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役所の受付で書類の不備を指摘され突然怒鳴り始める。コンビニで立ち読みを注意されて逆ギレし、チェーンソーで脅しをかける――。わずかなことで極端な怒りを爆発させる老人たちの姿から、その背後にある社会や生活意識の激変を探り、人間関係の問題を指摘して、「暴走老人」の新語を世に定着させた話題の書。
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Posted by ブクログ
これはなかなかに面白い本だった! と思ったのだった… ヽ(・ω・)/ズコー 本書が文庫化されたのが2009年なんですけれども、当時よりもさらに情報化社会へとなりつつある現代に警鐘を…僕は鳴らしたいのだけれども、人々はそんな僕に構うことなくスマホに夢中だし…この先、どうなっちゃうの!? みたい...続きを読むな危惧を抱かずにはいられないですね、本書みたいな優れた書を読むと…。 まあ、そんなわけでいかにも老人だけが酷くなっている、みたいにタイトルだけ見れば感じるかもしれませんけれども、全世代、情報化社会に取り込まれちゃって知らず知らずのうちに内面が変わってるよー、みたいな主張の本でした。おしまい。 ヽ(・ω・)/ズコー
数年前、突然、キレる老人が増えてきた、というニュースがよく流れた。 「暴走老人」という言葉があちこちで使われたが、本書は、その言葉を世に定着させた本らしい。 老人の暴走を「時間」「空間」「感情」をキーワードに考察している。 「老人」だけを問題にしているのかと思っていたが、読み進めていくうちに「老人...続きを読む」だけに当てはまる話ではない事に気がつく。 突然、キレるのが目立ったのがたまたま「老人」というだけなのだ。 「暴走老人」という言葉が先か後だったかは忘れたが「クレーマー」「モンスターペアレント」等という言葉もある。 また、そういう言葉にはなってないが、「子供」「青年」「中年」も突然、キレる事がある。 その根っこになる原因の一つとして、一番、印象に残ったのは 「コミュニケーション能力の不足」 「キレる」という事は、一方的なコミュニケーションの断絶、対話の拒否。 インターネットや携帯電話が普及し、コミュニケーションの手段は格段に進歩したはずだが、皮肉にも直接、人と対話する能力は低くなってしまったのだろうか。 コミュニケーション能力、と言われたら、自分は高い方ではない、というより低い方に分類されるので、あまり偉そうな事を言えた義理ではないが・・・。 やろうと思えば、かなりの事がメール等、人と面と向かう必要なく、話をする事ができるが、人と直接、話をする機会とメールで済む機会があったら、直接、話をする方を選ぶようにしたい。
この本が出た10年前はきっと驚きを持って受け止められたのかもしれない暴走老人、今や珍しくないものとなってしまった・・ P47 「待つこと」が何もない人生は、間違いなく不幸である。 P182 透明なルールはおおむね他者への関与を回避することで成り立っているともいえるからだ。【中略】「知らないと恥ず...続きを読むかしい」「知らないと損をする」という真理は、見えないルールをキャッチしようとこの内側に仕組まれたアンテナのようなものだ。【中略】暴走する新老人とは、新常識に順応できず、うまく乗り切れないために情動を爆発させるしかないシステム化社会の鬼っ子ともいえるのではないだろうか。
「時間」「空間」「感情」それぞれの領域に於いて、今の老人が若い頃に過ごしてきた環境との乖離があまりにも大き過ぎるが故に、老人がそれに順応できずにイライラしている。斎藤美奈子女史の書評にある通り、老人は暴走してもこの本はあくまで暴走はしない。というか、もっと暴走してほしかった。 藤原氏の指摘の中には、...続きを読む別に新老人「だけ」が暴走する根拠にはならないのでは?と思う点も。例えば第三章「感情」、若者が薄氷を踏む思いで他者との関わりを持っているなら、それと対比される老人はむしろ心が広くて、キレ得るのは若者ということにならないか?また現代のやり方を解さない新老人はトラブルメーカーにはなるかもしれないが、それはあくまで単なるトラブルメーカーに過ぎず「暴走」まではいかないのでは?そして藤原氏自身、文庫版での追記で、「暴走老人」は「暴走現代人」と容易に言い換えられるとしている。だとしたらこの本は、暴走老人とのタイトルではあるものの、実際にはもっと幅広い人に"適用"できる内容なのかもしれない。 「暴走老人」という言葉はこの方が作ったものだろうか?だとしたらこの言葉を作った功績は大きいと思う。なぜって、今現在暴走している老人があまりに多いように思えるから。(→追記:石原慎太郎に「暴走老人」と言ったのはどうも田中眞紀子らしい。)
この言葉、池上彰が石原慎太郎に対して使ってました。いきなりキレる老人、犯罪に走る老人、ゴミ屋敷等の問題を、時間・空間・感情という3つのキーワードで分析しています。 確かにテレビのニュースでも、この年齢で?と首をかしげたくなる犯罪が多いのは事実。決して老人は枯れていないという事でしょうが、徒党を組んだ...続きを読む物はほとんどなく、孤独な犯罪が多いのが哀れを誘います。
近年、若者の凶悪犯罪の減少とは反対に、65歳以上の高齢者の刑法犯が増えている。(1989→2005で高齢者人口が約2倍のところ約5倍)分別があってしかるべきとされる老人が不可解の行動で周囲と摩擦をおこし、暴力的な行動に走ることがある。筆者は、こうした高齢者のことを「新老人」とよび、時間・空間・感情...続きを読むの観点からその背後にある社会の変化を読み解く。 *時間 情報化社会の進展で、待つ時間を極力排除するようになり「待つことは待たされることになった」。待つことに対する許容の範囲が狭くなり、特に体が時間に追いつかないという焦燥感を抱えた高齢者にとって待たされることは耐え難い。 *空間 川の字文化から個室文化へ。単独世帯では家自体が個室空間となり、家の壁がテリトリーの堺として意識され、敏感になる。個を守る家族という緩衝剤を失って隣家との諍いが直接ぶつかり合う。 *感情 丁寧化していく社会。社会学者アーリー・ラッセル・ホックシールド『管理される心』で述べられた「感情労働」に関する話が興味深い。「体は売っても心は売らない」「笑顔はただ」「またのお越しを心よりお待ち申し上げます」「患者さま」「生徒さま」・・・いかなる状態においても笑顔を絶やさない演技力が評価され、人間の表情があらかじめ「心」とは分離されたテクニックとして捉えられているのだと指摘する。
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暴走老人!
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