藤原智美のレビュー一覧
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この本が出た10年前はきっと驚きを持って受け止められたのかもしれない暴走老人、今や珍しくないものとなってしまった・・
P47 「待つこと」が何もない人生は、間違いなく不幸である。
P182 透明なルールはおおむね他者への関与を回避することで成り立っているともいえるからだ。【中略】「知らないと恥ずかしい」「知らないと損をする」という真理は、見えないルールをキャッチしようとこの内側に仕組まれたアンテナのようなものだ。【中略】暴走する新老人とは、新常識に順応できず、うまく乗り切れないために情動を爆発させるしかないシステム化社会の鬼っ子ともいえるのではないだろうか。 -
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タイトルから、スマホに依存する現代人に対して警鐘を鳴らすエッセイが多数並んでいるのかと思いましたが、現代射会というよりも日常生活の様々な場面を切り取ってコメントしている作品が多かったです。
特に、破損してしまった皿や急須の修復の過程で、職人や業者の温かい対応に心を打たれた様子は、読んでいて思わずほっこりとした気持ちになりました。
具体的にスマホ依存による弊害などは描かれていませんが、時代の流れとともにしだいに世の中全体のペースがせわしなくなってきたことに対する筆者の寂寥感は、「スマホ」や「ネット」がなく、公衆電話や固定電話ばかりだったころを(もちろん、その時代もそれ以前に比べれば慌ただしくはな -
Posted by ブクログ
文章術といわれてハウツーと思って読むと肩透かしを食らうかも。
内容は自身の執筆を「振り返った」時の文書術であり、かなり作家個人の特性の強いもののように思う。
作家によって本当に創作指南は色々だなと思う。指摘していたりする内容は、非常に腹落ちするようなものばかりで、やっぱりそうなんだーと頷きながら読んでいた。
しかし、全体的にはふわっとした感じで、踏み込んだ内容というよりは、どちらかという創作初心者を対象にしている印象。一度でも創作に一定期間取り組んだ人間にとっては既視感のある内容だったり、元より自分なりの見解や感想を持っていたりする部分の指摘で特に刺激を受ける部分は少なかった。
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Posted by ブクログ
「時間」「空間」「感情」それぞれの領域に於いて、今の老人が若い頃に過ごしてきた環境との乖離があまりにも大き過ぎるが故に、老人がそれに順応できずにイライラしている。斎藤美奈子女史の書評にある通り、老人は暴走してもこの本はあくまで暴走はしない。というか、もっと暴走してほしかった。
藤原氏の指摘の中には、別に新老人「だけ」が暴走する根拠にはならないのでは?と思う点も。例えば第三章「感情」、若者が薄氷を踏む思いで他者との関わりを持っているなら、それと対比される老人はむしろ心が広くて、キレ得るのは若者ということにならないか?また現代のやり方を解さない新老人はトラブルメーカーにはなるかもしれないが、それは -
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ネタバレ近年、若者の凶悪犯罪の減少とは反対に、65歳以上の高齢者の刑法犯が増えている。(1989→2005で高齢者人口が約2倍のところ約5倍)分別があってしかるべきとされる老人が不可解の行動で周囲と摩擦をおこし、暴力的な行動に走ることがある。筆者は、こうした高齢者のことを「新老人」とよび、時間・空間・感情の観点からその背後にある社会の変化を読み解く。
*時間
情報化社会の進展で、待つ時間を極力排除するようになり「待つことは待たされることになった」。待つことに対する許容の範囲が狭くなり、特に体が時間に追いつかないという焦燥感を抱えた高齢者にとって待たされることは耐え難い。
*空間
川の字文化か