渡邉雅子のレビュー一覧
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教育、すなわち未来を支える世代にどうあってほしいかを示すという、人類共通の課題に対し、わが国とアメリカ、フランス等との基本的な考え方の差異を分析的に示している部分はわかりやすい。「新書」の一読者としては、何となくの興味は持っていても、自らの力で集中的に考えたり論点を言語化した経験もない分野について、専門家が用いる視座と分析軸をあっさりと提供してもらえるという感覚があり、読む価値があったと感じた。
本書の主張で、最終的に、共感性や多元的思考の重要性を挙げていることには共感できる。
しかし、長すぎる序論で、「”近代”の行き詰まり」や、「資本主義で当たり前とされる価値観が世界を不幸にする」といった主 -
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前著は作文教育から、各国の論理的思考の筋道を各国の文化、価値観と捉えていてめちゃくちゃ面白かった。
今作は日本の作文教育の価値観をかなり突っ込んで述べている。
今後訪れるであろうポスト近代の時代に対応する価値観育成に、批判的に捉えられがちな日本の共感的を促す指導が効果的だというのは、教育者の端くれとしても勇気づけられる思いであった。
かなりざっくばらんに言えば、日本の教育はこのままでよい、今後は人間も自然の一部とみなした利他的な価値観が基準となる!という内容。
共感に重きを置くということが、なぜか我々日本人にとって幼く思えていたのだが、そうではないというのが前著でも述べられていたことである -
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MBAの科目や、ちまたのロジカル・シンキング、クリティカル・シンキング本などから、これぞ論理的思考だ!と学んできたつもりだったが、その理解を覆されるような内容だった。
本書では、論理的思考には上記を加え大きく4パターンの型があることを示している。各パターンが生まれた西洋や日本の社会的な背景から知ることで「論理的思考」という思考術の意義目的を確認できる。
(論理的思考のハウツー本ではない)
これまで知っていた「論理的思考」は、主張-根拠-結論の構成のもの(アメリカ式エッセイと呼ぶ)で、これは経済における課題を効率よく解くうえで有効であるものと知った。一方で、時系列に並べたり、起承転結の構成の馴染 -
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論理的思考は目的によって形を変えて現れる、としてアメリカ(経済)、フランス(政治)、イラン(法)、日本(社会)の作文教育から論理的思考の型を比較することに多くが割かれている。
教育文化論が専門の筆者ということで各パーツは読み応えはあるが、アメリカ=経済のような図式に落とし込むのは単純化しすぎなきらいがあるし(この辺最後の方でうまく回収しているのだが)、なぜ作文教育に着目するのか?もピンと来ない。「論理的思考とは何か」の答えに辿り着けるのかこれ?と感じて途中からあまり内容が入ってこなかった(なのでちゃんとテクストを読めてない悪循環)。
「なぜ読書感想文を書かされたのか」に厚みを持たせて1冊、の -
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ゆる言語学ラジオで扱われていた書籍を手に取ったものの、専門的で読みこなせそうにないと思い、同じ著者によるこちらの新書を手に取った。
普段は英語、日本語の会議通訳をしていて、日本のおじさまたちの話が曖昧で論旨がはっきりしない、などど同僚たちと愚痴りあうことも多いため、読んで自分たちの浅はかさをおおいに反省した。
それ以外の部分でも、英語通訳は英語圏、特にアメリカの価値観に偏ったバイアスを思った以上に内面化しているのだなぁ、と思う。フランスとの作文の論旨の立て方との比較が特に興味深かった。
日本の作文の歴史、綴り方からの変遷の部分も面白かった。感想文は戦後、比較的に新しく導入されたものである -
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岩波新書『論理的思考とは何か』の研究書版(というか、新書は本書のエッセンスを一般向けにまとめ直したもの)。学術的に書かれている分、著者の議論の特徴と問題点がより明確に出ていると感じる。
著者の主張のエッセンスは、学校教育で「何を・どのように書かせるか」ということ自体に、その国・地域の社会的・文化的な特性が反映されている、というもの。だが、その国・地域の最大の問題点は、「論理」を文化的・社会的に構築されたものと捉える着想は重要としても、それを検討するモデルとして学校教育の作文がほんとうに適切なのかはよくわからないところがある。各社会、各文化が求める作文の「型」が、それぞれの思考のスタイルを規