あらすじ
「自分の時間は、ほんとうは、他の人びとによってつくられているのだと思う」「後になっておおきな意味をもつことになることのおおくは、しばしば始めは、何でもない些細なことにすぎない」「得たものはつねに、失ったものに比例している」──。言葉と共に暮らし続けた詩人の記憶から静かに届けられる、自らの人生を生きていくための小さなヒントたち。傑作エッセイ集。解説 辻山良雄
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Posted by ブクログ
だれかにもこの温かさが届きますように。
本は心が着る服。
言葉は人生の盾と矛で、言葉の豊かさは幸いをもたらす。詩は呼吸である。
豊かな言葉が詰まった本や詩や音楽、それを大事にしてきたおかげで、(わたし)は立派な木に育ったのかもしれない。風や嵐で曲がりくねり折れてしまうのではないかと、曇りの空をずっと見上げる毎日から、光を照らし詩という呼吸をさせてくれた。それが今まで読んだ本や、長田さんの詩の存在だ。
今回の本はまた私の養分となり1cmと成長させてくれた。手元に残る沢山の言葉が暖かく、冬も嵐も乗り越えていけそうだ。
言葉の豊かさを手に入れた人は幸いである。
Posted by ブクログ
詩人らしい、どこか深みがある言葉で綴られる
エッセイで、読み進めていくうちに心に残る
言葉が多くありました。
最後に特に印象的だった文を紹介します。
自分の時間は、ほんとうは、他の人びとによって
つくられているのだと思う。
あとがきに描かれた一文です。
Posted by ブクログ
さまざまな人々との出会いと交わりを、日々の暮らしのなかで、自身の生活圏で、あるいは書物を通して遠い国や遠い過去の人々とも、著者が大切にしてきたことがよくわかる随筆集。従兄である立子山博恒との思い出の形で東京に暮らし始めたころのジャズとの出会いが語られる「立子山のこと」、本の内容だけでなくモノとしての本が人の記憶に残すその力を語った「本のかたちのこと」と「本の色と本の服のこと」がとてもよかった。
Posted by ブクログ
『ニコマコス倫理学』を読んだときに抱いた、形にできなかった感動が、大好きな長田さんの言葉で示されていた。
P182
今日、古代のギリシア人の遺した言葉を、本によって、それも明澄な日本語で、「われわれの同時代人」
の言葉として読むことができる幸運もまた、このときにもたらされた読書という習慣なしにはなかっただろうことを考える。
天職としての仕事に出会いたい、でもそれは甘えかもしれないとも思う