鈴木結生のレビュー一覧
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芥川賞を受賞した鈴木結生氏の受賞後の最初の作品。次作を楽しみにしていたので、期待して読んだ。
イギリスとC・ディケンズが好きなファンダージ作家の舟倉按が、自伝小説を書き進める中で、父や母のこと、自分を
振り返る、自分の記録を探す物語。
独特の表現、イギリスのgenntleman、loue、英語の振り仮名だったり、「携帯財産+X」などなど。さーっと読んだだけでは、ん・・・?と思ったりするし、作者の圧倒的な知識に、これはどういう意味なんだろうと考えながらページをめくった。作者の意図することは、理解できているとは思えないが、主人公の按の頑張る姿はつい応援したくなるし、独特の世界観はちょっと -
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第172回芥川賞受賞作品。私はゲーテに関しては「ゲーテとの対話」「若きウェルテルの悩み」「ファウスト」が積読状態であるが、この作品は「ファウスト」と深く関わっている。ゲーテの残した言葉、名言がテーマである。「ファウスト」を読んでみたくなった。ゲーテだけではなく、ゲーテ以外の人物の名言にもスポットライトが当たっているので、とてもアカデミックな印象を受ける。
高名なゲーテ学者・博把統一(ひろばとういち)は「Love does not confuse everything,but mixies.―Goethe愛はすべてを混乱させることなく、混ぜ合わせる。―ゲーテ」
という一家団欒のディナーで、彼 -
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ネタバレ友人から貰ってよんだ。
いちばんの感想としてはとにかく理解するのに頭を使う。私は娯楽として読書をしてるからなんかいな言い回しや議論だとかはあまり好まないのだけれどメディアでも騒がれていたし賞も受賞していたし、何より1度読み始めたものを途中で投げ出すのが性格的に出来ないので最後まで読んだ。
この物語を自分と高々3年ほどしか変わらない年齢の方が書いているのはとても驚いた。とにかく語彙が豊富だし、内容の幹である哲学的な部分もよくできていると思う。自分は哲学に人生で関わったことがそれほどなかったから、多分哲学分野においては入門も入門の内容だと思うけれど理解するのに苦労した。
最初は何回だったが、 -
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文学研究者を”過去に書かれた言葉を聖典のように扱い研究する職業”として捉え、未だ書かれていない言葉、自らの言葉を獲得するに至る葛藤を描く。
研究者の「原典に当たる」という日常の動作、職業倫理は今なお重要であるとは、研究者の端くれである自分としてもひしひし感じはするものの、書かれていることしか言えなくなってしまうのも問題だ。
また、研究者でなくとも多かれ少なかれ、誰が何を言ったかに囚われてしまうこともあるだろう。過去や権威の軛を脱して、先人の言葉/叡智を借りながらも、その先にどう新しい言葉を紡ぎ出していけるのか。これは文学論でもあるだろう。統一の妻がいそしむガーデニングに連なって”いかに自分 -
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前作『ゲーテはすべてを言った』にあった博覧強記のエンタメ性とは違って、今作は天真爛漫な文学の雰囲気があって微笑ましく読みました。基本的に別々である書き手と作品の距離を近くして語られることもままある面倒なこの頃、なら殆ど重なるような自伝やその体裁をとった小説であれば書きやすそう、と読む側でしかない私は思ったりしていたのだけれど、実際素材として揃っているものは自分の生きてきた大切な時間や記憶なのだから、どこを使うのか捨てるのかの選択は創作よりも難しいだろうし、伝えることが考えの押し付けにならないようするのも慎重に期す部分が多くて寧ろ書きにくいものなのかなと考えが改まりました。主人公の舟暮按(アンネ