渡邉雅子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
感想文の構成が日本人に染み付いているというのは、言われてみれば確かにぶくろぐのレビューを読んでいても感じる。思ったことや本を手に取った背景よりもまず先に、あらすじを書いている方が多い。「学校の教育なんて意味あるのか」的な論争が数多くある中で、作文教育は無意識レベルで論理を使いこなすための、非常に意義のあるものを言えるだろう。
飛躍があるかもしれないが、これを読んで思ったのは、論理的思考は国よりもっと細かく、個々人それぞれあるのでは?ということだ。自分の理解では、それぞれの価値観がまず先にあって、それを支える論理を組み立てていくことで、その価値観固有の論理的思考が形成される(と読み取った)。
-
Posted by ブクログ
前に読んだエマニュエル・トッド「世界の多様性」に引き続き、世界には本当にいろんな国があるもんだなぁという本。
この本はYouTubeの「ゆる言語学ラジオ」で知りました。
「結論から先に言いなさい」と教えられてきましたが、これはある限られた国で採用された表現形式であって世界共通というわけではないらしい。
論理というのは普遍的な推論方法ではなく、文化や社会の枠組みのなかで形づくられるものであるというのが本書の主張です。
そして、著者はこの文化的な枠組みを理解する鍵として「教育の在り方」に着目します。
子供たちへの教育原理はその国が重んじる価値観そのものと言えます。
本書ではこの教育原理を大き -
Posted by ブクログ
ネタバレ論理的思考とはなにか。
日本で社会人になってからの壁、「結論から話せ」になぜ戸惑うのか?
小中高の作文教育と歴史教育からその謎を紐解く。
ビジネスシーンではアメリカの影響が色濃く反映しており、アメリカ風な書き方5パラグラフエッセイを『論理的』としている。
「結論を先に提示する」ことで、まず何の話なのか明確になる利点はあるが、その結論が正しいものであると錯覚してしまう不具合が生じやすい(フェイクニュースを作りやすい)
フランス風な書き方では、テーゼ主張とアンチテーゼ反論を併記し、落とし所やジンテーゼ第三の論への展開が導きやすいが時間がかかる。
→ビジネスシーンのような(少しの間違いは許容し -
Posted by ブクログ
合理性を、形式的/実質的、主観的/客観的の四象限に分けて相対化し、それぞれを代表する各国(アメリカ、フランス、イラン、日本)の教育文化を比較研究した本。とんでもなく面白かった。
個人的には、ビジネスで必要となる論理思考と、日本の教育にズレがあるのを常々感じていたのだけど、この本でその理由がかなりクリアになった。
ビジネス上の論理思考は、本書によるとアメリカに代表される「経済原理」の思考で、目的達成に直接結びつく効率的な行為が合理的な行動とされる。アメリカではこの原理に基づいた教育がなされており、エッセイという作文の教育を通じて、その論理思考が叩き込まれるのだという。
それに対して日本では -
Posted by ブクログ
これまでの研究成果を社会に還元するという目的で書かれた本のようだ。
ベースとなるのは『納得の構造』や『論理的思考とは何か』で、複数の文化圏の「論理」がどのようなものかをモデル化してきた話。
それを現代の社会の中に位置づけ、今後の教育の在り方、作文教育の在り方の提言に結び付けていく。
西欧近代のシステムが行き詰まって、さてどうするか。
そこで日本で培われた社会性を大事にする教育や、ビジネスの中でさえ利他を重視する考え方(「共感的利他主義」と本書では呼ばれる)にも、今後のよりよいあり方を見つけるヒントがあるのではないか、と筆者は伝えている。
たしかに、筆者の言うように、過去のよいものを検討もせず -
Posted by ブクログ
昭和の学校教育の記憶を持ち出すのもどうかと思うのですが、国語の影は他の教科よりも薄かったです。それなのに、しかも週の何分の一しかコマ数がないのに、その中の作文教育が、日本を救うくらいの勢いで本書は書かれています。
作文教育のあり方は置かれた社会の影響を受けてのことと書いているのですが、逆に、作文教育のあり方が社会に影響を与えるのでしょうか。疑問は尽きないのですが、変えなければ変わらないのも事実でしょう。
どこかのエリアで(あるいは教育学部の附属学校で)実験的に10年くらいやってみてもらえないかなと思いました。面白い学校にお子さんを預けてみようとする親御さんがいることが前提になるんですが。 -
Posted by ブクログ
本書の主張は「論理的思考」とされているものは決して普遍的なものではなく、国家、言語、宗教、社会体制、そして学校教育によってパターン・型が形成されている、というもの。また、論理的思考は普遍的ではないことを認識したうえで、コミュニケーションの相手がどの論理に沿っている人間なのか、ということを意識することの重要性をといている。
著者は「教育発達科学研究科」という学問の大学教授であり、ご自身の長年の研究成果である日本・アメリカ・フランス・イランの教育方法の比較を、岩波新書として刊行したもの。あとがきでご本人いわく「高校生でも読めるように書いた」とのことだけれど、ガチガチのアカデミックな文体。ユーモア