長田弘のレビュー一覧

  • 私の好きな孤独
    詩人である著者の日々、思い出、好きなカフェ、ジャズ…短い話がたくさん。どの話もことばが大事に愛をもって扱われていて、好きな文章だった。「奥行きの深い言葉」と解説でも言われているけれど、本来ことばでは切り取ることのできない物事の奥行きを、そうと分かっていてもできうる限りすくい取ろうとするような誠実さを...続きを読む
  • すべてきみに宛てた手紙
    詩と手紙と散文との境目が消失した名編。論ずることの不毛と、「引く(=引用)」ことのゆたかさを教えてくれている。これは、「体験」する本である。以下、後日を待つ(2022/05/13)。
  • 読書からはじまる
    『すべて読書からはじまる。本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。』

    めちゃくちゃ共感。
    そして美しい表現の多い本でした。

    本って、言葉って、日本語って素晴らしい。
  • 読書からはじまる
    こころに残る文章が多く、こんなにスマートフォンのメモに打ち込んだ本はないんじゃないかな。
    多感だった頃に感じていたことを言葉にしてもらった感覚。あの感覚は私一人ではなかったんだな、という安心感。一度読むだけでは味わいきれていないので、また時間をおいて読みたいと思える本だった。
  • なつかしい時間
    1995年から2012年までの17年間、NHK「視点・論点」で著者が担当した48回分と同じ時期に話した別の3篇をあわせて収録したエッセイ集です。

    現代において「時代の影」へと追いやられてしまった尊いものに目を向けるような問題提起のエッセイ集といったふうでした。「そこが問題なのではないですか」にいた...続きを読む
  • 読書からはじまる
    本を読むのは好きだが、
    私の読書はいったいどういう読書なのか。
    単に情報集めに終始していないか。
    ちょっとドキッとさせられました。

    単なる読書論ではなく、
    もっと大きなテーマが語られています。

    ただ、やはり詩人の文章。
    ところどころ、頭にハテナマークが浮かぶ。
    このお方の文章、授業するのに苦労し...続きを読む
  • 読書からはじまる
    本について読む本。
    情報として本を読んでいる感は確かにある。
    もっと言葉を味わう読み方も身につける必要があるなぁ

    育てる、蓄える、分ける
    この3つのキーワードで言葉を紡いでいく。


    以下、印象的なシーン

    1. 子どもの本というのは、子どものための本なのではありません。大人になってゆくために必要...続きを読む
  • 読書からはじまる
    「すべては読書からはじまる。本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。」

    これが全てだと思います。
    下手な感想を書くよりも、印象に残った表現をここに残したいです。
  • 読書からはじまる
     読書についてのエッセイで、難解なテーマではないし、けして難しい言葉が使われている訳でもないのに、著者が語りかけてくるものをどう受け取ったら良いのか、自分がどう理解したのか、文章にすることが思いのほか難しい。

     例えば、「2 読書のための椅子」の冒頭、著書は「読書のためにいちばん必要なのが何かと...続きを読む
  • 読書からはじまる
    読んだら忘れられると言うのは、悪いことじゃなくて本の良いところか。前に読んだ時のことを思い出せる。過去の自分との対話ってか。

    本を読む時の椅子の話。椅子じゃなくても、ここでゆっくり読むのが好き、と言える場所、そこにいられればいいって言える場所があれば人生幸せだよな。
  • 読書からはじまる
    読書や言葉の大切さを色々な角度から書かれている。
    共感することも多く、また気付かされることも多かった一冊でした。
  • なつかしい時間
    読書をする習慣とは読むだけでなく手元に置いておく、生活の中に本を溶け込ませるだけでも読書力は鍛えられるという。この言葉には読書への敬意を感じた。
    現代人はデジタル化が進む中で日常の風景を感じ取る能力が低くなっている感じた。これは精神衛生上よろしくないのではないか。時には立ち止まり何もしないで過ごすこ...続きを読む
  • なつかしい時間
    やはり、本に興味があるので、読書のページでつい手が止まってしまう。

    〇挨拶という言葉の本は、アイは「押す」、サツは「押しかえす」という意味の、相手あっての言葉です。(p15)

    ☆相手を見て、笑顔で挨拶したい。

    〇自分の日常のなかに、とにかく一冊の本がある、なければ置く。(p103)

    ☆読書の...続きを読む
  • 知恵の悲しみの時代
    『昭和の戦争の時代に遺された本から、伏流水のような言葉と記憶を書きとどめること。「不戦六十年」を過ぎたいま、この国の自由と「言葉のちから」を問う。』

    昭和の戦争の時代を「知恵の悲しみの時代」として、その時代に作られた本、綴られた言葉。
    決して大きくはなかったそれらの言葉にもっと耳を傾けていたら、...続きを読む
  • なつかしい時間
    やはり、人本来の力は経験でのみ蓄積する。外部記憶は人間を違う生き物にしてしまう。この流れは止めなければならない。日本人気質が消えてしまう。
  • なつかしい時間
    日々の風景と時間と読書を愛した詩人が、NHKテレビ「視点・論点」で毎回語った元原稿が中心になっています。▼わたしたちは風景の中で生き、そして暮らしています。しかし、現代は、大切な風景の感覚が失われてゆき、クローズアップの時代。部分を拡大して、全体を退けます。風景の中に在る自分というところから視野を確...続きを読む
  • なつかしい時間
    長田弘は詩人である。ともすれば難解なイメージをもたれがちな現代詩の書き手の中で、難しい言葉を使わず、易しい言葉を使って、言うべきことを短く語る、そんな詩人だ。

    その詩人が、NHKテレビ「視点・論点」で毎回語った元原稿に手を入れた四十八篇に、同時期に別の場所で話した三篇を加えたものである。もともとが...続きを読む
  • 読むことは旅をすること
    長田弘の声は低く静かに響いてくる。たとえそれが戦争についてであっても。「私の20世紀読書紀行」と副題にある通り、読書をして知り得た人や場所への旅を通して、20世紀とはどういう時代であったかを振り返る紀行文集。

    自身が著名な詩人である著者の旅には、心に残る「詩人」の墓を訪ねたものが多い。20世紀は「...続きを読む
  • 読書からはじまる
    本が好き
    義務でも修行でもなく、ただ単に楽しい遊びだから

    この本は読書についてではなく、もっと根本にある言葉について、自分のありようについて考える導きのような本

    「言葉というのはその言葉で伝えたいことを伝えるのではない。
    むしろ、その言葉によって、その言葉によっては伝えられなかったものがある、言...続きを読む
  • 私の好きな孤独
    エッセーというより、どれもが一遍の散文詩みたいな文章集だった
    分かりやすくはないけれどじんわり沁みる