鴨志田一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
咲太の思春期は終わり咲太自身は不思議な現象に遭遇する事は無くなった。けれど、不思議な現象に悩む少年少女に寄り添える大人となった
本編がそのように綺麗な終わり方を迎えたものだから、再び小説媒体での作品を読めるとは思わなかった。しかも収録されている話の内2つは高校時代。何とも懐かしい気持ちになってしまうね
『ビーチクイーン』と『ホワイトクリスマス』は特典小説、『トロピカルサマー』は描き下ろしである為か、はたまた本編が綺麗に終わっているから更なる問題を書く必要がないからか
どれも気軽に読める作品となっているね。勿論、『ホワイトクリスマス』は翔子の不在が感じ取れる少し寂しい内容となっているのだけど、あれが『ハツコイ少女』のラストに繋がると思えば希望を感じられる
本編のあの終わり方を見れば、ラストの光景の続きを見たいような見たくないような。そんな気持ちにさせられるだけに、本作にて本編後の時間軸を描くのではなく、本編で拾い上げられなかった時間軸のお話を改めて描いたのは少し救われた気持ちになってしまったり
誰もがいつかは思春期を終えて大人になる。だけど、それは思春期時代を捨て去ってしまうからではなく、思春期のままでは居られないからで
そう思えば「思春期は終わらない」という標語と共に咲太が思春期まっしぐらな時代の話が繰り広げられると、読んでいるこちらまで思春期時代の懐かしさに浸れるかのように思えたよ
何だかんだ言って、好きな作品のお話を読めるというのは幸せな経験だね -
Posted by ブクログ
『ゆめみる少女』のコミカライズまで終わってしまったものだから、『シスコンアイドル』のコミカライズは無いものだろうと思っていただけに少し驚き
コミカライズシリーズの例に漏れずのどか視点を増やした本作。そしてのどか視点とした事で逆に減ったのは麻衣視点。原作とは異なるバランスにて制作された本作はこれまた違った趣を感じられる作品と成っていたね
コミカライズならではの良さは冒頭から
原作だといきなり麻衣の家にやって来たのどかについて、まずは舞台や自宅における彼女の生活を映した後に原作シーンへと至っている
そこには彼女なりにアイドル活動を楽しんでいる様子も麻衣に憧れを抱いている様子も描かれている。だからそれらを否定する母親への蟠りも見えてくるし、彼女が自身の在り方に迷いを抱かざるを得ない環境にいる事も見えてくる
そのような始まり方だから、麻衣とのどかの身体が入れ替わる思春期症候群も原因不明な現象ではなく、のどかの願望に原因が有るのだと察せられる構図と成っているね
それにしても、アニメを見た時にも思った点だけれど、麻衣とのどかが入れ替わった事で二人の雰囲気まで入れ替わってしまう表現は特徴的
この時点で二人は完璧な入れ替わりが行われたわけではないと視覚的に確認できる
また、視覚情報という面では咲太のぬぼ~とした印象も強調されていたような。そりゃ憧れていた姉の交際相手が冴えない相手だなんてのどか視点だと「なんでこんな男が!」と信じられない気持ちを抱いてしまうよなぁ(笑)
入れ替わりネタの定番である別人になりすました状態で別人の生活をトレースする展開は大禍なく始まるね
麻衣ものどかも学校に友達は居ない。この点において二人に差異は生まれない。同じ要素を持つなら入れ替わりは問題なく過ごせるかと思いきや、差異が見えない点がのどかを追い詰め始めるね
のどかは姉を大嫌いだと言ってしまった。一方通行な言い掛かりと思えたそれは麻衣も同じように嫌いを返した事でのどかを崩し始めてしまう
決定打と成ったのはCM撮影のワンシーンか。ただ微笑むだけという自分でも出来る筈の演技がのどかを追い詰める。結局、自分と姉は全く違うという実感がのどかに姉のようには成れないとの諦めを得させたようで
のどかは麻衣のように成りたくて。けれど麻衣の姿で過ごしても麻衣には成れず。ならばのどかはのどかに成るしか道はなくて
だとしたら豊浜のどかの大元とも言える母親の登場は彼女にどのような実感を齎す事になるのだろうね?
描き下ろしにてようやく麻衣側の心情の一端が描かれたくらいで本編を通して麻衣の心情は出来る限り描かれていないのは本当に良いね
原作ともアニメとも異なる魅力を放っているように思えますよ -
Posted by ブクログ
青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない
著者:鴨志田一 イラスト:溝口ケージ
### あらすじ
『青ブタ』シリーズ第14弾。麻衣がステージ上で「実は、私が霧島透子なんです」と衝撃の言葉を観衆に放つところから始まる本作。ついに夢見たその日が訪れた彼らに、どのような試練が待ち受けるのか――青春と奇跡が交錯する、最終章の幕開け。
### 感想
前作からの間が少し空いたため、内容を思い出すのに時間がかかってしまいました。そのせいか、最初はストーリーに入り込むのに少し苦労しましたが、記憶が戻るとともに再び『青ブタ』の世界に引き込まれていきました。今作は分量が控えめだったため、せっかく思い出して熱中し始めたところで読み終えてしまったという印象です。
シリーズものは、完結した後に一気読みするほうが物語の流れに没入できると感じていますが、やはり気になると最新巻をつい手に取ってしまいます。この「最終章開幕」という展開も読者としては非常に心が揺さぶられるポイントで、これからどんなドラマが待っているのか、次巻が出るのを期待せずにはいられません。結局、また出ればすぐに読んでしまうのでしょう……。 -
Posted by ブクログ
殆どのシーンをかえでか花楓視点で進行しているため、原作とは異なる進行となっているシーンも幾つか見られるのだけど、その分だけ彼女は如何にしてあの時間を過ごしていたのかという点が見られる形になっているのは良いね
花楓の知り合いとの遭遇により、より学校へ行く事を焦り始めたかえでの在り様は少し怖いけれど、それ以上に進む覚悟を持ち始めた姿は応援したくなるもの
ただ、そんな覚悟の源泉がもうすぐ自分が消えてしまうかもしれないという恐れに起因しているのが何ともね…
危うさを感じさせながら前に進むかえでに関し、咲太が傍で支え続ける構図は本当に良いね
かえではお兄ちゃんの為に学校に通えるようになりたい。お兄ちゃんはそんな妹の頑張りを叶えてやりたい
二人暮らしの兄妹が見せる絆に感銘を覚えるよ
けれど、気持ちとは裏腹に通学チャレンジは簡単な話ではないわけで
気持ちに反して一歩も動けなかった彼女の姿はあまりに悲しい…
そのような状態だったからこそ、応援する立場の咲太が多少の搦手を用いた上で学校へ連れて行くシーンは本当に良いね
妹の願いをなんてこと無いように叶えてしまう最高の兄ですよ
咲太のような兄が居るからかえでも学校へ行ける予感が高まる、幸福感に浸れる
それはかえでにとってきっと最高の1日で
だからこそ、その瞬間が区切りとなってしまったんだろうなぁ……
驚きだったのが花楓に戻ってからも彼女視点の構成を変えなかった事かな
原作5巻では様々なシーンが心を揺さぶってくるのだけど、その一つである咲太の慟哭が描かれるシーンを本コミカライズでは描いていないのだから
でも、それってかえででも花楓でもなく、咲太の物語だから描かれたものとなる訳で
また、花楓はそれを知らない事で兄のイメージを崩さずに済んだとも言える
そもそも花楓が戻って来た辺りでの咲太の対応って本当に素晴らしく感じられる。かえでに花楓を押し付けなかったように、花楓にかえでへと戻るよう要求もしない。唯一パンダを見に行こうと誘ったくらい
その心中にどれだけの悲しみがあったとしても、それは咲太とかえでの間の思い出なわけで
だから花楓に手渡されたかえでのノートは咲太からの押しつけではなく、花楓が直前2年間を「空白」と感じない為の措置と言えるのかもしれない
花楓にとっては見ず知らずの他人。けれど、似たような立場で学校へ行こうと奮闘していた少女の記録。そして彼女が幸福を感じられた為か自分は戻って来られた
だからこそ、花楓のこれからしたい事が「学校に行きたい」になったのだろうしね
結構良いコミカライズと感じられたのでこの調子で『おでかけシスター』もコミカライズしてくれたら嬉しいけれど、流石にそれは我が儘かな…