あらすじ
場の空気を読んで、それに自分を合わせる。さらにウェブ検索で、マジョリティの空気を読む……。この10年、情報社会の進展で確かに便利にはなったが、「自分で考える力」が、急速に失われている。「思考」が「検索」に、「言葉」が「情報」に劣化していく今、私たちは「考える力」を再生できるのか。『暴走老人!』の著者がたどり着いた現代社会の問題の本質。一個人として世の中を生き抜く思索力とは何かを考察する。
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Posted by ブクログ
・現代のクウキとは消極的参加は許されず、ノリに身を投じるか、もしくは離脱することで孤立するしかない。そういう日常があるということが恐いのです
・「クウキを読め」という言葉を聞いたら、即座に「もっと卑屈に生きろ」といわれたのだ、と思うようにしています
・議論を回避する、自分の意見をあきらかにしないというのは、いまや世代を超えたものです。これでは、自己を開き他者と向き合う対話をすることはできません
・腹を押さえて倒れているホームレスに手をさしのべるのは、他者の痛み、苦しみへの共感、シンパシーです。それと同時に、自分が倒れた時、だれかが手をさしのべてくれる社会であってほしいという願いからでもあります
・「考える」というこうことは、自分の言葉を探りあてる営み
・クウキに乱されることなく、自分の思考や感情に濾過され、つかみとられた言葉は、聞き手や読み手をも揺り動かす
・人は「考えぬく」という営みによってこそ自分の言葉を獲得し、自分の「生」をまっとうすることができるのです
Posted by ブクログ
大切なのは検索でなく、思索。すべての問題は処理され解決されるという幻想がいつのまにか全体化している クウキとは関係の力学、人と人との力関係そのもの。簡単にいうとクウキを読めとは、その場のリーダ探しとれもいえそうです。関係の中心を探ろうとする姿勢です。公的サービスといわれる分野ではこうしたエゴと暴走が頻発している。利己を優先させる露骨な行為を許さない何かが、世間体とよばれるモラルだった。私は一件無駄に見える挨拶などは、暴走する言葉を納める鞘のような役割をになっていたのではと考えます。言葉はほっておくと暴走する、ということをかつての人々は熟知していた。だからことこうした無駄な言葉によるやりとりで、言葉の暴走を食い止めようとしていた。世間とは,自立した個人によって構成される社会に根ざしたものではなく、自分と直接利害関係を取り結ぶ身近なものでなりたつ仕組みだった。空想すること、考えるということは、生きていく上で欠かせない時間です。それを現代の情報化社会は、一つの無駄として削ることを推奨します。それに惑わされて、私たちは効率一辺倒で自分の時間を組み立て、その結果焦り苦しむ。人はぼんやりすべきなのです。考える時間を持つべきなのです。
Posted by ブクログ
「クウキを読め」と幼児を怒鳴る父親、頻発する家族間殺人、「気配」のない人々・・・携帯メールをはじめするコミュニケーションの広がりによって、人とのつながりが変質している。ネット検索とコピペで出来上がる論文や感想文のように、思考を停止した若者の今後を憂う。。。その後台頭してきた、ソーシャルメディアは著者にとってどのように映っているのかなぁ、と、思わず「検索」したらNHK「視点論点」で『Twitterと孤独』というテーマで語られていました。YouTubeでこれから見てみよっと。そんな私も「検索バカ」の一人でしょうか。
Posted by ブクログ
思索が失われること、同調圧力が自立思考を奪うこと以外でも、たとえば自分に興味のある情報にしか触れなくなってしまい、偏った思考になってしまうというのも危惧されています。
インターネットを客観的に見る機会と、問題意識を持つ機会を与えてくれます。
Posted by ブクログ
「検索バカ」といういささか刺激的なタイトルが予感させるように、ネット検索、さらにはコピペがもたらす思考することへの希薄化に対する危惧感、さらにそこから現在の日本に蔓延する「クウキ」読みに対する危惧へと論は展開してゆく。
ともすれば俗流若者論や根拠無き社会批判になりがちな論調を説得力のある地点に押し留めているのは、やはり作家としての感性とでも言うべきものなのだろう。
そして最後に藤原氏は言葉のもつ力、そして沈黙して考えることの大切さを論じる。沈黙して「考える」こと。今の自分に必要なことは正に深く潜る思考だと考えている私には腑に落ちる言葉である。
そして言葉の力。東京オリンピックのマラソン選手、円谷幸吉の遺書が深く切なく活字を通して沁みてくる。
決して独善的でない作家の良質なエッセーだと思う。作家の持つ公共性とはこのようなかたちをとるものではないかと考えた。
Posted by ブクログ
すごく良かった。日本人の暮らしとインターネットが与えた影響を一番わかりやすくかつ説得力があるなぁと感じた一冊。
「空気を読む」文化についての考察はすばらしい。いずれまた読み返そう。
Posted by ブクログ
面白いとは思う。
ただ,「検索」について触れてるのは前半の少しだけ。
途中から話が反れて行って「クウキを読む」ということについて相当数ページが割かれている。
それはそれで面白い内容だったけど,タイトルの通りの話を期待していただけに少し残念だったかな。
一読の価値はあるけれども。
Posted by ブクログ
「考える人」みたくなりました。
クウキを読むことへの考察が新鮮で面白かったです。
KYでもいいじゃないかと思わせてくれます。
現代人の検索にたよってばかりで、
考えることをやめてしまっては、今後進化するどころか、退化してしまうのではと思わされた。
Posted by ブクログ
検索に限らず、安直にネットで情報を収集したり、あるいは周囲の意見に同調する「空気を読む」という行為に対して批判的な目で書いた一冊。
言いたいことはよくわかるし、その手の風潮が危険なのはよくわかるけど、具体的な提言となると今一つだったの残念。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
思考が検索に、言葉が情報に劣化していく今、私たちは「考える力」を再生できるか。
さらに「空気を読め」という同調圧力が、自立した思考を奪っている。
一個人として、世の中を生き抜く思索力とは。
[ 目次 ]
1章 検索バカは、何を失くしたか
2章 クウキに支配される日常
3章 「やさしさ」と「暴走」の時代
4章 不安定な「場」としての家庭、教室
5章 「予定調和」はいつ誕生したか
6章 同調圧力が独自の「思考」と「行動」を奪う
7章 世間から露骨へ
8章 失われゆく「対話」と「議論」
9章 身体性なき言葉は、貧弱になる
10章 沈黙の力
終章 生きることは考えること
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