古屋星斗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んだきっかけ
以前新聞で紹介されており、今後のキャリア形成に不安を持っていたことから読んでみました。
概要
現代の日本社会では、社会情勢の変化により労働時間が減少し、相対的に会社が社員を育てる時間及び余裕が減少。
自分自身で主体的にキャリア形成を行なっていくには、寄り道(スモールステップ、コミットメントシフト)と近道(キャリアキャンペーン、センシング)を意識して行動することが重要。
詳細
•キャリア形成に関する選択の機会が多様化。会社で経験を積めば自ずとキャリアが形成される時代ではなくなり、職場の仕事以外での自発的な経験やスキルがキャリア形成及び転職等に影響してくる。
•現代の若手社会人は、自分が良いと思うものを仕事にしたいという「ありのままでいたい」という気持ちと、社会から良いと思われる仕事をしたいという「早く何者かになりたい」という矛盾した気持ちを抱えている。従来のように単一の会社内で組織文化に染まる戦略は取りづらくなっている。
•「なにものか」になるのは、職場の心理的安全性、キャリア安全性、仕事の質的な負荷が必要。他方、「あるがまま」でいるためには、フィットした労働環境、ライフキャリアへの支援、自身が大切にしているものに対する相互理解、が必要。
•いわゆる「1万時間の法則」は、労働環境の改善が進んだ現代日本社会では後ろ倒しになっている。こうした状況下において、新たな戦略は①空間投資(外と内のバランスをずらして投資)、②段階的投資(小さく次々と投資する)、③並行的投資(同様に様々な投資をする)が基本方針となる。
•キャリアを切り開いていく観点として、スモールステップという概念がある。情報よりも、今の自分の環境でできる行動をとる方が有効。特に、業務上接点のない人との交流やコミュニティへの参加などがキャリア展望に対して正の相関関係を持つことが分かっている。具体的なスモールステップとして、①自分のやりたいことをアウトプットする、②背中を押してもらう、③目的を持って探ってみる、④試しにやってみる、⑤体験を自分のものにする(行為の意味づけを行う)方法があり、特に⑤が重要で他者からの視点も入るとより正確な意味づけになる。
•漠然とWill(キャリアにおける目標等)を持つより、探索者として行動に出ながらWillを見つけていく方が良い。その際言い訳を作っておくと良い(家から近いから、誘われたから、など)。
•ライフキャリア全体と経歴の部分部分を無理に結びつける必要はない。キャリアは同時並行的に作られる。キャリアの仮面を複数持つ。仮面が多い方がキャリアの満足度が高い。
•無理に仕事を楽しむ必要はない。熱意だけに依存しないキャリア自律もある。
•会社とゆるくつながるハイパーメンバーシップ型組織戦略を提唱。会社としても、ためてしまっても引き続き関係を持ち、再度戻って仕事をしてもらうことを期待できるメリットもある。
•一気に転職するのではなく、副業、兼業、ボランティアなどを通じて徐々にコミットメントを移していく方法の方が、転職後の総合的な満足度が高い。
•職場内の気になる人や人事と意見交換するなど会社との対話もキャリアアップのきっかけとなり得る。
•選択的在職という考え方もある。やめない理由は、可視・不可視の要素と、待っていても得られる・獲得する必要がある要素の組合せでカテゴライズされる。不可視かつ獲得して得られるもの(経験・機会、ロールモデルの存在、社内コミュニティ等)が特に希少性が高く、この要素を重視して就職した方がその後のキャリア満足度が高い。
•今後のキャリア形成は、元に戻らない環境変化を、絶対に必要な1万時間にどう生かすか、が命題となる。その生かし方として、①小さく始める(スモールステップ)、②同時多発的に作る(キャリア・キャンペーン)、③意味づける(センシング)、④ずらしてつくる(コミットメントシフト)、が挙げられる。
•スモールステップ:今の環境でできるアクション、ゴールを明確にする、代理指標を見つける(取り組みに効果があることを証明する具体的な指標、読んだ本の冊数や相談できる人の数など)、情報を遮断する、動機を見つけるために体験から始める。
•キャリア・キャンペーン:時空間(いつから始まっていつ終わったか、それはどこか)、価値(何が大事だったか)、キャラクター(どんな自分だったか)の要素でキャンペーンを(再)発見する。自分にとってアウェイのフィールドを意識する。場合によってはあるキャンペーンの割合を下げる戦略も存在する。
•意味づける(センシング):意味づけパートナーをアサインして過去の仕事の内面的な意味づけ(誰の役に立ったか、どんな人が関係したか、どんな価値を発揮したか)を行う。外部からのアドバイスを取り入れる。過去の経験の意味はその都度変わる。
•ずらしてつくる(コミットメントシフト):気持ち・時間・お金のポートフォリオをつくる。各キャンペーンが自身の気持ち等に占める割合を書き出してみる。
•様々な場の経験をしながら、過去の経験の意味を変えて最低努力量との差を縮める(近道)、小さく始める、ずらして変えることで偶発性を担保する(寄り道)の二つのバランスをとりながらキャリア形成を図っていく。
感想
自分は既に中堅層にいるが、今の仕事の仕方でこの先自分が納得するキャリアを築いていけるだろうか、と不安に思っていたところ、筆者が提唱している近道と寄り道のキャリア形成はわかりやすく理論的なのでとても興味深かった。スモールステップやコミットメントシフトの取り組みは早速取り入れてみたい。
他方、近道の打ち手であるキャンペーンやセンシングは、専門的な知見や経験の獲得短縮にどれほど効果があるのか、一度読んだ限りでは納得しきれなかった。やはり専門的スキルの獲得には、負荷をかけた状態で一定期間走りきる経験が必要なのかもしれない。それこそ近道はないのだろう。
転職が当たり前の時代、自分自身が何を重視して、あるいは目標にしてキャリアを築いていきたいのか、そのために今とるべき選択肢は何か、日常に忙殺される中ではあるが、常に頭の片隅で考えながら行動していきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ入社してから5〜6年、2,3年目で一度辞めようと思ったけど、まだ職業習熟度が一定に達していなくて辛いだけ・仕事ができるようになったら楽しさややりがいを見出せるはずと、将来に希望を見出して働いてきました。当時より職業習熟度はあがっても以前見出したやりがいの希望は実現せず、別の道でやりがいを持てそうな仕事を探して、トライしてみて、転職することを決めました。
今の仕事の区切りがつく二ヶ月以内に選択しなければならない。
2,3年目の時点で、いやもっと早い入社当初かその前にこの本を読んでいたら、何も選択せず3年いても温まらないのに我慢して働き続けることはなかったかもしれない、スモールステップの積み重ねで選択肢が増えたかもしれない思うほど、もっと早く読みたかった本です。 -
Posted by ブクログ
いつか来る2040年に、日本がどうなっているのかをシミュレートした生活・労働事情の調査報告本です。
今のまま、危機感だけはあるけれどどうしたらいいかわからないという状況で世の中が過ぎていき、2040年になったらどうなってしまうのかということを、様々な統計やデータをもとに読み解いていく一冊です。危機の時代を座して待った場合、ピンチはチャンスの思考で社会改革を推し進めて危機を希望に変えることができた場合で未来予想が書かれています。
キーワードは、省力化産業と業務の効率化、賃上げと潜在労働力の活用、といったところでしょうか。
とにかく、現在の日本は超高齢化社会で、かつ超少子化社会です。今後どんどん労働人口が減っていくことは目に見えています。今と同じ仕組みで、マンパワーにまかせた事業運営で世の中を回していくのは無理だということは、火を見るよりも明らかなことです。
社会インフラや生活インフラが行き届かなくなり、どんどん不便な生活に逆戻りして、今まで便利で時間短縮できていたことに細々と時間を取られて可処分時間がどんどん減っていく、そんな未来はもう目の前に来ています。それを諾々と享受するのか、できることから少しずつ世の中を変えていくのかで、今後10年が変わってくるのだろうと思います。
興味深い話題は多くありましたが、今の日本が直面しているのは、世界のどの国もいまだ経験していない大きな危機であるからこそ、世界中が日本の動向を注視しているということは、ひしひしと感じます。これからの日本がどうやってこの大波を乗り越えるのか、初めのモデルであるこの国は、ある意味ではセオリーに囚われず自由に動けるということでもあります。
10年先、または20年先に、『あの頃は今とは全然違ったんだよ』なんて若い人に話すことができるような革新が起きることを期待しています。いざ起きたら、自分も遅れず乗り込めるように、色々なアンテナを建てることは忘れずにいたいものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔と今でどのように働く環境が変わったのか、
これからどのようにキャリアを考えていけば良いかを
データや複数のキャリア理論を用いてわかりやすく説明されていた。
以下、自分が読み取った本の内容。
●問題提起
・現代の労働環境の考察
昔は本人の希望と全く違う部署に配属されたり、平日の遅くまでや休日まで働く必要がある修羅場を経験させられることが少なくなかった。
しかし、2015年施行の「若者雇用促進法」(企業に対して、平均残業時間、離職率、有給取得率などの情報を開示を努力義務化する法律)や2019年から段階的に施行された「働き方改革関連法」(残業時間の上限や有給義務取得数など)が大きな流れとなり、労働時間の減少、働き手の待遇改善が進み「ゆるい職場」が増えていった。
・選択できることの不安
上記の労働時間減少の流れに伴い、個人の自由な時間が増えてきた。
自由な時間を自己投資に使う人とそうでない人の間で経験値の差が広がるようになった。
これまでは半強制的に会社が1人前になるために必要な業務量と明確なキャリアパスを提供していたが、現代では個人の責任で行動していくことが求められていることに不安を感じている人が多い。
●解決策の提案
・そもそも有効なキャリアとは
稀少性がある専門性に一定の努力投資が必要(1万時間の法則などで知られている)。
では、そのようにしてキャリアの希少性を高め、専門になるために必要な投資をするのか。
稀少性を高めるには様々な経験をしている必要があり、そのための行動を本書では寄り道と呼んでいる。
一定の努力量を効率的に確保するための行動を本書では近道と呼んでいる。
・寄り道と近道の考え方
寄り道と近道どちらか一方だけでは持続的な安定したキャリアを形成することは難しい。
バランスよく2種類のアプローチを使うことが重要。
・寄り道と近道の具体的な方法
・「寄り道 スモールステップ」
自分が何をしたいのか、考えることよりもまずは行動することが重要。
今の環境だからできる、またはハードルが下がっている行動を行ってみる。
具体的なゴールを決める(3人と話してみようなど)
行動している際は基本的に情報を遮断して、行動に集中する。
行動の振り返りも重要。(やってみて嫌だったことをまとめたり、経験をワンフレーズにまとめたりなど)
・「近道 同時並行でつくる」
個人のキャリアは1本で語られるものとは限らず、様々な社会的役割の自分がいて同時並行でキャリアが作られているという考え方。(本書では役割ごとのキャリアをキャンペーンと呼んでいる)
現状の自分のキャンペーンを書き出し、それぞれに今後の方針を立てる。(そのままか、より良い環境に変化させるのか、またはその活動を減らしたりやめたりするか)
新たな活動を増やしてホームとアウェイを行き来することも重要。
・「近道 意味付ける」
これまでの自分の経験に意味づけをして、必要な努力を投資した経験として定義する。
・「寄り道 ずらしてつくる」
キャリアを0から100に100から0に一気に変えるのではなく、0から20など徐々に変えていくという考え方。
キャンペーンがそれぞれ「気持ち(ミッション)・時間・お金(収入)」のどれくらいの割合を占めているか現状と理想の2パターン書き出す。
理想に近づけるために徐々に減らす・増やす活動に目星をつける。
以上が本の内容。
ここからは自分の感想を記載する。
なんとなく会社がゆるいなと感じていたがそれは自分の会社に限ったことではなく、社会的な動きでできているということに気づけた。
キャリアは人の人生で1本というイメージだったが、いろんな役割の自分がいてそれぞれで経験を積んでいる。同時並行的に進んでいていいんだと思った。
専門性を高めるために今の職場や今の職種でもっと多くの努力が必要と思っていたが、会社の外や別の職種に関する内容でも、まずは行動してみて自分が何感じるかを見てみようと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ単なる人手不足論ではなく、
私たちの生活にはどう影響してくるのか、
そしてその対策までが示されています。
宅配便が届かない、生活道路が穴だらけ
救急車を呼んでも来ない...。
言われてみれば、その通りですが、
人手不足と普段の生活の事を
繋げて意識してはいませんでした。
2024年1月に出版と
比較的新しい情報ながらも
現実ではさらに数年進んだ
状況で進んでいると思われます。
本文より~
・かつては「お客様は神様です」という言葉があったが、
労働供給制約社会においては、「働き手が神様」になる。
お客様と働き手の数が不均衡になるわけだから、
働いている人が大事になるのは当然のことだ。
・突拍子もないことを言うようだが、
労働や仕事は楽しくなると考える。単純な話で、
楽しくないと労働供給が増えないからだ。
企業発で、事業展開に必要な人員を確保するために、
自社の仕事を楽しくしようとするインセンティブが
強くなっていくのは間違いないと考える。
~ここまで。
雇用側の機械化やムダ改善に加えて
労働需要を満たした普段の行動や
無理のない仕事との組み合わせ。
その上に都市計画や
税制設計などで
人口動態の変化に対応していくことが
展望として述べられていました。
少子高齢化の事実に向き合い
どれだけの解決策に
それぞれが取り組めるか
課題が浮き彫りになりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みやすい本でデータ多彩。目から鱗の内容もあり、一見の価値ありです。
下記ネタバレですが、メモ。
・職場がきつくて辞めたいという若手もいるが、同時に「職場がゆるくて辞めたい」という若手も存在している
・キャリア安全性も重視
・時間視座→このまま所属する会社をしても成長できないと感じる
・市場視座→別の会社や部署で通用しなくなるのでは、と感じる
・比較視座→学生時代の友人に比べて差を付けられているように感じる
・有効な打ち手
・部下に自身の知り合いを紹介する
・イベントや社内外の勉強会に部下を誘う、紹介する
・本人の視界の外にある機会を提供する手立て
・社内での複数の部署の兼務
・社内キャリアアドバイザーやキャリアコンサルタントへの相談体制
・社内旅行や社員レクリエーションなどの社員が参加するイベント
・職場を横断する社内勉強会やコミュニティ
・若手だけで行う企画・プロジェクトの実施
・入社したての若者にも多くの社会的経験を求め、期待をしている
・かわいい子には旅をさせよ、早々に社外の体験を与え、自分の職場での仕事、キャリアの長所/短所を認識させる
・本人のやりたいことは尊重しつつ、加えて本人の視界に入っていない機会のきっかけを提供 -
Posted by ブクログ
ネタバレ若手社員をとりまく状況が変化したのは若者のせいというよりかは2015年の若者雇用促進法以降の法整備が日本の全会社に影響したことによって発生したもの、というのは今から振り返ってみると確かに…と実感するところがあった。
「ゆるい職場」化と引き換えに不条理さは減ったものの、「自主的に動いて大きく成長できる人」と「何もせず以前よりも成長できない人」の差が開きつつある(双方それぞれの不安は抱えているが)。
「不満」から「不安」への変化、新卒時点での新入社員のスキル差の拡大などもタイムリーな話だなと思う。自分もこの本で話題の範囲内に入るJTC大企業にいるけれど、本当に今の会社は昔より人を育成する体力が落ちている。マネジメントも今までとは違って「ローコストで外部引力も含めて部下を育成できる力」が求められているし、若手(プレイヤーも含めだが)は「会社を使って自律的にキャリアプランを立て、成長する力」を身につけることが大事になっている。(個人的にはギリギリ会社が若手を育てる体力があった最後の時代にある程度鍛えてもらえて良かったなという思いはある。ゼロから手探りで身につけるのほんとに大変だし…)
「ゆるい職場」のある社会以前に戻ることはない、という条件下では、無数の状況よりは少数でも行動することに利がある。いろいろ早いうちからキャリア形成のために動くことも大事になる。
いや、わかっちゃいるけどけっこう茨の道だよね。もうロールモデルいないよって言われてるようなもんだし。
でもその分一つの会社に縛られずとも生きる術がある社会になってきている。いろいろ模索しながらいい感じに生きていこう。 -
Posted by ブクログ
ブラック企業を排除する法規制などにより、社会の仕組み、価値観が変わってきたことがベースとなり、20,30歳代の意識が、会社に頼らずとも、将来に渡り、仕事をやり続けることを求める人が多くなってきている。著者は心理的安全性に加え、キャリア安全性という言葉で表現されている。自分が今の仕事をし続けても、将来に渡り、社会から要求される人材足りうるようになるために、現在の仕事がそれに見合うか否かで判断しているという事。
2:6:2の比率でよく言われるように、このように意識を自律的に行動に結びつけるのは、ほぼ上位の人たちであり、すべてが同じ考えではないが、心にはそのようなことを思っていて、何等かのきっかけで発芽するとのこと。
若手を育ているには、結局、自社で囲むことなく、副業や退職からの出戻りなどの長期スパンで考えないとうまくいかないとの著者主張。論理的な文章でデータ示しつつ。非常に理解しやすい内容でした。難しい時代だとも思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルがショッキングです
。しかしもうすでに業種によっては「人が足りていない」という現実を感じることがままあります。
話にも聞くし報道でも目や耳に留まることは増えていると思います。(本書にあるように特に医療・介護現場、建築や運送関連業態など)このまま何も変えていこうとしなければ2040年には生活するだけで精一杯の毎日を送る人だらけになる…。衝撃すぎます。
本書に提示された、この危機を最小限にするための方策というかアイデアは、たしかに有効そうではあります。でも全部実行することは出来ないんだろうなと読んでいて私は悲観的でした。何とかしなければと思ってはいても、実際にすぐに動く企業や自治体はどれだけあるだろうと思います。
確かに一部地方自治体で、公務員でありながら農業や漁業などの一次産業へ働きに出ることを勧めているところなど見かけるようになり、これは本書でいうワーキッシュアクトそのものだと思います。それ自体はいいことなはず、なのですがやはり問題はあるわけで。
例えば来てもらえるところには感謝され、実質そこの仕事は進むわけですが、その地域の全農家や漁師宅へ人が入れるわけではないから不公平感もあるし、入る側も行く人は結局若者に限られることや、行かない人は目に見えないプレッシャーがあったりするけれど職場ではそれは言いにくいという話も聞きます。
不公平感や負担感がないように、「楽しんで」できれば確かに良いのですが、実際にやってみないとわからないこのような問題というのは出てくるでしょう。(だからといってやはり何もしないわけには行かないのも確かですけれど…)
本書p126 女性の非正規労働者のうち「不本意だが非正規労働者である」割合が7.9%しかいなくて非正規労働者でありたくてなってる女性が大半であるという話が出てきますが、私はこのデータだけでは必ずしも「非正規労働者でありたい女性が多い」といえないのではないかと感じました。
「そうありたい」の中には扶養範囲でしか働けないという家庭の事情があり「状況が許さずそうありたい」というしかないという人がかなり多いのではないかと思うからです。少なくとも私はそうです。今の職種で正規で働けるなら本当はもっと働きたい。しかし採用がないのです。
このようなアンケートでは私は「非正規を望む」と答えますが(実際そう答えたこともあり)それは「事情」からであり「意思」ではないからです。
今の制度の中で扶養を超えて非正規のまま正規並みに収益を得られるくらい働こうとすると、休みもとれないくらいに「みっしりと」働かないと収益は得られないし(それでも正規には追いつかない)、中途半端に働けば「働き損」になるので結局扶養範囲に抑えるしかなくなるのです。(じゃあ正規の仕事を探せばいいじゃないかという意見はあると思いますがそれはまた別の話になります)
今扶養についても税制が大きく変わろうとしていて、扶養範囲で抑えるという働き方もいずれは出来なくなるだろうと思いますが、本書のこの個所については大変引っかかりました。
自分がその立場だからそう思うだけかもしれないですが、これは非正規について真実を認識できてないままのデータなのではと感じました。
p136 オレンジの線がひかれている箇所ですが「これまで10人で行っていた仕事が8人でできるようになれば支払い賃金を従来水準の1.25倍に増やすことは可能だ」というようなことが書かれています。理論的には、ときちんと断わりもつけてます。期待も確かにできます。できますが実際そうなるかな、というのはかなり疑問に思いました。
人件費として浮いた分をいる人員に配分するという事業主も確かにいるでしょうが現状ではそういうことをする事業所は少ないんじゃないかなと思いました。これからそうなるといいねとは思うけど理想が過ぎる…という気が。
と細かいところに結構突っ込みどころを感じ(最終章も)自分は悲観的でした。
でも一番悲観しているところは、そもそも本書に書かれているような現状に、社会の意識がまだそこまで危機を感じてないのでは、と思えてならないことです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ具体的なエビデンスや調査に基づいた結果・見解を示されており、「なるほど」と納得させられることが多かったです。
実際の職場の若手メンバーの顔を浮かべながら読んでいましたが、本書に書いてあるようなことを考えているのかなぁ?と自身の行動を振り返りつつ読めました。
・現場がゆるくて辞める若手が増加している=質的負荷が失われつつある。かといって、「ふるい職場」に戻すのではなく、「ゆるい職場」での新しい育て方を見つけることが必要。
・仕事の価値観が変わりつつある若手において、「仕事は我慢が伴うもの」という捉え方は70%強いる状況であり、世代間の差は少ない。生活を充実させるために給与を稼ぎたいと思っている若手も70%弱いる。
・Z世代の人間関係や会社に対する価値観は2極化しており、個々の価値観を理解することが必要。環境以上に行動・経験に世代差がある状況。
★キャリアの不安を覚える一方で、管理者側の育成の仕方は「ながら」や「放置型」になっている傾向が強い。(育成専門組織などが必要か。向き合う時はとことん向き合う)
・キャリアの安全性=職業生活上にアクシデントが発生しても安定的に職業生活を営んでいけるという気持ちがどれくらい高まるか。ゆるい職場では、キャリア安全性が低下傾向にある。
・仕事の質的負荷が高い人ほど管理職のワークエンゲージメントは高い。年齢が近いほど育成成功実感が高い(→取るべきポジション)
・若手だけのPJは良質な質的負荷のもと、上限関係による理不尽な人間関係に煩わしい思いをさせず、超高速で成功・失敗経験を体得させていく。
(イベント系の業務なんかこれでよくね?)例えば、収益・業績的なダメージは少ないが、エンドユーザーの反応が直接見られるPJ等
・ガクチカの経験は尊重する姿勢を保つこと。知ろうとすることが現代の育成の第一歩として重要。
・一定のコミュニケーション頻度を保つ。自らが行動的で職場外の越境経験があることは若手とのコミュニケーションにも有用。(転職歴も武器)
・フィードバックは形式よりも内容を充実させ、ポジティブかつ具体的に行う。(経験として、管理職という立場・視点をフルに活用する。)
★質的負荷が高く、関係負荷(理不尽さなど)を与えない。自律的な環境にすることが若手の成長実感を強める。
・若手の自主性・自律性を生み出すための支援が必要(育て方だけでなく、育「ち」方改革も必要)若手だけで考えさせない、考えをアウトプットしてもらい、共有する。のち、コーチングでフォロー。
・育成者を育成する・支援する仕組みも今の会社に必要。人材力の底上げを図ることで、関係負荷も軽減できる体制ができるかも。
・始める「きっかけ」と実行したことの「見返り」を提供する
・量的負荷と関係負荷によるストレスは若手とのすれ違いを起こす可能性がある。また、こちらの求める質を若手が低いと感じてしまうことでもすれ違いは生じる。(経験豊富な若手ほど質的負荷を高める)
・すれ違いを前提としたコミュニケーションを取る→コミュニケーションを通じて、徐々にずれを調整していく。
・今の若手は、入社前の社会的な体験を充実させている傾向が強い。そうした経験を引き出し、本人の活躍できるシチュエーションを構築することが求められる。
★短距離走的な経験量をとにかく積んでもらう。ルーティン業務と少しずれた業務をやってもらう。ゴールラインも明確に引く。
・褒めること=フィードバックではない。今後のキャリア構築のためのアドバイスや改善のコミュニケーションの場とする。
・キャリア自律のための最初の一歩は自律性に依拠しない言葉が必要。
(最初は「言われたからやりました」でOK)うっとおしく思われても、まずは一歩進めば大成功。自己開示して、成果を伝えるのもいいかも(武勇伝にならないような伝え方が必要。)
★放置型では若手は成長しない。まずは放置しないという姿勢を示すこと=5分間のコミュニケーションを継続して行う。