鴨志田一のレビュー一覧
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ネタバレいよいよ最終章だと思うと感慨深い。
麻衣さんがコンサート中に自分が霧島透子だと宣言する爆弾発言から始まる展開は、それ自体は前巻から容易に予想できた。
ただ、そこから始まる異変の数々がどれもあったら良いなと読者が一度は思っただろう展開で、それだけに切なくなる。
特にかえでのくだりはダメだ。
今でもおるすばん妹巻は思い出すだけで泣けてくるのに、そんな姿を見せられたら、もうなんとも言えなくなる。
それはそれとして咲太がどんどん追い詰められていく果てに登場するのが、もうオールマイティじゃん、と思った。
ここで翔子ちゃんかあ。
ヒロインすぎる! いやヒーローかな?
読んでるこっちも咲太同様、彼女の登場で安心してしまった。
途中でこれはこの巻で終わらないなと思ったらやっぱり最終巻に続くだった。
もうね、大体分かる。でも分かっていてもこれは絶対切ない。苦しい。でも読むしかないんだよなあ。
次巻、青春ブタ野郎シリーズ最終巻。
見届けたい。 -
Posted by ブクログ
運命の4月1日だろうと岩見沢寧々の件を解決したのだから、これ以上の問題なんてやって来る事は無い筈…という慢心を嘲笑うかのように現実をひっくり返してみせた冒頭には本当に驚かされたよ……
ステージに辿り着くまでもランドセル姿の麻衣という軽いジャブが有りつつ決定的な問題は無かった筈。だというのにいざフェスが始まってみれば現実が書き換わっていたなんて防ぎようがない奴じゃん……
これまでも広範囲に影響する思春期症候群というのはあったけど、あくまでもそれらは個人の認識を主軸にして現実に作用するタイプが多かったように思う
だというのにこの霧島透子に関する事象は誰が中心かも判らず現実があっさり塗り換えられてしまった。おまけにもう一つの世界まで侵食されているなんて規模が大き過ぎてどう対処すれば良いかも判らないタイプ
ただ、そう考えると何故咲太や郁実は麻衣のステージを見た後も認識が書き換えられなかったのか、そして郁実は何故消えたのかという点がよく判らないのだけど……
今巻は麻衣を筆頭に世界が書き換わってしまったのだけど、それによって咲太の近しい人物も異なる現実に突入している点が何とも言えないね…
特に何の脈絡も無く『かえで』が帰ってきたシーンは驚きつつも、このような展開を待っていた…なんて気分になってしまった
だって、あのかえでが少し成長した上で峰ヶ原高校に通っているなんて少し話を聞いただけでも目頭が熱くなる…。他にも双葉が国見と付き合っているというのも何とも言えない心情になってしまうし…
それらはまるで各自の望みが叶ったかのよう
だから現実が書き換わっていたとしても安易な否定が難しい。咲太が最も大切にする麻衣に何かしら異変が起きているという点では解決しなければならない状況だけど、他の事象を見ると解決して、無かった事にしてしまう事が正しいとも言い難い
全てが上手く回る世界において咲太の方が異常分子かのよう
だからこそ不安感が最大級に膨らんだ瞬間に翔子が現れたシーンには救われた思いになってしまったよ……
咲太が救われた時とはほんの少しだけ異なる相手だけど、あのような振る舞いが出来るならやはり『翔子さん』だと思ってしまう
そこからの展開は驚きというか、真実はそこにあったのかと云うか…
思えば、幾つもの未来を見た翔子をして霧島透子を知らないと言うのなら、唯一の未来となった現状における特殊要因にこそ霧島透子出現の理由があると考えるのは指摘されれば当たり前の話で
でも、だからって翔子が助かったから霧島透子が出現したなんて思いたくもなかったな……
けれど、それによって咲太が目指すべき方向性ははっきりしたね
交友関係が色々な意味で限られる咲太にとって気の置けない友人に成り得た美織。そんな彼女が書き換えられゆく世界の中心人物であるならば、咲太は何とかして彼女の問題を解決しなければならない。だというのに、ここに来て新たな問題として浮上してしまうのが彼女はどのような問題と対面しているのかという点
透子を死なせたと悔いる彼女にとって、透子が生き返ればそれで済む問題なのか?或いは透子の死と直面できれば解決できる悩みなのか?
また、咲太にとってもこの書き換えられた現実を元に戻してしまう事が本当に正しいのかという点も問題。思うが儘に元に戻せばかえでは再び失われるし、双葉の幸福は途絶えてしまう
それだけに何らかの確信を抱いた様子の翔子の行動に期待してしまうが… -
Posted by ブクログ
あの『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』を別視点で描く本コミカライズ、咲太が謎めく翔子に振り回された本作と違い、翔子の視点で彼女が何を考えていたかを芯に掲げ描いているから、原作を読んだ時の感情を思い起こしつつもまた別の感情を抱けるようになっているね
原作では咲太が自身の命と翔子の命を天秤に乗せ比べる事になったけど、同様の問答を翔子自身も行っていたのだと理央との会話を経て描写される展開はキツイものが有る……
現実的に咲太の心臓で生きている翔子にとって、別の時間の流れに在る世界の咲太であっても、俯き悩んでいるのならば救ってあげたい
でも、咲太が事故に遭わない未来を作るという事は、その時間軸において翔子は救われない。すると咲太には新たな苦悩が生まれてしまう
心臓を共有しているからこそ、どちらかしか選べない。でも、咲太と再び関わらないなら選ぶ必要も無い。なら翔子が自身を犠牲にする必然性もない
…の筈だったのになぁ……
再び交差してしまった咲太と翔子。そして咲太はかつてよりも酷い形で自身を責めている。そんな彼を前にすれば、本編にて咲太が病室の翔子を見て選択を決めたように翔子だって迷う理由はなくなる
本当に2人はどこまでも似通っている
だからか、あの中身が空っぽになるまで号泣した咲太に満たしてやるべき言葉も判る。それは未来にて花楓の心を聞いたからだというのがこれまた本シリーズの裏側を見ているようで感動的
…という流れが有った直後に修羅場が発生する様子には大笑してしまったよ。ああまで嫉妬心を明確にする麻衣も珍しいし、テンパリ具合がマックスになっている咲太も珍しい(笑)
シリアスな未来を隠してまるでラブコメのように交流するそれぞれの姿にはのほほんとして気持ちになってしまう
でも、翔子がタイムリミットであるクリスマスイブを意識して生活しているのと同じく、どうしたって咲太が真実に近付くのを避けられない
結婚式見学で露わになってしまうのは小さな翔子と大きな翔子の関係性。それが知られる事は2人が持つ天秤が傾き始めた合図のようなもの
遂に交わされたクリスマスイブの約束。大切な人の命を守る為に命を振り絞る翔子と咲太の様子には本当に様々な感情が沸き起こってきますよ…… -
Posted by ブクログ
第二部になってから咲太の日常を侵食しているのか全く侵食していないのか判らない『霧島透子』問題
それでも何かしら進展していると思えるのは、この巻で出現した要素がこれまでに咲太が関わってきた思春期症候群の積み重ねであると感じられるから
そう思うとこの巻はそれらの区切りが描かれた巻になったような。まあ、事前に想定していた形とは幾らか違ったけど…
集団催眠のように多数の若者が見た未来と思わしき夢
これは中々の曲者だね。夢なんて本来は自分の頭の中にしかない幻想。でもそれを他の人間が同時に見たとなれば幻想と扱われなくなる。夢は事実として皆が認識してしまう
人々に流布され事実として扱われてしまった噂の厄介さは本作で何度も描かれてきたもの
その中心に謎の霧島透子が居るのだから更に厄介な話
前巻にて示唆された霧島透子の正体
これを単純な意味で受け取っていたのだけど、美東や双葉のコメントに拠って少しずつ認識が変わっていく流れには痺れてしまったなぁ…
岩見沢寧々という人物は霧島透子と名乗った。だから作中の人物達も読者も彼女を霧島透子と扱ってきた。その前提が崩れるなら、彼女は噂に拠って霧島透子に成ったのか、自ら霧島透子に成ったのかという疑問が湧いてくる
霧島透子ではなく岩見沢寧々という人物に迫る必要が出てくる
桜島麻衣など別の人気者登場に拠って立場を失った元人気者。そんな者達が縋ったのが姿の見えない別の人気者か…
霧島透子みたいな人気者を真似てみようとまでは可愛げが有っても、その人そのものに成り変わろうなんて考え始めたら窮屈なもの。そして、窮屈な自我に人気者でなく成った自分は居られない…
大事なものや自分を支えてくれる人との繋がりを失ってまで霧島透子に成ろうとした人々はどうしても哀れに見えてしまう
その意味では捨ててしまった筈なのに、自分を思い出し追い掛けてくれた福山が居た岩見沢寧々という人間はまだまだ捨てたものじゃなかったのだろうな。だから福山を契機に岩見沢寧々として戻ってこれた
なら麻衣を目指してイベントに集っていた無数のサンタクロースが正気に戻れたのも似たような理由なのかもね
突然の事故、流血した男性、「落ち着け」の言葉。それらはショックを与えて自我を揺さ振るには充分すぎる出来事。精神が不安定に成れば真っ先に頼るのは長年付き合ってきた自分という自我
彼ら彼女らにとって見えもしない霧島透子よりも今此処にいる自分に頼った方がとても健全
偶発的なショック療法が結果的に麻衣やサンタクロース達を窮地から救ったわけだ
事前の緊迫感に反してミニスカサンタクロースに始まった一連の異変は一つの着地点を見出したと言えるわけだけど、よくよく考えるとかなりの謎が残ったままな気が…
麻衣や寧々は何故夢を見なかったのか?夢で見た光景は未来かもう一つの可能性の世界か?本物の霧島透子は何処に居るのか?
数々の謎を残したままクライマックスへのターニングポイントと呼べそうな4月1日を迎えるのは正直恐ろしさの方が勝る。本作はこれから何処へ向かおうとしているのだろうね? -
麻衣さんかわいい
前巻のラストがアレだったので、「次は麻衣さんメイン回だ!」「『マイストゥーデント』だから、麻衣さんルートだ」と思ってたのですが、表紙を見てわかるように「マイストゥーデント(私の生徒)」メイン回でした
勝手に期待していた私が悪いのですが、そこは読み進めてがっかりしました
しかし、麻衣さんはしっかりかわいい
好き -
Posted by ブクログ
第二部になってから咲太の内面にフォーカスしたエピソードが中心と成っていたと解釈しているのだけど、前巻にてそれが一段落したのかこの巻では少し違った視点となって物語が展開しているね
年下で教え子の紗良の問題に対処する様が描かれる事で咲太が大人の入り口に立ったのだと伝わってくるよ
もう一人の自分から与えられたメッセージをきっかけに霧島透子探しが本格化。でも簡単に見つかる相手でも繋がれる相手でもない
折角会えても謎が増えるような発言ばかり。一応、透子は麻衣と似たような症状と言えるのだろうけど、原因の部分は麻衣と大違いな印象。それは果たしてどのような意味を持ってくるのかも現時点では不明
なら咲太に出来るのは眼の前の問題に対処することだけ
クリスマス直前という時期が時期だけに作中では恋に浮き足立つ面々が目立つね。その筆頭は間違いなく咲太なのだろうけど
だからこそ紗良に関する問題がクリスマスイブに集約すると成れば、否が応でも関わらずにいられない
ただ、今回の場合は教え子という事も有り、麻衣の件が無くても関わった気がしないでもないけど
紗良がどのような思春期症候群を発症しているかは不明瞭なまま彼女への対処は始まる。だから咲太が直面するのは思春期症候群問題への対応ではなく、姫路紗良という少女がどのような悩みを持っているかという問題への対応
その意味では紗良は厄介な少女ではあったね。男性関係で問題が発生しているものの、それは大規模だったり開けっ広げなものではない。また学業も優秀だし対人関係も良好
一見すると何が問題かも判らない少女。だからこそ彼女の悩みはそこに潜んでいたとも言えるのだろうけど
小さい頃からチヤホヤされて特別扱いされるのが当然だった。だから自分を特別と思うのが当然に思えた幼馴染が自分を特別としなかった事に耐えられなかった。そこから始まる世界への不信感が彼女の問題の根源だったのかな?
だから彼女に必要だったのは自分を特別に見てくれる相手ではなく、自分が特別に見たい相手を見つけること
……こういう視点で書いてしまうと今回の咲太の動きは随分と罪深いかも。ある程度紗良の想いを知った状態、思春期症候群を解決するならどのような帰結を辿るか想像できただろうに
でもそれはある意味、紗良に痛みを教えた上で成長させるという大人の遣り方でも有ったのかもなぁ……。
いつかの日に古賀朋絵に想いを寄せられた際には既に咲太は麻衣と付き合う直前であった為に朋絵の想いは受け止められなかった。それでも彼女の想いを表出させて思春期症候群を終わらせた。あれは朋絵の強さに救われた部分もあった
対して今回は紗良にゆっくりと問題への直視を促しつつ、彼女の痛みに最後まで付き合う気概を見せた。またその過程では自分が持っている桜島麻衣への好きを最大限に示してみせた
それはもしかしたら紗良にとっては最良の方法ではなかったかもしれないけど、大人になりゆく咲太が取り得る最大限の優しさでないかと思えたよ
もう一人の咲太が伝えてきたメッセージの意味は判らないままだし、霧島透子の正体も不明瞭なまま
それでもクリスマスを咲太と麻衣は恋人として無事に迎えられた。そういった幸福感を感じられる終盤だったけど、あのラスト1行の意味は一体……? -
Posted by ブクログ
青ブタシリーズ第8弾!
今巻のヒロインは咲太君の妹である梓川花楓ちゃん
今作では思春期症候群によるドタバタはなく、花楓ちゃんの進路、高校受験の物語
兄と同じ高校へ行く
間に合わないかもしれないけれど、着実に勉強して、外へ歩みを進めて
でもそれは、もう1人の彼女「かえでちゃん」の願い
花楓ちゃんは自分じゃない方がって凄く悩んだと思う
けれど、頑張る姿を見たら私も花楓ちゃんがとても好き!
彼女が葛藤しながらも自分で決断していく姿に頑張れって応援したくなってしまう!
そんな彼女を支える咲太君も、本当に凄い
どんなに大切な身内だとしても、ここまで支えてられることは本当に尊敬する
素敵なお兄ちゃんすぎて……