山口未桜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書備忘録954号。
★★★★。
あえて申し上げれば、クローズドサークルって、あまり萌えない。
推理、トリックとかが作品の中心になるケースが多いので目からジュースが出てこない。
感情移入、感動、伏線回収とかが好きなので「この窓から出て、あの部屋に入ったのか!」とかに興味が沸かず、なんだかなぁとなってしまう。
普通なら★3つ程度かなぁ、という感じだったのですが、殺人の動機に医療問題を上手く組み込んだことで、物語の後半は読む手が止まらず★4つに!
どんなトリックだったかを覚えておく必要はないので備忘録は不要!
前作に続いて城崎の活躍だね。
今回登場の春田は今後登場するのか。しないね。影薄かっ -
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何だかもうね、心が疲弊しました。
僻地医療、震災、コロナ禍、と重なりに重なってとんでもないことになってましたね。こんなにも人が亡くなる描写が多い作品が久々過ぎて、クタクタです。
序盤の悪い流れを最後の最後まで引き摺って、随分な深みまで行きましたね。
城崎先生は湯川教授にしか見えなくなってくるし、前作程の驚きというか感心は今作には無かったかな。でも、医療現場の描写はリアルで本当に見事です。文章だけでも気持ちが辛くなってしまいました。
今後、高齢化が進んで、地域の過疎化は益々進んで行って、働き手が少なくなって、医師の数も足りなくなって、地震もいつ起こるか分からなくてっていうカオスな状況が近未来で確 -
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ネタバレ冒頭には沢山の登場人物名と病院館内図…これ見るだけでミステリー始まるぅとワクワクする。
釧路空港から100キロの場所に位置する山の中腹にそびえる病院へ、兵庫からへき地医療支援の城崎と研修医2年目の春田が到着した。濃霧が垂れ込む周囲。すでに下山ができない状況。
古い知り合い・九条が勤めていて、春田は待ち合わせをしていたのに姿が見えない。やがて病院地下の温泉室で硫化水素中毒死しているところを発見される。事故か事件か。
翌朝、大きな地震が起こり院内はパニック。余震も続き、器材庫の扉が開かず、電気も食料も薬剤も人材も不足。外は硫化水素が蔓延しており、3階建ての院内で徐々に上階への退避が必要とされる。 -
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ネタバレ自分の出生のルーツを探るミステリー
明らかになっていく事実、衝撃的な過去にはすごく引き込まれた。
ただ、ラストの選択は本当にそれでよかったのか疑問。
以下めちゃくちゃネタバレ
中盤までリアリティがかなりあっただけに、妻の絵里香が行ったことに対して、突然どんでん返しのためのシナリオというか、フィクションっぽさを感じてしまった。
私も現在21週の初産婦。
お腹の中の子どもと愛する夫を守る本能は痛いほどわかる。
でもこんなことをいつまでも隠し通せるのか?
そして私もこの妻と同じ看護師なのだけど、仕事柄人の命や尊厳について葛藤してきた経験はかなりあると思う。家族を守りたい、夫にも隠し通したい -
Posted by ブクログ
山奥の病院を舞台に、深い霧と地震、それによる硫化水素ガスの発生などゾッとするようなシチュエーション。深い霧のせいで病院がある山から麓へ降りることもできず、実質病院に閉じ込められた状態。そのなかで発生する殺人事件。
主人公はその病院に地域医療実習で向かうことになった春田芽衣と先輩医師の城崎響介。偶然にもその病院で働く九条環は春田が中学生の頃にお世話になったバスケのコーチだった。久しぶりに会える喜びで病院に向かったが、九条は遺体となって発見される。
病院を舞台に、謎の殺人、そして迫り来る硫化水素ガス。これは現実に起こったらパニックだなーと思いながらも、その中で懸命に患者の対応にあたる医療従事者 -
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ネタバレ『禁忌の子』のシリーズと言われても特に印象に残るキャラクターがいなかったのだが、読んでみても特にシリーズらしい部分は感じなかった。
城崎が前作にも登場していたらしいが、いまいち人間味がなく魅力が感じられないキャラクター。
主人公の春田も、今時の若者というのか、あまり共感できる人物ではなかった。
舞台は、霧と硫化水素で閉ざされた山間の病院。
いかにもなクローズドサークルにときめいたが、どちらかというとトリックや謎解きよりもへき地医療の現実などのリアルな問題の方が興味深かった。
最後、「3回階段を通った」というめちゃくちゃ曖昧かつ主観的な証言を元に犯人を当てるのだが、細かいしややこしいしで正直ど -
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とうとう読めた〜!
「禁忌の子」の続編ということで、ずっと読みたかった一冊です。
あらすじを読んだ段階では「?」となる部分もあったのですが、実際に読んでみると納得の展開。
密室のつくり方が本当に上手い。
霧と毒ガス――この手があったか、と思わず唸りました。
物理的に感じられない恐怖というんでしょうか。
鍵が開かないとか、断崖絶壁に立たされているとかなら、まだ諦めもつく。
でも、目に見えない分、希望が生まれてしまう。
その希望がじわじわと恐怖に変わっていく……新感覚の怖さを味わいました。
それにしても、一つのミステリにこれでもかというほど多くのテーマを盛り込んでいます。
①地方の病院の経