小倉紀蔵のレビュー一覧
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視点を相手側(向う側)においてみると、従来の自分の思考が如何に狭く偏ったものに過ぎないかということを痛切に感じさせられた。自分の側から自分知識のみで考えていたに過ぎないということを。
朝鮮の歴史をもう少し学ばなければならない。アメリカの人も日本のことについて、このくらい知らないし知ろうともしていないことを思うと恐ろしい、特に沖縄の事など。
朝鮮に対しては、卑弥呼時代や白村江の役、百済からの帰化などほんの僅かしか知らないなかで、日本とは明治維新以降の関係で封建的で儒教に凝り固まった遅れた国という印象であった。それは自分が知らないだけであって深い事情がもっとあったのだ。アジア主義を調べている時にも -
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古代から現代にいたるまでの朝鮮思想史の全体像を、かなり分厚いとはいえ、新書一冊で概観することのできる本です。
著者は「はじめに」で、「できるだけ著者の自説を展開せず、客観的な記述を旨とした」と述べています。ただ、本書全体をつらぬくキーワードとなっている「霊性」ということばが、十分な彫琢をほどこされないままに用いられており、朝鮮思想史の客観的な全体像を知ることを妨げているようにも感じられます。とはいえ、「本書一冊を読めば、神話から現代まで、儒教や仏教から文学まで、朝鮮思想の全体をざっと見わたすことはできる」というような本は、日本だけでなく、韓国にもこれまでなかったと「あとがき」には書かれており -
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★改めて読まねば★随分前によんだ読んだが、極めて面白かった社会分析。「おれさま」と「ぼくちん」を、自己評価の高低と社会への開き(他者からの評価)に応じて4区分する。「ぼくさま」などほかのカテゴリーがどんな内容だったか忘れたが、自己中心的でいばり、かつ自閉的な「おれちん」には笑った。日本三大おれちんは小泉純一郎、ホリエモン、中田英寿らしい。
おれちんはすべてをココロの問題にしてしまい、共同体から切れている。だが、個性ではめしは食えない。必要なのは実力で、それがうまくはまった人が目立つ。
ただ、この国の序列者は上位者が下位者に対してどうふるまうかの教育を受けていないと指摘。だから社会・組織として -
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ネタバレ入門と言っても私には内容深かった。十分内容を咀嚼できていないと思う。陽明学について書かれた書を探していて、新刊だったので手に取った。面白かったのは論語を読む場合、それに対する注や解釈が大事であるという事。解釈の比較、色々な解釈から自分の解釈を探す、考えるという事が重要。(しかし私の場合、不勉強でそこまでやった事がないが、中々並べて読むというわけにもいかないので、、、)その例として「空」の解釈で意見の分かれる論語の子罕篇の「子曰く、吾れ知ること有らんや、、、空空如たり。、、、」を例にとり朱熹、王陽明などの解釈を例示されている。このように例示されて其々の解釈を比較してある著作はなかなか無いので興味
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ネタバレ[ 内容 ]
小泉前首相、安部首相ら、おれちんリーダー、ニートやひきこもりになる若者…肥大化した自己愛を抱えつつ孤絶し、漂流する人たち。
彼らの深層心理に鋭く迫る。
気鋭の韓国哲学者による待望の次世代日本人論。
[ 目次 ]
おれちんの日記
「おれちん」万歳!
「おれちん」とは何か
「おれちん」の増殖
「おれちん」とメディア
「おれちん」誕生の背景
「おれちん」のしるし
「おれちん」と政治・経済・社会
「おれちん」と若者
「おれちん」と新しい人間観
「おれちん」の敵
「おれちん」の味方
「おれちん」の文化
「おれちん」と世界
「おれちん」とナショナリズム
「おれちん」の思想
「おれちん」の黄 -
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私の問として「(私にとって)抗いようのないニヒリズム」に対してどう受け止めるか、立ち振る舞うか(自分の人生をどう理解するか。)についてヒントがないかと思って読んだ。
本書では、従来から言われる「(ニーチェが述べる)超人」になることではなく、アニマシーというコンセプトで多重主体性をもった「総合的人間」になることだという。
総合的人間は、①超越/普遍/共通な自己や価値(神や霊的なもの道徳的価値にもとづくな人格などを含む)に依ることもなく、一方で、②西洋的な個人観/自我観である唯一の個人の視点に限定(?)されない、「あいだ」の状態(様々な価値、現象、経験、矛盾などなど)を、その緊張関係の動的な状 -
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朝鮮の儒学思想の専門家であり、NHKテレビのハングル講座で人気を博した著者による、朱子学と陽明学の入門書です。
時代遅れの道徳思想といったような儒学思想のイメージをくつがえし、そのラディカルな魅力を読者に伝えようとする著者の熱量が全編にわたってみなぎっているような印象で、そのエネルギーにみちびかれておもしろく読むことができました。
ただ、わたくし自身が本書の内容を十分に理解できたかといえば、ざんねんながらそうではないといわざるをえません。本書の冒頭で著者は「宇宙快感」と「宇宙認識」ということばを提出し、これによって朱子学と陽明学のちがいを示そうとしているのですが、本書を通じてのキーワードと -
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中国・韓国は性善説の国であり、日本だけでなく中国・韓国もそのことを理解していないために、東アジアの相互理解が進展しないということを説いた本です。
性善説は、道徳的に優位に立つ者が社会をリードするべきだという「ベタ」な立場を意味しています。著者によれば、中国の民衆は性善説的なメンタリティに基づいて行動へと駆り立てられがちなのに対して、政府はそれを抑える「鍋の蓋」の役割を果たしていると考えます。一方韓国は、上も下も性善説に支配されているため、政府がつねに不安定な状況に置かれがちだと論じています。
一方日本は、少し前までは「ベタ」な価値にコミットすることを忌避して「メタ」な立場を取る国民性を持っ