれどメディアでも騒がれていたし賞も受賞していたし、何より1度読み始めたものを途中で投げ出すのが性格的に出来ないので最後まで読んだ。
この物語を自分と高々3年ほどしか変わらない年齢の方が書いているのはとても驚いた。とにかく語彙が豊富だし、内容の幹である哲学的な部分もよくできていると思う。自分は哲学に人生で関わったことがそれほどなかったから、多分哲学分野においては入門も入門の内容だと思うけれど理解するのに苦労した。
最初は何回だったが、