【感想・ネタバレ】すべてきみに宛てた手紙のレビュー

あらすじ

人生は、「やめたこと」「やめざるをえなかったこと」「わすれてしまったこと」で出来ている。そうして結局、己のなかにのこったものは? 今の自分にのこったものから、あらゆることがはじまるのならば――。この本のページを開いた読者=「きみ」へと詩人はまっすぐ語りだす。贈られるのは39通の「手紙」たち。体温を帯びた言葉のすべてに胸が震える、珠玉のエッセイ集。

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Posted by ブクログ

『人の人生は、やめたこと
やめざるをえなかったこと
やめなければならなかったこと
わすれてしまったことで
できています。
わたしはついでに
やめたこと、わすれてことを後悔する
ということも、やめてしまいました
‥‥
物事のはじまりは、いつでも瓦礫の
なかにあります
やめたこと
やめざるをえなかったこ
やめなければならなかったこと
わすれてしまったことの
そのあとに
それでもそこに
なおのこるもののなかに』

長田弘さんの気持ちが
詰まった一冊
長田さんの好きな絵本の数々
どれひとつも
読んだことがなかった
また、読書の候補が増えました!

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

一人旅の道中、尾道の紙片にて、縦に積まれた本の山からたまたま手にした本
開いた頁のはじめの一節を読んで、これは今出会うべくして出会った本だと確信した

紙片に行かなければ、ぜったい出会ってなかった本
時間をとって、静かな場所で、大切に読んだ
とてもうれしい出会いでした

なにかを「途中で辞める」を初めて自分で選んだわたしへ

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2025年02月03日

Posted by ブクログ

エッセイ。
はじめから、最初の一行から、心に刺さりました。
確かにそうだ。と。

とても短くて、雑学があって、読みやすく、
あっという間に読み終え、
カフェで読みたい本に入れたかった。と
今更ながら感じました。

いつも手元におき、時間が空いたらふと読むような
本。

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2022年05月17日

Posted by ブクログ

最近は、本屋に行ったときには、結構積極的に詩を手に取るようにしているけれど、やっぱり自分にとって長田弘さんを凌ぐ詩人はでてこない。
彼の書く優しいけれどカッコ良いは自分の憧れであると同時に、なんとなく懐かしい本当の居場所のような気もする。なんだか矛盾するような気がするが本当にそう感じるのだ。

長田さんの詩やエッセイは、気持ちの良さに身を任せてサラッと読んでしまうこともできるけれど、本当に深く読もうと思って立ち止まってみると、彼の使う言葉や単語を、自分が本当には理解できていないことに気づく。そこで辞書を使って調べてみる。言葉の意味が明確になる。改めて長田さんの詩を読んでみると、さっきよりも少しだけ詩が見せてくれる風景の輪郭がくっきりとして、味わいが深くなる気がする。長田さんの詩は、こういった体験も含めて、自分に幸福感を与えてくれる

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

一滴ずつ、心に染み込んでくる文章でした。手紙、という名前がぴったり。
本という形になっていても、読んでいるひとりだけに向けて書かれている。それと同時に「いつでも、どなたもどうぞ」とも言ってもらえているようで素敵な文章でした。
優しさも厳しさもある。でもしんどさはない。
読む方も、少しずつ染み込ませるように読んでいきたいです。何度でも読む。
谷川俊太郎さんの解説もしみじみよかった。

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2025年03月18日

Posted by ブクログ

詩と手紙と散文との境目が消失した名編。論ずることの不毛と、「引く(=引用)」ことのゆたかさを教えてくれている。これは、「体験」する本である。以下、後日を待つ(2022/05/13)。

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2022年05月13日

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ネタバレ

「記憶のなか」という言葉は、「心のなか」と同じ意味をもっています。そのなかに、驚きを書き込む。悲しみを書き込む。喜びを書き込む。そうやって、自分でつくりあげてゆくのが、記憶です。


「記憶という土の中に種子を播いて、季節のなかで手をかけてそだてることができなければ、ことばはなかなか実らない。じぶんの記憶をよく耕すこと。その記憶の庭にそだってゆくものが、人生とよばれるものなのだと思う」 (P、61)



そのときはそうと思っていない。けれども、いつかやがてその人の決定的な経験をかたちづくることになるだろうものは、人と(誰と?)そこに共にいるということ、日々を共にするということです。(P、135)





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2024年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

詩人・長田弘氏が私たちに書き送る手紙39篇が収められている本。
どの手紙も言葉の一つ一つが味わい深く、それぞれの手紙に
ハッとさせられる一言がある。
私は「行きどまりと思ったとき、笑い声が聞こえてきた」から始まる
中国の詩を紹介している手紙8と
エミリ・ディキンソンの詩を紹介している”痛み”について書かれた
手紙39が特に印象に残った。

<手紙8からの抜粋>
人びとの日常の明証としての笑い声。
そうした笑い声をもつ世界のすがたを
あたかも行きどまりのようにおもえる現在の向こうに、
あきらめることなくたずねること。
誰にも言われなくともしなければならないこと、
よくよく思いさだめておきたいことは、
どんなときも、たぶんそれのみ。
易しいようで、とても難しいこと。

<手紙39より抜粋>
わたしはあなたが好きではありません。
しかし、人間の高慢や思い上がりを断じてゆるさないのがあなたです。
「痛み」があなたの名です。

一つの心が壊れるのをとめられるなら
わたしの人生だって無駄ではないだろう
一つのいのちの痛みを癒せるなら
一つの苦しみを静められるなら

一羽の弱ったコマツグミを
もう一ど巣に戻してやれるなら
わたしの人生だって無駄ではないだろう

あなたのことを考えるとき、いつも思いだす
エミリ・ディキンソンの詩です。

ーーー
そして…

「書くというのは、二人称をつくりだす試みです。
書くことは、そこにいない人にむかって書くという行為です。
文字をつかって書くことは、目の前にいない人を、
じぶんにとってなくてはならぬ存在に変えてゆくことです。」

長田氏のこの言葉は忘れずにいつまでも心に留めておこうと思った。

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2023年02月19日

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