鈴木結生のレビュー一覧

  • ゲーテはすべてを言った

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    芥川賞作品とは知らずに手に取った。手に取ってから気づき躊躇したが、身構えるほどには難しい作品ではなかった。むしろ、読みやすい。面白おかしく読んだ。研究者の脳内を覗いているみたいで、とてもいい。

    主人公は、ゲーテの研究者だ。還暦間近である。あるクリスマスの日、家族と食事に出かけた際、紅茶のパックのタグに書かれた偉人の名言の引用に、ゲーテと書かれたものを見つける。しかしその名言には見覚えがない。原文だとなんと書くのだろうか?本当にゲーテの引用なのだろうか?出典探しに取り憑かれる主人公。

    全編にわたりずっと、そのフレーズが本当にゲーテのものなのかどうかを探し続ける主人公。その間に、研究者仲間の友人の不祥事があったり、娘の恋愛があったり、恩師でもある義父の衰えを目の当たりにしたりと、我々一般の人間も経験するような日常の中の出来事も起こる。研究者然としているトーンの中ににわかに普通の父親/男の顔が見え隠れするさまに、なぜかユーモアを覚える。

    最後はドイツにまで行く。冒頭のプロローグに出てくる作者の正体もわかる。あぁ、ファミリーヒストリー。

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    2026年06月27日
  • ゲーテはすべてを言った

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    ネタバレ

    芥川賞受賞作。積読になっていたけど、読んでみると読みやすかった。ゲーテの言葉を取り巻く、学術的アプローチと統一の家族。哲学、文学、学問、言葉に関する多角的な視点、思考が面白く、自分も勉強したくなった。
    『すべてのことはもう言われた。でも自分で言わなきゃ面白くない』
    『愛はすべてを混淆せず、混然となす、とヴァイマルの風が告げている。』
    『言葉はどれも未来へ投げかけられた祈りである』

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    2026年06月07日
  • トーマス・マンはなぜ日本で愛されるのか

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    三人のバランスが良い。
    平野氏の広範な議論は難しかったが、鈴木氏のゲーテを通したマン像は分かりやすい。
    小黒氏の翻訳の話が特に面白かった。

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    2026年02月07日
  • 携帯遺産

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     芥川賞を受賞した鈴木結生氏の受賞後の最初の作品。次作を楽しみにしていたので、期待して読んだ。

     イギリスとC・ディケンズが好きなファンダージ作家の舟倉按が、自伝小説を書き進める中で、父や母のこと、自分を
    振り返る、自分の記録を探す物語。

     独特の表現、イギリスのgenntleman、loue、英語の振り仮名だったり、「携帯財産+X」などなど。さーっと読んだだけでは、ん・・・?と思ったりするし、作者の圧倒的な知識に、これはどういう意味なんだろうと考えながらページをめくった。作者の意図することは、理解できているとは思えないが、主人公の按の頑張る姿はつい応援したくなるし、独特の世界観はちょっと非現実的で、二次元の本なのに視覚的にも楽しめる、そんな世界に浸れるのは楽しい。

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    2025年12月21日
  • 携帯遺産

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    前作『ゲーテはすべてを言った』にあった博覧強記のエンタメ性とは違って、今作は天真爛漫な文学の雰囲気があって微笑ましく読みました。基本的に別々である書き手と作品の距離を近くして語られることもままある面倒なこの頃、なら殆ど重なるような自伝やその体裁をとった小説であれば書きやすそう、と読む側でしかない私は思ったりしていたのだけれど、実際素材として揃っているものは自分の生きてきた大切な時間や記憶なのだから、どこを使うのか捨てるのかの選択は創作よりも難しいだろうし、伝えることが考えの押し付けにならないようするのも慎重に期す部分が多くて寧ろ書きにくいものなのかなと考えが改まりました。主人公の舟暮按(アンネ・フランクのアナグラム!)が最後に自伝的小説を書き直す決意を示すのも、作品全体を大きな愛が緩やかに包んでいるのも良かったです。済補(スマホ)の次が来貨(クレカ)とは予想外でした。

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    2025年11月22日
  • 携帯遺産

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    わからないことも含めて楽しめました。小説を書くって、こういう作業を重ねていくってことなのかなあ、と思いました。

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    2025年11月06日
  • 携帯遺産

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    英文学や聖書に詳しくない私にはなかなか手強い作品でした
    主人公の甥が、空から降ってくるお話をつかまえようと手を叩いてるシーンが素敵で印象的

    登場人物の名のアナグラム2人は分かったんですが、他の登場人物もアナグラムなのかなと思うと内容に集中できなかった


    舟倉按(ANN FNEKRA)
    →アンネ・フランク(Anne Frank)
     アンネの日記の著者
    台場有奈(だいばありな)
    →ダイアナ・バリー
     赤毛のアンの主人公の親友

    アナグラムではないけど
    蛇羽宇奥(じゃばうおく)
    →ジャバウォック
     『鏡の国のアリス』にある架空の生物



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    2025年10月13日
  • 携帯遺産

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    作家が自伝を描くことで、失踪した父親を求める気持ちが膨らんでいく。たくさんの古典の蘊蓄や創造した作品などが混然としてケムに巻かれたような面白さもあった。

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    2025年09月03日
  • ゲーテはすべてを言った

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    ネタバレ

    ゲーテ研究の権威が知らないゲーテの名言に出会ってその出典を探す話。
    タイトルはジョークであるとともにゲーテの偉大さを示す言葉でもある。

    ゲーテの名言を軸に、言葉や文学をめぐる考察がアカデミックな世界で展開する。
    謎解き要素が物語を先へ進める原動力になっている。

    半日で読み終えるくらい面白かった一方、登場人物全員のエリートっぷりおよび知的(?)な文体に少々辟易した。22歳でもまだサンタからのクリスマスプレゼントがあり、レ・ミゼラブルの劇中歌を口ずさみ、ドライブ中にバッハをかける家族。げえ。何が「もう付き合うしかないよね」だ。語り手の娘は最初から最後まで鬱陶しくて好きになれなかった。嫉妬やない。文体も、外国語の引用の訳がなかったりスマホを「済補」と書いたり衒学的すぎやしないか。

    実家に出かけると一つ部屋で寝て寝る前に会話もするのに自宅に戻ると家族三人ばらばらになる、主人公の目にはいいと思えない義父の論文を娘が絶賛する、それらが何か隠された意味を持つのかと思ったけど違った。

    文学や研究への愛がテーマだと思うんだけど、こんな窮屈なアカデミズムの世界でしか語れないなら文学ってつまんねえな、と思ってしまった。男女のカップル、女や老人はテクノロジーに疎いみたいな人物造形は類型的。妻のテラリウムが象徴するように箱庭的な話。

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    2026年07月29日
  • 携帯遺産

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    ウィットに富み、格調が高い文体なのに、力みがない。言葉遊びも独特。難解な描写も、自由に想像して楽しむ。視覚でも楽しめる工夫(按が生笑に物語を語る場面)が為されており、読者への細やかな気配りと愛を感じた。

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    2025年07月22日
  • 携帯遺産

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    いやぁ〜、私にとって素晴らしい読書時間を満喫できました。ゲーテはすべてを言ったで芥川賞を受賞後、第一作目として注目の作品。前作同様アカデミックでありながら、一方で愛を感じるめちゃくちゃ良い話だった。衒学的ではあるものの作者の文学、歴史への深い造詣と作家に対するリスペクトと自分自身の作者であることへの矜持が伝わる。愛こそすべて…。

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    2025年07月12日
  • 携帯遺産

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    作者の知識量がすごい。大半は知らない固有名詞で、書かれていることもわからないことが多いけれど、なんとなく雰囲気が好き。

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    2025年06月30日
  • 携帯遺産

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    主人公のアンは、アンネ・フランクのアナグラム?前回の作品には、ニキ・ド・サンファルのタロット・ガーデンの本が出てきて、うぉっ!となったけど、今回はアドルフ・ヴェルフリが!鈴木さんの小説は、本当にいろんな楽しみ方ができて、毎回ワクワクする。いろいろなものが潜んでいるから、何度も読みたくなるし、古典文学にも興味が湧く。本を読みながら本を読みたくなる不思議な本!

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    2025年06月15日
  • ゲーテはすべてを言った

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    読み終わって、すぐに最初の端書きが読みたくなり、読み返しました。最初は流していた諸々の文章がそういうことだったのか!と納得でき、流れも整理できたのでおすすめです。
    ゲーテや他にもたくさん出てくる著名人もあまり詳しくはなかったのですが、ストーリーも登場人物も魅力的でとても面白かったです。
    こんなに時が経ってもこういった作品やメフィストフェレスを題材にしたキャラクターが日々生まれているので、当時の人たちはどんなにゲーテの言葉、ストーリーに夢中になっただろうと想像してしまいました。

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    2026年10月02日
  • ゲーテはすべてを言った

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    専門的な言葉や、何かを参考にした言葉が多くて、読むのに、理解するのに、かなり時間を要する。
    でもその知的な雰囲気が面白い。

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    2026年09月23日
  • ゲーテはすべてを言った

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    「ゲーテはすべてを言った」は、どんな言葉も「ゲーテ曰く」を付けることで「わかるー」「言ってそうー」となるドイツあるあるらしい。(これがホントのなのか鈴木さんの創作なのか、よくわからない)

    ゲーテの研究者である博杷統一は、家族で食事に出かけた先で、紅茶のティーバッグのタグに何か書かれているのを発見します。
    どうやら愛に関する名言らしく、統一のものには「愛はすべてを混淆せず、渾然となす・ゲーテ」とある。推しを引き当ててご満悦の統一。はて、これはどこに出てきた言葉だったかと、その出典を探すんだけど見つからない。

    私はまずゲーテからよくわからないのでどこまで話が見えてるかは謎ですが…
    ゲーテの言葉を探しているうちに、統一の周り全部が引っくるまって真相に近づいていく感じが面白かったかな。

    登場人物の名前のクセにはびっくりしました!

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    2026年09月21日
  • 人にはどれほどの本がいるか

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    第十回林芙美子文学賞受賞作品。
    デビュー作。

    鈴木結生さん3冊目。知識力にまた驚かされた。海外文学、辞書、聖書などの知識が網羅されていた。難しいと感じ、噛み砕くように読み進めた。

    それでも、どの作品も登場人物の名前や物の名前にひと工夫がされ、おもしろさも感じた。以前読んだ作品と同じく、そこから鈴木結生さんの世界に入っていける。そして読んでいくと何となくつかめてきて、楽しめる不思議な感じを味わえた。

    【人にはどれほどの本がいるか】
    気になるタイトルの短編。九官鳥に毎朝本を読み聞かせている、蔵書4万冊越えの主人公。彼の本がどのように整理されたのかが書かれていた。なによりも小説の冒頭の彼の姿に驚かされた。読書家、蔵書家、愛書家、どれになりたいのかを想った。

    【完壁(璧?)な辞書】
    辞書の誤りを見つけることをライフワークとする国語教師と、より多くの間違いを見つけることを競い合う同僚の物語。文芸競技(セルメタン)の結果に至るまで、ことばの渦に巻き込まれた感じ。枕投げを表現するオノマトペが面白かった。

    【猫にバイブル】
    架空の小説家「枢蓼虫(くるりりくちゅう)が、生前発表していた二つの随想と、この度新たに発見されたテクストを1個の小説作品としてまとめたもの」が書かれている。そのなかで聖書のなかに自らの文章を書き入れてきたという事実を明らかにする。意味がわかるまで挫折しそうになるくらい難しかった。


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    2026年09月14日
  • 人にはどれほどの本がいるか

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    表紙とタイトルに一目惚れして購入。
    感想が難しい。1作目の世界観はとても好きだったんだけど、残りが小難しくてなかなか読み進められなかった。
    ずっと一作目の感じなら楽しめたのだけどなぁ。

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    2026年09月02日
  • ゲーテはすべてを言った

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    ちょっと読みづらさはあったかなー 途中までいまいちピンとこなかったし ただ どうなるか先がまったくよめなかったから よみきった感じです

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    2026年08月23日
  • ゲーテはすべてを言った

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    ゲーテを知らなすぎて、ゲーテに関する分かりやすい本を読んでみたくなりました。

    ゲーテがわからなくても、ストーリーとしては読めます。
    200ページ弱の本なのに、色々考えながら読んだので時間がかかりました。

    ゲーテに関する本を読んだ後、また読んでみたいです。

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    2026年08月20日