実石沙枝子のレビュー一覧
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ネタバレ扇谷家の物語の中で、正太郎と時子と豊の物語が唯一、力と関係なく楽しんでいる青春が描かれていて、だからこそ、なぜ正太郎は、豊が死ぬ間際に言った「末代」の本当の意味を時子に教えなかったのだろうと思う。もしその意味を時子が知っていたならば、扇谷家の話はまた変わっていったのではないかと思う。「未来にはすっかり決まっているものと、まだ揺れ動いているものがある」と何度も出てくるが、ひとりの決断によって未来は変わる。立夏が話していた地縛霊がいつも明るかったこと、時子の死と共に気配がなくなったこと、最後に飛び立った3羽の鳥、時子の気持ちが死と共に安らかになっただろうことを感じてほっとした。
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初めて読む作家さん。主人公の晴奈は、海沿いの田舎町に住む高校三年生。10年前に高校三年生の姉「小春」は、突然行方不明になった。家出か事故か事件か、何の手がかりも得られなかった。そして、小春は神隠しにあったという噂がひろまり、一家は周囲から避けられるようになっていった。さらに小春の失踪が原因で母親は心を病み、父親は妻と小学生の晴奈を残し家を出ていってしまった。
晴奈は家から出られなくなってしまった母親の面倒をみながら、二人でずっと暮らしてきた。晴奈は学校でも疎外されるなかでも勉強に励み、生徒会の活動に参加するなどして、大学の指定校の推薦枠を獲得することができた。町から出たいがためにである。高校卒業が迫る中で、晴奈は海沿いの公衆電話が鳴り出したのに気づく。それは、姉の小春からの電話だった…
読んで感じたのは、主人公の父親がクズであること。病気の妻と小学生の娘をおいて家をでるなんて、これはもう犯罪だ。生活費を送ればいいという問題じゃない。作中には、ろくな大人が登場しないのだが、晴奈の友人だった美久と関係が戻ったのは良かった。そして、小春の元カレの学も町に戻って来たのだが、いまいち頼りない。しかし、学の婚約者として町に来た頼子は、その名のとおり頼りになるまともな大人である。
本書の題名は、「はるを呼ぶ」だが、春と漢字にしていない。これは「はる」には小春と晴奈の両方の意味を持たせているからだと思う。また。表紙カバーの隅の方にある英題名"Calling for Spring"だが、"Call"には「呼ぶ」と言いう意味も「電話を架ける」という意味もある。 -
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ひとりの美少女を中心に描かれる高校生たちの“イカれた青春”。 「こんな顔、もううんざりなんだよ!」という強烈な言葉を真正面から吐く“マッド”が、心の奥に抱えているものを知るにつれ、他人事だと思っていた無自覚な偏見やエゴが、実は自分の中にもあるのだと突きつけられる。類まれな美貌は本人の意思とは無関係に周囲をかき乱し、次々と騒動を引き起こしていくけれど、何よりまぶしかったのは、嘘偽りのない心の美しさだった。 「私たちは人間をうわべの情報だけで決めつけて生きている」「温かな場所を離れ、隣にいない人や過ぎ去った日々を思うことこそが孤独」──マッドの親友が放つ言葉には、思わずハッとさせられる。爽快なほど振り切れたキャラクターたちの躍動が心地よく、読後には強烈な余韻が残る一冊だった
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女性のみに不思議な力が遺伝する扇谷家のファミリーヒストリーもの。結構好きな話だった。予知能力、千里眼、声無き物の声を聞く者がたまに出現する。この一家はしかし、すでに分家や嫁に行った者しかなく、扇谷を名乗る子孫はもう居ない。扇谷家としての風格を守っていた最後の人である時子お祖母様(予知能力者)が、自らの死が近いことを予言した。それを知り親族一同が古い扇谷邸に集まるところから物語が始まる。
そこから話は時代を遡り、行ったり来たり、息子や娘の代、孫の代など、時代の変遷とともに変わっていった扇谷家と能力者の生活や価値観。それらのファミリーヒストリーを垣間見ながら、扇谷家の家仕舞いを見守る。
ちなみに物語では、邸の庭の桜の木の根元におばあさまが殺した男が埋まってるのではないか、という疑惑がずっと漂う。終盤、時子さんの若かりし頃の話が少しずつ読者の知るところとなり、最後は眩い感覚で終わる。同じ予知能力を持って生まれた時子さんとその孫の美雲の生き方の違いや、予知能力者としての悩みや共感は興味深い。
大長編になりそうな題材だが、本作は割とライトな読み物で、絶妙なコンパクトさにまとめられているところも◎ -
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静岡本屋大賞受賞作なので
読んでみた
予言する力のあるおばあさまをはじめとする
不思議な力を授かる扇谷家の女子
11月に死ぬというおばあさまの予言にむかって扇谷家の家じまいがはじまる
そして家を市に寄贈するにあたり、桜の木を切ることが条件になるが、その木の下に死体を埋めたという話をおばあさまから聞いていた孫娘の立夏は…
力をめぐってしきたりのある家につながれる子どもたち
扇谷家一族のそれぞれの過去の思いや今の思いが短編のように綴られて、おばあさまの最期につながっていく
登場人物それぞれの愛が温かい素敵なお話でした。
これは映像化間違いないでしょう