【感想・ネタバレ】日中韓はひとつになれないのレビュー

あらすじ

日本人は中韓と、政治・経済・文化においてアメリカなどへの対立軸となりうる「東アジア共同体」を設立しうるのか? 協調の前に認め合わねばならない日中韓の「差異」について考察を深め、あるべき姿を提案する。

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Posted by ブクログ

日本と中国・韓国の政治意識の違いを、儒教思想の性善説との関係から解き明かす。性善説を易姓革命との関わりで説いたり、パターナリズムとのつながりを指摘したりと、参考になる記述も多い。さほど目新しくはないものの、東アジア「共異体」の主張もわかる。が、全体にやや強引な論の展開が目立つ。元電通社員とのことだが、何だか納得。

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2014年07月25日

Posted by ブクログ

中国・韓国は性善説の国であり、日本だけでなく中国・韓国もそのことを理解していないために、東アジアの相互理解が進展しないということを説いた本です。

性善説は、道徳的に優位に立つ者が社会をリードするべきだという「ベタ」な立場を意味しています。著者によれば、中国の民衆は性善説的なメンタリティに基づいて行動へと駆り立てられがちなのに対して、政府はそれを抑える「鍋の蓋」の役割を果たしていると考えます。一方韓国は、上も下も性善説に支配されているため、政府がつねに不安定な状況に置かれがちだと論じています。

一方日本は、少し前までは「ベタ」な価値にコミットすることを忌避して「メタ」な立場を取る国民性を持っていました。これは、日本国憲法という中立的な「手続き的民主主義」によって実現されたものです。ところが、最近になって日本は急速に「ベタ」な価値へのコミットを強め、「東アジア化」していると論じています。

おもしろかったのは、地域史の研究者としての立場から、左右両翼の東アジア観を批判している箇所です。著者は、国家のヘゲモニーという考えに捕らわれている「右翼」を批判するとともに、返す刀で反日米同盟の口実としてアジアとの友好を説く「左翼」や、西欧の出来合いのポストコロニアル理論を当てはめようとする学者を批判します。東アジア全体に通用するような「ベタ」な価値を求める「未来志向」を絶対化することは危険だという主張も、よく納得できるものでした。

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2014年02月24日

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