田中達也のレビュー一覧
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この本を読むには「木曜日にはココアを」を読んでおく必要がありますね。
喫茶店「マーブル・カフェ」での12編の物語に登場した人々の出会いのそれぞれの前日譚になっています。
そして青山作品の装丁は殆どがミニチュア作家写真家の田中達也さんが手がけています。
「いつもの木曜日」の表紙のデザインにもミニチュアの人物が配置されていて、「この人の、この場面かな?」と想像しながら眺めるだけでも楽しくなります。
今日は木曜日です。ほぼ土日が休日の私にとっては木曜日は好きな曜日です。「明日1日仕事すれば休みだ!」という単純な理由です。月曜日からずっと働いて、ちょっと心の余裕ができるのが木曜日なのかな?そ -
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『遊園地ぐるぐるめ』は青山さんと田中さんのコラボで出来上がった小説であり作品ということで、とても楽しみに読み始めた。
各章の扉にある田中さんのアートを見て、青山さんの物語を読む。
読み終えるとそこには、青山さんの物語を読んで作られた田中さんの作品がある。
その作品を見て、再び章の扉のアートに戻ると、「ああ!ここに!!」
連作短編なので、最初の物語に登場した人物たちはその後のアートにも登場し続ける。
次、次、次と、アートの中に知っている人を見つけるかのような楽しみが広がる。
ほっこり、じーん。
あたたかい気持ちになれる一冊だった。
そして…。
思い出すのは青山美智子さんの『木曜日にはココ -
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東京やシドニーで日々を前向きに生きる人たちを描いた超短編集。
本作は『木曜日にはココアを』のスピンオフ作品で、描かれているのは前作以前のできごと。
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満月よりも、その一歩前の小望月の方がいい。「楽しい」より「楽しみ」が多い方が幸せだと思うからだ。
昨晩はその小望月。美しい月を拝んだおかげで朝は目覚めがよかった。だから今朝はこのマーブル・カフェにこっそりやってきた。
今は午前5時。店を任せているワタルくんはまだ来ていない。少しばかり1人の時間を堪能させてもらおう。
店内を眺めながらふと想像してみる。このカフェで大切な想い出を作ってくれたであろう誰かのことや -
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表紙とタイトルに惹かれて読んでみた。
仲良しだったはずの5人。
颯斗が他のメンバーをけしかけて、清也のランドセルに金魚のエサを撒いたのはちょっとしたいたずらだったはず...。
でも、本当にただの悪乗り?悪意はなかった?
6年生という微妙な立ち位置は、自意識と自立、親からの干渉などエネルギーとストレスの間に身を置き、ともすればあらぬ方向に走り出してしまう。
颯斗も走り出してしまった自分の行動を抑える術を、まだ知らなかったのだろう。
そんな彼を受け止める誰かがいれば、もう少し早い段階で止めることができたのかもしれない。
けれど、頼りなかった担任も、葛藤しながらも傍観していた連も変わり始める。
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教師の仕事は、勉強を教えることじゃない。子どもと向き合うことだよ。一人一人を、しっかり見てあげなきゃ。胸に刺さった言葉。
小学校6年生男子の友達関係をめぐる物語。いじめられた側の驚き、悲しみ、悔しさはもちろん、傍観者の立場の子の気持ちもひしひしと伝わる。と同時にいじめた側の子の気持ちも丁寧に描かれており、いじめは加害者が抱える問題を解決しないと終わらないことがわかる。大人による表面的で強制された仲直りでは、子どもたちの心は動かない。いじめは大人になっても癒えない傷としてずっと残る。いじめを子どもだけで解決することの難しさと、周りの大人が気づき、行動することがいかに大切かが問われる。子どもと子