鈴木結生のレビュー一覧

  • ゲーテはすべてを言った

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    この本ほど「教養小説」という言葉が似合う本はないだろう。

    以前から、「教養小説」という言葉が気にかかっていた。ドイツ語でビルドゥングス・ロマン、本作のタイトルでもあるゲーテに由来する小説ジャンルで、Wikipediaによれば、主人公がさまざまな体験を通して内面的に成長する過程を描く物語とのことだ。
    代表例にはゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』、トーマス・マン『魔の山』、ヘッセ『デミアン』や日本なら漱石の『三四郎』なんかが挙げられている。

    僕が気になったのは、「教養」という言葉の高踏的な響きとその内容のミスマッチ。教養小説と言われるとなんだか高尚でタメになる小説のような気がするが

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    2026年02月15日
  • ゲーテはすべてを言った

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    言葉は未来に投げかけられた祈りである。言葉が自分の手から離れた途端にそこに常に付き纏う誤謬の可能性に打ちのめされそうになる、それでも、そうやって、どう言葉が変貌を遂げるのかは神のみぞ知るんだという感覚がある。あなたに言葉が届くことを願って祈り続ける。

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    2026年02月14日
  • トーマス・マンはなぜ日本で愛されるのか

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    実は、トーマス・マンを読んだことがない。そろそろその辺を読もうかと思い始めた頃にたまたま出会ったのが本著だ。
    分野を問わず、マニアがその世界を語りあうのを見るのが好きだ。そんなに面白い世界なのかと気になり始める。
    冒頭の対談が九州大学で行われたのも興味深い。これまで、トーマス・マンの勉強会がずっと行われてきたのだそうだ。また、平野啓一郎の講演は、同世代の地方出身として、多くの共感があった。

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    2026年02月05日
  • ゲーテはすべてを言った

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    読み進めて、あまりの博識さにこの人はたくさんの本を下地にこの本を書いたのだな、などと思っていたら同い年でひっくり返ってしまった!
    ゲーテも聖書も読んだばかりなのでギリギリだった、義子さんのようにファウストって面白いのね、と言えるよう、私も読んでみようと思う。

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    2026年01月30日
  • ゲーテはすべてを言った

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    エセ座禅。

    世の中は大半そんなもので成立している、のかもしれないし、それって言葉の進化ーとか言ってみてもいいけど、SNS拡散やハラスメントで成長不足が議論される昨今からすると、
    人間そのものは進歩して、、、ない気に強烈にさせられました。


    やっぱり西洋思想史は、死ぬまでに一度は学び直したいなと序盤では思いつつ。
    スパコンか!な脳スペックの違いに絶句。
    やっぱり私には小説止まり、なんてつくづく思わされました。

    超難解な要約サイトみたい。
    でも教授のぶつぶつが面白いので折に触れて再読します。
    でも紙媒体だったら120%挫折してた。

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    2026年01月20日
  • 携帯遺産

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    「愛」について書かれた書。
    モチーフとして出てくるネタはほとんど読んだことのないものばかりだけど、筆致が軽快なのと、登場人物のキャラ立ちが強くて飽きずに読める。
    全体に散りばめられた言葉あそびも楽しい。
    最後にはきれいに愛に収斂していく物語が美しい。
    鈴木結生、天才なんだろうな。

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    2026年01月18日
  • ゲーテはすべてを言った

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    凄まじい構造の妙。珍しすぎる苗字で遊びつつ、媒介者語りで進むリアリティ。権威委託型フィクションと呼べるが、義父に読ませたら「これ僕じゃないやん」と言われた。みたいな一文を足されることにより、より深まるリアリティ。どこまで本当?と思っちゃった。読ませるために引き込んでるんやろうけど、恐ろしさすらあった。

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    2026年01月16日
  • ゲーテはすべてを言った

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    少し前に小川哲『言語化するための小説思考』を読んで、「小説とは記述がすべて『伏線』でなければならない」ということを念頭に置いていたが、素晴らしい「伏線」の数々だった。
    ゲーテの出典不明の「名言」を追い求めるという軸だけで物語をこうも動かせるのかと感動した。
    本の半分くらいまでは「伏線」を撒きながら世界設定を丁寧に行い、後半で一気に回収するストーリーラインも見事だった。純文学ジャンルには珍しくハラハラする展開もあり、読後の満足感が大きかった。

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    2026年01月04日
  • 携帯遺産

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    ネタバレ

    「ゲーテはすべてを言った」に続き、作者の知識量というか、勉強量には感服する。一つの小説として、起承転結が分かりやすくなされているなかで、独特なユーモアや構造主義などの文学的な要素が取り入れられて、一つの作品になっているということが、本当に凄まじいと思う。自分には到底できないことに思え、本当に頭が上がらない。

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    2026年01月03日
  • ゲーテはすべてを言った

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    あらすじからさぞ難しい本なのだろうと思っていたのだが、とても読みやすく一気に読んだ。いろいろと繋がりすぎ、うまくいきすぎなところは否めないが、ラストは自分でもわけがわからないくらい感動してしまった。言葉は本当に難しい、厄介なものだけれど、本質的には祈りで、自分が信じられればそれでよいのかもしれない。「愛はすべてを混淆せず、渾然となす」、いい言葉、祈りだ。
    そして端書きにあったサイトまでしっかり堪能しました。その作り込みにも拍手。

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    2025年12月21日
  • ゲーテはすべてを言った

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    さすがの芥川賞受賞作ということもあり、アカデミックで結構マニアックで、理解が追いつかないところが多々ありましたが、ふふっと笑える点もあり、えー!そうなるの!という展開もあり、知的好奇心もくすぐられ、全体的におもしろい本でした。著者の鈴木結生さんと同年代ですが、なにより知識量に圧倒...。

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    2025年09月13日
  • 携帯遺産

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    芥川賞作家 鈴木結生氏の受賞後第一作。
    英国に傾倒しているファンタジー作家・舟倉按が自叙傳を依頼される。この仕事に取り組む中で自身の記憶に向き合う。
    ストーリー自体は分かりやすく、起伏も少ないので、固有名詞や表現が独特なところはあるが読みやすい部類。主人公自身の考えが科白として言う(考える)ので読めばわかる。過去の創作者(今作はディケンズ、前作はゲーテ)を題材に展開するものであり、前作と似ているなと感じる。

    鈴木結生氏のBookishな面が非常に色濃くでており、読むだけで賢くなったような気分になれる。
    作中で取り上げられている作品には、著者が創作した実在ではないものも多い。
    今作は、少年漫画

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    2025年09月11日
  • 携帯遺産

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    もう一度最初から読み返してしまった。なるほどと納得!ずいぶんと数多くの書籍名や人物名更に英文が出てきて戸惑うどころか笑ってしまった!この本英文でしたらいいかも。そんなことを考えながら読み終えた。

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    2025年07月17日
  • ゲーテはすべてを言った

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    たくさんの文学や思想家を日常の会話に盛り込む贅沢さは一度では消化できず、読み返す度に発見がありそう

    【フレーズメモ帳】
    「いや、確かに。また、考え直してきます」と言った。絶えざる自己批判―専門への知ったかぶりと専門外への知らん振りがマナーのような学問の世界にあって、これもまた彼の数多い美点の一つだった。

    これらの本にであってからというもの、私は私の脳内に詰まっていた色と音を文字に変換するという作業を無意識的に行っていった。とどのつまり、それが文学ということであった。

    『言語システムそのものが引用なんだ』って私が言ったわけ。『ボルヘスだってそう言ってる』と。そしたら、綴喜が、『議論において

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    2026年01月08日
  • ゲーテはすべてを言った

    購入済み

    意外と読みやすく面白い

    2025年初めの芥川賞受賞作で、2作のどちらにしようかと迷って初めは登場人物の名前も難しそうでどうかと思ったが、読み始めるとすらすら読めた。1年に1000冊も読む読書家の作ということだし、いろいろな方面のことがよくわかって書かれているし、日常のことを描写するところも面白い。この本だけでなくURLに飛んでゲーテの言葉についての証言を読者自ら調べてみるというのも面白かった。色彩論は前から興味を持っていたし、多様と統合とは気になるテーマだった。最近は読書離れも感じられて自分もいままで大した読書もしなかったが、今後いろいろと関連するものからものへ、興味から興味へと読んでいきたいと思った。この若い新人に

    #スカッとする #ほのぼの #笑える

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    2025年03月13日
  • ゲーテはすべてを言った

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    ドイツには何か名言めいたことはゲーテが言ったことにすればいいというジョークがあるらしい(真偽は不明)。統一(とういち)はレストランのティーバッグに書かれた言葉がゲーテが言ったことになっていることに目を留めた。ゲーテを研究ししている統一は真偽を確かめるために奔走する。結末は書かないでおく。本作品では言葉の扱いが丁寧で、言葉遊びではない言葉の重さが伝わってくる。ティーバッグの言葉を確認する旅は、統一の周りの人々を巻き込み、混淆から渾然へと向かう。そして、本書を読み終えたら最初の端書きに戻ることをお勧めする。読み直した時、個人的にはこれが後書きのように読めた。

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    2026年02月11日
  • ゲーテはすべてを言った

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    ネタバレ

    高名なゲーテ学者は、ゲーテが言ったとされる言葉を探しにアカデミックな旅に出る。

    学者の犯した禁忌、などとあるからサスペンス感が強いのかと思いきや結構ハートフルな部分が多く、まさに愛を語るゲーテやプラトンのようであった。

    なぜ頑なに済補(スマホ)なのかは気になった。

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    2026年02月10日
  • トーマス・マンはなぜ日本で愛されるのか

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    三人のバランスが良い。
    平野氏の広範な議論は難しかったが、鈴木氏のゲーテを通したマン像は分かりやすい。
    小黒氏の翻訳の話が特に面白かった。

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    2026年02月07日
  • ゲーテはすべてを言った

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    本の雑誌で2025上半期ベストで薦められていたので、手に取る。松岡正剛さんがゲーテは知の巨人だったという文も思い出すけど、昔の高校生のときに若きウェテルの悩みは読んだけど、という有様。

    内容を説明してもしょうがないな。なんとも不思議な魅力がある。ゲーテ研究者の主人公には、義父、娘、同僚と文学の世界の住人に取り囲まれている。その会話の中に時折、知らない人名、単語が出てくる。パソコンを手元に置いて読んだ方が良かったかな。勿論、そうしなくてもいいんだけど。

    ゲーテの言葉以外の過去の著名人の言葉も出てくるけれど、ビートルズの言葉もあったりで、ちょとクラクラする。
    架空の小説について、映画「はつ恋の

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    2026年01月31日
  • ゲーテはすべてを言った

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    ネタバレ

    芥川賞受賞作品。
    ゲーテはまったく読んだことがないので、大丈夫かなと思いつつ、
    結果、なかなかおもしろかった。
    難しいことはさておき、博把一家の雰囲気のよさがよかった。
    統一さんはちょっとご不満ありのようだけれど、最後、いい感じになってほっこり。
    みんなでTVを見ながら、統一の件の場面で「あー、言った!」とはしゃぐ徳歌がおもろかった。

    『愛はすべてを混淆せず、渾然となす』

    せっかくなので、『ファウスト』に挑戦してみようかなと思った。
    でも、鈴木結生さんによると、『ファウスト』は『聖書』の知識がないと理解できない箇所が多く、
    そうでないならお薦めしないと。ゲーテを最初に読むなら『ゲーテ格言集

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    2026年01月24日