長田弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『人の人生は、やめたこと
やめざるをえなかったこと
やめなければならなかったこと
わすれてしまったことで
できています。
わたしはついでに
やめたこと、わすれてことを後悔する
ということも、やめてしまいました
‥‥
物事のはじまりは、いつでも瓦礫の
なかにあります
やめたこと
やめざるをえなかったこと
やめなければならなかったこと
わすれてしまったことの
そのあとに
それでもそこに
なおのこるもののなかに』
長田弘さんの気持ちが
詰まった一冊
長田さんの好きな絵本の数々
どれひとつも
読んだことがなかった
また、読書の候補が増えました!
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Posted by ブクログ
だれかにもこの温かさが届きますように。
本は心が着る服。
言葉は人生の盾と矛で、言葉の豊かさは幸いをもたらす。詩は呼吸である。
豊かな言葉が詰まった本や詩や音楽、それを大事にしてきたおかげで、(わたし)は立派な木に育ったのかもしれない。風や嵐で曲がりくねり折れてしまうのではないかと、曇りの空をずっと見上げる毎日から、光を照らし詩という呼吸をさせてくれた。それが今まで読んだ本や、長田さんの詩の存在だ。
今回の本はまた私の養分となり1cmと成長させてくれた。手元に残る沢山の言葉が暖かく、冬も嵐も乗り越えていけそうだ。
言葉の豊かさを手に入れた人は幸いである。 -
Posted by ブクログ
長田弘さん没後10年だそうです。
享年75歳だそうなのでもしご健在ならまだ85歳です。
私の父も26年前に59歳で亡くなっているので、二人とも生きていたらひとつ違いでした。
長田さんの詩集は全部読んだつもりでしたが、これは未読でした。
「ファーブルさん」
Ⅲ
どんな王宮だって、とファーブルさんはいった。
優美さにおいて精妙さにおいて、一匹の
カタツムリの殻に、建築として到底およばない。
この世のほんとうの巨匠は、人間じゃない。
この地球の上で、とファーブルさんはいった。
人間はまだ、しわくちゃの下書きにすぎない。
われわれ貧しい人間にさずかったもののうちで、
いちばん人間らし -
Posted by ブクログ
長田さんの詩は、言葉が丁寧でスッと心に入ってくるので好きです。言葉の森の中を歩き、森林浴をしているような爽快感がありました。心身の柔軟性が得られたかのようです。
長田さんの友人、ご両親が亡くなり、その別れを詩にしたものがありました。それぞれの人物と長田さんの気持ちの距離感が分かり、興味深かったです。
タイトル「世界は一冊の本」の詩は、この本の最後に載せられています。きっと有名な詩だと思うのですが、私は初めて知り、今日はいい詩に出会えて得した気分です。
手のひらにある小さな本と、世界の対比がとても素敵です。本を読むことも生きることの一部であり、自然はもちろん、あらゆる経験から考え、感じるこ -
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長田弘さん(詩人、児童文学作家)、河合隼雄さん(臨床心理学者)の児童文学作品をテーマにした対談集。
長田さんの詩情豊かな言葉、河合さんの心理学者の立場からの発言は、どちらも示唆に富むもので、相乗効果が生まれていました。
次から次へと出てくる作品の数々に、胸が踊りました。敬愛するお二人のお話に引き込まれ、読みたいと思っていた児童文学作品を、いつまでもツンドク状態にしていてはダメだと強く思いました。未読の本のうち、どれから読もうか迷ってしまいます。
【印象に残った言葉】
・永遠より長い一瞬の世界が絵本の世界(長田)
・絵本の世界というのは記憶のリサイクルによってできていて、おんなじ絵本がずっ -
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本を読むということがどういうことなのかを考えるのが本書です。
「読まない本」にゆたかさがある。「たくさん読む」が正解ではない。
ことばがゆたかな人は、ゆたかである。ことばが貧しい人は、貧しい。
気になったことは以下です。
・友人としての本。友人というのはその場かぎりではありません。「ずっとつづく」関係です。
・どこへ行っても、みなおなじ。今はどこへ行こうと、日本のどこもおなじ表情をもつようになった。ミリオンセラーの本も、ほとんど急速に読まれなくなり、昨年のベストセラーは今年は、もう読まれないのが普通。生活のなかで考えるなら、おたがいの違いを表すものがあるとすれば、それは、「言葉」です。