長田弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日々の喧騒から離れ、自分自身の内側にある
静かな森へと歩を進めるような
詩情あふれるエッセー集でした
この本を開くと…行間からひんやりとした
森の空気が流れ出し
忘れていた「静寂」が漂ってきました
長田さんが語る孤独は決して寂しいものではなく…
それは「日々の付きあい、なりわいの内にひそむ」ものであり
自分という存在を深く
優しく肯定するための大切な場所だということ…
詩人の筆致で綴られる言葉のひとつひとつは
水彩画のように淡く
けれど確かな手触りを持って心に広がりました
木々の揺らぎ、鳥の羽ばたき、季節が移ろう音…
身近な風景の中に宿る小さな奇跡に目を向け
ただそこに在ることを慈しむ…
その静かな営みこそが
大人にとっての本当の休息なのだと
教えられました
孤独とは、自分を愛するための静かな時間である
歳を重ねるごとに…
一人の時間を愛せるようになった気がします!
騒がしい世界の中で
ふと立ち止まりたくなったとき
この本はいつでも
私をあの「静かな森へ」と導いてくれる
大切なお守りのような作品になりました♡ -
Posted by ブクログ
◼️ 長田弘「私の好きな孤独」
なりわいと社会と旅のなかで孤独を愉しむ。オトナな本かも。
連休にはいわゆる独立系書店、古書店をいくつか巡った。そこで引力のある一冊を買うのが慣い。詩人長田弘は知っていたが読んだことはない。タイトルと表紙のカッコ良さも相俟って、何か読み込めそうなものを感じて手に取った。
孤独、という実感を持ったことのない人はいないと思う。家族といても、ざわめく街にいても、会社にいても孤独はある。寂しくも、時にはしんどくもあるが、これが孤独、という手触りはけっこう好きだったりする。そして、この本に語られているように、愉しむ孤独ももちろんある。まさに書店巡りしている時、目当てのカフェに入るときも楽しい孤独。
収録されている80篇ほどの中の初編「言葉の樹」は心の余白に「樹」という字を書いて、自分だけの大きな樹、その影、光、ひるがえる葉群らを想像する、というもの。思わず想像の翼が広がる。自分にとっての大樹は、あの神社の、大イチョウだな、などと思い出す。
「街は窓でできている。窓のない街はない。街とよばれるのは、窓のある風景なのだ」という文にもハッとさせられた。ふむ、なるほど。
著者は当時のソ連、ポーランド、とりわけアメリカと世界各地を旅している。カフェやバーの話も盛り込まれる。もちろん、そこで感じる何かも。とりわけ、ポーランド・クラクフの、当時で百年を超える歴史を持ったカヴィアルニア・ヤマ・ミリーカ(ほんのちょっとした隠れ穴)の篇は印象的だ。アイルランド、スペインと、小説や詩ををもとに想像での楽しみ方も、なんか良き孤独。読みながら微笑んでしまう。
さらに豊富な読書からの引用も多い。「キャッツ」著者エリオット、シェイクスピア「真夏の夜の夢」、小山内薫のベルリンの街の物語集「東京の消印」、アガサ・クリスティー、レイモンド・チャンドラーと猫の話、ジョン・チーヴァー、ほか彩り深いバラエティに富んだ楽しめる随筆が続く。
音楽は、前半はクラシックがいくつか。チェンバロ奏者ランドフスカ夫人、ユンディ・メニューイン。ビゼーの一曲きりの交響曲など。
後半はアメリカにどっぷり浸る。加えてジャズとボブ・ディランに対する思い入れを滔々と語る。著者の時代感が伝わってくるようだ。
自分独自の好みの世界は、確かに孤独の1つかも知れない。「孤独のグルメ」もなんとなく分かる笑。日々愉しむ孤独を、また味わいたくなる。
考察が興味深いものもあり、気がそそられる、豊穣な短いエッセイたちの本。オトナな気分に、ちょっとなれたかな。 -
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本著は、過去と未来と「風景の中で生きる」今を繋げるテーマで綴られるエッセイである。
なつかしさを感じるのは、今抱いた今現在の私であると説く。過去に生きた私も先人もあの時代も出来事も全部、振り子のような関係で繋がっていると主張する。
確かに過去を振り返らない人間はいない。その過去を振り返るその瞬間に抱いた「なつかしい」気持ちは今抱いている感情であると改めて認識してくれる。その「なつかしい」という気持ちは私やあなたという中に「風景」として残り、心を形作るのであろう。その振り返る時間は今や未来とも繋がることをエッセイという詩を通じて現代の喧騒の中で見過ごされがちな「なつかしい時間」の価値を育むべきだ。
時代は常に昔も今も未来も変わるだろう。だが、辛い過去らも、楽しかったあの時代らも今の自分も今ここにあるというまなざしを通して大切にし、未来へ個々が育み運び繋げることであるだろうというメッセージが存分に込められた良書である。 -
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大人はレゴで現実にあるものを、できるだけそれらしく見えるように作ってしまいがちである。そのことにがっかりする。子供は例えば電車を作ったとして、大人から見れば到底電車には見えない。しかし子供たちの中には自分にとっての電車のイメージがしっかりとある。
「たった1軒のカフェに親しむだけで、知らなかった街が、ふいにどれほど、自分に親しい街に変わっていくことか。朝の清潔な孤独を味わえる街の店に座っていると、そのことが染み渡るようにわかってくる。それが、旅だ。実も知らなかった。街の密かな感情に親しく触れ合うことが、旅の感情だ。そういう旅が好きである。」 -
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ネタバレ「記憶のなか」という言葉は、「心のなか」と同じ意味をもっています。そのなかに、驚きを書き込む。悲しみを書き込む。喜びを書き込む。そうやって、自分でつくりあげてゆくのが、記憶です。
「記憶という土の中に種子を播いて、季節のなかで手をかけてそだてることができなければ、ことばはなかなか実らない。じぶんの記憶をよく耕すこと。その記憶の庭にそだってゆくものが、人生とよばれるものなのだと思う」 (P、61)
そのときはそうと思っていない。けれども、いつかやがてその人の決定的な経験をかたちづくることになるだろうものは、人と(誰と?)そこに共にいるということ、日々を共にするということです。(P、135)
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環境の変化で読書が心の支えになった時に読んだ。
なんか言葉の細かいニュアンスを大事にする人が書いてるんだなあって思った。すごく感覚的にいろんな物事が語られて、なぜかこわさを感じた。
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自分が持っている時間というのは、自由になる時間というのではないのです。
そうではなくて、自分のもっている時間の井戸から、記憶の水を汲み上げるための時間が、一人の「私」という空のバケツを満たす、充実の時間であるだろうというふうに思うのです
→文化を消費しまくることに私は介在しないじゃん、って思ってたけど単純にそういうことでもないらしい
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経験を分け合う -
Posted by ブクログ
本が好き
義務でも修行でもなく、ただ単に楽しい遊びだから
この本は読書についてではなく、もっと根本にある言葉について、自分のありようについて考える導きのような本
「言葉というのはその言葉で伝えたいことを伝えるのではない。
むしろ、その言葉によって、その言葉によっては伝えられなかったものがある、言い表せなかったものがある、どうしてものこってしまったものがある、そういうものを同時にその言葉によって伝えようとするのです。」
この文章を読んだ時にホッとした気がして
伝えたい思いがあるのに、言葉にできなくて、言葉にしようと思いがよくわからなくなってしまう
こういうことを言いたいわけじゃない...
なんでみんなはきちんと伝えられるのだろう
ってずっと思ってた
伝えたいことを言葉にしようとすることで、自分の中を見つめること、確かめること
言葉に言い表せない心のうちがあることを知り、それを伝えることができるのも言葉であること
言葉で尽くせぬものがあることは、ごく自然なこと
自分の言葉を持つということが、成長というのならばまだまだ成長過程
これからも楽しく本と付き合っていきたい