【感想・ネタバレ】論理的思考とは何かのレビュー

あらすじ

論理的思考法は世界共通ではない.思考する目的をまず明確にしてその目的に合った思考法を選ぶ技術が要る.論理学・レトリック・科学・哲学の推論の型とその目的を押さえ,価値に紐付けられた四つの思考法(経済・政治・法技術・社会)を使い分ける,多元的思考を説く.不確実なこの世界で主体的に考えるための一冊.

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Posted by ブクログ

論理的な思考は世界共通ではなく、異なった型があるというのが本書の主題です。

論理的思考を
1 アメリカ型(経済の論理)
2 フランス型(政治の論理)
3 イラン型(法技術の論理)
4 日本型(社会の論理)
の4バターンに分け、それぞれの思考法の特徴、背景、長所、短所等を分析検討し、その違いを明確にしていきます。

異文化の人の考え方や思考方法を知り、取り入れることはグローバル化している現在、とても大事なことだと感じました。

この本で紹介されている思考方法は、とても参考になりなした❗️

いい本でした

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

論理や思考に関心ある人は必読の本。論理的思考と言えば、結論から書き、その後に理由を述べるなどと言われる。
確かにわかりやすい書き方だが、どこからこの書き方が来たのか疑問だった。
また、日本の感想文や作文の意味もわからなかった。(読書感想文に何を書けばいいのかいつも困惑していた)

この本はこれらの長年の疑問を解決してくれ、論理的思考と作文と社会規範の関係を明快に教えてくれる。
冷戦後、アメリカの論理が世界を席捲したが、それぞれの文化や価値観を背景に思考パターンが異なることを知れたのはとても有益であった。
むしろ経済最優先のアメリカ思考は歴史的にかなり異質なものと思う。
著者は、日本の社会重視の論理について、道徳を養い社会秩序を維持するのに役立つと高く評価する。
各国の論理が異なることは、他国で生活するときに摩擦が激しくなる理由の一つだろう。
外国人が増えている中、日本での多くの人の生活にも役に立つ本である。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

 論理的思考力とは我々日本人から見れば物事を順序立てて順に説明していくことと思われがちだが、必ずしもそうではない、論理的思考力は不変ではなく、さまざまな形があるということを知った。
 本書では四つの論理的思考力の形が紹介されていた。自分の主張を相手に正しいと認めさせるのに適したアメリカ型の経済領域の思考、多くの人の利害に関わり多くの人から受容されなければならないことを慎重に論証することに適したフランス型の政治領域の思考力、ある普遍の真理に向かって物事を論証するのに適したイラン型の法領域の思考力、相手の共感を誘い、多くの人に受容されるのに適した日本型の社会領域の思考力だ。
 これらはどれが正しいというわけではなく、目的に応じて使い分けることによって論理的に物事を捉えることができるのだ。その選択肢を手段として持っておくことが今グローバルな時代を生きる上で大事なのではないかと思う。
 

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

リアル本にて。
ゆる言語学ラジオで紹介されていた、「論理的思考の文化的基盤」が面白そうだったが、難しそうだったので、同著者の新書版であるこちらを読んでみた。
国ごとに歴史的経緯から重要視する論理展開が異なり、それに合わせた作文教育を行ってきた結果、ある文章が論理的かどうかは読み手によって、もっといえば読み手の国籍によって異なるという主張。
この主張も面白いのだが、個人的にはその主張に至る前段の説明である、序章「西洋の思考パターン」が面白かった。
西洋の思考パターンに、論理学、レトリック、科学、哲学があり、それぞれ目的と論理的とする条件が異なる。論理学は、真理を証明するために、ある法則から具体的な結論を得る演繹的推論を行う。レトリックは、一般常識と具体例を、話術を駆使して語ることで、一般大衆を説得することを目的とする。科学では物理的真理を見いだすために、アブダクションにより挙げた仮説の整合性を確認する。哲学は、一般的に自明でない概念を定義付けするために、弁証法(ある見方→反する見方→それらを総合する見方)を用いる。
普段なにげなく考えているが、言われてみるとたしかに、異なる思考法を用いている。
なお、日本文化的思考法は、小学生の感想文みたい、と揶揄されることが多いが、本書の中ではその価値を見出だし、むしろこれからはもっと必要になると述べている。その点も、好感がもてる。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

手順の正しさが厳密かつ客観的に保証されている論理的思考は、論理学の形式論理だけである。しかし、日常生活で形式論理に基づいて会話や議論を行うことはほとんどなく、私たちは常識に基づく“大体正しい”蓋然的推論を用いている。

論理的思考は目的によって異なる形をとる。主な目的として、経済・政治・法技術・社会があり、それぞれに「正しい」とされる文章の書き方がある。
アメリカでは経済を目的とした論理が主で、主張・根拠・結論を最短で無駄なく述べることが求められる。論文やビジネスでもスタンダードな形式であり、根拠は客観的な事実に基づく。
フランスでは政治を目的とした論理が使われ、弁証法をベースに、問題・テーゼ・アンチテーゼ・それらの矛盾を乗り越える解決という構成をとる。反対意見も論じ、網羅的に議論を行う点がアメリカ式と異なる。根拠は過去の例証(引用)によって示される。
イランでは法技術を目的とした論理が中心で、聖典をもとに第一原理から出発し、演繹的に問題の真偽を論じる。結びにはことわざや詩、神への感謝を置く。正しさはあらかじめ聖典に定められており、個人の意見が入る余地はない。
日本では社会を目的とした論理が主で、書き手の体験とその変化を述べ、他者の共感を得ることが重視される。

感想:
これまで論理的と教えられ、自分も信じていたアメリカ式の論理が、複数の視点の中の一つに過ぎないことを知った。特に、馴染みのなかったフランス式の論理への理解が深まり、以前「冗長で引用が多く読みにくい」と感じていた文章の理由がわかった。
表を使った整理や簡潔な言い回しなど、著者の説明が非常にわかりやすい。著者の他の著作も読みたい。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

感想文の構成が日本人に染み付いているというのは、言われてみれば確かにぶくろぐのレビューを読んでいても感じる。思ったことや本を手に取った背景よりもまず先に、あらすじを書いている方が多い。「学校の教育なんて意味あるのか」的な論争が数多くある中で、作文教育は無意識レベルで論理を使いこなすための、非常に意義のあるものを言えるだろう。

飛躍があるかもしれないが、これを読んで思ったのは、論理的思考は国よりもっと細かく、個々人それぞれあるのでは?ということだ。自分の理解では、それぞれの価値観がまず先にあって、それを支える論理を組み立てていくことで、その価値観固有の論理的思考が形成される(と読み取った)。
その論理的思考法(感想文、エッセイ等)は型があれど、グローバル化の影響もあってか、土台となる価値観は現代においては実に多様と言える。そして各々微妙に違う価値観に合わせて、無意識のうちに論理を使い分けているのかもしれない。
本書の内容が個人レベルでも適用可能なら、例えば「こいつと話は合わないな」と思ったとしても、その人にはその人の価値観と論理が備わっていると理解ができる。この理解を直感的にではなく、それこそ論理的にできるようになれば、他人と自分の価値観を相対的に(論理的思考を4象限で表したように)見られるだろう。自分が象限の原点にいないことに気づく事こそ、相互理解の第一歩なのかもしれない。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

論理的思考は、1つではない(目的に応じて形を変える)。そのために、多元的思考という視点を持ち、目的に合った思考法を選ぶ必要がある、というのが本書の主張。
論理的に考える基本的な思考のパターンは4つあり(演繹、蓋然的、アブダクション、弁証法)、それぞれ推論できること、できないこと、得意不得意などがある。目的に応じて最も適した思考法を選ぶこと、また他者がどの思考法で議論しているのかに目を向けることにより、より建設的な目的達成並びにコミュニケーションが期待できる。
論理的に考えるパターンが複数あるという提示は、私には目から鱗の体験。新たな視点が得られ大変嬉しい。一方、目的に応じて思考法を選択することなどは、それぞれの思考のパターンをよく理解し、かつ使いこなすといった訓練も必要になるだろう。このあたりのことを学びたくなる。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

ちょっと難しかったですが、とても面白かった!
文化、領域(経済、政治、法技術、社会)によって論理的思考の仕方がこんなにも違うということに驚いた。アメリカとフランスの違いにビックリ!
何が目的なのかを特定し、目的に応じて思考法を使い分けるとのこと。もっと若い時に知りたかった!
高校生、大学生に是非読んで欲しい。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

型があり、使い分けを推奨。
恐るべきはフランスのディセルタシオン。
ヘーゲルの弁証法を取り入れてる。
フランス、ドイツが現代哲学においても牽引しているのはそういうことなんだろうな。
日本の感想文もそんな効用があったのか!と目から鱗。如何にアメリカ式エッセイが優れていると表面的に受け取っていたか。

イランのエンシャーについては、『「論理的思考」の文化的基盤』を読んだ方が暗唱の凄さが分かる。この辺りは司馬遼太郎『十六の話』に出てくる井筒俊彦の師匠の話を思い出した。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

巷に溢れているいわゆる「ロジカルシンキング」を身につけるものではないです。
そもそも「論理的とは何か」という問いから始まり、論理的思考を4種類に分類し、それぞれの目的、優先するもの、得意不得意、を解説してくれています。
またそれがどのような文化から派生して、どのような領域で扱われるのかを分かりやすく書かれている。それがもう個人的には新しい視点で非常に勉強になりました。
ちょこっと論理学を齧ったのですが、その論理学の考え方が、全てが全ての場面で効果を発揮するかと言われれば、そうではないと実感しています。
相手が優先しているもの、目的としているものがぼんやりと違うからかなと思っていました。
ですが、この本を読んで異なる論理的思考をベースにしているからだと気づきました。
まずは自分がどの論理的思考をベースにしているのか、その次に相手、そしてどの論理的思考を使うべきかを考える。

常にロジカルシンキングで相手を説得することが目的ではないのだと胸に刺さりました。

この著者の他の本も読みたくなりました。

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

小さい時、アメリカは憧れだった。科学技術もコンテンツも日本の数歩先をいっている感覚だった。でも最近はその短絡的な行動にあきれつつある。トランプの支離滅裂さ然り、機関投資家の強欲さ然りだ。

この本は論理的思考は文化的背景によって異なることをアメリカ、フランス、イラン、日本の作文教育を比較しながら論じる。アメリカの典型的なエッセイの型は経済領域に位置づけられ、何よりも効率が重要視される。そして真偽はともかく因果がもっともらしい論拠を元に自分の考えを主張することが求められる。この型への違和感が最近感じていたアメリカへのあきれの原因なんだと腑に落ちた。

言われてみれば、ロジカルシンキングで論を尖らせて主張を際立たせ、相手を説得することにも最近疲れてきている。そりゃ文化的背景が違うのにやみくもにアメリカ型の論理思考をしていたら当然だ。

なにもアメリカ型の論理思考が悪いわけではない。どの国も本書で挙げられている4つの領域を使い分けているとも書かれている。要はどういう型の論理思考があって、その文化的な背景や目的は何かを理解することが重要ということだ。郷に入れば郷に従うとは相手の論理的思考を理解しつつ対話することでもあるなと思う。

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2025年06月30日

Posted by ブクログ

論理は世界中で不変ではないことが明解に説明。
国・宗教などによって、思考方法が違っていて、それを間違うと論理的か否かの評価(試験の結果)も異なってくる。
他国と交渉するときは、それを分かったうえで、落としどころを見つけるのですね。

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

理解し合えない理由、齟齬が起きる理由が目鱗すぎる、、、国によって、こんなに違うのか。そして、フランスに住んでいるからこそ、めちゃくちゃわかる。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

MBAの科目や、ちまたのロジカル・シンキング、クリティカル・シンキング本などから、これぞ論理的思考だ!と学んできたつもりだったが、その理解を覆されるような内容だった。
本書では、論理的思考には上記を加え大きく4パターンの型があることを示している。各パターンが生まれた西洋や日本の社会的な背景から知ることで「論理的思考」という思考術の意義目的を確認できる。
(論理的思考のハウツー本ではない)
これまで知っていた「論理的思考」は、主張-根拠-結論の構成のもの(アメリカ式エッセイと呼ぶ)で、これは経済における課題を効率よく解くうえで有効であるものと知った。一方で、時系列に並べたり、起承転結の構成の馴染みのもの(日本式感想文)も、論理的思考のひとつであるという。主張がわかりにくい非効率的な構成ではあるが、物語の形式であるため共感を作り主張ができる。こういった構成も論理的思考であり、共感を持って解くべき社会問題には有効である。アメリカ、日本の社会的な背景もあり、このように異なる形式が生まれており、全世界共通の唯一絶対の「論理的思考」があるわけではないのだと知った。

論理的思考方法には「経済」、「政治」、「法技術」、「社会」の4領域それぞれに適したパターンで分けられ、各代表として紹介されるアメリカ式エッセイ、フランス式ディセルタシオン、イラン式エンシャー、日本式感想文の作文構造からその目的や手段(文章の構成)を学ぶ。各パターンでは重視する価値観、思考する目的が丸切り違う。また作文に必要となる要素や並べる順番も異なる。さらには、結論や終着点も異なる。それでもこれら全ては論理的思考である。なかなか重厚で読み応えがある内容だったが常識を覆されるような読書体験だった。

実体験として、日本の職場では(日本人には)、私も含めエッセイや感想文のパターンの論理的思考が混在しており、他人との思考のズレは感じていたが、このパターンの違いであるかと思う。自分自身も「アメリカ式エッセイこそ唯一絶対の論理的思考。それ以外は非論理的。」と思っていたので反省させられる。
こういう場面などで、相手がどの思考パターンを持っているかを理解し、目的に合わせた思考(経済、政治、法技術、社会の何の問題を解くために思考するのか?)ができることで、そういったズレを埋められそうと感じた。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

読み手の国や宗教など様々な要因によって、論理的思考の捉え方に違いがあると言うところがとても興味深い。
日本、アメリカ、イラン、フランスの四つの型の考察はとても面白引き込まれた。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

フランス、イランにおける型の説明と比較は興味深かった。歴史的文化的な背景に起因する論理的思考の違いを学べた。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

線形思考、非線形思考みたいな話や、
構造的、非構造的な話も含めて、思考法にたいする考えを深めたくて読んだ。

軸は違うけど、やはりその思考法を客観的全体的に俯瞰して理解しておくのは、議論の前提として起用有した方がよいな。面白い軸になる。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

論理的思考は目的によって形を変えて現れる、としてアメリカ(経済)、フランス(政治)、イラン(法)、日本(社会)の作文教育から論理的思考の型を比較することに多くが割かれている。
教育文化論が専門の筆者ということで各パーツは読み応えはあるが、アメリカ=経済のような図式に落とし込むのは単純化しすぎなきらいがあるし(この辺最後の方でうまく回収しているのだが)、なぜ作文教育に着目するのか?もピンと来ない。「論理的思考とは何か」の答えに辿り着けるのかこれ?と感じて途中からあまり内容が入ってこなかった(なのでちゃんとテクストを読めてない悪循環)。

「なぜ読書感想文を書かされたのか」に厚みを持たせて1冊、のほうがより学びはあったかなという気がした。

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

ゆる言語学ラジオで扱われていた書籍を手に取ったものの、専門的で読みこなせそうにないと思い、同じ著者によるこちらの新書を手に取った。

普段は英語、日本語の会議通訳をしていて、日本のおじさまたちの話が曖昧で論旨がはっきりしない、などど同僚たちと愚痴りあうことも多いため、読んで自分たちの浅はかさをおおいに反省した。

それ以外の部分でも、英語通訳は英語圏、特にアメリカの価値観に偏ったバイアスを思った以上に内面化しているのだなぁ、と思う。フランスとの作文の論旨の立て方との比較が特に興味深かった。

日本の作文の歴史、綴り方からの変遷の部分も面白かった。感想文は戦後、比較的に新しく導入されたものであること、綴り方は明治中期から大正時代に子供達が自分の精神生活を文字にして、喜びや悲しみを友人と共有し共感力を涵養することが目的であった。

作文の技術を習得するよりも自分の内面を見つめ開示することが重要視され、そのため、添削をしたり評価点をつけず、教師は最後に1行感想を書くのみにとどめることとしたそう。

大学に入学してアメリカ人講師の授業で、何度出してもエッセイが合格せず、ただ単に同じ内容の情報の出し方の順番を入れ替えるだけで合格できた、という経験があったのを思い出した。

書く技術か、書くことを通しての人格教育か、ということが明治期に盛んに論争になったとのことで、なるほどなぁ、日本の作文の基礎は人格形成にあるのだなぁと思う。だから読書感想文も書くのが難しいのだ。分析ではなく、自分の感情や成長を無理矢理にでも書かされるから。それはやっぱり辛いものだと思う。ただ楽しく読んだものに道徳を求められるのはしんどい。

ざっと読んで、面白かったが、全部は消化しきれていないと思う。

ただフランス式の作文は政治の場面に確かに有効だと思う。思いつきで軽い政策を無責任に出して、影響を考えない日本の政治家に学んでほしいと思った。

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2025年10月25日

Posted by ブクログ

文化的な背景によって論理的思考は異なり、大きく4つの論理的思考について説明されている。
これを読むまでアメリカ式の論理が論理的思考だと思っていたが、何を大切にするかによって相手を納得させられる論理展開が異なるのは必然だなと納得。
仕事なのかプライベートなのか、どのシーンでどの論理を取り出すのか適切に使うのかが大切。

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2025年10月18日

Posted by ブクログ

論理の形は文化によって違い得る。そのことをアメリカ(経済領域)、フランス(政治領域)、イラン(法技術領域)、日本(社会領域)の作文教育の方の違いから示す。一歩間違うとステレオタイプ化になりうるけど、「どの国においても四つの領域があり、人々は日常の判断においてそれら四つの領域の間をスイッチしたり、ザッピングして見比べたりしながら、四領域の区分をあまり意識しないまま選択を行なっている」(169ページ)とあるように人間は柔軟さを持っている。
よく言われる日本人の論理のなさを弁護する意図が感じられたりするのは穿った見方すぎるだろうか。

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

普遍的であるように感じられる「論理的である」ということ自体が、文化や目的によって異なるということに、とても納得しました。

ひととの繋がりのなかで、相手の論理が成り立っていないと感じることは、誰しもあると思います。そういったとき、私はお互いの視野の狭さや理解の低さに原因を感じていました。

しかし、同じ文化や教育を共有している日本人同士でも、それぞれの立場による「目的」に違いがあり、結果、論理的思考の文脈の違いが生じたことに原因があると理解・整理することで、自分と他者の意見の違いについて、考えやすくなったように思います。

本書の中で、日本人は起承転結スタイルだと語られています。私もそのスタイルだと読みやすいし、わかりやすいと感じます。しっかり日本人型なんだなぁと実感しました。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

論理的に話して。
これまで何度も言われてきた言葉だ。どうして伝わらないのだろう。なんでこの人は私の言いたいことが理解できないんだろう。幾度となく悩んできた。その悩みを解決するのがこの本だ。
そもそも論理的であるということはどういうことなのか説明し、しかもそれが国や文化によって異なるという目から鱗としか言いようがない事実を私に突きつける。
大切なことを学んだ。それは相手の枠組みを理解し、それに対応することで物事はずっとシンプルになる。
難しい内容が多く、全てを理解できた訳ではないが非常に為になった。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仕事をしながら、上司や同僚の求める論理性になんとなく違和感を感じていた。
「ロジカル、論理的である」の定義が文化によって異なるのではないか、という本書の問題提起に、もしかしたら違和感のヒントがあるのかもしれないと思い、手に取った。

作文教育の中で「なんのために書くか、伝えるか」という目的をどう設定するのかが、論理性の文化に影響を与えており、その論理性の文化を分類すると、経済・政治・法技術・社会という4領域となるようだ。

ビジネスの場面では自分自身の現在の利益を最大化する「経済領域の論理」が採用されるが、政治の面では最も多くの人の害を最小化できるように複数の利害を調整する「政治領域の論理」が採用される。利害調整ではなく、日常生活に秩序をもたらすのが「法技術領域の論理」であり、社会の中で自分自身をよりよく変えていこうとするのが「社会領域の論理」である。

日本の作文教育では書くことによって、自身の経験を振り返り、経験した事象の前後で「自分自身がどのように変わったか」を表現させる。
これは、事象と自分自身の価値観に因果関係を見出す訓練をしているとも言える。
対象が何によって、どのように変化したか、それが読み手によっても因果関係を見出しうるのかが評価にされる。
他者も同様に因果関係を見出しうることを「共感」と呼び、この共感をもって社会の秩序、統制をとっているのが日本の価値観だといえる。

一方で、経済領域の価値観を反映したアメリカの5パラグラフ・エッセイは、現在、全世界でビジネスにおける文書の基本形として受け入れられている。
これは自身の主張を、根拠を添えて相手に伝えるかこと目的としており、主張を支えられる事実以外の情報を削ぎ落とすことで、主張のメリットのみを効率的に伝えるものである。

仕事の中で「論理的に」と言われる際の最も大きな違和感は、「結論を先に述べる=論理的」といわれる点だ。
結論や主張は、検討の結果であり、時系列的には最後になる。
それを先に提示することを要求するのは、読み手、あるいは聞き手自身が、結論について検討をする意思がないと感じる。
また、「結論」は必ずしも経済領域の論理でいう主張ではなく、話のテーマを指していることもある。

「論理的」とは、相手が期待する文章構造に従って説明されること、というのがわたしの理解だ。
相手が期待する文章構造は文化によって異なり、単に日本の作文の結びを先頭に持ってきただけでは、相手が理解しやすい説明になるわけではない。
相手が、確かに結論と補足説明の間に因果関係≒共感を感じられるような伝え方が、日本においてのコミュニケーションでは最も効率が良くなるのではないかと感じた。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

これを読むことで世の中には論理的思考の型が複数あり、論理的であるとはその型に従っていること、かつ両者でその型を共有していることなのだとしっくりきた。今までどれだけ自分なりに論理的に話していても、相手に通じないな、のれんに腕押しだなと思うことがあったが、これが原因だろう。また、この本を読んで改めて日本の作文教育が私は嫌いだと思った。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

実は半月近く前に読み終わっていたけれど、記録を先延ばしにしてきた一冊。
興味深く読めたことは間違いない。
ただ、読んでいる最中には、「おお、そうなのか!」と思うのだが、本を閉じると「あれ?」と思うことがしばしばあって…。
どうにもレビューが書きにくい。

第一章に、本書のテーマである論理的であることとは何かが、とても分かりやすく示される。
それは、「読み手にとって必要な情報が、読み手の期待する順番に並んでいることから生まれる感覚」だと。
つまり、「論理的である」ことは社会的合意の中で形成されるものであるため、文化による差が生まれる。
この話は、以前読んだ同じ著者の本でも述べられたことで、とても興味深く感じられたことだった。

さて、この本の構成は、最初に「西洋の思考のパターン」として、四類型が示される。
論理学、レトリック、アブダクション(科学)、哲学である。
で、それぞれの特徴を解説し、第一章の論理的であることの文化的側面の話に移っていく。
ここで合理性が形式合理性(手段が目的に適合していると感じられるか)と、実質合理性(行為に値する目的だと感じられるか)の二軸と、主観・客観という別の二軸を交差させた四領域を作成し、どの社会にも存在すると思われる経済領域、社会領域、政治領域、法技術領域に割り振っていく。
・主観+形式合理性…経済領域
・主観+実質合理性…社会領域
・客観+形式合理性…法技術領域
・客観+実質合理性…政治領域
実は、このあたりから、ややついていけない感じがしてくる。
まず「西洋の思考のパターン」として取り上げられている4つは、文化と時代を超越した普遍的なものなのか?
筆者はどう考えているのか、いまひとつわからない。
もちろん、文化相対主義のように、異なるものを比べても意味がない、という議論をするのではなく、あえてそれを類型として見るのだ、ということだと理解できなくもないのだが…
「西洋の思考のパターン」と第一章で出てくる4領域とのつながりもわかりにくい(重ねたいのかなあ、と思われるけれど、きれいに重なっているわけではない)。

第2章では、アメリカ、フランス、イラン、日本の作文教育で教えられている型の分析。
著者の他の本でも論じていた内容。
例を挙げてどのような論の展開になるのか示されるので以前読んだ本でより理解が進んだ気がする。
第3章では他の文化圏から、別領域の作文(もちろん、そこでの論理展開)を見るとどう見えるのかということも説明されている。

本書ではっきりとわかったのだが、著者は日本の感想文や意見文を意外と高く評価している。
日本型の作文では共感が必要とされるため、高度な非認知能力を養う効果が期待できるのだそうだ。
その中で社会化された人々は、道徳観を内面化し、強圧的な措置なく社会秩序が保たれるということを強みとして捉えている(それが決断力の欠如などの短所につながることも同時に指摘してもいる)。

終章は、タイプの違う思考方法を柔軟に使い分ける多元思考を推奨して終わる。
たしかに、今や日本でもアメリカ風の5パラグラフ・エッセイばかりがもてはやされている。
(哲学の論文ももしや、今やその型で書くのだろうか?)
そういう風潮に一石を投じることになる本だと思う。
が、一方ではそう簡単に複数の型を身につけ、使いこなせるのだろうか、という疑問を感じてしまう。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

論理的思考の方法は世界共通でもなければ不変でもない。そう言われると「おお、そうなのか~」となるのだが、その先がイマイチ入ってこない感じ。書いてあることを理解できないわけでもない(と思う)し、同意できないわけでもないのだけれど、どうしたことか。

示されている4つの型のなかで、日本の感想文だけどうも見劣りするような気がしてしまう。

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

社会的背景と分野によって正しいとされる考え方の筋道は違うよ、という話。
読みたい内容とはちょっと違ったんだけど、日本の国語の授業が道徳の側面を持つ背景についてのくだりは面白かった

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

「論理的」と言うと、小論文のようなエッセイのことが思い浮かぶ。結論ファーストで端的に説明し、いかに自分の意見が効率的かを皆に説得するときに用いられるものを、論理的な説明だと思っていた。本書ではエッセイの他にもディセルタシオン、エンシャー、感想文の4つに大別して、各国の論理的な思考法とそれぞれの差異を敷衍した。感想文が論理的なのか疑問に感じたが、読後はその疑問は払拭された。
本書を読んで、エッセイの目的論的な思考に忌避感を覚えるのにも、私たちが子供の頃に書かされた感想文が関係してあるように感じた。

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

タイトルにある通り論理的思考とは何か?という点で、西洋での論理文化を形成してきた4つの専門領域(論理学・レトリック・科学・哲学)の解説を始め、社会を構成する4つの専門領域(経済・政治・法技術・社会)に対して紐付けられた思考法などを、章を追って段階的に学ぶことができます。

文中に難しい言い回しなどがあったりして、自分には難し過ぎるかなとも思ったのですが、読み終わってみれば勉強になったなと感じました。中でも個人的に、代表する4ヶ国(アメリカ・フランス・イラン・日本)の「作文の型」について紹介する章が面白かったです。昔ブログをやっていてその時色んな文章の書き方を調べたのですが、その書き方のほとんどが結論から述べるアメリカのエッセイ式を主としているんだなと思いました。

本書でもありますが、1つの思考法に縛られず目的に応じた思考法を活用する「多元的思考」というものを、これから少しずつでも活用していければなと思います。

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2025年07月28日

匿名

文章を読むのが苦手な人に大人気

論理的思考について扱っているわりに、著者の思い込みによる議論のみが展開されており、そもそもこの文章自体があまり論理的に展開されてないという問題がある
また、下記サイトによると、そもそも著者自身の論理学などについての知識に疑念があるようだ。
https://sokrates7chaos.hatenablog.com/entry/what-is-logical-thinking-w

#笑える

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2025年03月16日

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